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社長インタビュー

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社長インタビュー
社長インタビュー
INTERVIEW
7
Annual Report 2005
社長インタビュー
Q: まず、建設・鉱山機械を取り巻く環境が大きく変わり、引き続き好業績となった 2005 年 3 月期の取
組みと業績を総括して下さい。
コマツグループの全社員、そして協力企業の皆さんの努力によって、建設・鉱山機械をはじめとした
市場の好転に迅速に対応し、この 2005 年 3 月期も売上げ、利益ともに大きく伸ばすことができまし
た。特に海外建機が大きく伸長し、建設・鉱山機械事業の売上げが初めて 1 兆円を超えました。一昨年
まで急拡大してきた中国市場に調整が入ったものの、他の地域の売上げは軒並み伸長しました。資源
国が原油や鉱物資源の価格上昇を背景に社会インフラの整備・拡充を進めていますし、鉱物資源その
ものを掘り出すために、我々の鉱山機械の需要が世界各地で大きく伸びています。また、最大市場の北
米では需要が約 3 割も伸びました。中南米も含めた米州の売上げが日本を追い抜いたのも初めてのこ
とです。
営業利益、当期純利益ともに最高益を更新
営業利益では 23 期ぶり、当期純利益では 24 期ぶりに最高益を更新しましたが、これは決して市場
の好転だけが要因ではありません。2001 年に開始した経営構造改革にグループ全体で取り組み、固
定費の削減やエレクトロニクス事業の健全化に着実な成果を上げたことも大きく貢献しています。ま
た、社内における業績評価面で各社・各事業のランキング付けやこれに応じた賞与配分を行うなど、連
結ベースで社内競争を徹底させ、組織の活性化も図ってきたことも業績向上を支えた要因です。
一方、期初の想定以上に需要が急拡大したため、生産や物流面では色々なロスもありました。建設・
鉱山機械の需要には循環的な要素があるので、この変動をいち早く正確に予測することがいかに重要
か、そしてその変化にフレキシブルに対応する能力を持つことがいかに必要か、痛切に感じた 1 年で
した。したがって、販売・生産計画の精度を一層高めていくことが急務であり、KOMTRAX など IT を
活用して、各市場の状況をダイレクトかつ迅速に掴み、販売・生産のマネジメントに結びつけるべく、全
社的な改革に取り組んでいるところです。
また、当社の女子柔道部の谷本歩実さんがアテネ五輪で金メダルを獲得するなど、ビジネス以外でも
グッドニュースがあった 1 年でした。女子柔道部は、私自身が会社創立 70 周年時に提案したもので、
今年で創部 15 年目になります。昨年、社内に後援会もでき、多くの社員、関係者がバックアップして
くれていますので、嬉しく思っています。
Q: 2006 年 3 月期をゴールとした中期経営計画 "Move The World. KOMATSU 5-800" の経営
目標を 1 年前倒しで達成しました。次の経営目標に関する考えをお聞かせ下さい。
中期経営計画「Move The World. KOMATSU 5-800」の経営目標値と 2005 年 3 月期実績
2005 年 3 月期 実績
中期経営計画 目標値
(2006 年 3 月期)
連結売上高
1 兆 4,347 億円
1 兆 2,500 億円
営業利益 *1
1,019 億円
800 億円
総資産税引前利益率(ROA)
ネット・デット・エクイティ・レシオ *2
7.1%
5%
0.70
1 以下
*1 営業利益は、日本の会計慣行に従い売上高から売上原価、販売費および一般管理費を控除して算出しています。
*2 有利子負債額から現預金を差し引いたネットの有利子負債額と株主資本の比率
8
Annual Report 2005
2003 年度の中間期に 2006 年 3 月期を目標年度とした中期経営計画
を発表し、ここで掲げた 4 つの目標値については、すべて前倒しで達成す
ることができました。
しかし、売上高営業利益率は、全事業の平均でも、建設・鉱山機械事業に
ついても 7%台であり、収益性の面では未だ十分とは言えません。そこで、
利益重視を更に徹底し、売上高営業利益率 10%以上の達成を新たな経営
目標にしました。まず、主力事業の
建設・鉱山機械セグメントの
営業利益と売上高営業利益率
億円
%
800
10.0
600
7.5
400
5.0
200
2.5
建設・鉱山機械セグメントでの達成
を目指します。鋼材価格の高騰など
が製造原価へマイナスの影響を及ぼ
すでしょうが、更なる原価低減努力に加え、できる限り販売価
格を改善し、収益力の向上に努めます。また、2006 年 1 月か
