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International Commission on Irrigation and Drainage

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International Commission on Irrigation and Drainage
資料 4
国際かんがい排水委員会(ICID)について
農村振興局
平成25年10月16日
目
次
1.世界の食料・農業用水(かんがい)を取り巻く現状・課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.国際かんがい排水委員会(ICID)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
3.国際かんがい排水委員会(ICID)への活動方向について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
4.第1回世界かんがいフォーラム及び第64回国際執行理事会等の報告について・・・ 8
【略語一覧】(文中に記述されている順)
FAO (Food and Agriculture Organization of the United Nations) : 国連食糧農業機関
IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change ) : 気候変動に関する政府間パネル
MDGs (Millennium Development Goals) : ミレニアム開発目標
ICID (International Commission on Irrigation and Drainage) : 国際かんがい排水委員会
INWEPF (International Network for Water and Ecosystem in Paddy Fields) : 国際水田・水環境ネットワーク
OECD (Organization for Economic Co-operation and Development ) : 経済協力開発機構
WWF (World Water Forum) : 世界水フォーラム
1.世界の食料・農業用水(かんがい)を取り巻く現状・課題
(1)人口の増加に伴う食料増産の必要性
○世界の人口は2050年には2010年の1.35倍の93億人となる見通し。
93億人
億人
100
90
1.35倍
○2050年における世界人口を養うため、
食料全体の生産を現在よりも70%増やす
必要。
69億人
80
<FAOの予測>
途上国で27億人増加
70
途上国
※ 2009年9月にFAOが公表。
60
50
80億人
途上国
○世界の耕地面積の伸びは人口の増加に追い
つかず、一人当たりの耕地面積は年々減少。
このため、かんがいによる生産の拡大を図る
ことが必要。
40
30
57億人
20
10
先進国
先進国
12億人
13億人
0
2010年
2050年
①新規かんがい開発
②既存かんがい施設における適切な水管理
による効率的水利用の推進
資料:国連「World Population Prospects: The 2010 Revision」
1
(2)農業用水を巡る世界の情勢(国際的な水議論)
○かんがいの拡大が必要とされる一方で、世界的な人口の増加、経済発展、地球温暖化等に伴う水需要の逼迫を
予想。
世界的な水需要の変化
気候変動及びその他の自然環境の
影響に対応した水需要の変化
工業用水、生活用水のセクターと農業
セクターの水供給のバランスの変化
○用途別水利用の見通し
用途別の水利用の見通し
km3
+38%
5000
4000
3,572Km3
3000
714
354
2000
1000
2504
4,912Km3
+55%
+82%
1106
+26%
3162
645
0
1995年
2025年
工業用水
生活用水
農業用水
アジアでの温暖化の影響 (IPCC4次評価報告書
WG2より)
・2050年代までに10億人以上に水不足の悪影響。
・南アジア、東アジア等の人口が密集している
メガデルタ地帯で、洪水が増加。
・21世紀半ばまでに、穀物生産量は、東・東南
アジアで最大20%増加。中央・南アジアで最大
30%減少。人口増加等もあり、いくつかの途上国
で飢餓が継続。
これを受け
○水利用の最大セクターである農業用水の効率的な利用に対する議論が活発化。
○乾燥地半乾燥地農業を展開する欧米等を中心に農業用水の使用量の抑制を図るためのプライシング(水の価格
