...

2009年10月号(PDF:235KB)

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

2009年10月号(PDF:235KB)
2009年10月号
保険会計アラート
国際会計基準審議会(IASB)で議論される
アンバンドリング、 表示方法及びデポジット・フロアー
概要
IASBは、2009年10月20日に保険会計についての議論を引き続き行う予定である。さらに、
2009年10月28日には、保険契約について議論するためにFASBとの合同会議を開催する。
2009年10月20日の会議では、IASBは、保険契約に含まれる要素 (保険、預り金及びサー
ビス要素)のアンバンドリングについて議論を行うこととしている。IASBは、保険者の業績計算
書における表示方法について議論する予定であり、さらに保険負債の測定に際してデポジット・
フロアーを設定するかどうかについても検討する予定である。
この会議で、IASBスタッフは、保険契約に含まれる保険、預り金及びサービスの各要素が、相
互に依存していないのであれば、保険者は保険契約をこれらの要素にアンバンドルすべきとの
考えを提言する予定である。一方で、各要素が相互に依存していないケース以外においては、
アンバンドリングが禁止されるか又は容認されるかにつき、新しい基準書の公開草案では言及
すべきではないと提言する予定である。
IASBスタッフは、業績計算書における保険契約の表示モデルについて、以下の5つを検討す
べき表示モデルとして提示する予定である:
1.
すべての保険契約に係るすべての保険料を収益とする。
2.
すべての(又は特定の)保険契約を、保険要素(これに係る保険料は、上述1.の通り
収益として認識される)と預り金要素(これに係る保険料は、後述3.の通り預り金とし
て処理される)にアンバンドルする。
3.
すべての保険契約に係るすべての保険料を預り金とする。
4.
特定の条件に合致するすべての保険契約に係るすべての保険料を預り金とし(上述
3.の通り)、それ以外のすべての保険契約に係るすべての保険料を収益とする(上述
1.の通り)。
5.
保険契約のそれぞれの種目について、保険者が上述の1又は2を選択することを認
める。
IASBスタッフは、それぞれのアプローチについて、その長所と短所を提示する予定である。
また、IASBスタッフは、保険負債の測定においてデポジット・フロアーを考慮すべき場合につい
て議論する予定である。保険負債の測定におけるデポジット・フロアーは、期待キャッシュ・フ
ローをもとに測定モデルを適用して算定された保険負債の金額が、契約者から解約などによる
支払請求を受けた際の最低要支払額よりも低い金額である場合に、当該最低要支払額により
負債を評価することを要請するものである。
さらに、保険契約プロジェクトに関するアップデートされた予定表が、ボード・ペーパーで提示さ
れる予定である。これによると新しい基準書の公開草案の発行は2010年1月に予定されてい
る。基準書の発行は、従来通り2011年6月が予定されている。
保険会計アラート2009年10月号
1
これまでの経緯
現在までに、IASBとFASBにより議論され、暫定的に決定されたトピックの要約を示すと以下のとおりである。
サマリー
トピック
IASB
FASB
測定アプローチ
の候補
IAS第37号の改訂プロジェクトの過程で開発されたモデ
ルに基づく測定アプローチ(ただし、契約開始時に発生す
る利得を除くように修正されている)を暫定的に選択した。
しかしながら、少数派ではあるが相当数のメンバーが現
在履行価値に基づくアプローチを支持していることから、
公開草案では双方のアプローチが提示される予定である。
複合マージンを含む現在履行価値モデルを、暫定的に選択
した。
一定の場合に、マージン及び割引を考慮しない将来キャッ
シュ・フローを使用する方法を保険契約の測定アプローチに
含めるかどうかについて、今後、検討する予定である。
測定アプローチ
の特徴
保険契約の測定アプローチは、概念的に以下のような特
徴を備えている必要がある:
► 金融市場関連の変数を使用する場合は、観察可能な
市場価格と可能な限り整合的なものとすべきである。
► 期待されるキャッシュ・フローの明示的な現在の見積
りを使用すべきである。
► 貨幣の時間的価値を反映させるべきである。
► 明示的なマージンを含むべきである。