ら欧米を皮切りに第 3 次排ガス規制が始まります。この 2005
年は、各建機メーカーともに新商品やモデルチェンジ車の投入
2005.3
2004.3
2003.3
2002.3
2001.3
ラッシュとなり、各社の実力が問われる年と言えます。以前か
0
0
ら申し上げているとおり、私たちは、この機会に「ダントツ商品」
への切り替えを進め、早期に売上高営業利益率 10%以上を達
営業利益
成したいと考えています。
売上高営業利益率
Q: 建設・鉱山機械セグメントの売上高営業利益率を 10%に高めるためには、日本市場の収益性改善
が不可欠と思いますが、その方策をどのようにお考えですか。
日本の市場は、ピークだった 1990 年度との比較では 3 分の 1 の規模になっているのですから、市
場環境には極めて厳しいものがあります。しかし、世界市場における需要構成を見れば、現状が異常な
わけではありません。むしろ当時が大き過ぎたと考えるべきです。
コマツは、これまで市場規模に合わせ販売・サービス体制の再編を進めるとともに、中古車・レンタ
ル・部品・サービスなど川下分野の事業強化を進め、収益確保に努めてきました。ただ、日本における収
益上の本質的な問題は、需要の減少ではなく販売価格の下落にあると私は考えています。特に中型クラ
スの油圧ショベルは、競争の激しさゆえに技術的には日本の建設機械メーカーの競争力が極めて高くな
りましたが、一方で日本は世界で最も安い価格レベルになってしまっています。昨年来、日本において
も販売価格の改善に努めていますが、今期から機能を向上させたダントツ商品を集中的に市場導入して
いきますので、この機会に日本国内においても販売価格を是正していきたいと考えています。
Q: 当期も引き続き海外で業績を伸ばしましたが、今後のグローバル市場をどの様に見られていますか。
特に重要視する市場はどこですか。
建設機械の世界需要を見ると、20 年ぶりに大きな市場回復のうねりが「グレーター・アジア」を中心
に起きています。1985 年からの 15 年間位は世界需要のおよそ 80%を日米欧で占める異常な状況
が続いていました。経済の低迷や政情不安などで、建設機械の本来の役割である社会インフラの構築・
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Annual Report 2005
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整備を必要とする国々に、資金が還流しなかったからです。しかし、2000 年前後から BRICs 諸国の
急成長が始まり、近年原油や鉄鉱石など一次産品の需給バランスが逼迫しています。原油価格は、石炭
やその他鉱物資源を代表しています。原油や鉱物資源価格が高くなると、今まで資金が還流しなかっ
た国々も、このような一次産品を輸出して稼ぎ、それを社会インフラ投資に充当しているわけです。こ
ういった資源開発にも、インフラ整備にも私たちの機械が必要ですので、原油価格の高騰は、コマツに
は追い風とも言えます。これは私の経験則だったのですが、実際に調べてみると、ドバイ原油価格とコ
マツの営業利益には相関関係が見られます。
コマツは、世界的にはまだトップと格差のある第 2 位の地位です。しかし、コマツが高いポジションを
持つグレーター・アジアが今後の市場拡大のドライバーとなるでしょう。これまで行ってきたグローバ
ル化への取組みで、商品レンジ、生産体制は整いました。加えて、グレーター・アジアではプロダクトサ
ポートを集中的に強化していますので、いよいよこれからが我々の成長の時代になると考えています。
建設・鉱山機械の地域別需要構成比(台数ベース)
※コマツの推定
100%
中国
東南アジア、オセアニア、中近東、
アフリカ、CIS、中南米
欧州
80%
北米
日本
60%
40%
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
0%
1982
20%
対象機種:国内外ともに主要 7 建機(ミニ建機は除く)
① クローラー式油圧ショベル ② ホイール式油圧ショベル ③ ブルドーザー ④ ホイールローダー ⑤ ダンプトラック ⑥ アーティキュレート式ダンプトラック ⑦ モーターグレーダー
Q: 急激に落ち込んだ中国市場の現状と見通しについてお話し下さい。
中国では、春節(旧正月)明けに大きな需要があり、春先の需要動向が極めて重要ですが、2005 年
に関しては、現在のところ 2002 年とほぼ同レベルで推移しています。2004 年は 5 月から市場調整
が続き、2001 年レベルまで落ち込みましたが、今年の春節明けから前年同月比の落ち幅も下げ止ま
っています。また、KOMTRAX から得られるデータを見てもお客さまの機械の稼働時間が上昇してお
