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外国人労働者問題 -東アジアの経済統合 ・少子化を展望して-

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外国人労働者問題 -東アジアの経済統合 ・少子化を展望して-
外国人労働者問題
−東アジアの経済統合
・少子化を展望して−
2004年11月1日(月)
関西学院大学経済学部教授
関西学院大学労働経済研究会代表
井口 泰
構 成
はじめにー主要な3つの視点ー
国際的な人の移動の極としての「
東アジア」
現行の二国間FTA交渉の問題点
外国人労働者政策転換の必要性と外国人雇
用法の可能性
• 少子化問題と外国人労働者政策
• 結論
•
•
•
•
1 はじめにー主要な3つの視点ー
• 東アジアは、世界的にみて、国際的な人の移動
に関しても、既に、欧州や北米と並ぶ重要な極を
形成しつつある。
• 東アジアの経済統合を展望すれば、(1)「人の移
動」の問題に関し、日本自身が理念・目標をもち
域内でイニシアチブを発揮することが必要になっ
ている。
• 同時に、(2)外国人の滞在長期化に適合し、(3)
人口の少子・高齢化の進展などに対応して、日
本として政策の「ベストプラクテイス」を探求する
必要がある(補論も参照)。
2 国際的な人の移動の極としての
「
東アジア」
• 国際的な人の移動は、従来、「南南移動」が過半
数を占めたが、20世紀最後の10年間は先進国と
その周辺を中心に増加。
• 2000年時点で、外国人(国籍と異なる国・地域に
合法的に滞在する者)は、総人口(61億人)の
2.9%(1億7500万人)と推定。
• 特に1995年から2000年の間には、世界的な人材
獲得競争(アジアからの流出)やアジア域内移動
の高まりが顕著。
表1 世界人口と外国人人口( 2000 年)
人 口(a)
外国人人口(b)
アジア
3672.3
49.7
727.3
56.1
欧州
アフリカ
793.6
16.2
ラテン・ アメリカ
518.8
5.9
北 アメリカ
313.1
40.8
大洋州
30.5
5.8
合計
6056.7
174.7
資料出所 :IOM
( a)/ (b)
1.4
7.7
2.1
1.1
13.0
19.1
2.9%
• アジアでは、4970万人の外国人居住者が
おり、成長著しい東アジア(北東アジアと東
南アジア)
において増加している。即ち、
1990年代後半には、毎年260万人の移動
が発生し、また非合法に移動した者も年間
60万人に上ると推定(
I
OM 2003)。
• 先進国の少子・
高齢化から、世界的な人
材獲得競争の激化が予想されるとともに、
外国人の社会的統合の失敗やテロの懸念
から政策面でも新たな動きが生じている。
表2 東アジアにおける国際労働力移動(主として 2001 年)
(単位:千人)
フロー
ストック
労働力
外国人労働者 自 国 人 労 国 内 の 外 国 自国人の外国
人 口
の入国
働者出国
人労働者
での就労
67,520
142(130)
(55)
740(710)
(61)
日本
韓国
21,950
(37 )
(251)
325(285)
[56]
中国
本土
753,600
475(426)
65( 63 )
3,430
235(217)
香港
(20)
[50]
台湾
9,832
293(321)
[120]
シンガポール
2,129
612(530)
[15]
9,892
259(231)(880)
[200}
マレーシア
34,488
93(103)
160(191)
(1103)
[550]}
タイ
インドネシア
98,812
20(15)
339(435)
(33)
[1600]
フィリピン
30,908
[6]
867(841)
[29]
(4,940)
ベトナム
40,800
(37)
(300)
資料出所:各国統計及び公式推計などを基に筆者作成。
注 1): ( ) は 2000 年。. [ ]は 2001 年及び 2000 年以外の年数値。2)日本の外国人労働者は、不法滞在者を含み、永住
権のある者を除外。自国人の外国での就労はアジアのみ。韓国の国内労働者は、不法滞在者と研修生を含む。中国の自国人出国
は人力輸出の労働者数。香港の自国人の外国での就労者数は 1990 年中国への出稼ぎ者。外国人入国者には家事労働者を含まず、
国内の外国人労働者は家事労働者のみ。マレーシアの外国人労働者は低熟練・不熟練労働者。タイの外国人労働者は、登録さ
れた不法就労者。
近日中に更新終了の予定。
• 同時多発テロから3年を経過し、イラク戦争
の早期終結や中国及び周辺地域で猛威を振るっ
たSARSも沈静化し、域内格差を伴いつつア
ジア域内の貿易・生産拡大は力強さを増した。
• WTO加盟を果たした中国経済の台頭は、香
港や台湾などの周辺経済に大きなデフレ圧力
を及ぼした。これに対し、対中輸出の増加は、
韓国や日本の成長率回復に大きく寄与した。
• AFTA(アセアン自由貿易地域)の本格適用
で域内産業の再編成が進行し、タイは自動車
産業を中心に急成長している。構造転換の過
程にあるシンガポールやマレーシアの成長率
も回復してきた。
表3 東アジア諸国の失業率
1997
1998
1999
2000
3.4
4.1
4.7
4.7
2.6
7.0
6.3
4.1
3.1
3.1
3.1
3.6
本土
2.2
4.7
6.3
4.9
香港
2.7
2.7
2.9
3.0
台湾
1.8
2.5
3.5
3.1
シンガポール
マレーシア
2.4
3.2
3.4
3.1
1.5
4.4
3.0
2.4.
