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平成28年版 労働経済の分析

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平成28年版 労働経済の分析
平成 28 年版
労働経済の分析
―誰もが活躍できる社会の実現と労働生産性の向上に向けた課題―
〔 要 約 〕
平成 28 年 9 月
厚 生 労 働 省
平 成 28 年 版
労働経済の分析
-誰もが活躍できる社会の実現と労働生産性の向上に向けた課題-
〔
骨
子
〕
平成28年版 労働経済の分析 〔骨子〕
少子高齢化による供給制約の克服に向け、労働生産性の向上や希望する方が就労などによ
り活躍できる環境整備が必要であるとの認識のもと、「誰もが活躍できる社会の実現と労働生産
性の向上に向けた課題」と題し、労働生産性の向上に向けた課題、誰もが活躍できる働き方に
向けた方策について分析を行った。
第1章:労働経済の推移と特徴
 2015年度平均で完全失業率は3.3%と19年ぶりの低水準、有効求人倍率は1.23倍と24年ぶりの
高水準となったほか、正社員の有効求人倍率が2016年3月に0.82倍と過去最高の水準となるなど、
雇用情勢は着実に改善した。また、非正規雇用から正規雇用への転換は2013年以降3年連続で
増加しており、不本意非正規についても、前年同期比で9四半期連続で減少している。
(倍)
1.40
図1 完全失業率、有効求人倍率は着実に改善
(%)
5.5
(万人)
20
完全失業率(右目盛)
1.20
5.0
1.00
4.5
0.80
有効求人倍率
4.0
0.60
図2 最近3年間では非正規雇用から
正規雇用への転換が増加
(15~54歳)
図3 不本意非正規の割合は減少傾向
(%)
21
15
20
19.9
9四半期連続で減少
10
19
5
18
0
3.5
0.40
17
16.6
-5
3.0
正社員の有効求人倍率
0.20
16
-10
0
20
2007
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年・月)
2.5
2005 06
07
08
09
10
11
12
13
14
(年)
15
※「非正規雇用から正規雇用へ転換した者の数」から
「正規雇用から非正規雇用へ転換した者の数」を差
し引いた数
(年・期)
15
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
2013
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
14
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
15
Ⅳ
Ⅰ
16
i
第2章:労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
◆ 我が国における付加価値の状況をみると、①1990年代後半以降IT投資を始めとする資本
投入の寄与が減少していること、②1970年代、80年代と比較してTFPの寄与が減少している
ことが主な要因で付加価値が1990年代後半以降上昇していない。【図4】
◆ 我が国にとっては、少子高齢化による供給制約を克服していくことが大きな課題であ
り、そのためには資本投入の増加に加え、一人ひとりが生み出す付加価値を向上させるこ
と、すなわち労働生産性の向上が必要不可欠である。
◆ 我が国のTFPの寄与について確認すると、国際比較ではTFP上昇率は無形資産投資の上昇
率と相関があるが、我が国は無形資産投資の上昇率が弱いため、TFP上昇率が弱い。
【図5】
◆
特に、我が国は、主要国と比較し、無形資産投資のうち
①ソフトウェア等のIT関連である情報化資産への投資が弱いこと【図6】
②OFF-JTを始めとする人的資本への投資が弱いこと【図7】
が、無形資産投資の上昇率が弱い主な要因と考えられ、情報化資産、人的資本への投資を
増加させることが我が国の課題である。
◆ なお、労働生産性の上昇が労働者に与える影響についてみると、労働生産性の上昇は賃
金の上昇に結びつくなど労働者にとってプラスとなる効果も大きく、また雇用面でみても
就業者の減少や失業者数の増加につながっていない。【図8・図9】
ii
(%)
6
図4 我が国の実質GDP成長率の減少には、
資本投入、労働投入、TFPが減少して
いることが寄与
TFPの寄与
(%)
16
労働投入増加の寄与
4
資本投入増加の寄与
12
3
実質GDP成長率
10
1995-2000
2001-2005
2006-2010
独
仏
1.0
日
米
0
0.0
6
1
3.0
2.0
8
2
図8 労働生産性の上昇は賃金の上昇に結
び付く(OECD諸国・2008-14年平均)
実質雇用者報酬変化率(%)
14
5
図6 情報化資産(※)の上昇率は弱い
(国際比較)
-1.0
4
英
0
2
-1
0
(年)
(%)
10
図5 無形資産が増加している国はTFP
の上昇率が高い(1995年→2010年)
3.0
ドイツ
英国
米国
図7 我が国の人的資本(※)は減少傾向
(国際比較)
1995-2000
2001-2005
2006-2010
0.0
1.0
2.0
0
実質労働生産性変化率(%)
-1.0
3.0
図9 労働生産性の上昇は失業率を減少させる