保険契約の履行価値の測定には最善の見積キャッシュ・フ
ローではなく期待キャッシュ・フローを使用すべきである。この
期待キャッシュ・フローは毎期更新されるべきである。
キャッシュ・フローの測定には、保険契約の履行に関して入
手可能なすべての情報を考慮すべきである。入手可能なす
べての情報には、業界情報、個別企業におけるコストに関す
る過去の実績データ、契約履行に関連する市場からのイン
プットが含まれる。ただし、これらに限定されるものではない。
キャッシュ・フローは割引後のものが使用される必要がある。
また、割引率は毎期更新される必要がある。どのような割引
率が使用されるべきかについては、引き続き議論される予定
である。
IASBは暫定的に以下のように決定した:
未経過保険料アプローチは、短期保険契約の保険事
故発生前期間の保険負債について、意思決定に有用
な情報を提供するものである。
► 短期保険契約の保険事故発生前期間の保険負債に
ついて、未経過保険料アプローチの適用を、容認では
なく強制とすべきである。
未経過保険料アプローチは、今後、議論される予定である。
契約開始時の
マージン測定
契約開始時のマージンは、保険料に基づいて測定される
べきである。したがって、契約開始時の利得は損益認識
されるべきではない(新契約獲得費用を賄う部分の保険
料を除く。これについては、下記で詳述)。
もし、契約開始時の保険契約の測定の結果として損失が
生じた場合、保険者はこれを損益として認識しなければな
らない。
原則として、保険契約の開始時において、会計上の利益を認
識すべきではない。
契約開始時の損失については、今後も引き続き議論される
予定である。
マージンの事後
的な取扱い
残余マージンについて、IASBは暫定的に以下のように決
定した:
► 残余マージンをリリースするために選択された指標を
用いて、契約に関連する保険者の業績を最も適切に
表現することができる体系的な方法により、当該マー
ジンを収益として認識するべきである。
► 残余マージンは、有効な保険金請求に対する保険者
の受付期間(保険期間)にわたりリリースされるべきで
ある。
► 保険者は、事後的な見積りの変更を理由に残余マー
ジンの調整を行うべきではない。
マージンの事後における取扱いは、今後、議論される予定で
ある。
未経過保険料
►
保険会計アラート2009年10月号
2
トピック
IASB
FASB
割引率
IASBは暫定的に以下のように決定した:
► 保険負債の測定に適用される割引率は、保険負債に
対応して保有する資産の期待リターンに基づくもので
はなく、概念上、保険負債の特性を反映する形で、期
待将来キャッシュ・フローに貨幣の時間的価値の調整
を行う割引率とするべきである。
► 基準書には割引率の決定方法に関する詳細なガイダ
ンスを盛り込むべきではない。
この論点については、今後さらに議論される予定である。
新契約獲得費
用
IASBは、二つの異なる保険者がまったく同じ保険契約を
企業は:
発行したが、新契約獲得費用が異なるため、認識される
► 新契約獲得費用を発生時に費用として処理すべきである。
保険料がその分だけ異なるケースを例に議論を行った。
► これらの費用と相殺するために収益(又は利益)を計上す
これらの当初測定は同額とすべきと暫定的に決定した。
べきではない。
保険者は、保険料のうち新契約獲得費用を賄う部分につ
いては、契約時に収益を認識すべきとした。このためには、
新契約獲得費用は保険契約の発行に伴う追加的な費用
(すなわち、新契約の募集費用、保険契約引受や契約開
始に係る初期費用)に限られ、その他の直接費用を含め
てはならない。追加的な費用とは保険者がこの契約を発
行しなければ発生しなかった費用である。
保険契約者の
行動と契約の
境界
保険負債の測定は、対象となる保険契約より生ずる(確
率で加重された)期待キャッシュ・フロー(将来の保険料や
当該保険料から発生するその他のキャッシュ・フロー、た
とえば給付金や保険金)に基づいて行われるべきである。
このキャッシュ・フローには、保険契約者が当該保険契約
に含まれるオプションを行使するか否かよって、その金額
と発生の時期が左右されるものも含まれる。
既契約と新契約の境界を定める際、第一に考慮すべき点
は、保険者が契約を解除できるか、又は、その料率やそ
の他の契約条件を変更できるかである。IASBスタッフは、
今後、この境界をどこに定めるかについてより具体的な