タイ
4.7
5.5
6.4
6.1
インドネシア
フィリピン
8.7
9.6
9.6
10.1
6.4
6.9
7.4
6.4
ベトナム
資料出所:Asian Development Bank (2003)及び各国資料。
注)中国とベトナムは、都市部の失業率である。
日本
韓国
中国
2001
5.0
3.8
4.0
5.1
4.6
3.3
3.6
2.6.
8.1
9.8
6.3
( %)
2002 2003
5.4
3.1
4.0
7.3
5.2
4.4
3.5
1.8
9.1
10.2
6.0
5.3
3.4
4.3
7.9
5.0
4.7
3.6
1.5
9.5
10.1
-
• しかし、フィリピン、インドネシア及びベト
ナムが過剰労働力の流出を増大させている。
• 海外で就労するフィリピン人の出稼ぎ労働者
はほぼ500万人、年間労働者送り出し数は80
万人台に増加した。インドネシアも100万人
を超える労働者が海外で就労し、ベトナムの
国外出稼ぎも30万人に達した。
• フィリピンは、香港やシンガポールに家庭の
メードを、台湾に介護労働者を、日本にはエ
ンターテイナーなどを送り、比較的高い学歴
や英語力から競争上も有利にある。しかし、
これが国内の人的資源の質的低下をもたらし、
対内投資にマイナスとなる効果も懸念される。
• 中国の送出し政策は、人力輸出と留学生の送
出の2本の柱からなる。留学のために中国を
出国した者は年間8万人を超え、留学ブーム
が続いている。同時に、自然科学系の博士号
取得者に限り帰国促進策が強化されている。
• 韓国は、賃金水準の低い中小事業所を中心に、
外国人研修生や不法就労者が増加し通貨危機
前の水準に達した。不熟練労働者の受入れを
目的とする雇用許可制度を導入する法案が可
決され、2004年8月から、産業研修制度と雇
用許可制度の併存する体制となった。
• 東アジアでは、国際的な人の移動に関する各
国制度の調和化は非常に遅れていた。1994年
サービス貿易に関する一般協定に基づく人の
移動の自由化約束で、東アジア諸国は、程度
の違いはあれ、企業幹部、管理職、高度な専
門職の企業内転勤などの自由化を約束し、域
内制度の調和化の第一歩となった。
• 欧州や北米ではILO条約などに準拠した二国
間協定が多くみられるが、アジアでは、一方
的措置による場合が多く、二国間協定は意外
にも少ない。
• 移動の大半を占める不熟練労働者に関する域
内に共通した取組みには着手されていない。
• 高度人材に関する実証研究によれば、東アジ
ア域内の高度人材の移動の大半は、直接投資
と関連した「企業内転勤者」で占められ、こ
れ以外の専門職労働者、高度専門資格労働者、
研究者など移動は少ない。北米自由貿易協定
(NAFTA)では、専門職労働者ほかの移動
が頻繁なのと大きく異なる。
• 特に、研究者の域内移動は少なく、アジアが、
魅力のある教育機関及び研究開発拠点の立地
の面で立ち遅れ、人材が欧米に流出する傾向
を示している。
• そこで、東アジアにおけるFTAと、人の移
動の目指す姿を考える。
3 現行の二国間FTA交渉の問題点
(1)二国間FTA交渉の陥穽
• 日本政府が、FTA交渉への積極姿勢に転換した
ことは十分に評価できる。しかし、東アジアに適っ
た地域統合を実現する構想力とイニシアチブに
欠けている。そのことが多くの問題を生み出して
いる。
• むしろ、東アジアの競争力及びその強化のため
新たな枠組みを構想し、国際法との適合性の確
保は別途検討する位の発想が必要である。
• 東アジアの経済統合は、FTAの枠組みを超え
(「beyond FTA」)ざるをえない。
• 交渉において露呈した主たる問題点: (1)リクエスト・オファー方式の交渉では、利
害関係者が衝突し、問題解決には限界 (2)現行の各国の基本政策の枠を超えた
合意は困難 (3)異分野や経済協力を含む「
利益の均衡」
を図る発想が働きにくい (4)二国間FTAの「貿易転換効果」への配
慮が少なく、多角的貿易交渉との役割分
担が不明 (5)経済効果(特にサービス貿易や需要創
出効果)
の推定が不十分で説得力に欠く (2)東アジア地域統合の原点
• 1997年のアジア通貨危機の教訓を生かすことは、
アジア地域統合の原点である。 (1)通貨危機は、長年、人口過剰に苦しんできた
域内経済格差是正の努力を無にするもので、決
して再発させてはならない。 (2)欧米市場に過度に依存し、貿易摩擦を多発さ
せることなく、域内市場を拡大させなければなら
ない、 (3)域内格差を是正するには、域内の人材とネッ
トワークを生かし、イノベーション能力を高め競争
力を強化すべきである。
表4 1990 年代における東アジア域内の一人当たりGDP格差の変化
現地通貨による一 現地通貨の米ドル 米ドル換算の一人 米ドル建ての一人
人当たりGDP
に対する変化
当たりGDP
当たりGDP格差
(日本=100)
1991
2000
1991
2000
1991
2000
1991
2000
日本 (円)
韓国(1000 ウォン)
中国 (元)
香港 (香港ドル)
台湾 (台湾ドル)
