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チャイルド・スポンサーの皆さまの存在が 子どもたちの励みになっています

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チャイルド・スポンサーの皆さまの存在が 子どもたちの励みになっています
2012年度 プログラム近況報告(2011年10月1日∼2012年9月30日)
フィリピン共和国 サマール地域開発プログラム(PHL−194416)
チャイルド・スポンサーの皆さまの存在が
子どもたちの励みになっています
支援地域の子どもたち。恥ずかしがり屋な一面も持ちつつ、カメラを向けると素敵な笑顔を見せてくれました
サマール地域開発プログラム(以下、ADP)では2 年目
支援地域の中には泥道を歩き続けてやっと辿り着くよ
の活動が終了しました。今年度は、現地で事業の運営
うな農村もあり、そこに暮らす人々は経済、教育、健康
管理を担当するスタッフが交替することになり、事業の
などあらゆる側面で多くのニーズを抱えています。この
進捗にも一時遅れが見られました。しかし、昨年度から
ような小さな村にも、チャイルド・スポンサーの皆さま
市役所、バランガイ議会 、教育省、市の農業局、保健局、
から受け取った手紙をうれしそうに見せてくれるチャイ
社会福祉・開発局などの関係者と協力関係を構築して
ルドたちがいます。彼らの笑顔を大切に、3 年目の事業
きたおかげで、新スタッフはスムーズに地域に溶け込み、
へ移行していきます。
※
今年度の後半からは順調に事業を進めることができて
います。
※フィリピンの最小行政単位をバランガイ(barangay)と呼びます。
「バランガイ議会」とは、日本で言う町内会に近い組織です。
❶教育開発プロジェクトー備品支援を行い、教師への訓練を実施しました
❷保健衛生プロジェクトー保健ボランティアへの研修、トイレの設置を行いました
❸経済開発プロジェクトー貯蓄・融資組合の活動が始まりました
❹指導者育成プロジェクトー協力体制が事業をしっかりと支えています
プロジェクト報告
2009
1
教育開発プロジェクト
2012
ー備品支援を行い、教師への訓練を実施しました
今年度は昨年度よりも多い3つの小学校と7つの就学前教
育センターに机、椅子、黒板を提供しました。村の中心か
ら離れた場所にある小学校では、ある先生が「こんな遠隔
地では学校の備品はなかなかそろわないので、きれいな黒
板を提供してもらいとても助かっている」と語ってくれまし
た。この先生は少額の謝礼をもらっているだけのボランティ
ア教師でしたが、平日は学校に住み込み、ほかの教師と同
じように一生懸命働いていました。このように教師一人一
人の志気は高いですが、首都や大きな町とは違い、農村に
おいては研修の機会も非常に限られます。そのため、教育
省や市の社会福祉・開発局と協力して96 人の教師と47
人の就学前教育センターの職員に対して、より良い教授方
法に関する研修も実施しました。
この就学前教育センターでは机や椅子を提
供しました。今までは十分な数の椅子はな
く、食事をするときも子どもたちは地べたに
座っていました
黒板を提供した小学校の様子。きれいな黒
板に文字が書けることは子どもたちにとって
大きな喜びです
2
保健衛生プロジェクト ー保健ボランティアへの研修、トイレの設置を行いました
支援地には医療者が常駐する医療施設はなく、地域の保健ボラ
ンティアが住民の保健衛生を管理する上で大切な役割を担って
います。今年度は234 人の保健ボランティアに対して、子ども
の発育測定、WHO(世界保健機関)の基準に則った測定値の
管理、データ収集の仕方などに関する研修を実施しました。
また、
20の家庭でトイレの設置を支援しまし
トイレを整備することは大変重要です。今後の課題としては、安
全な飲み水の確保と供給システムの整備が挙げられます。地域
の人々のほとんどが管理ができていない不衛生な井戸や雨水、
ため池の水等に頼っていますが、これらの水はウィルス・細菌・
寄生虫も多く含んでおり、さまざまな病気の原因となっています。
た。支援地の人々は家の周りの茂みな
どで用を足すことがほとんどなので、腸
チフスなどの伝染病が蔓延する恐れが
あるだけでなく、特に女性にとってはプ
ライバシーや安全の確保も必要であり、
支援地の人々はこのような井戸の水を日常的
に使用しています。
年間を通じて高温多湿の環
境なので、
細菌が繁殖しやすく、
バケツの底が全
く見えないほど濁っていました
ワールド・ビジョンの支援と地域住
民の協力により建てられたトイレ
フィリピン共和国 サマール地域開発プログラム(PHL−194416)
2025
3
経済開発プロジェクト
ー貯蓄・融資組合の活動が始まりました
今年度から村落内の有志による貯蓄・融資組合の活動が始まりました。組合員は週に