提言を行っていく方針である。
この論点については、今後、議論される予定である。
保険契約者の
会計処理
IASBは暫定的に、公開草案では保険契約者の会計処理
について言及しないことを決定した。しかし、出再者と再
保険者の両当事者が、どのように再保険契約を会計処理
すべきかについて、公開草案において言及されるべきで
あることを明らかにした。
この論点については、今後、議論される予定である。
出典:IASB Staff Agenda Paper 4, Ernst & Young
保険会計アラート2009年10月号
3
アンバンドリング
保険契約には保険、預り金及びサービスの要素が含まれており、それ
ぞれの要素に係る保険負債の測定モデルは以下のようなものと考え
られている:
•
保険要素 – IASB及びFASBによる保険契約プロジェクトにおいて
議論されている測定モデル
•
預り金(又は金融)要素 – 金融商品の測定モデル
•
サービス要素 – ディスカッション・ペーパー「顧客との契約における
収益認識に関する予備的見解」で提言されている測定モデル
上述の要素に係る保険負債の測定が、すべて同一の測定モデルに基
づいて測定されるとは考え難い。測定モデル間の差異が大きいほど、
会計処理における差異が大きくなるだろう。これは、保険契約に含ま
れる各要素を特定し、あたかもそれぞれの要素が独立した契約である
かのように会計処理(アンバンドリングと呼ばれる)するべきであるとの
主張を後押しするものである。
アンバンドリングを支持する主張には以下のようなものがある:
•
•
企業は、保険契約に含まれる預り金要素について、同じ契約条件
で単独の金融商品の発行者の場合と同じ会計処理をすべきであ
る。
アンバンドリングを採用すれば、保険契約として分類されるのに必
要な保険リスクをかろうじて移転している契約と、判定基準にわず
かに満たない契約の会計処理について、大きな差異が生じること
が避けられる。
アンバンドリングに反対する主張には以下のようなものがある:
•
保険契約に含まれる要素は相互に密接に関連しており、各要素が
1つに束ねられた保険契約の価値は、それを構成する複数の独立
した要素の価値の合計とは一致しないかもしれない。
•
保険契約は一つの契約として設計、料率設定、管理がなされ、ま
た規制に服しているのであって、保険者が一方的に契約を終了し
たり、一部の要素を売却したりはできない。したがって、いかなるア
ンバンドリングも馴染まない。
•
解約オプションがある場合、保険契約に含まれる要素間の相互依
存が生じ、一定の状況下において、一部の要素の測定が恣意的な
ものとなるかもしれない。
•
保険要素の測定を行う際の集約単位が、他の要素の測定を行う
場合と異なる場合、それぞれの要素を別個に測定することは困難
であるかもしれない。
IASBスタッフは、2つの例を利用し、上記の実務上の問題について解
説するとともに、以下の3つの代替的アプローチを提示している:
•
アンバンドリングを強制しない
•
すべてのケースについてアンバンドリングを強制する
•
保険契約の要素間に相互依存性が無い場合にアンバンドリングを
強制する
IASBスタッフは、アンバンドリングを全く強制しなければ、希望する会
計処理ができるように恣意的に各要素を組み合わせた保険商品が開
発されかねないと指摘している。一方で、アンバンドリングを強制する
ことは、各要素の恣意的な評価につながり、有用な情報を提供するこ
とにはならない。また、このような評価は大きな負担を伴うことになるだ
ろう。
IASBスタッフは、保険契約に含まれる要素に相互依存性が無い場合
にはアンバンドリングを強制すべきであると提言しており(上述の3つ
目のアプローチ)、それによって、各要素を容易に区分できる場合でも
アンバンドリングしないときに生ずる会計処理の差異を排除することが
できるとしている。しかし、アンバンドリングが恣意的なものとなる可能
性がある場合及び大きな負担を伴う場合には、保険者に保険契約を
各要素に区分することを求めないことを推奨している。
保険会計アラート2009年10月号
4
IASBスタッフ・アジェンダ・ペーパーは、どのような場合に保険契約の
要素間に相互依存があるかについて、公開草案において示すことを提
言しており、その例として以下のようなものがあるとしている:
•
契約の一要素に係るキャッシュ・フローが他の要素に係るキャッ
シュ・フローに影響を及ぼす場合
•