シンガポール(Sドル)
マレーシア(リンギット)
タイ(バーツ)
インドネシア(ルピア)
フィリピン(ペソ)
ベトナム(ドン)
3582
3992
144.88
107.79
24724
37034
100
100
5001
11104
707.76
1130.96
7066
9818
29
27
1829
7084
5.3234
8.2785
344
856
1
2
103010
193299
7.791
13256
24811
54
67
235
437
27.108
31.395
8669
7184
35
20
23794
39251
1.7276
1.7240
13773
26954
56
73
7285
14563
2.7501
3.8000
2649
3833
11
10
39104
75026
25.517
40.112
1532
1870
6
5
1175534
6132505
1950.3
8421.8
603
728
2
2
19595
43687
27.479
44.192
713
3
3
1140760
5688749
10,037
15,280
114
0.5
1
7.771
989
373
資料出所: : Asia Development Bank, IMF and Bank of Japan に基づき、筆者が計算。
(3)
多国間EPA交渉への人の移動に
関するイニシアチブ(試案) • 東アジアの「国際的な人の移動」
に関し日
本の取るべきイニシアチブとして、次の目
的、手段及び条件を提起する。
• (1)域内の人材とネットワークを生かして域
内の技術移転を促進し、域内のイノベーショ
ン・
システムの強化し、東アジア経済圏の
競争力を強化することを目的とする。 • (2)域内の人材開発の強化、域内の人材移動や
還流の円滑化、域外流出した人材の還流促進を
重要な手段と位置付ける。
• (3)域内を移動する労働者の権利の保障及び無
秩序な移動の抑制を条件とすべきである。 • こうした人の移動の問題の解決に当たって、長
期的な域内格差の是正が非常に重要であること
に留意する(井口2004a)。 4 外国人労働者政策転換の必要性と
外国人雇用法の可能性
(1)これまでの政策
• 2003年にわが国で働く外国人労働者(永住者
を除く)は、推定で80万人、労働力人口の1.3%
にも達し(永住権を有する者を除く)、増加
を続けている。
• 経済不況が長期化するなかで、「いわゆる単
純労働」分野で就労する日系人労働者の定住
化傾向がみられ、その家族・子弟をめぐる情
勢も急速に悪化してきた。
• 日本政府は、1989年以降、「専門的・技術的
労 働 者は可能な限り受け入れる( 現在は、
「積極的に受け入れる」となっている)が
「いわゆる単純労働者」の受入れについては、
慎重に検討する。」という基本方針を堅持し
てきた。
• 「いわゆる単純労働者」とは、受け入れるこ
とによって、わが国の社会・経済に悪影響を
与える恐れのある全ての労働者を指している
というのが従来の政府の解釈である。
• 1990年代前半には、バブル経済に伴う労働需
要の急増を背景に、「いわゆる単純労働者」
を受入れるべきかどうかを問う、大きな論争
が生じた。これを「第一の論争」と呼ぶ。
• 経済不況と少子化の進展による先行き不安が
重なって、1998年以降は、「第二の論争」が
始まった。これは、将来の人口減少に対応し、
移民を受入れべきか否かを問うものである。
• 「第1の論争」の間、政府は、外国人研修制度の拡
充や規制緩和を進め、南米を中心とする日系人労働
者の雇用対策を進めたが、基本方針を変更する考え
はなかった。
• 「第2の論争」の現在も、2006年から人口が減少に
転じると予想され、少子化対策や年金改革が政治課
題になったが、政府関係者は、現行経済計画の期間
である2010年まで基本政策の変更を考えていないと
受け止められている。
• 2002年11月の日本・シンガポール間の協定発効に次
ぎ、 2004年 1月から日本とタイ、マレーシア、フィリ
ピン又 は日本と韓国の間で、自由貿易協定(又は
「経済連携協定」)の締結交渉が正式に開始された。
• また2002年、政府は「少子化対策プラスワン」
を発表し、2003年「次世代健全育成法」が成
立したが、日本の合計特殊出生率は2002年に
1.32と最低水準をを記録するなど、人口の少
子化が加速している。 • このように、国内・国外の情勢の変化に対応
し、2010年を待つことなく、外国人労働者政
策の新たな方向付けを行なう必要性はますま
す高まってきていると考えられる。
(2)滞在の長期化する外国人労働者
−実態に合わなくなる国内法制−
• 2003年時点で、専門的・技術的労働者は、前
年より増加して 万 000人台に達した。ただし、
フィリピンなどから入国したエンターテイナー
が5万8000人含まれている。
• 対日直接投資が急増した1999年前後から、日
本に赴任する外国人の経営幹部や管理職の数
が増加した。
• 在留期間に関する規制も緩和されるなか、専
門的・技術的労働者にも在留期間の長期化傾
向がみられる。
