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年次報告書
EDB 年次報告書 2011/2012 ii EDB Annual Report 2011/2012 目次 長官からのメッセージ 2 投資コミットメント 4 確定した固定資産投資額 (FAI) 5 確定した年間事業支出総額 (TBS) 10 減価償却を除くTBS 15 確定した投資による年間付加価値創出額(見込みベース) 20 雇用創出人数(技能職) 23 プロジェクトのハイライト 24 EDB Annual Report 2011/2012 1 長官からのメッセージ EDBは、前年に引き続き2011年も確定投資額及び投資指標のいくつかにおいて過去最高を達成した ことを皆様にご報告ができ喜ばしく存じます。 アジア地域で拡大するビジネスチャンス シンガポールは今後もアジアの経済成長を積極的に取り込もうとする投資家にとって重要な役割 を果たしていきます。アジアは単に低コストで魅力的な生産拠点からそれ自体が重要な市場へと 変貌を遂げており、成長しようとするグローバル企業に大きな可能性を与えています。また、ア ジの市場規模が経済大国1カ国あるいは2カ国分を凌ぐ可能性があることから、あらゆる業種の多 くの企業がアジア市場を活用する機会をとらえようとしています。 シンガポール:世界とアジアの拠点 このような市場機会がアジア全域で拡大する中、企業間ではEDBの「ホスト・トゥ・ホーム」戦略 を活用しシンガポールをグローバル・アジア事業、技術開発、人材管理などの戦略拠点に据える 動きが広まっています。 グローバルおよびアジア事業拠点としてのシンガポールのユニークな位置づけは昨年の投資額に 反映されています。シンガポールでアジア事業展開を目指すグローバル企業は、シンガポールの 強固な経済基盤、貢献度の高いビジネス環境、便利なアクセス、優秀な人材の恩恵を受けていま す。同様に、世界市場に進出しようとするアジア企業の多くはシンガポールに国際事業本部を設 置し、国際展開力に磨きをかけています。 例えば、IBMは同社最大のサービス統括拠点をシンガポールに設置、一方パナソニックはおよそ4 兆4460億円(570億USD)規模の原材料調達・物流機能をシンガポールへ移管しました。欧州第2位 の半導体メーカー、インフィニオン・テクノロジーズは、およそ50億円(5,000万EUR)を投じて シンガポールでの生産能力と研究開発を拡大しようとしています。 2 EDB Annual Report 2011/2012 また、世界市場への足がかりとしてシンガポールを活用しているアジア企業の一例として太陽電 池メーカー世界大手のトリナソーラー(中国)が挙げられます。トリナソーラーはアジア太平洋 地域(中国を除く)、中東及び南アフリカ事業を管轄する地域統括本部をシンガポールに設置す るとともに、シンガポールの研究機関と研究開発で連携しています。印タタ・コミュニケーショ ンズもグローバル経営機能を統括し、新しい通信サービスを開発する国際事業本部をシンガポー ルに設立しました。 能力開発に関する取り組み EDBはシンガポールが継続的に価値提案ができるよう取り組んでおり、その一環として能力開発を 積極的に推し進めています。人材リーダーシップ機関 (HCLI)の基幹プログラム「シンガポー ル・ビジネス・リーダーシップ・プログラム (SBLP)」はアジア市場に精通した次世代人材の育 成を目的とし、「精密エンジニアリング職業継続教育・研修プログラム(PEVC)」では医療技術 や精密工学分野において技術力の高い「マイスター」職人の育成とリーダーシップ形成を目指し ています。これらの取り組みに加え、データ分析やコンシューマー・インサイトなどでもアジア 全域に通じる能力開発を引き続き進めていきます。 おわりに 皆様方のご支援の下、昨年に引き続き今年も業績を躍進させることができました。世界経済の先 行きに関しては依然不透明な状態が続いていますが、シンガポールがグローバルリーダー、 世界的都市へと成長し、ビジネス、技術革新、優秀な人材のアジア拠点となるEDBのビジョンを達 成できると確信しております。 