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BINOCULARS 10×42L IS WPガイドブック
倍率 倍率は、双眼鏡で覗いた像がどれだけ大きく見えるかを表す。 たとえば、10倍の双眼鏡ならば、100m離れたものが裸眼で10mの距離か ら見るのと同じ大きさで見えることになる(距離を10分の1まで縮めて見る ことを意味する)。 キヤノンIS双眼鏡がこれまでの双眼鏡と違う点 倍率が高くなるほど像は大きく見えることができる一方、倍率が高いほど視 野が狭くなり、同時に手ブレも拡大されてしまう。 通常10倍を超える双眼鏡では、手で支えた状態で細部を子細に観察すること は困難になる。有効な手段は三脚を使用することだが、機材が重くなるため 広い範囲を探索するには不向き。たとえ野鳥などを観察するのに10倍を超え る倍率が必要であっても、「持ち歩くなら7、8倍が限度」というのがこれまでの 定説だった。 そこでキヤノンは、世界で初めてイメ-ジ・スタビライザ-(手ブレ補正機構) を採用。マイクロコンピュ-タによって制御される左右二つのバリアングル・プ リズムが像のブレを瞬時に補正するので、高倍率でも三脚を使わずに対処 の細部をじっくりと観察できるだけでなく、通常に走行する自動車や電車から も安定した視界を得ることができる。これにより機材の軽量化はもちろん、手 ブレからくる眼や精神的な疲労も大幅に軽減され、より長時間、広いフィ-ル ドを仔細に探索することができるようになった。 手ブレなし 手ブレあり 対物レンズ有効径 対物レンズに有効に入射する光束の直径をいう(対物レンズの口径-レン ズを押さえる鏡筒枠)。有効径が大きいほど集光力があり、明るさと解像力 が向上する。しかし、有効径が大きくなると双眼鏡自体も大きく重くなってし まう。 ひとみ径と明るさ 双眼鏡のひとみの大きさ(ひとみ径)は[対物レンズ有効径]÷[倍率] で算出でき、双眼鏡の明るさは[ひとみ径]² で表される。 したがって、ひとみ径が大きいほど明るい像が見られる。 ☝10x42は、10x30の約2倍明るいことになる。 10x42の明るさ ひとみ径(4.2mm)= 明るさ4.2 ²=17.64 対物レンズ有効径(42mm) 倍率(10倍) 10x30の場合の明るさ ひとみ径(3mm)= 明るさ3²=9 対物レンズ有効径(30mm) 倍率(10倍) ひとみ径と人間の瞳孔径の関係 双眼鏡を覗いて感じられる明るさは、ひとみ径と人間の瞳孔径の関係で説明 できる。原則、ひとみ径≧瞳孔であれば裸眼で観察した場合と同じ明るさが得 られるが、ひとみ径<瞳孔であると裸眼の時より暗く感じられるてしまう。 厄介なことは、人間の瞳孔径は明るさによって大きさが変化することである。 通常、日中など明るい場所では人間の瞳孔は2~3mm開いているが、薄暮時・ 夜間など暗い場所では7mm前後まで開く。 <明るいところ> ひとみ径が3.0mmの双眼鏡の場合 人間の瞳孔径は2~3mmぐらいなので、10x30など ひとみ径が3mmの双眼鏡で十分な明るさが得られる。 <暗いところ> ひとみ径が3mmの双眼鏡の場合 人間の瞳孔径は7mm前後まで開くため、ひとみ径が 3mmの10x30などの双眼鏡では暗く感じてしまう。 ひとみ径が7mmの双眼鏡の場合 人間の瞳孔径は7mm前後になり、 10x70など7mm 程度のひとみ径をもった双眼鏡なら薄暗い場所でも 十分な明るさが得られる。 双眼鏡の3つの視界 1. [実視界] 双眼鏡を動かさずに見ることができる範囲を対物レンズの中心 から測った角度。実視界が広いほど目標物は探しやすくなる。 双眼鏡の倍率が低いほど広く、高いほど狭まっていくので、違う 倍率の双眼鏡間では単純に比較することはできない。 2. [見掛け視界] 実視界に倍率をかけたものを見掛け視界と呼ぶ。