9 (都道府県別・2002-2012年度平均)
沖
y = -0.83x + 5.95
(-3.6)
(13.7)
R² = 0.23
8
7
0
大
6
5
-5
独 日英
( )
仏
% 0.5
-0.5
日本
-2.0
失業率(%)
T 2.0
F
1.5
P
上
昇 1.0
率
0.00
5
y = 0.44x - 1.17
(2.98)
R² = 0.43
2.5
-2.0
y = 0.49x + 0.35
(2.32)
R² = 0.17
東
4
米
-10
0.0
2.0
4.0
6.0
無形資産装備率の上昇率(%)
8.0
愛
3
2
-15
0
日本
ドイツ
英国
米国
1
2
3
労働生産性の上昇率(%)
4
(注) 図9については、東:東京、大:大阪、愛:愛知、沖:沖縄を示す。
(※)情報化資産は受注・パッケージソフトウェア、自社開発ソフトウェア等、人的資本はOFF-JTへの支出等を指す。
iii
第3章:人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
【高年齢者の働き方と活躍のための環境整備】
◆ 我が国では今後、人口の減少が見込まれるが、高年齢者をみると増加が見込まれる。高
年齢者には、就業している方々も増加しているが、一方で就業に至っていないものの就業
意欲のある方々が多くいる。このため、それらの方々が活躍できるよう、多様な働き方が
可能な環境整備が必要である。【図10・図11】
◆ 働く選択肢としては、雇用に加え、「起業」も考えられる。60歳以上の起業希望者は増
加しており、高年齢者がこれまで培ってきた経験をいかし、年齢にかかわりなく活躍でき
る場として、起業の支援も必要である。【図12】
【限られた人材の活躍に向けた企業・労働者の課題】
◆ 雇用情勢が改善する一方で少子高齢化の進展もみられ、人手不足が生じている。人手不
足の中では限られた人材がその経験によって得た能力を発揮し、誰もが活躍できる社会を
構築することが重要である。
◆ 企業は人材確保のために求人を出すものの、応募がない、応募があるものの採用に至ら
ないという状況に直面している。求職者の資質の向上に向けた支援の強化、賃金水準、処
遇・労働条件を見直し、より良い求人を提示等し、人材の確保に努めることが重要である。
【図13】
iv
図10 60歳未満人口は減少する一方60歳
以上人口は増加(※)
(万人)
4,600
8,648
4,400
(万人)
(万人)
8,800
60歳未満(右目盛)
(-584)
1,800
1,400
4,346
1,200
8,400
4,104
4,000
800
600
8,064
3,800
313
250
284
1,000
8,200
60歳以上
(+242)
就業希望者
(+29)
1,600
8,600
4,200
図11 60歳以上の有業者に加えて就業希望者も相当数存在
し、かつ増加傾向
有業者数
就業希望者
960
400
8,000
1,267
1,104
200
0
3,600
2012
12
15
20
7,800
0
0
02
2002
(年)
(※)2020年の数値は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人
口」(平成24年1月推計)のもの
(万人)
20
図12 60歳以上の者で起業を
希望する者は増加
18
17.3
(%)
43.2
16.1
20
10.7
5.9
10
0
07
12 (年)
応募があり採用もしている
が
が、
、早
早期
期に
に離
離職
職し
して
てし
しま
まう
う
2
応募はあるが、求職者が
求める処遇・
労働条件と
自の
社提
の示
提内
示容
内が
容が
自社
折わ
りな
合い
わない
折り合
4
応募はあるが、応募者の資
質が
が自
自社
社の
の求
求め
める
る水
水準
準に
に
質
満たない満たない
6
募集しても、応募がない
0
8
2002
02
(年)
応募段階での
ミスマッチ
34.8
14.5
14
12
12
図13 求人に対し、応募があっても採用に至らない企業も多い(2016年)
40
16
07
v
平 成 28 年 版
労働経済の分析
-誰もが活躍できる社会の実現と労働生産性の向上に向けた課題-
〔
概
要
〕
第1章 労働経済の推移と特徴
-雇用、失業等の動向-
 2015年度平均で完全失業率は3.3%と19年ぶりの低水準、有効求人倍率は1.23倍と24年ぶりの高水準となったほか、
正社員の有効求人倍率が2016年3月に0.82倍と過去最高の水準となるなど、雇用情勢は着実に改善した。
 非正規雇用から正規雇用への転換は2013年以降3年連続で増加しており、不本意非正規の割合についても、前年
同期比で9四半期連続で減少している。
(万人)
20
完全失業率、有効求人倍率の推移
(倍)
(%)
2.50
5.5
非正規雇用から正規雇用への転換(15~54歳)
(正規雇用から非正規雇用への動きも勘案(※))
15
10
完全失業率(右目盛)
5
5.0
2.00
4.5
1.50
0
-5
-10
2005
有効求人倍率
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15 (年)
4.0
新規求人倍率
21
1.00
3.5
(%)
不本意非正規の割合の推移
20
9四半期連続で減少
19