レオ・イップ 長官 シンガポール経済開発庁 EDB Annual Report 2011/2012 3 投資コミットメント 固定資産 投資 (億 S ドル) 事業総支出 (億 S ドル) 減価償却を差し 引いた 事業総支出 (億 S ドル) 期待 VA 総額 (億 S ドル) 熟練技術を要す る仕事 エレクトロニクス 7.4 1.5 1.0 2.0 3,500 化学薬品 2.5 0.9 0.7 0.8 650 生物医学製造 0.2 0.2 0.1 3.0 400 精密工学 0.7 0.7 0.6 0.8 2,700 輸送工学 0.4 0.5 0.5 0.4 1,190 一般製造業 0.05 0.007 0.005 0.01 30 情報通信 & メディア 0.5 0.5 0.4 0.7 1,200 HQ & プロフェッショナルサ ービス 1.0 2.5 2.4 5.7 7,000 エンジニアリング & 環境サ ービス 0.3 1.6 1.4 1.8 2,660 物流 0.05 0.1 0.1 0.2 470 教育 0.3 0.07 0.1 0.1 260 ヘルスケアサービス 0.3 0.03 0.03 0.03 240 総額 13.7 8.6 7.3 15.5 20,300 ヘルスケアサービス 4 EDB Annual Report 2011/2012 確定した固定資産投資額 (FAI) 億 S ドル 20.0 17.2 18.0 18.0 16.0 14.0 12.3 12.0 11.8 10.5 10.0 10.2 8.2 8.0 9.4 12.9 13.7 10.4 6.0 4.0 2.0 0.0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 年度 EDB Annual Report 2011/2012 5 確定した固定資産投資額 (FAI) 精密工学 0.4億 S ドル, 3.1% 2010 化学薬品 1.7億 S ドル, 13.2% 輸送工学 1.5億 S ドル, 11.6% 一般製造業 0.2 億 S ドル, 1.6% 情報通信 & メディア 0.7億 S ドル, 5.4% HQ & プロフェッ ショナルサービス 0.9億 S ドル, 7.0% エンジニアリング & 環境サービス 0.4億 S ドル, 3.1% エレクトロニクス 5.8億 S ドル, 44.9% 物流 0.2億 S ドル, 1.6% 教育 0.3億 S ドル, 2.3% ヘルスケアサービス 0.3億 S ドル, 2.3% 生物医学製造 0.5億 S ドル, 3.9% 総額: 12.9 億 S ドル 6 EDB Annual Report 2011/2012 確定した固定資産投資額 (FAI) 精密工学 0.7億 S ドル, 5.1% 2011 化学薬品 2.5億 S ドル, 18.2% 輸送工学 0.4億 S ドル, 2.9% 一般製造業 0.05億 S ドル, 0.4% 情報通信 & メディア 0.5億 S ドル, 3.6% HQ & プロフェッ ショナルサービス 1.0億 S ドル, 7.3% エンジニアリング & 環境サービス 0.3億 S ドル, 2.2% 物流 0.05億 S ドル, 0.4% 教育 0.3 億 S ドル, 2.2% エレクトロニクス 7.4億 S ドル, 54.0% ヘルスケアサービス 0.3億 S ドル, 2.2% 生物医学製造 0.2億 S ドル, 1.5% 総額: 13.7 億 S ドル EDB Annual Report 2011/2012 7 確定した固定資産投資額 (FAI) 2010 シンガポール 2.1億 S ドル, 16.3% 米国 3.3億 S ドル, 25.6% アジア太平洋および その他の地域 1.5億 S ドル, 11.6% 日本 1.2億 S ドル, 9.3% ヨーロッパ 4.8億 S ドル, 37.2% 総額: 12.9 億 S ドル 8 EDB Annual Report 2011/2012 確定した固定資産投資額 (FAI) 2011 シンガポール 1.9億 S ドル, 13.7% 米国 5.0億 S ドル, 36.8% アジア太平洋および その他の地域 3.7億 S ドル, 26.8% 日本 1.0億 S ドル, 7.2% ヨーロッパ 2.1億 S ドル, 15.5% 総額: 13.7 億 S ドル EDB Annual Report 2011/2012 9 確定した年間事業支出総額 (TBS) 億 S ドル 10.0 7.6 9.0 8.0 7.0 6.1 8.6 2010 2011 7.8 6.8 6.4 6.0 7.7 8.6 6.2 6.2 2004 2005 4.3 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 10 EDB