これはすなわ ち、双眼鏡を使用した場合と同じ大きさに肉眼で見える位置での 視界を表しており、倍率の異なる双眼鏡間でもそのまま比較する ことができる。 a b a:見掛視界50゜の双眼鏡の視界 b:見掛視界65゜の双眼鏡の視界(JIS規格により 65°以上を広視界タイプという) 3. [1000m視界] 双眼鏡を動かさずに見ることができる、1000m先の範囲をmで 表したもの。海外メ-カ-よく使う表現方法。 ☝ 10x30 実視界6° の双眼鏡で見た場合 見掛け視界は、 実視界(6°)x倍率(10倍) =60° アイレリ-フ 双眼鏡のひとみができる位置を、接眼レンズ最終面から測った 長さ。この位置から覗けば、全視野がケラれることなく観察でき る。アイレリ-フが長い(ハイアイポイントの)双眼鏡は、覗きや すく、長時間の観察も疲れにくい、メガネを掛けたままで使用で きるというメリットがある。 最短合焦距離 ピントが合う最短の距離。この距離が短いと、美術館や博物館 での観察など、近くの物を大きく見たい場合に便利。 双眼鏡の分類 [プリズム式] 現在の多くの双眼鏡では、対物レンズ、接眼レンズともに凸レンズ レンズが使われているため、そのまま覗くと像が倒立して見える。 これを正立させるためにプリズムを採用したものをプリズム式双眼 鏡という。プリズムの形式によりポロ、ダハの2タイプに分けられる。 <ポロプリズム式> 正立プリズムにイタリア人ポロが 発明したポロプリズムを使用。 入射光はZ型の奇跡を描いて接 眼レンズに導かれる。光学性能に 優れる一方、光軸を一直線に設計 できないため、小型・軽量化しにく い。 <ダハプリズム式> 正立プリズムに屋根の形をしたダハ (ドイツ語で屋根の意)プリズムを使 用。光軸を一直線に設計できるため 小型・軽量化しやすい一方、光学性 能を向上させるためにコストが高くな りやすい。 [ガリレイ式] ガリレオ・ガリレイが発明した望遠鏡の構造をそのまま取り入れた タイプの双眼鏡。接眼レンズに凹レンズを使用しているため、プリ ズムなしでも正立像が得られる。構造が簡単なため安価で作ること ができるが、実用としては4倍程度の倍率までしか望めない。 光学性能 光学性能はカタログ等に付記されているスペック表からは判断でき ないが、実際に覗いてみれば簡単に比較することができる。光学性 能は双眼鏡の良し悪しを決める最も大切なスペックである。すみず みまで肉眼と変わらないほどの高画質性能を発揮する双眼鏡であ れば、あたかも対象に肉薄しているような、圧倒的な迫力と臨場感 を楽しむことが出来る。 光学性能の比較の仕方と キヤノンの双眼鏡の優れた点 双眼鏡の光学性能は、具体的には下記のポイントに留意することに より比較することができる。 キヤノンのIS双眼鏡は、「IS付き」であること自体が「見えが良い」た めの大きなアドバンテ-ジであるが、光学性能も他社高級双眼鏡メ -カ-(ライカ、ツァイス、ニコンetc.)に勝るとも劣らない実力を誇る。 下記は、双眼鏡の光学性能を比較するときに留意したいポイントで ある。キヤノンの双眼鏡は高い設計・製造技術、上質のレンズ・プリ ズム、コ-ティングを採用することにより最高級の光学性能を実現し ている。 1)左右の像にズレはないか。 双眼鏡は2つの平行に並んだ光学系から成り立っている。ところが 双眼鏡の中には、組立時の調整が悪かったり、輸送時にショックや 振動を受けたりしてこの平行がくずれ、像が二重に見えるものがあ る。こうした双眼鏡は、修理をしてもちょっとしたショックから再び同じ 現象が発生する可能性があるので避けたほうが良い。 キヤノンの双眼鏡は、独自の規格による厳しい振動、落下 試験をクリアしており、左右の像にズレがないよう厳密に 組立・検査されているため、シャ-プな像が得られる。 2)像がぼやけずにくっきりと見えるか。 