表5
日本の外国人労働者の推移(推計)
1990
1995
就労目的の在留資格
を有する者
技能実習生など(注1)
留学・就学生の資格外
活動(注2)
日系人労働者注 3)
不法就労者 不 法 残 留
者
資格外活
動者(注4)
合計
注5)
67,983
125,726
1999
2000
2001
2002
2003
168,783
179,639
168,783
185,556
29,749
59,435
37,831
65,535
46,455
83,340
55,048#
98,006
233,187
224,047
239,744
220,552
233,897
224,047
237808#
220,552
-
-
-
670,000
+α
710.000
+α
740,000
+α
154,748
3,260
10,935
6,558
32,366
19,634
38,003
71,803
106,497
193,748
251,697
220,844
232,121
-
-
260,000
+α
600,000
+α
760,000
+α
800,000
+α
出所:法務省入国管理局資料に基づき厚生労働省推計
注 1)ワーキングホリデーや外交官などの家庭のメイド を含む。2)留学生又は就学生で、地方入国管理局から
資格外活動の許可を得て就労する者。3)日系人労働者は、
「日本人の配偶者等」又は「定住者」といった在留資格
を有し、日本国内での活動に制限がなく、就労していると推定される者をいう。4)資格外活動で不法就労する者の
総数は、推定が困難である。5)数値には、永住権を有する外国人を含まない。
#は推定値であり、今後、厚生労働省の推計が出る場合には、改定される場合がある。
• 日本国内の大学を卒業後、「技術」や「人文知識・
国際業務」などの在留資格を取得して就労する中国
などアジア諸国出身の留学生は2003年は3778件に達
した。
• ブラジルなどからの日系人の流入は経済停滞の影響
で一時減少したものの、不熟練職種で就労する日系
人労働者は23万人程度の高水準で推移している。ま
た、永住権を取得するブラジル人も年間1万人を超え
ている。
• このように、短期間の出稼ぎを目的に入国してきた
はずのブラジルなど南米系日系人の滞在期間が長期
化している。
表6 永住権を有する外国人登録者(特別永住者を除く)
1999
2000
2001
中国
37,960
48,809
58,778
ブラジル
4,592
9,062
20,277
韓国・朝鮮
28,766
31,955
34,624
フィリピン
14,884
20,933
26,967
ぺルー
4,756
7,496
11,059
アメリカ
5,063
5,826
6,636
5,306
ベトナム
3,903
4,637
タイ
1,313
2,015
2,833
イギリス
1,342
1,618
1,839
インド
907
1,079
1,205
その他
9,552
11,906
14,547
計
113,038
145,336
184,071
資料出所:法務省入国管理局
2002
70,599
31,203
37,121
32,796
13,975
7,348
5,799
3,913
2,074
1,387
17,660
223,875
2003
83,321
41,771
39,807
39,737
17,213
8,149
6,273
5,441
2,329
1,525
21,449
267,011
• 特に、日系人労働者の多数が、請負事業者又は派遣
事業者に数ヶ月の契約期間で雇用され、賃金水準も
低下ぎみとされる。これら職務では、経験年数はほ
とんど処遇に反映されない。
• 数年間、出稼ぎして帰国することを希望してきた日
系人の大多数は、年金保険や健康保険など社会保険
にも加入しないまま高齢化しつつある。
• 出稼ぎに忙しい両親が自宅に戻らない昼の間、子供
たちは必ずしも学校に通っておらず、不就学率は地
域によって 40%にも達している。
• 子供たちは、ブラジルに帰国するのか、日本
に定住するのか定まらない状態で、進学や受
験に必要な日本語能力を身に付けられす、将
来への不安がつのっている。
• 外国人が多数居住する市町村は、地域に住む
外国人住民の実態を十分に把握できていない。
こうしたなか、中部地方の諸都市を中心に、
南米系の若年者の犯罪が急増し、関係者の危
機感は高まってきた。
• 静岡県浜松市、愛知県豊田市など15自治体か
らなる「外国人集住都市会議」は、外国人の
就業や社会保障の問題に加え、南米系青年の
教育と就職対策に焦点を当てて取組むことと
した。
• 2001年10月の浜松宣言、2002年11月の東京宣
言の後、2003年11月に豊田市でシンポジウム
を開催し、本年は首長会議を行い、日本経団
連とも連携しつつ、外国人問題の打開を目ざ
している。
豊
田
宣
言
(案 )
− 外 国 人 住 民 と と も に つ く る 活 力あ る 地 域 社 会 を め ざ し て −
南米日系人を中心 に多数の外国人住民の居住する自 治 体で組織する