Annual Report 2011/2012 2001 2002 2003 2006 2007 2008 2009 年度 確定した年間事業支出総額 (TBS) 2010 エンジニアリング & 環境サービス 1.2億 S ドル, 14.0% 物流 0.6億 S ドル, 7.0% 教育 0.04億 S ドル, 0.5% ヘルスケアサービス 0.3億 S ドル, 3.5% 生物医学製造 0.2億 S ドル, 2.3% HQ & プロフェッ ショナルサービス 2.1億 S ドル, 24.4% エレクトロ ニクス 1.8億 S ドル, 21.0% 化学薬品 0.3億 S ドル, 3.5% 情報通信 & メディア 0.8億 S ドル, 9.3% 一般製造業 0.04億 S ドル, 0.5% 精密工学 0.6億 S ドル, 7.0% 輸送工学 0.6億 S ドル, 7.0% 総額: 8.6 億 S ドル EDB Annual Report 2011/2012 11 確定した年間事業支出総額 (TBS) 2011 エンジニアリング & 環境サービス 1.6億 S ドル, 18.6% 物流 0.1億 S ドル, 1.2% 教育 0.07億 S ドル, 0.8% ヘルスケアサービス 0.03億 S ドル, 0.3% 生物医学製造 0.2億 S ドル, 2.3% HQ & プロフェッ ショナルサービス 2.5億 S ドル, 29.1% エレクトロ ニクス 1.5億 S ドル, 17.4% 情報通信 & メディア 0.5億 S ドル, 5.8% 一般製造業 0.007億 S ドル, 0.1% 化学薬品 0.9億 S ドル, 10.5% 精密工学 0.7億 S ドル, 8.1% 輸送工学 0.5億 S ドル, 5.8% 12 EDB Annual Report 2011/2012 総額: 8.6 億 S ドル 確定した年間事業支出総額 (TBS) 2010 シンガポール 1.7億 S ドル, 19.8% 米国 2.3億 S ドル, 26.7% アジア太平洋および その他の地域 1.6億 S ドル, 18.6% 日本 0.6億 S ドル, 7.0% ヨーロッパ 2.4億 S ドル, 27.9% 総額: 8.6 億 S ドル EDB Annual Report 2011/2012 13 確定した年間事業支出総額 (TBS) 2011 シンガポール 1.2億 S ドル, 13.7% アジア太平洋および その他の地域 0.9億 S ドル, 10.9% 米国 3.6億 S ドル, 41.9% 日本 0.5億 S ドル, 5.8% ヨーロッパ 2.4億 S ドル, 27.7% 総額: 8.6 億 S ドル 14 EDB Annual Report 2011/2012 減価償却を除くTBS 億 S ドル 8.0 6.8 7.0 6.0 6.2 6.1 2006 2007 7.2 7.3 2010 2011 5.8 5.2 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 2005 2008 2009 年度 EDB Annual Report 2011/2012 15 減価償却を除くTBS 2010 物流 0.6億 S ドル, 8.4% エンジニアリング & 環境サービス 1.1億 S ドル, 15.3% 教育 0.03億 S ドル, 0.4% ヘルスケアサービス 0.3億 S ドル, 4.2% 生物医学製造 0.2億 S ドル, 2.8% HQ & プロフェッ ショナルサービス 1.9億 S ドル, 26.5% エレクトロ ニクス 1.2億 S ドル, 16.8% 化学薬品 0.2億 S ドル, 2.8% 精密工学 0.3億 S ドル, 4.2% 情報通信 & メディア 0.8億 S ドル, 11.2% 一般製造業 0.03億 S ドル, 0.4% 輸送工学 0.5億 S ドル, 7.0% 総額: 7.2 億 S ドル 16 EDB Annual Report 2011/2012 減価償却を除くTBS 2011 エンジニアリング & 環境サービス 1.4億 S ドル, 19.1% 物流 0.1億 S ドル, 1.4% 教育 0.07億 S ドル, 1.0% ヘルスケアサービ 0.03億 S ドル, 0.4% 生物医学製造 0.1億 S ドル, 1.4% エレクトロ ニクス 1.0億 S ドル, 13.7% HQ & プロフェッ ショナルサービス 2.4億 S ドル, 32.8% 化学薬品 0.7億 S ドル, 