一度集まり、非常事態(家族や親族の事故、病気、死亡など)や低利で融資を受けた
いときに備えて、それぞれ少額を出し合いグループとして貯金をしています。すでにこの
活動はフィリピン国内のほかの地域で実施されており、多くの組合員の生活が支えられ
ているのと同時に、組合内の規律や団結力の醸成にも役立っています。この活動を通じて、
「貯蓄」という習慣が人々に根付いていくことが期待されます。
貯蓄・融資組合の定例会の様子。1組合につき10∼25
人という小さな集まりですが、
お互いの顔を知っている
分、融資を受けた後の返済もしっかりと行われています
4
指導者育成プロジェクト ー協力体制が事業をしっかりと支えています
昨年度から構築してきた関係者との協力体制は、少しずつ、確実に機能し始めています。
今年度実施したプロジェクト全体の費用のうち31%が、事業関係者(市役所、村議会、
教育省、市の農業局、保健局、社会福祉・開発局など)から拠出されました。援助機
関が活動する地域の中には、支援に依存し過ぎてしまう場合もあるので、この31%とい
う数字は支援地側からの大きな貢献の表れであると言えます。事業関係者それぞれが自
らの役割を認識し、負担を分け合い、責任を果たしていくことで、今後さらに持続的な
地域開発が行われていくことが望まれます。
バランガイ議会で会議をするADPスタッフ
スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトーチャイルドの健やかな成長をともに喜ぶために
家族や地域の人々が、
ADPの目指す
「子どもを中心と
「スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクト」
は、
チャイルドとの手紙の交流や毎年の成長報告などを
通して、
チャイルドとスポンサーの皆さまが支援の成
果を実感し、
その喜びをともに共有していただくため
の活動です。
具体的には、
チャイルドの成長を定期的
にモニタリングし、
支援事業がチャイルドとその家族、
さらに、
地域の人々の生活にどのような変化をもたら
しているかの確認を行っています。
また、
チャイルドの
した開発」
について理解し、
さまざまな分野で実施し
ている支援活動において、
一人一人がそれぞれの役
割を理解し、
将来的に活動を担っていけるよう支援し
ています「
。子どもを中心とした開発」
の例として、
子ど
もフォーラムなど、
子どもたち自身が自分たちの声を
大人たちに届けていく活動も行っています。
スポンサーから手紙をもらって喜ぶチャイルド
会計報告
収支計算書
支援分野別内訳(PH L-194416)
チャイルド ストーリー
貧しい村の中で、夢を持って生きています
ジョナリンちゃん(9 歳)
ジョナリンちゃん(9 歳)が暮らす村では、疾患や肝臓損傷など
を引き起こす汚染水が原因の寄生虫病の問題を抱えています。
汚染水の悪臭が漂う村で、彼女は毎日茶色の紙袋を通園用の
バッグとして大事に抱え、裸足で学校へ通っています。聴力に
障がいがあるため、まだ幼稚園に通っていますが、ワールド・ビ
ジョンが提供した黒板で、先生のまねをして字を書いたり、クラ
スメイトと遊んだり踊ったりと、無邪気に過ごしています。ジョ
ナリンちゃんの住む地域のほとんどの家庭では1日3 食の贅沢
はできません。
「食べ物があれば朝ごはんを食べるけど、なけれ
ばそのまま幼稚園に行きます。食べ物がない夜には、ただ水を
飲んで寝ます」とジョナリンちゃんは言います。ジョナリンちゃ
んの父親は季節労働者です。家族は中古の防水シートやずた
袋、森で拾った材木で作られたその場しのぎの家に住んでいま
す。裸足で空腹ではありますが、
ジョナリンちゃんは毎日張り切っ
て幼稚園に通っています。このような状況や試練は、彼女の夢
を妨げるものではありません。彼女にとって幼稚園は楽しく、毎
日行きたいところです。
教室でのジョナリンちゃん
プログラム担当者から:松岡 拓也
入団後、初めての海外出張地となったサマール。
現地では多くのチャイルドに出会いましたが、そ
の中には「障がい」を抱えた子どもたちもいまし
た。乳児期に発症した高熱のせいで視力をほと
んど失ってしまった男の子、口唇口蓋裂のためう
まく言葉を発音できない女の子、生まれつき右
足が巨大に膨れ上がった男の子。彼らやその家
族はみな、日本のご支援者の皆さまとつながるこ
とができることを喜んでいました。子どもによっ
て置かれた状況はさまざまですが、一人一人に
寄り添う存在として、ワールド・ビジョンの働き
を進めていきたいと思いました。
チャイルドの家庭を訪問する松岡スタッフ
(写真左)
弱視を抱えるチャイルド。
自分で文字を読むことはできま
せんが、家族やWVスタッフに手紙を読んでもらい、
日本
のスポンサーからのメッセージを楽しんでいます
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