契約に含まれる複数の要素を区分する際に考慮すべき因子の一
部又は全部に関して、保険者が、各要素への配分の基準として観
察可能な配分基準を見出だせない場合
•
契約が、1つのパッケージとして料率設定されており、各要素別に
決定されるものではなく、契約が全体として一つの商品である場合
•
契約の要素に、相互に関連する活動、サービス及びコストが含ま
れる場合
IASBスタッフは、アンバンドリングが、各要素に相互依存性が無い場
合にのみ強制されるとすれば、各要素に相互依存性が無いケース以
外において、アンバンドリングが禁止又は容認されるかにつき公開草
案では言及するべきではないと提言している。
保険会計アラート2009年10月号
5
業績計算書上の表示
保険契約における保険料は、以下のような項目に対する支払いにより
構成されると捉えることができる:
•
保険事故により損失を被った保険契約者への支払いの期待現在
価値
•
その他の費用の期待現在価値
•
契約に基づき提供されるサービス(リスクの負担を含む)に関する
マージン
•
該当する場合には、保険料を支払った契約者本人に対する払戻
額の期待現在価値(たとえば、年金保険、養老保険など)
ディスカッション・ペーパー「保険契約に関する予備的見解」では、保険
料が収益、預り金又は両者の組合せのいずれとして扱われるべきか
について議論されている。IASBスタッフは、保険料の扱いについて、
以下の業績計算書における表示モデルを提示している:
•
伝統的生命保険モデル – 収受した保険料は即時に収益(引受保
険料)として認識され、同時に対応する保険負債の増加を費用とし
て認識する。
•
伝統的損害保険モデル - 収受した保険料は即時に収益(引受保
険料)として認識されるが、負債として繰り延べられ(未経過保険
料)、既経過相当分が収益に振り替えられる。
•
手数料アプローチ・モデル – 保険料のうち契約者に対する将来予
想される払戻金額に対応する部分については、預り金の受取りと
認識され、一方でリスクに対するプロテクションの提供に対応して
賦課された部分については、保険者が責任を履行した際に収益と
して認識される。 保険料が前払いされた場合には、未経過保険料
として取り扱う。
•
マージン・アプローチ・モデル – 収受した保険料は預り金の受取り
として認識され、保険者のリスク(該当がある場合には、その他の
サービス提供義務)からの解放に応じて、マージンのうち対応部分
がリリースされ保険者の収益として認識される。
表示モデルの選択
IASBスタッフ・アジェンダ・ペーパーでは、前段の4つの表示モデルとと
もに、IASBが最適な表示モデルを選択するに際して検討されるべき多
くの重要な論点が示されており、以下のような論点が含まれている:
•
保険料を、受取時に将来の期間に対応する金額により収益として
認識し、保険負債を増加させるか(伝統的生命保険モデル)、もしく
は契約に基づく責任の履行を通じて認識するか(伝統的損害保険
モデル)。
•
収益として計上される保険料に預り金部分を含めるか、もしくは除
外するべきか(手数料アプローチ・モデル)。
•
保険料のうち、リスクからの解放に応じて保険期間にわたりリリー
スされるマージンのみが収益として計上されるべきか(マージン・モ
デル)。
保険会計アラート2009年10月号
6
それぞれの重要な項目に関する議論に続けて、IASBスタッフ・アジェンダ・ペーパーでは、前段で示したモデルの一つ又は複数の組合せによ
る5つの表示モデルが提示されている。それぞれの表示モデルの長所と短所がIASBスタッフ・アジェンダ・ペーパーで列挙されており、その内
容は以下のとおりである:
アプローチ
長所
短所
すべての保険料を収益とする
(伝統的生命保険及び損害保険モデル)
多くの既存の会計モデルに適用されており、実
務において慣れ親しまれている。
すべての引受保険料が受取時に収益として認
識されるため、IASBスタッフの見方では、伝統
的生命保険モデルは提示されている収益認識
モデルと整合しない。
さらに、このモデルが有用な情報を提供できる
のは、引受保険料の預り金要素が比較的小さ
いか、又は保険リスクと密接に関連していない
場合のみに限られている。
すべての(又は特定の)契約を預り金要
素と保険要素にアンバンドルする
(手数料アプローチ・モデル)
契約分類の境界線付近に位置する類似の契
約について、境界線をわずかに越えるかどう