私 た ち 外 国 人 集 住 都 市 会 議 は 、「 浜 松 宣 言 及 び 提 言 」( 2 0 0 1 年 ) 及 び「 1 4
都 市 共 同 ア ピ ー ル 」 ( 2 0 0 2 年 )に お い て 、 外 国 人 住 民 の 定 住 化 に よ っ て
外 国 人 受 入 れ 制 度 が 実 態 か ら か い離 し て い る 現 状 を 訴 え 、 国 ・都 道 府 県
及 び 関 係 各 方 面 に 対 し 、 制 度 改 革 を 提言 し た 。
ま た 参 加 各 都 市 は「 共 同 ア ピ ー ル 」以 降 2 年 間 に わ た り 、地 域 住 民 、
経 営 者 団 体 、 教 育 機 関 、 N P O や ボ ラ ン テ ィ アな ど の 協 力 を 得 て 、 地
域 に お い て 自 主 的 な 取 組 み を 展 開し て き た 。
し か し、 国 は 、 依 然 と し て制 度 改 革に 関 し て 消 極 的な 姿 勢 を 崩 し て
いない。このため 、私たち外国人集住都市会議は、国に 対し、緊急に
必要な政策を提言 (別紙「部会報告」のとおり)するとともに、日本
人住民と外国人住民 が、互いの文化や価値観に対する理 解と尊重を深
めるなかで、健全 な都市生活に欠かせない権利の尊重と 義務の遂行を
基本とした真の共生社会(多文化共生社会)の形成に向 け、以下の基
本 的 方 向に 沿 っ て 、 取 り 組 ん で い く こ と を 宣 言 する 。
第1に、外国人集住都市会議は、外国人 住民とともにつくる活力あ
る 地 域 社 会 を め ざ し 、 各 都 市 の 自 主 的 取 組 み と 都 市 間 協 力を 土 台 と
して、積極的に 各地域の問題解決 を図る。特に、定住化 を前提とし
た 教 育 ・ 就 労 環 境の 整 備 、 外 国 人 の 自 助 組 織の 結 成 支 援 、 外 国 人 青
少 年 の育 成 な ど の 施 策 を 推進 す る 。
第2に、外国人集住都市会議は、日本経済団体連合会が取りまとめ
た 「 外 国 人 受 け 入 れ 問 題 に 関 す る 提 言 」 ( 2 0 0 4 年 4 月 )の 新 た な 外 国
人就労管理制度 の導入、子弟教育 の充実及び外国人政策 を総合的に
調 整 ・ 立 案 す る 政 府 機 関 の 設 置 に つ い て 支 持 す る と と も に、 経 済 界
と の 連携 を 強 化 し 、外 国 人 住 民 に 係わ る 課 題 の 早 期 打 開 を め ざ す 。
第3に、外国人集住都市会議は、今後の国の動向や各都道府県によ
る連携・協働の 動きに期待するとともに、本格化するであろう外国
人政策転換の議論 に積極的に参加 し、問題解決のために 貢献するこ
と を 誓う 。
平成 1 6年 10 月 2 9日
外国人集住都市会議
外国人雇用法の構想(井口2003年9月公表)
• その一部は、日本経団連報告(本年4月)にも反
映されている。 -使用者の在留資格確認義務 -外国人雇用状況報告の義務化と簡素化 -外国人雇用データベース(国・市町村共有) -合法在留外国人の段階的な定住促進 -短期在留外国人の保険加入義務 -公的年金の最低被保険者期間の短縮 -外国人登録に住民登録機能を付加 -外国人雇用オンブズマンの設置など • 不法就労者(不法残留者)数をみると、経済
低迷の影響を受けて減少傾向を続けてきたが、
近年は22万人前後で推移している。なお、不
法入国して潜伏している者が3万人程度いる
とみられる。
• 同時に、退去強制処分の過程で、法務大臣が
付与した「特別在留許可」によって合法的地
位を与えられた外国人は2003年は1万人に達
した。
• 不法残留者の中には、その滞在が長期化し、
例えば、日本人と結婚したり、子供が日本で
生まれたり、日本で教育を受けたり、日本社
会との関係が密接化した人々が少なくない。
表6 法務大臣の特別在留許可の推移
1999
2000
2001
年
4,318
6,930
5,306
計
1,337
1,110
韓国・朝鮮人 653
511
789
566
中国人
4,804
3,640
その他の国籍 3,154
資料出所:法務省
2002
6,995
1,198
802
4,955
2003
10,327
1,671
1,464
7,192
• 他方で、不法入国又は不法滞在したり、組織
犯罪などに関与した外国人の検挙件数も、年
間3万件以上の高水準となっている。
• 東京都は、不法残留者を5年間で半減させる
目標をたて、警察や出入国管理行政と連携し
て対策を実行に移しはじめた。
• 不法残留外国人は、自らも犯罪の被害者にな
り易い状況におかれている。
• 外国人犯罪が増加する結果、外国人労働者に
対する差別的見方を生み出しかねない。
表7 近年における外国人犯罪の推移
1998
1999
犯罪をおかした外国人 13,418
13,436
計 (A)
不法滞在者 (B)
8,224
7,837
(B)/(A)
61.3
58.3
刑法犯である外国人
5,382