付け)等の導入について議論が展開。しかしこれは地域性を無視し畑作農業を主眼に置いた議論。
日本の対応
○これに対してわが国は、世界の主要な食糧供給基地であるモンスーン・アジア水田地域の代表として、水文学的
な地域的特徴、水田かんがいの持つ環境保全や地下水涵養等の多面的機能、農民参加型の水管理の優位性を、
国際社会の場で主張し、理解の醸成を図っていくことが必要。
○適切な水管理による効率的な水利用を図るため、農民参加型の水管理などを推進。
かん
○さらに、昨今気候変動による洪水や干ばつなどの自然災害が頻発し、かんがい排水分野においても気候変動へ
の対応が必要。
2
(3)世界の水議論と日本の活動
○1992年の水と環境に関する国際会議(ダブリン会議)を契機として、効率的な水利用の議論が活発化。その後、MDGs
やリオ+20、WWF等でも水の安全保障や効率的な水利用の議論が展開。
○日本は、ICID、INWEPFでの活動を通じ、水田農業における水管理の重要性や多面的機能等の特長を発信。
2000
2005
国際機関等
2000年国連ミレニアム総会
-MDGs-
2010
2003年G8エビアンサミット
-水に関するG8行動計画-
2008年G8洞爺湖サミット
2012年国連持続可能な
開発会議(リオ+20)
2002年 持続可能な開発に関する世界首脳会議
2001年 IPCC第3次評価報告書
2007年 IPCC第4次評価報告書
OECD: 農業補助金における水問題
OECD: 水の横断プログラム
OECD: 持続可能な農業用水の水管理
WWF
2006年第4回世界水フォーラム(メキシコ)
2000年第2回世界水フォーラム(オランダ)
2003年第3回世界水フォーラム(日本)
-水と食と農の大臣会合「3つのチャレンジ」-
2012年第6回世界水フォーラム(フランス)
2009年第5回世界水フォーラム(トルコ)
2013年第2回アジア
太平洋水サミット(タイ)
2008年第1回アジア太平洋水サミット
(日本)
ICI D
INWEPF
日
本
の
活
動
総会(3年に1回開催)
執行理事会(毎年開催)
2001年第1回アジア地域会議(韓国)
2005年第3回アジア地域会議(マレーシア)
2013年第1回世界かん
がいフォーラム(トルコ)
2009年第5回アジア地域会議(インド)
2003年第2回アジア地域会議(オーストラリア)
2007年第4回アジア地域会議(イラン)
2003年INWEPF設立
2007年第4回運営会議(タイ)
2004年 第1回運営会議(日本)
2010年第6回アジア地域会議(インドネシア)
2011年第8回運営会議(マレーシア)
2008年第5回運営会議(インドネシア)
2005年第2回運営会議(韓国)
2006年第3回運営会議(マレーシア)
2012年第7回アジア地域会議(オーストラリア)
2012年第9回運営会議(ミャンマー)
2009年第6回運営会議(日本)
2013年第10回運営会
議(タイ)
2010年第7回運営会議(韓国)
3
2.国際かんがい排水委員会(ICID:International Commission on Irrigation and Drainage)
4
○国際かんがい排水委員会(ICID)は、かんがい排水にかかる科学的、技術的知見により、食料や繊維の供給を世界
規模で強化することを目的として設立された自発的非営利・非政府国際機関。
○毎年、国際執行理事会及び常任委員会や各種作業部会等が開催され、各国国内委員会委員が参加し、ICIDの政策・
運営等に関する議論、技術・情報の交換等を行っている。
○3年に一度総会や地域会議が開催され、さらに昨年の国際執行理事会において、総会が開催される年の前年に「世界
かんがいフォーラム」を開催することが決定された。
総
国際執行理事会(毎年開催)
会
常任委員会(技術活動委員会、財務委員会等3委員会)
世界かんがいフォーラム(WIF)
※本年9月に第1回目WIFがトルコで開催
委員会(広報出版委員会、ICIDジャーナル編集委員会等3委員会)
地域作業部会(アジア地域作業部会等4部会)
地域会議
( アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカの4地域に分かれて会議を開催)
※総会、WIF、地域会議が3年のローテーションで開催。
論文発表やシンポジウム等を実施。
作業部会/作業チーム
(環境影響部会、かんがい近代化部会など14部会、4作業チーム)
農業農村振興整備部会
日本国内委員会
前身の旧かんがい排水審議会より、ICIDに関する事項、かんがい排水の
改良発達に関する重要事項を調査・審議することとされている。
学術経験者等をメンバーとし、かんがい・排水・洪水等に関する知見の情報の収集・発信
委 員
:佐藤洋平委員長(東京大学名誉教授) 他14名
