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第 12 回 ジェンダーズの会
日時:2012 年 7 月 27 日(金)18:30~20:00
場所:日本赤十字看護大学
ゼミ室 6
プレゼンター:濱田さん(日本赤十字看護大学大学院博士後期課程)
出席者:7 名(司会:番 書記:廣瀬)
【プレゼン内容】
「改訂版 21 世紀のジェンダー論」
池内康子・二宮周平・姫岡とし子編
第 3 章 セクシュアリティと身体
3-1 同性愛と異性愛
(麻姑 仙女著)
1)府中青年の家裁判 2)ゲイ・リノベーション 3)同性愛者差別と同性愛嫌悪
4)だれもが生きやすい社会を
3-2 セクシュアル・ライツ
(麻姑 仙女著)
2)性別変更への医療・社会のサポート 2)1 つではない性の切り口 3)インター
セックス 4)セクシュアル・ライツ 5)性の自己決定とは
3-3 生殖する身体とリプロダクティブ・ライツ
3)生殖とジェンダー
2)「リプロダクティブ・ライツ」という考え方
ロダクティブ・ライツ」の中身
3-4 セックスワーク
(荻野 美穂著)
3)「リプ
4)生殖テクノロジーと「生殖の権利』
(深江 誠子著)
4)何が労働か 2)第 3 世界にセックスワーカーが多く生まれるわけ 3)売春婦
をセックスワーカーと考えていいのか
4)売春は男の特権か
5)どんな教育
が必要か
<濱田さん感想>
欧米と日本との同性愛者、セクシュアル・マイノリティに対する法整備などの社会的な
活動の歴史には、100 年近い差があるのではないかと思われる。欧米は日本とは異なり「ソ
ドミー法」が存在していたり、殺人へと発展する妊娠中絶や同性愛者などへの差別感情は
深そうだが、表面化した差別や「人権」への意識に対する強さが、社会や人々の意識を変
えるきっかけとなっている。一方、日本では、セクシュアリティに関する問題は以前より
もマスコミに取り上げられるようになったという変化はみられるものの、オープンに語ら
れることは少ないのではないだろうか。
良くも悪くも、誰もが知っている問題を表面化しないままにしておくことは、問題をそ
の場に留まらせるだけで、性が国家や政治の道具として利用される温床をつくり出すこと
に加担しているのだと感じた。
【ディスカッション】
・文献を読んでいくと、セクシャリティについて、様々な問題があることがよくわかる。
学部の授業で、性同一性障害(GID)の方に当事者経験について話してもらっている。学
生の感想を書いてもらい、後から読んでみると、GDI を疾患として捉えて看護者として
どう接したらよいかを考える学生や、当事者の声をもっと聴きたい、GDI として生きる
経験を知りたいと感じる学生もいて、多様な捉え方があることが分かる。また「友達に
GDI の方がいる」と書く学生が増えて来ている一方で「GDI を取り巻く問題について全
く知らなかった」という学生も少なくない。GDI の存在が社会的に認知されて来ている
反面、その問題性についてはあまり知られていない可能性があるが、そこには何がある
のだろうか。
・看護師だと、セクシャル・マイノリティのお話を聞いたりする機会があるが、世間では、
そうした人たちに接する機会がない人もいる。一般向けの公開講座や卒業生のホームカ
ミングデーの後のアンケートに回答してもらう時に、疑問に思うのは、必ず性別・年齢
を書く欄があることである。教員にも、性別や年齢を書くことに疑問と思っていない人
もいる。一般の中でも、このようなことが起こりうる。自分の中では、分かったつもり
でいても学んだだけでは、ダメだと思った。
・スウェーデンではジェンダー・バイアスとエイジズム(年齢差別)を避けるために履歴
書を書くときは、性と年齢は書く様式がないと聞いたことがある。
今回のレジメの 6 ページに「性の多様性を認めること・・・」と書かれているが、その
多様性に対応していくためには差別撤廃の思想とそれに基づくこうした工夫が必要であ
り、簡単なことではない。
・原宿で東京プライドパレード(同性愛者などセクシャル・マイノリティによるパレード)
を見た時、行進している参加者は熱くなっているにもかかわらず、まわりにいた世間の
人が共感していなかった。私もその場にいた友人に、パレードの説明をしたが、あまり
理解されていない様子であった。
・冷たい反応は、学んでも身近なこととされていないからなのか。私も学部のときに、セ