9.6% 情報通信 & メディア 0.4億 S ドル, 5.5% 一般製造業 0.005億 S ドル, 0.1% 精密工学 0.6億 S ドル, 8.2% 輸送工学 0.5億 S ドル, 6.8% 総額: 7.3 億 S ドル EDB Annual Report 2011/2012 17 減価償却を除くTBS 2010 シンガポール 1.5億 S ドル, 20.8% 米国 1.9億 S ドル, 26.4% アジア太平洋および その他の地域 1.5億 S ドル, 20.8% ヨーロッパ 1.8億 S ドル, 25.0% 日本 0.5億 S ドル, 7.0% 総額: 7.2 億 S ドル 18 EDB Annual Report 2011/2012 減価償却を除くTBS 2011 シンガポール 1.0億 S ドル, 13.7% 米国 3.0億 S ドル, 41.1% アジア太平洋および その他の地域 0.8億 S ドル, 11.0% 日本 0.5億 S ドル, 6.8% ヨーロッパ 2.0億 S ドル, 27.4% 総額: 7.3 億 S ドル EDB Annual Report 2011/2012 19 確定した投資による年間付加価値創出額(見込みベース) 億 S ドル 18.0 13.4 16.0 14.0 12.0 15.5 14.7 10.1 10.5 10.4 10.8 2004 2005 14.4 12.5 11.6 8.6 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 20 EDB Annual Report 2011/2012 2001 2002 2003 2006 2007 2008 2009 2010 2011 年度 確定した投資による年間付加価値創出額(見込みベース) 2010 エンジニアリング & 環境サービス 1.6億 S ドル, 11.1% 物流 0.4億 S ドル, 2.8% 教育 0.04億 S ドル, 0.3% ヘルスケアサービス 0.4億 S ドル, 2.8% 生物医学製造 0.6億 S ドル, 4.2% HQ & プロフェッ ショナルサービス 6.3億 S ドル, 43.6% エレクトロ ニクス 2.0億 S ドル, 13.8% 化学薬品 0.5億 S ドル, 3.5% 精密工学 0.7億 S ドル, 4.8% 情報通信 & メディア 1.1億 S ドル, 7.6% 輸送工学 0.7億 S ドル, 4.8% 一般製造業 0.1億 S ドル, 0.7% 総額: 14.4 億 S ドル EDB Annual Report 2011/2012 21 確定した投資による年間付加価値創出額(見込みベース) エンジニアリング & 環境サービス 1.8億 S ドル, 11.6% 2011 物流 0.2億 S ドル, 1.3% 教育 0.08億 S ドル, 0.5% ヘルスケアサービ 0.03億 S ドル, 0.2% HQ & プロフェッ ショナルサービス, 5.7億 S ドル, 36.7% 生物医学製造 3.0億 S ドル, 19.4% 情報通信 & メディア 0.17億 S ドル, 4.5% エレクトロ ニクス 2.0億 S ドル, 12.9% 一般製造業 0.01億 S ドル, 0.1% 輸送工学 0.4億 S ドル, 2.6% 精密工学 0.8億 S ドル, 5.1% 化学薬品 0.8億 S ドル, 5.1% 総額: 15.5 億 S ドル 22 EDB Annual Report 2011/2012 雇用創出人数(技能職) 千人 25.0 21.3 20.0 18.6 17.8 15.2 14.4 15.0 20.3 15.9 17.2 16.4 15.2 12.8 10.0 5.0 0.0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 年度 EDB Annual Report 2011/2012 23 プロジェクトのハイライト 生物医学 LONZA(スイス) メルク(アメリカ) 世界トップの生物薬剤受託メーカーの一つで あるLonzaはバイオプロセス施設を開設しまし た。1000万スイスフランを投資して設立されたこ の施設は、同社初のアジアにおけるバイオプロセ ス開発への投資であり、シンガポールにある同社 の生物製剤製造工場を強化するものとなります。 