り、市場は昨年末に底を打って回復に転じたことは間違いなさそうです。
今後の市場をどう判断するか、難しいところです。経済の過熱抑制を目的とした中国政府のマクロ
コントロールは継続していますが、全体としては穏当な金融政策によって安定成長を目指す方向だと思
います。地域格差是正や環境問題対応、競争力ある産業の育成などを中心とした産業政策も続くでし
ょう。従って、市場回復のスピードや大きさは、地域、業種によって異なってきます。2003 年に需要
の半分以上を占めた華東地区は、開発区の工事や一般建設向け需要が多く、市場回復には時間がかかる
10
Annual Report 2005
と見ています。一方、東北部や西部は、地域格差の解消に向けインフラ投資
に積極的であり、2004 年の落ち込みは比較的小さく、2005 年もある程
度の成長が期待できます。業種別では、石油・石炭などのエネルギー関連、
またこうした原材料の物流拠点である港湾、鉄道などの業種では、積極的な
投資が継続するでしょう。鉱山の大規模化から機械化もスピードアップし、
鉱山機械の需要拡大も期待できます。また、都市部では、水道などの都市工
事が増加し、小型機の需要も増えてくると思います。これまで市場は 20ト
ンクラスの油圧ショベルに偏っていましたが、他機種へ拡がりを見せ始めて
おり、フルラインを持つコマツに大きなチャンスがあると考えています。
中国市場は確かに大きくなっていますが、コマツの建設・鉱山機械部門の
小松(中国)の KOMTRAX モニターセンター
売上高に占める比率は、2005 年 3 月期ではわずか 3.8%です。また、今後
高い伸びが見込まれる BRICS、コマツでは「S」を大文字とし、ブラジル
(B)
、ロシア
(R)
、インド
(I)
、中国
(C)
に加え、南アフリカ
(S)
を入れているのですが、すべて合わせても売上比率は 10%程度ですので、む
しろこれから大きな期待が持てると考えています。
Q: 発展市場におけるインフラ整備の進展などで、建設・鉱山機械の需要は更に拡大が見込まれます
が、国内外の生産体制に関する考えをお聞かせ下さい。
コマツは、日本市場の縮小に合わせ、1995 年から 2000 年に国内の生産能力を 4 割削減しました。
そうして自ら需給バランスをとったところで、海外を中心に需要が復活しました。特に鉱山用の大型
機種など、日本から輸出する機械の伸びが著しく、現状はネック工程への投資を行いながら、また国内
外の工場間で生産機種をフレキシブルに変更することで、生産能力の増強を図っています。今後、BRICS
市場が成長し需要が増えると、生産能力はますますタイトになってきますが、すぐに新工場を建設する
という決断にはならないでしょう。まず、海外 28 工場の生産性を高めフルに活用することで、現有の
車体組立工場の生産能力を増強していきます。
一方、エンジンや油圧機器、トランスミッションなど、建設・鉱山機械の主要コンポーネントについて
は、増産投資を行い、生産能力を高めています。油圧機器やトランスミッションは日本一極生産ですし、
今後の中国市場の回復により更なる生産量の増加も見込まれますので、多少の余裕ができるぐらいの
規模まで能力増強を進めています。これらのコンポーネントの組み合わせが、機械の作業性や燃費に極
めて重要な要素であり、競争力の源泉です。従って、他社との差別化という観点から内製化を徹底し、
技術力を社内に蓄えていきます。
1985 年のプラザ合意から 1990 年代中盤までは常に円高を懸念して、日本で製造し海外に輸出す
ることは、コスト高で採算が合わないと多くの人が考えていました。しかし、事実をきちんと見て分析
していくと、本社のような管理部門の費用や経費など、いわゆる固定費が高かったのであって、製造コ
ストは欧米の競合他社に決して負けていないことがわかりました。ですから、私は固定費の削減を中心
とした経営構造改革を推進する一方で、日本におけるモノ作りの競争力には自信を持ってよいと社員に
言い続けています。もちろん海外の工場はもっと競争力を高める余地が大きいことも強調しています。
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Annual Report 2005
社長インタビュー
Q: アジアを中心に自動車メーカーの設備投資が旺盛ですが、コア事業のひとつである産業機械事業
の現状と見通しについてお聞かせ下さい。
2005 年 3 月期における産業機械・車両他部門の売上高は 2,664 億円で、主な事業構成としては、
フォークリフト事業が 4 割程度、プレス機械等の産機事業が約 2 割を占めており、その他に防衛庁向け
製品や小松ゼノアの農林業機器、コマツ物流による物流事業などがあります。各事業分野とも業績を