クシュアル・マイノリティの話を聞いた。もし自分が、パレードを見たとき、自分では
そういう人もいるのだということを知っているので、行進を受け止めるが、社会的に見
たら、マスコミに取り上げられていてもきちんと学ぶことが少ないので世間的には知ら
ないという人が多いのかもしれない。
・知らないというのもあるし、知っていても、嫌だ、受け入れがたいという感情がある。
パレードレインボーの行進は、何年か前よりも確実に参加者は多くなっているようだ。
しかし、受け入れ側の準備はできていないように感じる。
・その人たちを応援してくれる人も参加しているはず。そういう人たちが増えているなら、
やる意味があるはずと思う。
・普段、働いている中で、出生直後の子どもの性別を外性器で性別を判断すること、特に
出生証明書の性別を書くことに疑問を感じる。自己決定が大切なのに、自分で選ぶチャ
ンスはない。選ぶチャンスを世の中の全員が持っていればよいのではないか。以前、外
性器の奇形があり、すぐに男女の性別が判断できない子どもがいた。しかし出生証明書
を出すために、親や医療者の話し合いで早く決めなければならなかった。このような場
合も含めて自分の性は後から自分で決定できると良いのではないかと思う。日本の社会
は出生後すぐに他人がどちらかの性を決めなくてはいけないところに疑問を感じる。
・私も以前、勤務していた病院で、外性器の奇形のために親と医療者で性を決定したケー
スに出会ったことがある。決めることが早かったと思った。このようなケースの場合、
すぐに決定することがこの子の将来を左右する。もう少し後から決定することができる
とよいと思った。
・オリンピックが始まるが、ここでもジェンダーがあると感じる。
・『男たるものはこうだ』という考えが、男性のなかにもある。そして女性にもある。社会
的な組織の中の自分を維持するためには必要か。
・異性を恋愛対象とできない人は、自分を偽った状態で生きていく。自分のパートナーを
選ぶ時も隠さなくてはいけないこともあり、自分を偽って生活していくようになる。
・話は戻るが、職場でペニスが短い男児について、申し送りでその子のことを報告した時
に、相手がクスっと笑った。排泄がどうとかではなくこの人の中には男性の外性器は大
きくなければならないという価値観があったようだ。男性、女性と性別を外性器だけで、
なぜ大人が決めてしまうのかわからない。
・妊婦さんも胎児の性別について知りたいと思う人が多い。何がそうさせているのか。
・男の子、女の子としてどう育てたいかをイメージしたいのかも。ネームプレートが色分
けしている病院もある。性別も書いている病院もある。小学校・中学校の男女の区別が
ある。でもいらないのではないか。区別がなければみんな悩まないのではないか。
・親が男女の区別を重視して男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく子どもを育て
ていく場面を目にする。ずっとそのような人生で、分けられて変だな、と思う子はいる
はず。
・親は男女の区別なく育てていても、社会の中での区別が多い。姪は保育園に行ってから、
親が着せていなかった、ピンクやひらひらの洋服を好むようになった。保育園に行って
いる子などは、環境がそうさせていくのか。
・社会がそれを期待してそのような前提を作っている。家庭がそういう育児をしていなく
ても社会がそうしている。
・出生証明書を出す時に性別を書く必要があるのか私も疑問に思った。性別が社会的にも
決められていることを感じた。
【ディスカッション後の書記の感想】
生まれた時の性を受け入れられず、成長してから自分の性に悩む人がいる。そのことを
世間の人々はなかなか理解できなかったり、偏見を持ってしまうこともある。自分自身も
セクシャリティについて、身近ではない問題という意識が強い。セクシャル・マイノリテ
ィの人に出会った時、その人のあるがままを、受け止められるかどうかを考えさせられた。
また助産師として生まれた子の性別をきちんと確認する責任はあるが、その子が自分の
性について自己決定できるような選択ができる機会も必要なのではないかと今回のディス
カッションに参加して感じた。
次回
9月7日(金)18:30~
発表者 藤井さん
文責 廣瀬
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