5,963
(C)
不法滞在者(D)
1,302
1,529
(D)/(C)
22.3
25.6
外国人の犯罪件数
21,689
25,135
計(E)
1,878
2,160
外国人青年の犯罪件数
(F)
(F)/(E)
8.6
8.6
資料出所:警察庁
2000
12,711
2001
14,660
2002
16,212
7,435
50.7
7,168
8,417
51.9
7,690
1,603
25.3
22,947
1,379
18.5
18,199
1,403
18.2
24,258
1,350
1,813
1,934
5.9
10.0
6,828
53.7
6,329
8.0
• 最近の注目すべき動きに中国などからの留学
生増加がある。留学生の大多数は私費留学生
で、学資を補うためにアルバイトなどで就労
している。2003年の留学生は12万5000人台、
就労する留学生等は9万8000人台に達した。
• 経済不況にかかわらず、持続的な増加がみら
れるのは、5万5000人台に達した在留資格
「特定活動」の多くを占める「技能実習生」
である。
• 技能実習制度は、外国人研修生が、技能評価
により技能水準が一定以上に達したと認めた
場合、雇用関係に移行し、在留資格を「特定
活動」に変更し、合計で3年まで就労できる。
• 水産加工、繊維、金属加工など、低賃金分野
など広範な業種で技能実習生の受入れが拡大
している。輸入製品の増加や若年人口の減少
(後継者不足)も、この傾向に拍車をかけて
いる。最近、農業、漁業分野などでも受入れ
が拡大している。
• 「技能実習制度」の本来の目的である技術・
技能の移転が必ずしも効果を発揮せず、技能
実習生の賃金の一部をピンハネした企業や事
業協同組合が摘発されたり、ベトナムや中国
出身の技能実習生が逃亡している。
• 本制度を改革し、失踪のインセンテイブを減
らすとともに、基準を満たす実習生の再来日
や合法就労について検討する必要がある。
5 少子化問題と外国人労働者政策
• 1990年代以降、主として「晩婚化」の結果、
低下していると考えられてきたわが国の合計
特殊出生率であるが、最近では、夫婦一人当
りの子供数にも減少の兆候がみられるなど、
少子化に歯止めがかからない。
• 2002年1月の国立社会保障人口問題研究所の
推計による将来推計人口は、出生率の回復に
ついて悲観的な仮定をおく一方、長寿化傾向
が加速する前提で予測を行っている。
• 新推計では総人口では旧推計とほぼ同水準で
維持されるが、壮年層の人口の減少が急速な
ため、労働力人口の減少幅は拡大する。
• 厚生年金支給開始年齢を70歳に引上げるなど
の厳しい改革を実施した場合、2025年以前は、
年間20∼30万人程度の減少に食い止められる
が、2025年以降、年間に40万人前後も減少
する可能性がある。
• 2 0 2 5 年 ま で の 労 働 力 人 口の 減 少 幅 な ら 、
GDPを単純に減少させることはないとしても、
若年労働者が5年間で10%以上減り、個々の
業種で技術・技能の伝達や労働者の養成・確
保は困難になるであろう(別途資料参照)。
表 8 新旧人口推計(中位推計)を基にした労働力人口と減少幅の試算(単位:万人)
1997 年
2002 年
年
労働力
労働力
労働力
旧人口
人口
人 口 推 年当たり
年 当 り 人口
年 当 り 新人口
推計
推計 A 減少幅
推計 B 減少幅 推計
計C
減少幅
2000 126892
6616
6616
126926
6616
−
―
−
2010 127623
6470
14.6
6188
127473
6465
24.9
42.8
2020 124133
5992
47.8
5668
124107
6078
38.7
48.0
2030 117149
5593
39.9
5229
117580
5653
42.4
46.1
2040 108964
5070
52.3
4680
109338
5106
54.8
45.1
2050 100496
4585
48.6
4250
43.0
100593
4552
55.4
資料出所:労働力人口推計 A 及び B は経済企画庁経済研究所『経済分析』第 151 号。
ここで、労働力人口推計 A は効率化ケース、労働力人口推計 B は標準ケース。
労働力人口推計 C は、労働力人口推計 A に用いた性・年齢別労働力率を、
2002 年推計の性・年齢別人口に乗じて筆者が試算。
注:「効率化ケース」では、2001 年から 2028 年にかけて、厚生年金支給開始年齢を 60 歳から 70 歳に引上げること、十分
に高い保育所在所率を実現すること、2020 年の女性の高等教育進学率が男性の 80%となり、以後横ばいとなることなどを
仮定している。
「標準ケース」では、2001 年から 2013 年にかけて、厚生年金支給開始年齢を 60 歳から 65 歳に引上げること、60 歳
以上の高齢者に前職賃金の 60%水準の部分年金を支払うこと、2020 年の女性の高等教育進学率が男性の 80%となり、以後
横ばいとなることなどを仮定している.