伸長させていますが、産業機械事業分野は、新しい技術を織り込んだ自動車メーカー向けの大型プレ
スの受注が極めて好調であり、今後も大きく伸びる見通しです。
産業機械も「ダントツ商品」で順調に業績を拡大
産業機械事業分野も市場に大きな変動がありますが、近年は自動車メーカーの積極的なグローバル
投資で需要が拡大しています。このような環境下、私たちは特長ある新商品を市場導入し、業績を順調
に伸ばしてきました。コマツ産機では、2002 年に AC サーボ駆動の中・小型プレス機械「H1F / H2F」
シリーズを、他社に先駆けて市場導入しました。CNC 制御でスライドを自由にコントロールでき、従来
の機械式プレスに比べ、極めて高精密な加工を可能にしました。また、超低騒音による環境への配慮も
時流をとらえ、発売から 3 年で累計販売台数が 700 台を突破するヒット商品となりました。大型プレ
スでは、お客さまであるダイハツ工業(株)と共同で、新型の大型プレスラインを開発しました。搬送装
置に世界で初めてリニアモーターを採用したユニークな振り子式フィーダーを搭載し、また、高度なラ
イン同期制御により、世界最高レベルの生産性とフレキシビリティを実現しました。また、中・小型プレ
スで培った AC サーボプレス技術を、
トヨタ自動車(株)と共同で大型プレス分野に展開し、世界初の大
型 AC サーボプレスを開発しました。この大型 AC サーボプレスをトヨタ自動車の全世界の工場に次々
と導入していきます。差別化商品の称号である「ダントツ商品」は、もともと建設機械での使用を考えて
いたのですが、これら産業機械事業分野の商品もまさに「ダントツ商品」です。
Q: アドバンスト・シリコン・マテリアルズの売却交渉を進められていますが、エレクトロニクス事業に
対する方針に変化があったのですか。
エレクトロニクス事業に関する私の考えは一貫しています。すなわち、リスクとなる要素を思い切っ
て取り除くことでキャッシュを生み出せる体質に変え、借入金を減らしながら必要な投資を行っていく
ことと、事業をより発展させるためのパートナー作りを進めることです。
まず、シリコンウェーハ事業ですが、ウェーハメーカーは各社とも 300 ミリ投資を本格化させていま
す。コマツ電子金属(KEM)では、日本で既に月産 4 万 5 千枚のラインが稼働していますが、これに加
えて長崎工場で 3 万枚規模の能力増強(合計で月産 7 万 5 千枚)を進めています。さらに、台湾の合弁
会社台湾小松電子材料股
有限公司(FKS)においても、2006 年内の稼働開始を目標として、月産 5
万枚規模の一貫生産ラインへの投資を決定しています。日本で約 110 億円(2004 ∼ 2005 年)、台
湾で約 230 億円(2006 ∼ 2007 年)の投資規模ですが、これらに要する費用は、コマツが建設・鉱山
機械事業で稼いだものを使っているのではありません。彼ら自身が生み出したキャッシュを使い、借入
金を増やさずに投資を行っているのです。事実、同社の連結ベースの借入金は、1999 年 3 月期に 771
億円ありましたが、この 2005 年 3 月期には 441 億円まで減らしています。FKS は 1999 年に生産
を開始しましたが、KEM 連結における FKS の売上げ比率も徐々に高まっています。この台湾事業が伸
12
Annual Report 2005
びることで、協力関係にある台湾の合弁パートナーとの関係も更に強化さ
れ、シリコンウェーハ事業はより発展すると確信しています。
アドバンスト・シリコン・マテリアルズ(ASiMI)は、モノシランガスおよ
び多結晶シリコン市場が活況となり、この 2005 年 3 月期に業績を急改善
しました。従って、ASiMI については、企業価値が高まっているこの時期
に売却を進めることが、コマツグループにとって適切であると判断しまし
た。現在、ノルウェーのリニューアブル・エナジー(REC)社とビュート工
場の売却について交渉中です。この REC 社とは、ASiMI はモーゼスレイ
ク工場を現物出資し、太陽電池向け多結晶シリコンの製造を行うジョイントベンチャーを設立している
関係にあります。ASiMI 売却後も KEM ならびに FKS への半導体用多結晶シリコンの安定供給を確保
するため、コマツグループで 25%の持分を引き続き保有する予定ですが、経営はこのパートナーが主
体となります。
2005.3
コマツ電子金属の連結売上高
借入金
台湾小松電子材料股 有限公司の売上高
設備投資額
2005.3
0
2004.3
0
2003.3
200
2002.3
200
1999.3
400
2004.3
400
2003.3
600
2002.3
600
2001.3
800
2000.3
億円
800
1999.3
億円
2001.3
コマツ電子金属の借入金と