遠くの細かな文字や細い木の枝などを見たときに、像がぼやけず にくっきりと見えるか(写真2-1)、また夜景や星などを見たときに点 光源の形にくずれやにじみがないか(写真2-2)を確認する。ひとつの 双眼鏡を覗いただけでは分かりにくいかもしれないが、いくつかの 双眼鏡を比較するうちに違いが分かる。 キヤノンはUltra Law Dispersion Lens (UDレンズ)を採用して 分解力を上げることにより、像のぼやけや点光源のにじみを 徹底的に除去している。 2‐1 像がぼやけずにくっきりと見えるか 2‐2 点光源の形にくずれやにじみがないか 3)色ににじみや偏色はないか。 白い対象物を見たとき、その輪郭にちらちらと虹のようなものが見えることが ある。これは色収差(3-1)と呼ばれるもので、口径が大きく、また倍率の高い 双眼鏡ほど出やすい傾向にあり、視界全体の画質を劣化させてしまう。また、 コ-ティングやレンズの材質の違いから、双眼鏡によっては実際の色と異なっ て見えるものもある。白い対象物などを見て、色に偏りがないかどうか確認し た方が良い。 キヤノンはEFレンズで培った高度な光学設計技術を導入し、UDレンズの使 用などにより色収差を抑制。また、ス-パ-スペクトラコ-ティングの採用によ り色の偏りを抑え、コントラストが高い(3-3)鮮やかな視界を確保している。 3‐1 色収差がないか 3‐2 色に偏りがないか 3‐3 コントラストが高い 4)周辺部まではっきりと見えているか。 最近はユ-ザ-のニ-ズに応えて、広視界タイプの双眼鏡が増えてきた。 しかし、なかには無理やり視界を広くしたために周辺部の画質が劣化してい るものも少なくない。この周辺部における画質劣化の最大の要因となる収差 を像面湾曲という。ビルの壁などの平坦なものにピントを合わせて、周辺部 まではっきりと見えるかどうか(4-1)を確認してみる。像面湾曲が強く発生し ている場合、周辺部がぼやけてしまうため臨場感に乏しく、迫力ある観察像 は望めない。 キヤノンはこの像面湾曲を大幅に排除するため、フィ-ルド・フラットナ-レ ンズや高屈折率レンズを採用。周辺部まで均一で美しい広視界を確保して いる。 4‐1 周辺部まではっきりとみえるか 5)像にゆがみがないか。 ビルの窓や壁面の化粧レンガなどを見たときに、周辺部で水平垂直線がゆが んで見えることがある(5-1)。これを歪曲収差(ディスト-ション)という。歪曲収 差を写真レンズ゙のように補正したもの(写真1)や歪曲が強く残っているもの(写 真2)は、周辺の被写体が変形して見えるだけでなく、双眼鏡を動かしたときに 周辺の像が流れるように移動していくため大変見にくいものとなる。このため、 双眼鏡ではこの中間を狙って歪曲を意図的に残して設計される。(写真3) キヤノンでは、最適なレンズ構成に光学設計することにより歪曲収差を効果的 に補正。目の疲れを減らし、自然な像が得られる。 5‐1 像にゆがみがないか 写真2:歪曲が大きく 残っているので、建 物などの変形が気に なる 写真1:写真向きの歪 曲;直線は曲らないが 像の大きさが画面内の 位置で変化する 写真3:歪曲を適度に 残し、建物などの変 形とパンしたときの自 然さのバランスをとって いる 双眼鏡の選び方 -あくまでも目安です- 用途 代表的な倍率x口径 特徴 スタ-ウォッチング 10x42、15x50、18x50 ひとみ径大きい、視界広い、三脚取付け可 マリン 10x42 完全防水 ハンティング 8x25、10x30、10x42、12x36 ひとみ径、防水、携帯性 バ-ドウォッチング 8x25、10x30、10x42、12x36 広視界 旅行・ハイキング 8x25、10x30 コンパクト スポ-ツ観戦 8x25、10x30 コンパクト 観劇・コンサ-ト 8x25、10x30 コンパクト