0.50
3.0
18
17
正社員の有効求人倍率
0
200
2007
7
08
09
10
11
12
13
14
15
資料出所 厚生労働省「職業安定業務統計」、総務省統計局「労働力調査」、
「労働力調査(詳細集計)」より作成
16
2.5
(年・月)
16
15
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
2013
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
14
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
15
Ⅳ
Ⅰ
16
(年・期)
※「非正規雇用から正規雇用へ転換した者の数」から「正規雇用から非正規雇用へ転換した者の
数」を差し引いた数
1
第1章 労働経済の推移と特徴
-賃金の動向-
 2015年度の名目賃金は、一般労働者の所定内給与の増加が寄与したことなどにより2年連続の増加となった。
 また、一般労働者の名目賃金は、3年連続の増加となり、パートタイム労働者の時給は、2015年平均で過去最高水
準の1,069円となっている。
現金給与総額の推移
一般労働者の現金給与総額の推移
(万円)
42.0
パートタイム労働者比率の寄与
パートタイム労働者の現金給与総額の寄与
一般労働者の特別給与の寄与
一般労働者の所定外給与の寄与
一般労働者の所定内給与の寄与
(%)
2.0
1.0
41.5
41.3
41.0
41.0
40.7
40.5
40.0
0
0.0
40.2
40.2
10
11
40.1
40.9
40.3
39.8
39.5
-1.0
39.0
-2.0
就業形態計の現金給与総額
の対前年増減率
-3.0
-4.0
2007
08
09
10
11
12
13
14
15
(年度)
2012年度
▲1.0%
2013年度
▲0.2%
2014年度
0.5%
資料出所 厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成
2015年度
0.2%
(円)
1,080
1,070
1,060
1,050
1,040
1,030
1,020
1,010
1,000
2007
08
09
12
13
14
15 (年度)
パートタイム労働者の時給の推移
2012
13
2012年平均
1,027円
14
2013年平均
1,038円
15
2014年平均
1,054円
16
(年・月)
2015年平均
1,069円
※年度平均は、2012年度1,031円、2013年度1,041円、2014年度1,055円、2015年度1,070円
2
第2章 労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
-我が国における労働生産性の現状①-
 我が国における付加価値の状況をみると、①1990年代後半以降、IT投資を始めとする資本投入の寄与が減少して
いること、②1970年代、1980年代と比較してTFPの寄与が減少していることが主な要因で付加価値が1990年代後半
以降上昇していない。
 我が国にとっては、少子高齢化による供給制約を克服していくことが大きな課題であり、そのためには資本投入の
増加に加え、一人ひとりが生み出す付加価値を向上させること、すなわち労働生産性の向上が重要であるが、我
が国の実質労働生産性の上昇率はOECD諸国の中では平均的な状況にある。
(%)
6.0
実質労働生産性の推移(国際比較)
我が国における付加価値の要因分解
(2005年=100)
110
TFPの寄与
5.0
労働投入増加の寄与
4.0
資本投入増加の寄与
108
フランス
106
3.0
日本
米国
実質GDP成長率
104
2.0
1.0
102
0.0
0
100
-1.0
英国
ドイツ
98
(年)
2005
06
07
08
09
10
11
12
13
(年)
資料出所 (独)経済産業研究所「JIPデータベース2015」(左図)、OECD.Stat(右図)より作成
3
第2章 労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
-我が国の労働生産性の現状②-
 産業別に労働生産性の推移をみると、我が国の製造業の実質労働生産性の上昇率は主要国並みである。一方、飲
食サービス業の上昇率は主要国で最も高いものの水準は最も低い。
 要因分解すると、付加価値要因は製造業、飲食サービス業ともに弱く、製造業ではデフレーター要因、飲食サービス
業は労働投入の減少が主な要因で、実質労働生産性が上昇している。
 我が国の更なる労働生産性の上昇には、付加価値の上昇が必要である。
(%)
製造業の実質労働生産性の推移
製造業の実質労働生産性の要因分解
40%
40
(2000年=100)
170
30%
30
160
実質労働生産性
の変化率
デフレーター
米国
150
英国
20%
20
140
130
10%
10
120
0%0
110
01
02
03
04
05
06
07
08
09
(年)
飲食サービス業の実質労働生産性の推移
(2000年=100)
130
(%)
飲食サービス業の実質労働生産性の要因分解
付加価値
実質労働生産性
の変化率
40
40%
30
30%
120
フランス
日本
20
20%
英国
フランス
2000
労働投入
