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3)飼料自給率 up! 黒毛和牛にサイレージ
3)飼料自給率 up! 黒毛和牛にサイレージ (研究成果名:黒毛和種去勢牛の育成期における牧草サイレージ給与技術) 道総研 1.試験のねらい 畜産試験場 家畜研究部 肉牛G 4 )黒 毛 和 牛 生 産 農 家 で の 牧 草 サ イ レ ー ジ 給 与 北 海 道 で は 、豊 富 な 飼 料 基 盤 を 背 景 に 、自 給 黒毛和牛生産農家でマニュアルに基づき牧 飼料を最大限活用した肉牛生産を進めること 草 サ イ レ ー ジ を 給 与 し 、子 牛 の 発 育 や 子 牛 市 場 と し て い ま す 。 黒 毛 和 牛 で は 、粗 飼 料 は 乾 草 の での販売価格を調査しました。 給 与 が 一 般 的 で す が 、 我 々 は 、乾 草 と 比 べ 調 製 が 容 易 で 栄 養 価 の 高 い サ イ レ ー ジ( 牧 草 や と う 3.試験の結果 も ろ こ し を 乳 酸 発 酵 さ せ た 飼 料 )の 給 与 技 術 の 1 )牧 草 サ イ レ ー ジ の 給 与 開 始 時 期 の 違 い に よ 開 発 に 取 り 組 ん で い ま す 。こ れ ま で 、肥 育 期 に る 飼 料 摂 取 量 の 低 下 は な く( 図 1)、体 重 や 体 型 おけるとうもろこしサイレージの給与技術を ( 体 尺 値 )も 乾 草 区 と 差 は み ら れ ま せ ん で し た 開発しました。 ( 図 2、 表 1 の 試 験 1)。 ま た 、 牧 草 サ イ レ ー ジ 本 課 題 で は 、育 成 期 の 牧 草 サ イ レ ー ジ 給 与 技 給 与 に よ り 糞 便 が 軟 ら か く な り ま し た が( 図 3)、 術 に つ い て 取 り 組 み ま し た 。黒 毛 和 牛 の 育 成 に 健 康 を 害 す る も の で は あ り ま せ ん で し た 。こ れ お い て は 、牧 草 サ イ レ ー ジ 給 与 に よ る 軟 便 や 体 ら の こ と か ら 、牧 草 サ イ レ ー ジ の 給 与 は 4 か 月 型の悪化および肥育後の肉質に対する悪影響 齢から可能であることを示しました。 な ど が 懸 念 さ れ て い ま す 。こ れ ら の 懸 念 を 払 拭 2 )発 育 や 産 肉 成 績 か ら 牧 草 サ イ レ ー ジ 給 与 に し 、給 与 開 始 時 期 や 適 切 な 蛋 白 質 水 準 を 明 ら か よ り 併 給 す る 濃 厚 飼 料 の 蛋 白 質 含 量 を 18% か に し 、育 成 期 に お け る 牧 草 サ イ レ ー ジ の 給 与 技 ら 16% ま で 削 減 可 能 で あ る こ と を 示 し ま し た 術を開発しました。 ( 表 1 の 試 験 2、 写 真 1)。 3 )こ れ ら の 結 果 を も と に 、牧 草 サ イ レ ー ジ と 2.試験の方法 併給濃厚飼料の給与マニュアルを作成しまし 1)給与開始時期の検討(試験1) た ( 図 4)。 牧草サイレージを 4 または 5 か月齢から給与 4 )牧 草 サ イ レ ー ジ 給 与 牛 の 発 育 は 良 好 で 、 子 し た 区 ( GS4 区 と GS5 区 ) の 発 育 や 産 肉 成 績 に 牛市場での価格は、市場の平均価格を上回り つ い て 、乾 草 給 与 区 と 比 較 検 討 し ま し た 。な お 、 ( 表 2)、生 産 農 家 で も 活 用 可 能 で あ る こ と を 示 肥育期は濃厚飼料多給の慣行法で行いました。 