グローバル医薬品メーカー、メルクはバイオ事 業強化の一環として、トゥアス生産拠点に今後 10年間でおよそ195億円(2億5000万USD)、新製 品発売の技術力強化のため現地研究開発事業に およそ448億円(7億SGD)を投資する計画を発表 しました。また現地の大学や研修プログラムを 活用して現地人材のスキルや専門技術力も向上 させます。 一般消費者向け製品 24 EDB Annual Report 2011/2012 MEDTRONIC(アメリカ) ダノンアジアパシフィックホールディングス 世界最大の独立型医療機器メーカーの Medtronicは、同社初となるペースメーカー を発売し、製造施設を設立しました。5600万 米ドルを投資して設立されたこの製造施設は 最新技術を装備し、シンガポールで120人の 新たな雇用が生み出される見込みです。 乳製品、飲料水、乳幼児向け食品、医療用栄養食 トップメーカーのダノンは、アジア太平洋地域 で同社初となる母子栄養に特化した研究施設を設 立、乳幼児の成長・発達分野で幅広い研究を行い ます。投資総額はおよそ44億円(7,000万SGD)以 上で、5年以内に50名の研究員からなるチームを 立ち上げる予定です。 プロジェクトのハイライト アジア消費者動向研究所 アジア消費者動向研究所 (ACI) は、アジアの消費ニーズを専門に研究する世界初の研究機関で、およそ49億円(7,700万SGD)を投じて2011 年7月に設置されました。シンガポールをアジア市場の消費者動向を探る知識、能力開発の本拠地にすることを目的としています。2012年3 月には、アジアで事業拡大を目指す消費財メーカーの中核研究拠点となる戦略を発表、主にショッピング、ライフスタイル、コミュニケー ション、メディア、データ分析や文化などの分野でアジアに特化した研究を実施するとともに、2012年10月からは理学修士コースを開始す る予定です。2012年後半には、英フィナンシャル・タイムズと共催で「アジア消費者サミット」の開催を予定しており、消費財メーカー、 研究機関、クリエイティブ企業など世界有力企業・団体の経営陣や専門家が事業拡大、企業戦略といった問題を検証、同時にアジア最新消 費トレンドやそこから生まれるビジネス機会の活用を議論していきます。 インターナショナル・フレバー・アンド・フ レグランス インターナショナル・フレバー・アンド・フレグラ ンス(IFF)はシンガポールに同社最大となる液体 香料製造拠点を新たに設置します。投資額はおよそ 44億円(6,900万SGD)で、生産能力を従来の5倍増 となります。また、香料メーカーとして初の基礎研 究をシンガポールで実施するほか、香料生産、グロ ーバル事業や生産を統括する戦略機能をシンガポー ルに移転します。 ミード・ジョンソン・ニュートリション 世界5大乳幼児食品メーカー、ミード・ジョン ソン・ニュートリションは、投資額およそ253 億円(3億2,500万USD)の新生産施設および研 究施設の設置を発表しました。これに伴い、生 産ラインの噴霧乾燥器オペレーション担当者、 管理職やエンジニアを多数シンガポールに移転 します。上級管理職、サプライチェーン担当 者、マーケティング担当者や技術者をシンガポ ールに集結させ、現地およびアジア市場の消費 者ニーズの対応を迅速化します。 EDB Annual Report 2011/2012 25 プロジェクトのハイライト 教育 エレクトロニクス INSEAD(フランス) INFINEON TECHNOLOGIES(ドイツ) 世界トップクラスのビジネススクールINSEAD は、シンガポールキャンパスの施設やプログラ ムの拡充を発表、MBAのグローバルエグゼクティ ブコースや上級経営コースなどアジア向け新コ ースを立ち上げました。アジア地域での存在感 の拡大とシンガポールでのリーダーシップ育成 の取り組みを強化していきます。 欧州半導体企業第2位のInfineon Technologies は、シンガポールでの生産力および研究開発の 拡大に5000万ユーロを投資することを発表しま した。この拡大により研究開発エンジニアを130 人増員し、同社が重視するサブミクロン・シス テムオンチップ統合とマルチコア構造開発の研 究開発活動が強化されます。 ユナイテッド・ワールド・カレッジ・東南 アジア校 (イギリス) 高校生を対象としたインターナショナルスク ール、ユナイテッド・ワールド・カレッジ (UWC)東南アジア校は、開校当初のドーバー キャンパスを補完する新キャンパスを東部タン ピニスに開設しました。これにより入学者数は 2,500人増員することになります。 