事務局 :農林水産省農村振興局整備部設計課海外土地改良技術室
○日本は ICID日本国内委員会を設置し、昭和26年にICIDに加盟。日本国内委員会の委員による作業部会等での活動を
通じ、我が国と世界のかんがい排水技術の情報を収集・発信し、世界の食料安全保障の確保等に貢献。
【ICID加盟国の分布】
ICID日本国内委員会委員
氏名
佐藤 洋平
【委員長】
猪迫耕二
岩本 彰
佐藤 政良
筑波大学
中澤 明
長野 宇規
南部 明弘
八丁 信正
24カ国
増本 隆夫
アメリカ地域
15カ国
ヨーロッパ地域
27カ国
丸居 篤
山岡 和純
渡邉 紹裕
アジア・オセアニア地域
29カ国(及び台湾)
NTCインターナショナル(株)
全国農村振興技術連盟
日本ICID協会
丹治 肇
うち、 アフリカ地域
中山間地域フォーラム
東京大学
鳥取大学農学部
生物資源環境学科
太田 信介
清水 克之
ICID加盟国数 95ヶ国(及び台湾)
所属
鳥取大学農学部
生物資源環境学科
(独)農業・食品産業総合
研究機構 農村工学研究所
(株)三祐コンサルタンツ
神戸大学大学院
農学研究科
(一財)日本水土総合研究所
近畿大学農学部
環境管理学科
(独)農業・食品産業総合
研究機構 農村工学研究所
弘前大学農学生命科学部
地域環境工学科
(独) 国際農林水産業
研究センター
京都大学大学院
地球環境学堂
役職
会長
名誉教授
教授
代表取締役社長
委員長
会長
名誉教授
講師
上席研究員
取締役副社長
准教授
総括技術監
教授
領域長
准教授
研究コーディネーター
教授
5
6
3.国際かんがい排水委員会(ICID)への活動方向について
○毎年、ICID会議(国際執行理事会)にあわせ、ICID各作業部会の会合が開催。ICID日本国内委員は各作業部会に参加
し、各々のテーマに沿った意見・情報の交換、成果のとりまとめ等を実施。
○本年9月にトルコで開催された第1回世界かんがいフォーラムや2014年に韓国で開催されるICID総会等での活動成果を
第7回世界水フォーラム(WWF7)で情報発信していく予定。
○ 昨年の国際執行理事会において、地域作業部会の一つであるアジア地域作業部会(ASRWG)は、今後「アジアの農村
開発における農業用水の貢献」という新たなテーマに取組むことを決定し、活動の成果を同様に発信していく予定。
2012年6月
2014年9月
2015年4月
64
活動成果を
WWF7につなげて
いく
回総会
回国際執行理事会(韓国・光州)
65 22
活動成果をWWF7につなげていく
【テーマ】
アジアの農村開発における農業用水の貢献
活動成果を
WWF7につなげて
いく
第7回世界水フォーラム(韓国・テグ)
第
第
ASRWGの
次期活動内容
を議論し、新たな
テーマを決定
第1回世界かんがいフォーラム
第 回国際執行理事会(トルコ・マルディン)
第 回国際執行理事会
(オーストラリア・アデレード )
63
2013年9月
〈参考1〉 WWC(世界水会議)とWWF(世界水フォーラム)
WWC:World Water Council (世界水会議)
水に関する政策などを検討するシンクタンク(NGO)。ユネスコ、世界銀行などが中心となり
1996年に発足。
WWF:World Water Forum(世界水フォーラム)
世界水会議によって運営される、世界の水問題を扱う国際会議。世界の水問題とその政
策に関する議論に影響。
1997年より、3年に1度、3月22日の「世界水の日」頃に1週間程度開催。
WWFの開催経緯
1997
2000
2003
2006
2009
2012
第1回 モロッコ
第2回オランダ
第3回 日本
第4回メキシコ
第5回 トルコ
第6回 フランス
第7回 韓国
(マラケシュ)
(ハーグ)
(京都)
(メキシコシティー)
(イスタンブール)
(マルセイユ)
(テグ)
2015
7
4.第1回世界かんがいフォーラム及び第64回国際執行理事会等の報告について
8
(1)第1回世界かんがいフォーラムについて
○ICIDの活動の活性化やかんがい排水分野の情報発信の強化などのため、ICIDが本年から3年に一度
開催するかんがい排水分野の国際会議。
○第1回フォーラムが、国際執行理事会の開催地トルコ・マルディンで以下の日程により開催され、世界
61ヵ国、12の国際機関から、技術者、農業者、水管理組織、政策決定者、民間団体等約750人が参加。
○フォーラムでは、「変動する世界におけるかんがい排水:世界食料安全保障への挑戦と機会」をテーマ
に論文の発表や参加者による議論がなされ、最後に「マルディン・フォーラム宣言」と2016年のチェンマイ
(タイ)での第2回フォーラムの開催を発表し、閉幕。
第1回世界かんがいフォーラムの概要