ドイツ
日本
90
付加価値
英国
-10
-10%
米国
100
ドイツ
日本
フランス
10
10%
0
0%
110
-10%
-10
100
-20%
-20
米国
03
04
05
EU KLEMS データベースより作成
06
07
08
09
(年)
フランス
02
ドイツ
資料出所
01
労働投入
英国
2000
デフレーター
米国
90
日本
-30%
-30
ドイツ
4
第2章 労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
-我が国における労働生産性の現状③-
 我が国のTFPの寄与について確認すると、国際比較ではTFP上昇率は無形資産投資の上昇率と相関があるが、我が
国は無形資産投資の上昇率が弱いため、TFP上昇率が弱い。
 特に、我が国は、主要国と比較し、無形資産投資のうち、①ソフトウェア等のIT関連である情報化資産への投資が弱
いこと、②OFF-JTを始めとする人的資本の上昇率が弱いことが主な要因と考えられる。
無形資産とTFPの関係
3.0
15
2.5
y = 0.44x - 1.17
(2.98)
R² = 0.43
2.0
T
F
P 1.5
上
昇
率 1.0
10
1995-2000
2001-2005
2006-2010
5
0
日本
(%)
( )
独
日
英
英国
米
0
1995-2000
-5
2001-2005
-10
0
1
2
3
4
米国
5
仏
0.5
ドイツ
人的資本の上昇率の国際比較
10
%
0.00
情報化資産の上昇率の国際比較
(%)
20
5
6
2006-2010
7-15
日本
ドイツ
英国
米国
無形資産装備率の上昇率(%)
-0.5
資料出所(独)経済産業研究所「JIPデータベース2013」、INTAN-Invest、Corrado,Haskel,Jona-Lasinio,Iommi(2012)“Intangible Capital and Growth
in Advanced Economies“、宮川・比佐(2013)「産業別無形資産投資と日本の経済成長」、EU KLEMSデータベースにより作成
(注)1)TFP(全要素生産性)は、生産の増加のうち、資本・労働といった生産要素の投入の増大では計測することができない部分(残差)としてとらえられ、
イノベーションや経営効率性などを反映していると理解されている。
2)無形資産は、①ソフトウェア等の「情報化資産」、②R&D等の「革新的資産」、③ブランド資産・組織改編、人的資本投資の「経済的競争
能力」に分類される。
5
第2章 労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
-賃金面・雇用面から見た労働生産性の上昇の果実①-
 労働生産性と賃金の関係を国際的にみると、実質労働生産性が上昇すると実質雇用者報酬が上昇する関係がみら
れる。
 我が国において労働生産性と失業率の関係を都道府県別にみると、労働生産性の上昇と失業率の間に逆相関が認
められ、「労働生産性が上昇すると失業者が増加する」という関係はみられない。
OECD諸国の労働生産性と賃金の関係
(2008-14年平均)
我が国の都道府県別の労働生産性と失業率の関係
(2002-2015年度平均)
9.0
3.0
沖
8.0
2.0
独
失業率(%)
実質雇用者報酬変化率(%)
y = -0.83x + 5.95
(-3.6)
(13.7)
R² = 0.23
仏
1.0
日
米
7.0
大
6.0
5.0
東
0.00
y = 0.50x + 0.35
(2.32)
R² = 0.17
-1.0
4.0
愛
3.0
米
2.0
-2.0
-2.0
-1.0
0.0
0
1.0
2.0
実質労働生産性変化率(%)
3.0
0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
労働生産性の上昇率(%)
資料出所
OECD.Stat(左図)、総務省統計局「就業構造基本調査」(右図)、内閣府「県民経済計算」(右図)、厚生労働省「毎月勤労統計調査(地方
調査)」(右図)により作成
(注) 右図において、東:東京、大:大阪、愛:愛知、沖:沖縄を示す。
6
第2章 労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
-労働生産性の上昇に向けた我が国の課題と施策①-
 能力開発費の増加は労働生産性の上昇に有効であるが、企業が能力開発に取り組む場合、OJTの実施とOFF-JTの
実施の両方を行うことが労働生産性の上昇の観点から重要である。
 これらの取組のほかにも、付加価値の向上など企業方針に合わせて主体的に労働者の能力開発を推進することや
企業が労働者の自己啓発に対し、積極的に支援を行うことも労働生産性の上昇には効果的である。
キャリア形成と労働生産性の関係
OJT・OFF-JTの実施割合と労働生産性の関係
90
プラスの成長率を示す産業
群が多くみられる
120
の事業所実施割合(正社員)(%)
OFF-JT
学術研究,専門・技術
サービス業
卸売業
110
小売業
80
労働者の能力開発に対する企業の積極的な関
与を示す度合い(正社員)(%)
情報通信業
学術研究,専門・技術
サービス業
製造業
100
卸売業
70
製造業
飲食サービス業
60
生活関連サービス業,娯楽業
50
90
生活関連サービス業,