26 EDB Annual Report 2011/2012 マイクロン・セミコンダクター・アジア (アメリカ) マイクロン・セミコンダクター・アジアは2011 年4月21日、リー・シェンロン首相出席のもと ウッドランドにシンガポール初となる300mmウ エハー対応のNAND型フラッシュメモリー工場を 開設しました。投資総額はおよそ2340億円(30 億USD)で、製造関連の投資としては国内最大 級規模となります。工場では最先端の25nm製造 プロセスを導入、週換算で2万5000枚のウエハ ーを生産しています。現在の従業員数は製造、 サービス部門をあせて1,500人以上となりま す。マイクロンは現在、ウッドランドの最新製 造拠点を含め5つの工場をシンガポールで展開 しています。 プロジェクトのハイライト STATS ChipPAC(シンガポール) DSM(オランダ) 半導体組立検査のSTATSチップパックは、北部イ ーシュンにある既存工場の隣に新工場(敷地面積 19万7000平方フィート)の建設を着工、最先端ウ エハーの生産能力を拡大します。同社の過去3年 の国内投資額はおよそ195億円(2億5,000万USD) で、今後数年で新たにおよそ171億円(2億2000万 USD)追加投資する計画です。 Royal DSMは食品、薬剤、材料科学産業の世界 大手企業です。世界で最も高性能な繊維であ るDyneema®の開発元で製造メーカーであるDSM Dyneemaは、シンガポールに世界レベルの技術セ ンターを設立することを発表しました。このセ ンターは、アジア太平洋地域で拡大しつつある Dyneema® 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊 維、テープ、一方向原料の顧客基盤の拠点となる 見込みです。2012年第4四半期から稼動していま す。 シェブロン・オロナイト(アメリカ) エボニック(ドイツ) 潤滑油添加剤大手のシェブロンオロナイトは、シ ンガポール製造設備を大幅に拡張する計画を発表 しました。工場完成は2014年初め、稼動は同年前 半を予定しています。完成すれば、アジア・太平 洋地域で最大の潤滑油添加剤製造拠点となりま す。オロナイト添加剤を原料とした潤滑油は、自 動車、船舶、機関車、建設機器、天然ガスのエン ジンなど様々な製品に用いられています。 特殊化学品メーカー世界大手のエボニックは、 メチオニン工場の設立を発表しました。投資額 はおよそ505億円(5億EUR)で、化学関連事業で は同社最高額となります。年間生産能力は15万 トン、稼動は2014年後半を予定しています。ま た、アジア初となる研究施設「テゴ・イノベー ション・センター」を開設、塗料や添加剤向け 化学物質の開発を目的とした分子合成の研究を 行います。 エネルギー·化学品 EDB Annual Report 2011/2012 27 プロジェクトのハイライト 情報通信&メディア タタ・コミュニケーションズ(インド) IBM(アメリカ) 通信サービス大手タタ・コミュニケーションズ は、インド以外の海外事業を統括する国際事業本 部(従業員数130名)の設立を発表しました。グロ ーバルサービスの管理、次世代通信サービスの開 発など幅広い事業活動を展開するほか、投資総額 およそ140億円(1億8,000万USD)の最新データセ ンターも設置しています。 世界IT企業大手IBMのグローバル事業サービス部 門は、アジア太平洋地域のグローバル事業戦略と サービス展開を担う拠点をシンガポールに設置し ました。アジア唯一そして世界最大のサービス統 合拠点で、これによりIBMはサービス事業の足場 をシンガポールに築き、同国での存在感をさらに 高めることになります。 ライフスタイル 28 EDB Annual Report 2011/2012 Red 5(アメリカ、中国) ナイキ オンラインゲーム会社Red 5は、国際事業本部 をシンガポールに設立、近日中に発売予定の人 気オンラインゲーム「Firefall」の著作権管理 業務(北米、欧州を除く)をシンガポール本部 に移転します。Red 5はトレーディングカード ゲーム「World of Warcraft」を開発した米ブリ ザード・エンターテインメントのゲーム開発者 からなり、現在は中国オンラインゲーム大手、 第九城市(The9)の傘下にあります。 スポーツウエアや用具など幅広いスポーツ関連 商品手がける世界的ブランドのナイキは、グロ ーバル事業戦略を推進し主要分野で事業強化す る商社機能統括会社をシンガポールに設立しま した。