• OECD(1991) は、先進諸国について人口構成
の歪みを移民受入れで是正することを試算し、
国連人口部(2001)も、人口減少を補い高齢
化 を 是 正 す る 「 置 換 移 民 ( Replacement
migration)」の試算を公表してきた。
• 三和総合研究所(当時)の試算でも、生産年齢
人口を維持するために定住移民受入れを行な
う場合、純移民受入数は最も少ないが、高出
生率のケースでも、年間50万人から100万人
前後の移民を受入れる必要がある。
• 結局、大量の移民受入れによって、長期的に
人口構成の歪みを是正することは極めて困難
である。
表 9 人口構成を維持するため必要な年当り純移民受入れ数(単位:万人)
期間
生産年齢人口維持型
高齢者比率維持型
定数受入型
高出生率
低出生率
高出生率
低出生率
高出生率
低出生率
2000-2004 45
45
230
230
126
156
2005-2009 73
73
340
340
126
156
2010-2014 100
100
410
430
126
156
2015-2019
56
56
180
200
126
156
2020-2024
31
32
50
70
126
156
2025-2029
46
48
120
150
126
156
2030-2034
72
77
300
330
126
156
2035-2039
108
114
580
600
126
156
2040-2044
93
100
710
770
126
156
2045-2050
88
95
950
1,020
126
156
資料出所:井口(1999)第 5 表(三和総合研究所による試算)
• 人口減少や人口構成の歪みを移民受入れのみ
で是正する政策は、政治的、社会的に実現性
がないばかりか、新たな産業の雇用のニーズ
にも適合しない(OECD 1991)。
• アメリカでの移民論争で指摘されている通り、
大量移民受け入れは、決して繁栄をもたらす
とはいえない(Borjas 1994)。
• 雇用システムの改革を中心に少子化対策を進
め、20~25年以降の人口減少の緩和を図り、
同時に、語学、知識・技術、技能などに優れ
た外国人労働者の段階的な定住を促進するこ
とが必要である(井口・西村・藤野・志甫ほ
か2002)。
議論のまとめ
• 先進諸国の「ベスト・プラクテイス」
を生かし、 (1)外国人労働者政策を転換し、労働者の
定住化に対応した受入れ制度・体制を整備す
る、
(2)地域の経済統合において、高度な人材及
び不熟練労働者の移動に関連し日本が積極的
なイニシアチブを発揮する、 (3)外国人の人材を開発し、その一部を還流
させて受入れを促進する戦略を構築すること
が重要である。
• このためには「単純労働者」の範囲を限定し、
技能・技術とあわせ言語能力も判断基準とし
て、外国人人材の受入れを行う必要がある。
表9 外国人労働者政策の「ベスト・プラクテイス」試案
対 策
実 施 国
現 在 の日 本
の
対応
1)柔軟な資格変更による
アメリカ、ドイツ(新移 卒 業 した 留 学
人材確保 ◎
民法案)
生の資格変更
2)高度人材に定住・永住 アメリカ、イギリス、シ なし
インセンテイブ◎
ンガポールなど、
3)高度人材への滞在・
アメリカ、イギリス、ド 差別化なし
労働許可の迅速な発給○ イツなど
4)入管、雇用、市町村行 ドイツ(外国人データベ 不十分
政の連携 ◎
ース有)
5)実務研修を伴う研修生 アメリカ、ドイツ、フラ 研 修 生は 労 働
に就労資格を付与 ○
ンスなど
者ではない
6)雇用許可(又は労働許 ドイツ、フランスなど
なし
可)制度導入 ×
7)市町村の外国人住民に ドイツ
外国人登録業
対する権限強化 ◎
務のみ
8)外国人労働者保護のた ドイツ
特になし
めの専任官 ○
9)移民労働者のポイント カナダ、オーストラリ 特になし
システム導入 △
ア、イギリス
シンガポール、マレーシ なし
10)外国人雇用税 △
ア
11) 企業内転勤の手続円滑 各国
期間、更新に関
化 ◎
し規制緩和
12) 不熟練・低熟練労働者 ドイツ、フランス、アメ 技能実習 に 関
に関する二国間協定 ○
リカなど
し RD 締結
日本語能力で
13)言語能力を考慮した滞 ドイツ、フランスなど
在資格の付与 ◎
なく職業能力
14) 不法就労者のアムネス アメリカ、フランス、イ 退去強制 の 手
テイ ×
タリア、スペイン
続 の 中で 法 務
大 臣 の特 別 在
留許可
今後の対応
技能実習経験者の
就労可能性を検討
基本政策の転換が
必要
高度人材の手続の
差別化を検討
外国人雇用状況の
データベース共有
実務研修を就労と
見なす方向で検討
企業の在留資格確
認義務の導入
外国人登録に住民
登録の機能を付加
外国人労働者オン
ブズマンを検討
趣旨は良いが簡素
な手続が必要
内外人平等に反し
やや差別的
さらに改善を検討
法的根拠の明確化
を検討
日本語教育を促進
在留資格の要件に
個別の合法化措置
にとどめるべき
資料出所:筆者作成。
◎はベストプラクテイスの候補、○もそれに次ぐ候補、△は問題点の多い候補、×は不適
当な候補。
5 結論
• 東アジアにおけるFTAと人の移動の関
係を検討するにあたっては、FTAを超
えた東アジアの将来に展望を持つ必要が
ある。
• 即ち日本は東アジア地域の競争力の向
上と域内格差の是正を展望し、この地
域で「人材を開発しつつ、その一部を
日本が受入れる」政策を構想する必要
がある。人材を国外から自由に調達で
きるという考えは幻想にすぎない。
• 日本が人口及び労働力人口減少に直面
することは避けがたいが、これを、移
民や外国人労働者で量的に補うための
政策は適当でない。
• 日本は東アジアの経済統合の中で、拡
大する域内需要に応え、域内の人材を
開発・還流させ、国内では少子化対策