娯楽業
小売業
情報通信業
80
飲食サービス業
70
40
50
60
70
80
90
50
OJTの事業所実施割合(正社員)(%)
資料出所
(注)
厚生労働省「能力開発基本調査」により作成
バブルの大きさは、他業種との相対的な労働生産性の大きさを示したものである。
60
70
80
90
OFF-JTの事業所実施割合(正社員)(%)
7
第2章 労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
-労働生産性の上昇に向けた我が国の課題と施策②-
 疑似カイツ指標について、国際的にみると、相対的な最低賃金の上昇は、労働生産性格差の縮小につながり、その
結果、国全体の労働生産性の上昇につながる可能性がある。
 我が国では最低賃金の上昇は、平均賃金の上昇に効果があるとはいえないものの、下位10%の賃金に該当する者
の賃金の引き上げには影響がある。
我が国の最低賃金と賃金底上げ
疑似カイツ指標と労働生産性格差
(国際比較)
(%)
0.5
最低賃金の影響の試算
(1%の最低賃金上昇による上昇率)
0.5
↑労働生産性格差が縮小
0.4
(サービス業/製造業の比較)
0.4
0.3
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
0
0
-0.1
-0.1
疑似カイツ
下位10%賃金
平均賃金
最低賃金の上昇率
資料出所 OECD.Stat(左図)、厚生労働省中央最低賃金審議会資料「目安制度のあり方に関する全員協議会」(右図)により作成
(注)疑似カイツ指標とは、労働者の所得10分階級において、第1分位の所得を所得の中央値で除した値。
8
第2章 労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
-労働生産性の上昇に向けた我が国の課題と施策③-
 労働移動と労働生産性の関係を国際的にみると、産業間の労働移動が盛んな国(リリエン指標が高い国)ほど、労
働生産性の上昇率が高い傾向にある。
 我が国の労働生産性の変化率を要因分解すると、上昇の要因で最も寄与しているのが純生産性要因であり、次に
デニソン効果(産業間の労働移動による効果)が寄与しており、労働生産性の高い分野に労働移動が生じることも労
働生産性が高まってきた要因の一つであることがわかる。
 また、国際的にみると、学習や訓練に費やす時間が長いほど、産業間労働移動が盛んな傾向もみられ、産業間労働
移動には、自発的な学習や訓練を通じて一人ひとりが、自らの能力を高めていくことも必要となる。
産業間労働移動と労働生産性上昇率
(国際比較)
5.0
(%)
我が国の労働生産性上昇率
の寄与度分解
4.0
デニソン効果
3.5
4.0
0.050
ボーモル効果
純生産性要因
0.040
3.0
2.5
0.035
2.0
米
独
1.0
仏
英
日
0.045
リリエン指標
労働生産性上昇率(%)
労働生産性
上昇率
3.0
2.0
学習・訓練時間と
産業間労働移動の関係
(EU諸国)
1.5
0.030
y = 41.628x - 0.0152
(4.13)
R² = 0.4264
1.0
0.025
0.5
0.0
0
0.00
0
-1.0
0
0.02
0.04
0.06
0.08
リリエン指標
0.10
0.12
-0.5
1981-85
86-90
91-95
96-2000
01-05
06-10
(年)
平均未満 平均~20% 20%以上
学習や訓練に費やした時間
資料出所
OECD.Stat、(独)経済産業研究所「JIPデータベース2015」(左図及び中央図)、EU KLEMSデータベース(中央図)、EURO.Stat(右図)
より作成
(注)1)リリエン指標とは、各産業の雇用変動と全産業の雇用変動の乖離を集計したものであり、その値が大きいほど、産業間の労働移動が活発
であることを意味する。
2)ボーモル効果とは産業構造による変化による効果、デニソン効果とは労働移動による効果を意味する。
9
第3章 人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
-働く方々の活躍が求められる日本の状況-
 労働力人口の減少が見込まれるが、潜在的労働力(※)をみると、就業希望者は413万人、完全失業者は222万人存
在している。
 仕事の内容や勤務時間・賃金などが希望とあわずに就労していない人が一定程度いることから、多様な労働時間設
定による働き方の提供、職場情報の見える化によるマッチング機能の向上を図ることが必要である。
(万人)
潜在的労働力(男女別)
400
301
300
男性
200
女性
134
112
88
100
0
就業希望者
(万人)
140
就業を希望する非労働力人口の非求職理由
121
120
「適当な仕事がありそうに
ない」(121万人)の内訳
80
85
66
51
60
23
40
20
18
21
5
求人と求職が合わない・153万人
60
17
26
32
18
その他
そ
条件にこだわら
条件にこだわらない
ないが仕事が
が仕事がない
ない
総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」(2015年)より作成
現在は就業に至っていないが働き手として考えられる者。非労働力人口のうち就業希望をしている「就業希望者」や