1 開催期間 2013年9月29日(日)~10月3日(木)
2 開催場所 マルディン(トルコ)
3 フォーラムの概要
・ 世界かんがい排水賞の発表
・ 全体テーマ、サブテーマでの論文発表及び議論
・ ワークショップ(3)・パネルディスカッション(4)
・ サイドイベント(23)
・ ポスターセッション
・ エキジビション
マルディン・フォーラム宣言(抄)
1.文明の発達には水にまつわる問題が密接に関係している。
2.水は価値ある貴重な資源であり、水に関わるあらゆる関係者が効果的
で持続的な水利用のため、互いに協力する必要がある。
3.かんがい排水分野は、多くの課題に直面しているが、地球規模の食料
安全に貢献してきている。
4.政府機関は関係者の中心となり、農業用水管理における枠組みを提供
する役割を有している。
5.水管理システムの計画や設計段階において、ほ場における効率的な
水利用はもちろんのこと多目的利用も検討しておくことが重要である。
6.農業分野は最大の水ユーザーであり、近代的な技術だけでなく伝統的
な技術を用いて、食料安全の強化に取り組まなければならない。
7.財政的な支援は経済状況に応じて行われるべきであり、過去の経験か
ら適切な手法を選択し、それぞれの状況に応じた支援を行うべきである。
8.コストは持続的に賄えるものである必要があり、広く適用可能なもので
あるべきである。
9.極端な気候変動に対するリスク分析や脆弱性の評価を行うことによって、
農業用水に与えるリスクの削減を行う必要がある。
10.かんがいフォーラムの結果は、農民やほ場レベルでの水管理責任者
と共有しなければならない。
開会式
トルコのヴェイセル・エロール森林・水大臣による式辞
開会式
閉会式
9
10
(2)日本国内委員会主催ワークショップについて
○農業用水の持続的で効率的な利用を図るため、末端施設の維持管理・水管理を農民が主体となり実施する「農民参加
型水管理」(Participatory Irrigation Management:PIM)の取組が開発途上国を中心に世界各国で実施。
○日本国内委員会では、土地改良区による施設の維持管理・水管理の経験を踏まえ、サイドイベントの一つとして、「農民
参加型水管理の現状と今後」というテーマでワークショップを開催。
○ワークショップでは、5カ国(タイ、トルコ、エジプト、韓国、日本)の行政及び水管理組織職員が各国の農民参加型水管
理の状況を報告するとともに、今後の農民参加型水管理の在り方について議論を行い、ワークショップ宣言文を発表。
【プログラム】
1.開会挨拶1(小林農村振興局次長)
2.開会挨拶2(ガオICID会長)
3.ワークショップ趣旨説明(渡邉紹裕委員)
4.各国からの報告
・ タ イ(行政職員及び水管理組織職員)
・ トルコ (行政職員及び水管理組織職員)
・ エジプト(行政職員及び水管理組織職員)
・ 韓 国(行政職員発表)
・ 日 本(農林水産省職員及び土地改良区職員)
5.発表者によるパネルディスカッション
(ファシリテーター:佐藤政良委員)
6.ワークショップの取りまとめとしての宣言文の発表
【WIFワークショップ宣言文(抄)】
1.農民参加型水管理(PIM)の推進
かんがい用水の効率的な利用は、かんがい施設の末端までその機
能が発揮することで実現するものであることから、受益者でありかつ末
端施設の維持管理・水管理を担うべき主体である農家を意思決定に参
加させ、自発的に管理の改善に取り組むようにさせることが必要であり、
PIMを地域の状況に応じて推進することが必要と再認識した。
2.農民参加型水管理の社会的意義
PIMの取組が単にかんがい施設の適切な維持管理とかんがい用水
の効率的な利用というかんがいの直接的目標に資するだけでなく、
人々の認識を深め、意識や行動を変える人々の能力開発という社会的
意義について注目することが必要である。
3.WWF7に向けて
本ワークショップや先般日本で開催された北海道ワークショップのよう
に、水管理の関係者の幅広い参加を得て、PIMについての経験や情報
を交換し各国で共有するための取り組みを歓迎し、今後、次期韓国総
会時をはじめとして、ICIDやICID加盟国でこのような取り組みが積極的
に実施されることを期待する。
PIMの推進は、技術的および社会的な側面からの、世界の水問題解
決に対するかんがい分野の積極的な貢献が期待できる取組として、
ICIDからWWF7へ積極的にインプットすることを期待する。
小林農村振興局次長挨拶
ワークショップ会場の様子
ガオICID会長挨拶
渡邉紹裕委員による趣旨説明
パネルディスカッション
ファシリテーター:佐藤政良委員
11
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