かによって収益と費用の表示方法がまったく異
なってしまうという分類判定の不都合を回避す
ることができる。
業績計算書における、ファンド・マネージャーに
よる投資成果との比較可能性が高まる。
恣意的な結果となる可能性があるとともに、当
該表示モデルの継続は負担をともなう。
すべての保険料を預り金とし、またすべ
ての支払保険金及び関連費用を預り金
の払戻しとし、マージン部分については
マージン・モデルを適用する
(マージン・アプローチ・モデル)
契約分類の境界線付近に位置する類似の契
約について、境界線をわずかに越えるかどう
かによって収益と費用の表示方法がまったく異
なってしまうという分類判定の不都合を回避す
ることができる。
アンバンドリングに伴うコスト負担が回避され、
保険料全体のうちどの部分が既経過分に相当
するかを決定する必要もない。
リリースされたマージンのみを収益として計上
する。したがって、提示されている収益認識モ
デルと整合しない。
現行の実務からかなりの変更となる。
損益計算書上での表示が2箇所となる可能性
がある;一つは未経過保険料モデル、もう一つ
は預り金の受取りである。
特定の条件に合致する保険契約に係る
保険料をすべて預り金とし、その他の契
約に係る保険料を収益とする
(伝統的生命保険・損害保険モデル及び
手数料アプローチ・モデルの組合せ)
特に明記されていない。
IASBによるそれぞれのモデルの定義付けが求
められるが、IASBスタッフは、現在のところ、短
期契約の保険事故発生前の負債について単純
化されたモデル(未経過保険料アプローチ)を
適用する場合以外に、保険契約の区分をさら
に設ける理由を見出していない。
保険契約のそれぞれの種目について保
険料を預り金とするか収益とするか、何
らかの制約はあるにしても、保険者が選
択することを認める
(伝統的生命保険・損害保険モデル及び
手数料アプローチ・モデルの組合せ)
それぞれのケースについて保険者に最も適切
な表示の選択を認めることになる。
比較可能性が損なわれるおそれがある。
出典:IASB Staff Agenda Paper 4B, Ernst & Young
スタッフ・アジェンダ・ペーパー4Bの付録において、IASBスタッフはそれぞれのモデルの適用方法を明らかにするために、提示されたモデルのう
ち4つ(伝統的生命保険、伝統的損害保険、手数料及びマージン・アプローチ・モデル)に対応する4つの例を提供している。
IASBスタッフはモデルの推奨は行っていないが、その他の検討すべき表示モデルの有無、追加の情報を必要としているかどうか、表示に係る
その他のコメントがあるかについてIASBに確認する予定である。
保険会計アラート2009年10月号
7
デポジット・フロアー
当サマリーの発行時点で、デポジット・フロアーに係るIASBスタッフ・アジェンダ・ペーパーを入手することはできなかった。入手可能な情報によ
れば、IASBスタッフは、今後、保険負債の測定に関してどのような場合にデポジット・フロアーを考慮すべきかについて議論する予定である。保
険負債の測定におけるデポジット・フロアーは、期待キャッシュ・フローに測定モデルを適用して算定された保険負債の金額が、契約者から解約
などによる支払いの請求を受けた際の最低要支払額よりも低い金額である場合に、当該最低要支払額により負債を評価することを要請するも
のである。
アップデートされた予定表と次のステップ
IASBスタッフは、2010年1月の公開草案の公表に向けたプロジェクト予定表を提示する予定である。今後、予定されている主要な議事のスケ
ジュールは以下のとおりである。
会議日程
2009年11月
主な論点
•
その他包括利益の利用を含む財務諸表表示(継続事項)
•
契約者配当(分類及び測定)(継続事項)
•
有配当、ユニット・リンク型及びインデックス・リンク型保険契約、ならびに投資契約及びユニ
バーサル生命保険契約(アンバンドリングを含む)
•
企業結合
•
定義及び適用範囲
•
認識及び認識の中止
•
開示
•
組込デリバティブ
•
事前投票
•
再保険
•
フィールド・テストの結果の要約
•
その他の検討事項(sweep issues)
2010年1月
•
公開草案の公表
2010年5月
•
公開草案に対するコメントの締切り
2010年6月
•
コメントの要約
2010年7月 - 2011年2月
•
コメント・レターで提起された論点に関する討論
2011年3 - 4月
•
事前投票