「完全失業者」などが考えられる。
49
16
希望する種類・
希望する種類・
内容
内容の仕事が
の仕事がない
ない
自自
分分
のの
技技
術術
やや
技
技能
能が
が求人要件に
満た満
なた
いない
求人
人の
の年
年齢
齢と
と
求
自
自分
分の
の年齢とが
あな
わい
ない
あわ
勤
休日
日
勤務
務時
時間
間・
・
休
など
どが
が希
希望
望と
と
な
あな
わい
ない
あわ
80
70
60
50
40
30
20
10
0
賃賃
金金
・
給
給料
料
が
・が
希望
望と
とあわない
希
そ
その
の他
他
健
た
健康
康上
上の
の理
理由
由のの
ためめ
介護
護・
・看
のた
め
介
看護
護の
ため
出産
産・
・育
のた
め
出
育児
児の
ため
適当な仕事が
適り
当そ
なう
仕に事
あ
なが
いあ
のり
うそ
ちう
にないの
その他
そう
のち
他
今の景気や季節では
今
仕の
事景
が気
あや
り季
そ節
うで
には仕
事がありそうにない
ない
勤
賃
勤務
務時
時間
間・・
賃金
金な
など
どが
が
事が
が
希希
望望
にに
ああ
うう
仕仕事
あそ
りう
そに
うな
にい
ない
あり
自分の知識・能力
自分の知識・能力に
事が
あに
うあ
仕う
事仕が
あり
りそ
そう
うに
にな
ない
い
あ
近くに仕事が
近
く
に
仕
事
が
あ
あり
りそ
そう
うに
にな
ない
い
適当
当な
な仕
仕事
適
事が
が
あ
あり
りそ
そう
うに
にな
ない
い
資料出所
(※)
24
仕事に就けない理由別完全失業者数
(万人)
95
100
0
完全失業者
10
第3章 人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
-高年齢者の働き方と活躍のための環境整備①-
 我が国では今後、人口の減少が見込まれるが、高年齢者をみると増加が見込まれる。高年齢者には、就業している
方々も増加しているが、一方で就業に至っていないものの就業意欲のある方々が313万人と多くいる。
 また、60~64歳層、65歳以上の無職世帯は、35~44歳層、34歳以下の勤労者世帯と同程度の消費支出であり、65
歳以上層の勤労者世帯は60歳以上層の無職世帯を上回る消費支出となっており、高年齢者の就労参加は、労働力
の供給制約の緩和に資するのみならず、所得獲得を通じた消費増により経済の好循環にも貢献する。
(万人)
60歳以上の有業者と就業希望者
60歳未満・60歳以上人口推移
(万人)
4,600
8,800 1,800
60歳未満(右目盛)
(-584)
8,648
4,400
4,346
4,200
4,104
60歳以上
(+242)
8,200
8,000
313
250
400
12
2012
資料出所
15
20
0
7,800
(年)
0
35
43
40
35
(1月当たり)
消費支出
37
34
32
(1月当たり)
33
29
28
27
24
23
18
20
960
1,104
1,267
14
15
10
5
200
0
3,600
40
25
800
可処分所得
(万円)
30
284
600
8,064
3,800
就業希望者
(+29)
1,400
1,000
就業希望者
45
1,200
8,400
4,000
有業者数
1,600
8,600
高年齢者世帯の可処分所得と消費支出
(万人)
0
02
2002
07
12
(年)
~34 35~44 45~54 55~64 65~
~34歳
勤労者世帯
60~64 65~
(歳)
総務省統計局「人口推計」(左図)、「平成24年就業構造基本調査」(左図・中央図)、「家計調査」(2015年) (右図)、
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(左図)より作成
無職世帯
(歳)
11
第3章 人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
-高年齢者の働き方と活躍のための環境整備②-
 高年齢者は、男女ともに、「現在の仕事を続けたい」という者が8割を超えており、継続雇用に向けた施策の実施が
重要となっている。
 一方で、「自分の都合のよい時間に働きたいから」「家計の補助・学費等を得たいから」といった理由で非正規雇用に
就く高年齢者が多く、やりがいを感じつつ就業していただく観点からも柔軟な労働時間設定も必要である。
60歳以上有業者の就業希望意識(男女別)
(%)
100%
100
(763万人)
90%
90
80%
80
60歳以上の非正規雇用労働者が現在の雇用形態に
就いた主な理由
(505万人)
10.8%
(82万人)
13.4%
(68万人)
3.9%
(29万人)
2.7%
(14万人)
1.8%
(9万人)
2.9%
(22万人)
70%
70
60%
60
仕事をすっかり
やめてしまいたい
50%
50
40%
40
81.4%
(621万人)
80.8%
(407万人)
30%
30
この仕事のほかに
別の仕事もしたい
20%
20
この仕事を続けたい
0%0
男性
女性
自分の都合
のよい時間
に働きたい
から
(28.1%)
専門的な技
能等をいか
せるから
(13.4%)
通勤時間が
短いから
(4.4%)
10%
10
資料出所
ほかの仕事に
変わりたい
正規の職
員・従業員
の仕事がな
いから