しました。 2 ) 蛋 白 質 水 準 の 検 討 ( 試 験 2) 牧草サイレージは乾草より蛋白質含量が高 以 上 か ら 、牧 草 サ イ レ ー ジ は 黒 毛 和 牛 に 4 か い こ と か ら 、併 給 濃 厚 飼 料 の 蛋 白 質 含 量 を 乾 草 月 齢 か ら 給 与 可 能 で あ り 、併 給 す る 濃 厚 飼 料 の 区 は 18%、牧 草 サ イ レ ー ジ 区 は 16% と し 、併 給 蛋白質含量を減らして飼料費を削減すること 濃厚飼料の蛋白質削減が可能か検討しました。 が で き ま す 。ま た 今 後 、肥 育 期 の と う も ろ こ し 肥育は試験 1 と同様に慣行法で行いました。 サイレージ給与と今回の成果を併せることで、 3)牧草サイレージ給与マニュアルの作成 育成から肥育まで一貫して栄養価の高いサイ 試 験 1 お よ び 2 の 結 果 か ら 、育 成 期 に お け る 牧草サイレージ給与方法をとりまとめました。 レ ー ジ を 活 用 し た 牛 肉 生 産 が 可 能 と な り 、飼 料 自給率のさらなる向上が期待されます。 GS5区 6 4 2 300 4 250 3 糞便スコア 対照区 GS4区 体重(kg) 飼料摂取量(kg) 8 200 対照区 GS4区 GS5区 150 100 0 4 図1 5 6 7 月齢 8 対照区 GS4区 GS5区 2 1 0 4 9 試験 1 の飼料摂取量 5 図2 6 7 月齢 8 9 試験 1 の体重 5 6 7 月齢 8 9 図3 試験 1 の糞便スコア 1:固 形 便 2:軟 便 3:流 動 便 4:水 様 便 表1 育成期の発育および肉質 試験1 乾草区 GS4区 GS5区 体重(kg) 4か月齢 135.8 128.0 131.1 9か月齢 262.4 280.6 290.8 b ab 日増体量(kg) 0.91 1.10 1.15 育成終了時の体尺値 体高(cm) 110.6 111.6 112.0 腹深(cm) 58.0 58.5 57.7 腹幅(cm) 49.1 48.4 51.0 腹囲(cm) 180.8 182.5 184.5 腹深/体高比 0.52 0.52 0.52 枝肉重量(㎏) 450 458 470 ロース芯面積(c㎡) 63.4 58.7 60.0 BMS No. 7.4 5.8 5.5 BFS No. 3.0 3.0 3.0 試験2 乾草区 GS区 a 124.3 311.4 1.12 128.1 318.1 1.14 114.3 58.2 50.5 187.5 0.51 488 63.3 5.3 3.0 115.0 59.5 50.6 190.5 0.52 466 59.8 5.8 3.0 試験1の異なる文字間で有意差あり(p<0.05) BMS:牛脂肪交雑基準(No1~12で格付けされ、12が最も脂肪交雑が多い) BFS:牛脂肪色基準(No1~7で格付けされ、3が標準の色) 写真 1 牧草サイレージ給与牛 の枝肉 15 表2 ( 給 与 量 ) ㎏ 10 牧草サイレージ 水分:75% CP:13%(乾物中)以上 5 4 3.5 2.5 0 家 畜 市 場 に 出 荷 育成用配合飼料 CP:16%(原物中) TDN:72% 3 図4 3.5 4 5 月齢 6 7 8 牧草サイレージ給与マニュアル 9 現地実証における発育および市場価格 乾草区 GS区 (4頭) (6頭) 出荷体重(kg) 319 331 出荷日齢 295 277 日齢体重(kg/日) 1.08 1.19 試験牛の市場価格(千円) 562 539 市場平均価格(千円) 535 507 日齢体重は、出荷体重÷出荷日齢 市場平均価格は、対照区は927頭、GS区は943頭の平均