2011年5月
•
その他の検討事項(sweep issues)
2011年6月
•
基準書の公表
2009年11 - 12月
2009年12月
出典:IASB Staff Agenda Paper 4D, Ernst & Young
議題のフォロー
IASBは、イギリス時間の2009年10月20日、保険契約プロジェクト(及び本アラートで参照されているアジェンダ・ペーパー)について討論した。
また、IASBは、イギリス時間の2009年10月28日、FASBとの合同会議において保険契約について討論した。会議はIASBのホームページ
(www.iasb.org)から聴講することができる。
保険会計アラート2009年10月号
8
Ernst & Young ShinNihon LLC
アーンスト・アンド・ヤングについて
アーンスト・アンド・ヤングは、アシュアランス、税務、
トランザクション・アドバイザリー・サービスなどの分
野における世界的なリーダーです。全世界の14万
4千人の構成員は、共通のバリュー(価値観)に基
づいて、品質において徹底した責任を果します。私
どもは、クライアント、構成員、そして社会の可能性
の実現に向けて、プラスの変化をもたらすよう支援
します。
詳しくは、www.ey.com にて紹介しています。
「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・アン
ド・ヤング・グローバル・リミテッドのメンバーファーム
で構成されるグローバル・ネットワークを指し、各メ
ンバーファームは法的に独立した組織です。アーン
スト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国
の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供
していません。
新日本有限責任監査法人について
新日本有限責任監査法人は、アーンスト・アンド・ヤ
ングのメンバーファームです。全国に拠点を持ち、
日本最大規模の人員を擁する監査法人業界のリー
ダーです。品質を最優先に、監査および保証業務を
はじめ、各種財務関連アドバイザリーサービスなど
を提供しています。アーンスト・アンド・ヤングのグ
ローバル・ネットワークを通じて、日本を取り巻く世
界経済、社会における資本市場への信任を確保し、
その機能を向上するため、可能性の実現を追求し
ます。
詳しくは、www.shinnihon.or.jp にて紹介していま
す。
アーンスト・アンド・ヤングのIFRS(国際財務報告基
準 ) グループについて
IFRS(国際財務報告基準)への移行は、財務報告
における唯一最も重要な取り組みであり、その影響
は会計をはるかに超え、財務報告の方法だけでなく、
企業が下すすべての重要な判断にも及びます。私
たちは、クライアントによりよいサービスを提供する
ため、世界的なリソースであるアーンスト・アンド・ヤ
ングの構成員とナレッジの精錬に尽力しています。
さらに、さまざまな業種別セクターでの経験、関連す
る主題に精通したナレッジ、そして世界中で培った
最先端の知見から得られる利点を提供するよう努
めています。アーンスト・アンド・ヤングはこのように
してプラスの変化をもたらすよう支援します。
© 2009 Ernst & Young ShinNihon LLC
All Rights Reserved.
お問い合わせ先
新日本有限責任監査法人
IFRS 推進本部
〒100-0011
東京都千代田区内幸町二丁目2-3
日比谷国際ビル
Email: [email protected]
保険会計アラート2009年10月号
本書又は本書に含まれる資料は、一定の編集を経た要約
形式の情報を掲載するものです。したがって、本書又は本
書に含まれる資料のご利用は一般的な参考目的の利用に
限られるものとし、特定の目的を前提とした利用、詳細な調
査への代用、専門的な判断の材料としてのご利用等はしな
いでください。本書又は本書に含まれる資料について、新
日本有限責任監査法人を含むアーンスト・アンド・ヤングの
他のいかなるグローバル・ネットワークのメンバーも、その
内容の正確性、完全性、目的適合性その他いかなる点に
ついてもこれを保証するものではなく、本書又は本書に含
まれる資料に基づいた行動又は行動をしないことにより発
9
生したいかなる損害についても一切の責任を負いません。
Fly UP