(11.7%)
その他
(18.0%)
家事・育
児・介護等
と両立しや
すいから
(4.2%)
総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」(左図)、「労働力調査(詳細集計)」(2015年)(右図)より作成
家計の補
助・学費等
を得たいか
ら
(20.1%)
12
第3章 人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
-高年齢者の働き方と活躍のための環境整備③-
 起業を希望する高年齢者は増加している。
 開業動機をみても、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」「社会の役に立つ仕事がしたかった」「年齢や性別
に関係なく仕事がしたかった」といった回答が多く、高年齢者の起業は職業経験を通じて得た経験や知識をいかすこ
とや年齢にかかわりなく働けるといった高年齢者のニーズを踏まえたものでもあり、起業支援施策の実施が必要と考
えられる。
60歳以上の者で起業を
希望する者
(万人)
開業動機(3つまでの複数回答)
20
(%)
60
17.3
18
51.1
16
14.5
50
14
12
40
36.2
10.7
10
36.2
35.1
30
24.5
8
22.3
20.2
20
6
18.1
13.8
10.6
4
10
8.5
2
そ
その
の他
他
趣味
味や
や特
特技
技を
を
趣
生
生か
かし
した
たか
かっ
った
時
時間
間や
や気
気持
持ち
ちに
に
ゆと
とり
りが
が欲
欲し
し
ゆ
かった
かった
適
適当
当な
な勤
勤め
め先
先がが
なか
たった
なっ
か
事業
業経
経営
営と
とい
いう
う
事
仕
仕事
事に
に興
興味
味が
が
あった
あった
自自
分分
のの
技技
術術
やや
ア
アイ
イデ
デア
アを
を事
事業
業化
化
しか
たっ
か
した
たった
資料出所
収
収入
入を
を増
増や
やし
し
った
たた
かか
った
(年)
自
自由
由に
に仕
仕事
事が
が
した
たか
かっ
っ
し
たた
12
年齢
齢や
や性
性別
別に
に
年
関
関係
係な
なく
く仕
仕事
事がが
った
しし
たた
かか
った
07
社会
会の
の役
役に
に立
立つ
つ
社
仕
仕事
事が
がし
した
たか
かっ
った
た
02
2002
仕
仕事
事の
の経
経験
験・
・
知識
や
や資
資格
格を
を生
生か
かし
した
た
かったかった
0
0
総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」(左図)、日本政策金融公庫総合研究所「シニア起業家の開業」(2012年)(右図)より作成
13
第3章 人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
-高年齢者の働き方と活躍のための環境整備④-
 高年齢者になっても活躍するためにはどのようなことが必要であるかといった観点から、社会活動と就業の関係をみ
ると、社会活動を現役時(50~59歳時)に行ったと回答した者の方が、58~67歳時点の就業割合が高くなっている。
 また、能力開発・自己啓発と収入の関係をみると、54~63歳時に能力開発・自己啓発の経験がある方が、1か月の
収入額の平均が高い。
 現役時代から、積極的な社会参加を行うことや長時間労働削減を通じた時間の確保や経済的支援の活用により能
力開発・自己啓発などを行うことが重要である。
現役時社会活動(「社会参加活動」「無報酬
の仕事」)有無別58~67歳時点の就業割合
(%)
45
100
90
80
54~63歳時に能力開発・自己啓発の経験の有無別58~67歳時点の収入分布
(%)
36.1
40.0
40
30.1
39.9
70
35
30
60
25
50
20
40
30
38.2
63.9
60.0
13.5
10
11.0
6.7
5
10
30
5.1
31
41
51
40
50
100
仕事をしていない
資料出所 厚生労働省「中高年者縦断調査」(第9回調査、2013年)より作成
(注) 社会活動の有無は50~59歳(第1回)時点、能力開発・自己啓発の有無は54~63歳(第5回)時点、仕事の有無、
1か月の収入は58~67歳(第9回調査)時点のものである。
6.5
4.7
万
以以
上上
万円円
101
20
4.6
~ 万
万
円円
以以
上下
51
100
仕事をしている
21
8.9
8.2
~ 万
万円
円以
以下
下
41
50
無報酬の仕事
11
~ 万
万円
円以
以下
下
31
40
社会参加活動
~
万円
円以
以下
下
~ 万
21
30
している していない
10
~ 万
万円
円以
以下
下
11
20
している していない
万円
円以
以下
下
10
0
0
能力開発・自己啓発
なし
1か月の平均収入額
34.6万円
17.5
15
69.9
60.1
20
23.7
27.2
24.1
能力開発・自己啓発あり
1か月の平均収入額
47.8万円
101
14
第3章 人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
-限られた人材の活躍に向けた企業・労働者の課題①-
 我が国では、少子高齢化に加え、人手不足が生じている。企業の人員判断をみると、約半数の企業が、人手不足と
