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中国にかける夢、 新たな挑戦
寺子屋式リーダーシップ対話(2006.2.24) 中国にかける夢、 新たな挑戦 和田 一夫 氏 (上海国際経営塾塾長/ヤオハングループ元代表) 05年4月に起こった反日デモから、 もうすぐ いです。その中身も、従来の安価な人件 1年が経とうとしています。反日デモ以降、 費による競争力の優位性がもたらすもの 中国の状況が大きく変わってきたと実感 から変化してきており、 ハイテク商品の輸 しています。 出などが占めるようになっています。そして 外貨保有高。これは8,000億ドルで、 ここ1 あの反日デモは、 日本企業の中国進出の ∼2年内に日本を抜くことが確実です。ち 勢いを削いだのと同時に、 中国が、国際 なみに、私は天安門事件の翌年に、 ヤオ 社会に仲間入りするために必要なルール ハン本部を香港に移したのですが、 当時 やシステムを学ぶ機会になったのではな の中国の外貨保有高は50億ドル、 香港の いかと考えます。 100億ドルと合わせても150億ドルでした。 この15年で約50倍以上の成長を遂げた 和田 一夫(わだ かずお) 1929年、熱海の八百屋の長男として生まれる。51年、 日本大学経済学部卒業後、八百半商店入社。年 商1,000万円の八百屋を、世界16カ国グループ総 売上、5,000億円の国際流通企業ヤオハングルー プへと成長させた。97年9月、 ヤオハンジャパン倒産 の責任をとり、ヤオハングループのすべての役職を 辞任。98年、約半年間の蟄居を経て、自分の体験 を経営者たちに広く伝え、育てる「カンパニードクター」 としての道を決意。70歳からの再起に挑戦している。 00年には、 ヤオハンジャパン倒産というどん底からカ ムバックし、福岡県飯塚市にてIT企業の立ち上げを 実現。04年、上海での国際経営コンサルタント活 動を本格化させ、上海市内に移住(75歳)。日中の 懸け橋となる国際ビジネスマンを育てるために上海 国際経営塾を設立。参加企業も現在30社を超え、 若い人材を通じて日中の新しいビジネスの創造に 意欲を燃やしている。 今回の中国5カ年計画では、 貧富の格差 中国が日本を脅かす存在となっていること をなくすことを第一に掲げて、 優秀な人材 を感じる次第であります。そして預金残高 を登用し、 予算を厚く施しています。私の も524兆円の日本に対して、 中国は400兆 立つことがあればと思い、 この塾を立ち上 贔屓目かもしれませんが、 中国が諸外国 円です。 この5年で2倍に伸びています。 げたのです。私自身、 若かった頃、 ドラッカー からの指摘に正面から取り組み、 改善しよ さんに会い、 アメリカの経営に学び、 それを うとする姿勢を感じています。その 問題解決能力が高まり、 解決スピー ドも益々速くなってきていることを実 感しています。これは経済データ にも表れていると思います。 日本で活かそうと思った経験もありま 問題解決能力が高まり、 解決スピードも益々速く なってきている した。 中国には40代の経営者が数多くいま す。彼らは、 小平の南巡講話で外 国に学べと、 アメリカや日本、 ドイツに 中国に関する05年度の数字をいくつか見 私は2年前に上海に移住し、 上海国際経 国費留学生として送り出され、一生懸命 てみますと、 名目GDPは2兆2千億ドル。こ 営塾を立ち上げました。私は、 今の中国の 勉強をしてきた人たちです。中国では企 れはアメリカ、 日本、 ドイツに次ぐ世界第4位 経営に不足しているものは、理念や哲学 業の歴史が浅いことも関係していると思 で、 現在も増加傾向にあります。次に貿易 ではないかと思っていますが、 これまでの いますが、経営のスピードとチャレンジ精 黒字は1,000億ドルを超え、 日本に並ぶ勢 私の経験で中国の若きビジネスマンに役 神が日本の経営者に比べ格段に凄い。 し 寺子屋式リーダーシップ対話(2006.2.24) かし、 日本の経営にも先輩方が築き上げ た技術力やいいものがたくさんある訳で す。これをどのようにして中国で活かすこ とができるか、 皆さんにも考えてほしいと思 生涯を共に働くことができる 仲間をつくってほしい います。 ヤオハンが上海に出店して10年経ちます。 77歳からの再出発として、 私は、 中国の林 今、 出版社から頼まれて本を書いています。 昨年の売上高は日本円に換算して300億 業、 農業の環境保護、 土壌改良に貢献し なぜヤオハンが倒産したのか、 失敗をどう 円。 この数字は中国の全百貨店の中でナ たいという願いを持っております。これは やって乗り越えたのかも、全て書きたいと ンバーワンでした。売上高、 経常利益と共 中国の5カ年計画のひとつでもあり、 今後 思っています。私はもうすぐ77歳になりま に高い数字が出ており、特に経常利益8 農家の収入を増やすためにも必要な事 すが、 60歳はひとつの区切り、 そして今ま %という数字は、通常の小売業では考え 業です。 これは10年前、 中国にヤオハンが た本当の区切りを迎えたと思っているので られないものです。店舗の建物面積は10 必要だと進出した時と同じく、 次の時代の す。その中で、 是非皆さんにお願いしたい 万平米ありますが、 10年経って減価償却 中国が必要とする事業だと私は考え、 取り のは、 生涯を共に働くことができる仲間を も終わり、借金も返済しました。当時250 組んでいます。皆さんもこの中国が5年後 つくってほしいということです。 これは人生 億円相当の投資を行ったものが、 現在で には、 どうなっているのか? その時にはど の一番の財産です。今、 私にはお金も何 は1,000億円の資産価値になっています。 んなビジネスが求められるのか? いつど もありませんが、 和田塾で培った人の縁をベー のような投資をするべきか? それをぜひ スに、 77歳からの新しい挑戦に取り組んで 研究して考えてほしいと思います。 いきたい、 そう思っています。