を強化し、活路を見出すことができる。
• 具体的に東アジアの経済連携協定を有
効に機能させるために、外国人雇用法
の制定や外国人研修・技能実習制度の
改革など国内制度の改革が不可欠であ
る。
• これら戦略が「経済統合」とともに効
果を発揮すれば、21世紀半ばに至る時
期において、日本の東アジアにおける
経済力は維持できる可能性がある。
• アジア地域において、中国とも協力し
つつ、政治的及び経済的なイニシアチ
ブを発揮し、世界において重要な役割
を担うことができよう。
• このようにして私たちの孫たちの世代
を経済的没落から救い、希望をもって
生きることを可能にできよう。
( 参照文献 )
-Asian Development Bank(2003) , Asian Development Outlook, Manila
- 外国人集住都市会議(2001)「浜松宣言及び提言」、同 (2002)「東京宣言」、
「豊田宣言」(2004)
Borjas G. (1994) “The Economics of Immigration” Journal of Economic
Literature, VolXXXII December 1994, pp1667-1717
-Findlay A.M. (2001) “From Brain Exchange to Brain Gain”, Report
prepared for International Migration Branch, ILO Geneva
-井口 泰(1999)
「長期的な労働力人口予測と移民・外国人労働者政策の
展望」関西学院大学経済学研究会『経済学論究』第 53 巻第3号 pp475∼508
-井口 泰(2001a)「国際的な人の移動の動向と展望―地域統合、少子・高
齢化と日本の選択―」国立社会保障・人口問題研究所『海外社会保障研究』
No.134, pp51∼65
-井口 泰(2001b )『外国人労働者新時代』筑摩新書
-井口 泰(2002c)「加速する少子化と外国人労働者政策」『年金と経済』2002
年秋号 Vol21, No.2 pp54~59
-Iguchi Y.,(2003) "The Movement of the Highly Skilled in Asia- Present
Situation and Future Prospects", in: OECD, International Migration
and the Labor Market in Asia , Paris
-Iguchi Y.(2004a) Is there “East Asian Way” of regional economic
integration? -From the standpoint of international migration-, Key note paper for the tenth Workshop on International Migration and
Labor Market in Asia, by the JILPT on 5 and 6 February, 2004
-
井口 泰・西村 智(2002)
「国際比較からみた雇用システムと少子化問題」
『少子社会の子育て支援』東京大学出版会、pp137~160
井口 泰・西村 智・藤野敦子・志甫 啓(2002)
「雇用面からみた世代間
利害調整」一橋大学経済研究所『経済研究』 Vol53、No.3,July2002
井
口 泰 (2003)
「
外 国 人 雇 用 法
の 構
想 」
http://www.homepage3.nifty.com/iguchi-kwansei/に公開
−井口 泰「外国人労働者受入れ−段階的定住策へ転換を」
日本経済新聞・
経済教室、 2004 年 9 月 7 日
―井口 泰「東アジアとの経済統合なくして解決しない日本の少子・高齢化
問題」
『週刊エコノミスト』「学者が斬る・187」2004 年 11 月2日号
-
資料1 ドイツ・移民委員会の提案した移民・外国人労働者受入れシステム
投資・経営者
有資格の
定住希望者
学 生
大学による
選抜
(上限なし)
18-Plus
計画
地域の訓練
協議会・施設
(上限は年
間 1 万人)
ボトルネック
分野労働者
需要調査・
ボトルネック
予測
(上限は年
間 2 万人)
期 限 付 滞 在
実 施 可 能な
事 業 計 画
経営幹部
科学者
高い報酬・
科学分野の
功績
(上限なし)
期限付滞在
ポイント制度 に
よる良 好な社 会
雇用関係
的 統 合 の 予 測
長 期 滞 在
注 )受入れ上限数は、例示として掲げられたものである。
資料)Unabhängige Kommission (2001) の Abbll.12 及び 13 を踏まえて筆者作成。
資料2 イギリスの高度人材受入れのための点数制度(HSMP)得点計算方法
学歴
職歴
過去の収入(年収)
就労希望分野での業績
一般開業医特別枠
博士号保持者=30点、修士号保持者=25点、学士号保持者=15点
学卒レベルの職に5年(博士号保持者は3年)以上就労=15点、
上級レベルないしは専門職に2年以上=10点加算
4万ポンド以上=25点、10万ポンド以上=35点、25万ポンド以上
=50点
「例外的な」業績がある場合=50点、「重要な」業績がある場
合=25点
国家保健サービスの一般開業医として就労を希望する海外の医
師を招致するための特別枠。
(備考)過去の収入については各国をA∼Dグループに分類しており、表はAグループ(EU
諸国、米、日本等)の例。
(資料)日本労働研究機構「海外労働時報・イギリス2002年3月号」より作成。
(出典)経済産業省『2003年版通商白書』
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