回答している。人手不足は、企業経営に「需要の増加に対応できない」、職場に「時間外労働時間の増加や休暇取得
数の減少」といった影響を与える。また、「離職の増加」といった影響もみられる。
 人材確保のために企業は求人を出すものの、企業の4割が「募集しても、応募がない」、4割が「応募段階でのミス
マッチ」に直面している。応募がない、ミスマッチが生じる要因として、賃金水準、処遇・労働条件が合わないことが大
きいことから、より良い求人を提示等し、人材の確保に努めることが重要である。
(%)
企業の人員判断
50
48.4
40
過剰
人手不足の企業経営への影響
※企業調査
40.7
38.3
37.5
30
23.8
20
5.6%
人手不足の職場への影響
※企業調査
72.3
29.3
28.2
27.6
27.2
増加
加
離職の増
育訓
訓練
練や
や能
能力
力開
開発
発
教育
機機
会の減少
会の減少
低低
従業
業員
員の
の労
労働
働意
意欲
欲の
の
下
下
業員
員間
間の
の人
人間
間関
関係
係
従業
やや
職職
場場
のの
雰雰
囲囲
気気
の悪
の化
悪化
80
70
60
50
40
30
20
10
0
時間
休
間外
外労
労働
働の
の増
増加
加や
や
暇休
取暇
得取
数得
の数
減の
少減少
0
新規事
新
事業
業へ
への
の着
着手
手や
や事
事
業拡大
業
大計
計画
画が
が停
停滞
滞し
して
て
いる
いる
49.4%
募集賃
賃金
募
金の
の上
上昇
昇や
や既
既存
存
人材の
人
の処
処遇
遇改
改善
善、
、時
時間
間
外労働
働の
外
の増
増大
大等
等で
で人
人件
件
費増
が大
増大
てる
いる
費が
しし
てい
45.0%
事業
にに
支支
障を
事
業運
運営
営上上
障を
来い
しる
ている
来して
10
技術
ノウ
ウハ
ハウ
ウの着
技
術・
・ノ
着実
実
な伝承
な
っっ
て
な
承が
が困
困難
難にに
な
て
いる
いる
不足
需要
の増
需要
の増
加加
に対
対応できな
に
ない
い
適当
(%)
求人が充足しない理由 ※企業調査
(%)
応募段階でのミスマッチ
34.8
5.9
資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「人材(人手)不足の現状等に関する調査」(2016年)より作成
16.1
応募があり採
用
用も している
が
離
が、
、早 期に離
職してしまう
応募
募はあ
応
ある
る
が、
、求 職 者が
が
求め
める 処遇・
求
・
労働条件と自
自
社の提示内容
容
が折り合わな
い
い
応募
募はあ
応
ある
る
が、応 募者の
が
の
資質が自社の
求める水準に
満満
たな
いい
たな
募
募集
集し
して
ても
も、
、
応募
募が
がな
ない
い
応
40
20
0
43.2
15
第3章 人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
-限られた人材の活躍に向けた企業・労働者の課題②-
 人手不足の中では、人材の離職を防ぎ、人材の能力を引き出していくことが必要である。
 転職理由として「仕事がきつい、ストレスが大きい」が高い割合となっている一方で、「社内コミュニケーションの円滑
化」、「労働時間の短縮化」に取り組む企業では、労働者の定着意識は高いことから、このような雇用管理を実施し、
継続就業につなげていくことが必要である。
 加えて、労働者が能力を発揮することも重要である。社員のモチベーションを高めること、人材育成に取り組むこと又
は仕事と生活の両立支援を図ることを行っている企業では、能力を発揮を出来ている労働者の割合が高いことから、
企業は積極的な雇用管理を行っていく必要がある。
(%)
25
23.0
22.9
転職理由
※労働者調査
21.9
20.8
20
18.0
17.6
労働
働時
時間
間が
が長
長い
い
労
、、
事事
業業
所の
会社の
の倒
倒産
産
所の
閉鎖
閉鎖
会社
社の
の将
将来
来性
性、
、安
安定
定
会
性に対する不安
性に対する不安
キャリアアップ
賃金
金が
が安
安い
い
賃
仕事がきつい・
ストレス
が大きが
い大きい
15
企業の雇用管理の取組状況と現在の勤務先で、引き続き働くことを希望する労働者の割合
※企業調査・労働者調査
(%)
66
64
62
60
58
56
65.0
64.8
60.1
社内コミュニケーション
の円滑化
実施している企業
61.4
労働時間の短縮化
実施していない企業
企業における積極的な雇用管理の状況と労働者の能力発揮の関係 ※労働者調査
人材育成に
熱心である
企業
78.2%
能力発揮できて
いると感じてい
る労働者の割合
仕事と生活
の両立に配
慮している
企業
76.0%
人材育成に
熱心でない
企業
63.5%
能力発揮できて
いると感じてい
る労働者の割合
仕事と生活の
両立に配慮し
ていない企業
62.0%
資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「人材(人手)不足の現状等に関する調査」(2016年)「働き方のあり方等に関する調査」 (2016年)より作成
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