新会社では、サプライチェーンの柔軟的 活用、為替リスク管理の統括、サービス事業の プラットフォームの共有化を行い、事業効率の 最大化を目指します。 プロジェクトのハイライト 物流 フェデックス・エクスプレス(アメリカ) 国際エクスプレス輸送サービス世界大手フェデ ックスは、チャンギ国際空港にある航空貨物 (ACE)拠点内に南太平洋路線向けの貨物拠点を 新設する計画を発表しました。シンガポールか らのグローバル市場へのアクセスを向上させる と同時に、シンガポールの域内主要航空貨物拠 点という役割も拡充することになります。 ユナイテッド・パーセル・サービス(ア メリカ) 宅配世界最大手ユナイテッド・パーセル・サ ービス(UPS)は、アジアで製造事業を展開す る医療関連企業向けに流通センターの設置を 決定しました。敷地面積は4万3,000平方メー トルで、同社初の域内物流拠点となります。 新施設は冷蔵・低温倉庫などコールドチェー ンを整備し、サプライチェーン効率化のため の延期サービスなども実施します。 ON SEMICONDUCTOR CORPORATION(アメリカ) ON Semiconductor® 省エネ電子機器向け高性能シリコンソリュ ーションを提供するトップ企業であるON Semiconductor Corporationはシンガポールで グローバル流通センターの設立を発表しまし た。350万シンガポールドルを投資して設立さ れたこの施設は、同社の世界各地にある3つの グローバル流通センターの一つであり、半導体 産業最大の流通センターとなります。 EDB Annual Report 2011/2012 29 プロジェクトのハイライト プロフェッショナルサービス 精密工学 30 EDB Annual Report 2011/2012 アプライド・マテリアルズ(アメリカ) デロイト(イギリス) 半導体前工程製造装置大手、アプライド・マ テリアルズはシンガポールのマイクロエレク トロニクス研究所と共同で最先端パッケージ ングの研究施設を設立しました。300mmウエハ ー対応の生産設備で、アジアでも最先端施設 の一つとなります。 世界4大会計事務所のひとつであり、ビジネスプ ロフェッショナルサービス世界第2位のネット ワークを持つデロイトは、アジアで高まるデー タ分析サービス需要に対応するため、「デロイ ト・アナリティクス研究所/アジア支部」を設立 しました。同社のデーター分析の主要拠点とし てはアメリカに続く2ヶ所目で、3番目はロンド ンに設立される予定です。 ヘレウス・マテリアルズ(ドイツ) マッキンゼー(アメリカ) 太陽電池向け銀ペースト開発業界大手、ヘレウ スの太陽電池事業部門は、アジア市場に高性能 製品とサービスを提供するためシンガポールに アジア事業本部を設立、研究開発、製造、販 売、技術サポートなどのサービスを同地域向け に提供しています。 グローバル経営コンサルタント、マッキンゼー・ アンド・カンパニーは、消費者動向、エネルギ ー、通信、公共部門などの分野で知的財産の創出 を推進する「マッキンゼー・イノベーション・キ ャンパス(MIC)」の設置を発表しました。 同社初の取り組みで、アジア内外で通用する新た なツールや方法の開発を目的としています。関連 プロジェクトでは約40名の専門職を雇用する予定 です。 プロジェクトのハイライト 輸送工学 キャタピラー(アメリカ) キャタピラーは、建設・掘削設備、ディーゼル・ 天然ガスエンジン、産業用ガスタービン、ディ ーゼル発電装置メーカーの世界大手であるとと もに、子会社を通じて金融、再製造、物流、鉄道 整備などサービスを提供する一流サービス事業会 社でもあります。アジア太平洋地域で再製造業務 を拡大する戦略の一環として、シンガポールにア ジア・太平洋地域で2ヶ所目となる再製造施設を 開設、拡大する鉱山採掘需要を取り込んでいきま す。 LIUGONG MACHINERY CORPORATION (中国) 中国の大手建設機械メーカーで世界有数の ホイールローダーメーカーであるLiuGong Machineryはシンガポールにアジア太平洋地 域統括本部を設立しました。このアジア太平 洋地域統括本部は、中国を除くアジア太平洋 地域の営業、技術サポート、貿易の拠点とな り、同社初の東南アジアおよび太平洋諸島へ の予備部品流通センターとしての役割を果た します。 EDB Annual Report 2011/2012 31