設備投資額(連結ベース)
2000.3
コマツ電子金属の連結売上高と
台湾小松電子材料股 有限公司の売上高
Q: コマツは、以前から品質管理に優れた会社と言われていますが、新たに設けられた「NQ-5 推進部」
の狙いをお話し下さい。また、改善活動を進め、企業体質を強化する上で何が重要ですか。
「NQ-5 推進部」の N は「New」
、Q は「Quality」
、5 は、
「現場、現実、現物、原点、顕在化」の 5 つを示し
ています。
「品質と信頼性」を高めていく活動に限らず、生産や開発の現場力を高める活動や、間接業務の
プロセスを改革する活動を、全社的に全員参加で進めるための旗振り役です。
改善の手法にはコマツの得意とする QC や米国流のシックスシグマなど色々ありますが、コマツの
ようなモノ作りを重視する企業にとって、QC の基本的な概念である P(Plan:計画)-D(Do:実施)-C
(Check:確認)-A(Act:処置)のサイクルをきちんと回し、継続的に改善活動を進めることが欠かせ
ません。
Fact Finding(事実の把握)と Show and Share(事実の顕在化と共有化)
改善・改革活動を行い、現場力や企業体質を高めていく上で、私がいつも強調していることは「Fact
Finding」
、つまり事実をきちんと把握することの重要性です。漫然と、あるいは常識だと思っていること
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Annual Report 2005
社長インタビュー
も事実を突き詰めていくと、違う視点から事象が見えてきて、改善の知恵やアイデアが出てくるものです。
もうひとつ重要なことは「Show and Share」
、つまり把握した事実を顕在化させ、それを共有化する
ことです。事実を曖昧にして次に進むと、必ず問題を後に引きずることになるからです。この「Show
and Share」は品質管理にとどまらず、企業体質にも関わってきます。社内の問題がすぐにトップに
伝わり開示できる風通しの良い企業体質を構築することは、コンプライアンス(法令順守)の面で極め
て重要です。
Q: 企業の社会的責任(CSR : Corporate Social Responsibility)
がますます重要視されています。
ステークホルダーに対するアカウンタビリティ
(説明責任)やコンプライアンスに関して、坂根さんが
社内で徹底していることを教えて下さい。
私は、社長就任以来、決算発表などの機会を利用して、株主の皆さんに対してはもちろんのこと、社
員や購買関係の取引先、販売・サービス代理店の皆さんとの直接対話を続けています。企業の価値は、
私たちを取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和であり、この直接のコミュニ
ケーションが信頼度を高める重要な手段のひとつと考えているからです。ステークホルダーの皆さん
とできる限り対話の機会を持ち、適切な情報開示を行うことで、サプライズを最小化することができま
すし、社員や購買関係の取引先、販売・サービス代理店の皆さんとは、コマツグループの進むべき方向
や課題の共有が可能になります。
グループ全体でコンプライアンスを推進
一方、社会からの信頼は、何かひとつの問題でゼロになってしまうリスクがあります。私は、企業に
おける問題の発生そのものを完璧に予防することは不可能に近いと考えていま
す。従って、社員に対しては、予防のための努力も当然大切ですが、問題が生じ
たときに、これをいち早くオープンにして、迅速な対応をとることができる企業
体質を作り上げ、これを実践することが重要であると、機会があるたびに説い
ています。
また、コンプライアンスは、他の経営課題と同様に当社単独で達成されるも
のではありません。グループ企業の 1 社が起こした問題で、親会社を含むグル
ープ全体に大きな影響を及ぼした例は、数多くあります。従って、リーダーとな
る企業を核として、グループを構成する企業が一丸となって推進しなければ意
味がありません。コンプライアンスは、お客さま、株主の皆さまをはじめ、社員
や取引先とそれらの家族といった多くの人々の運命をも左右するものであり、
2005 年 5 月に本社ビル(東京)で実施した社員ミーティング。
2005 年 3 月期決算の概要と現下の課題・方針に関するディスカッション
を実施。
経営陣の一人ひとりが各自の担当領域の枠を超えて取り組むべき最も重要な経
営課題です。
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Annual Report 2005
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