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次のステップへ向けて、 これまでの活動を ふりかえりました

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次のステップへ向けて、 これまでの活動を ふりかえりました
2012年度 プログラム近況報告(2011年10月1日∼2012年9月30日)
タイ王国 タプ・タオ地域開発プログラム(THA-182314)
次のステップへ向けて、
これまでの活動を
ふりかえりました
学校にも給水設備が設置されました。保健衛生プロジェクトの一環として手洗いが励行されています
タプ・タオ地域開発プログラム(以下、ADP)は活動を
芸品などさまざまな分野の活動を行いましたが、収入に
開始してから5 年目を迎えました。今年は5 年間の活
結びつかないものもありました。技術力を向上させ生産
動をふりかえり、達成した成果を地域の人々とともに確
力を高めることと合わせて、新たな市場の開拓や、不利
認するため、プログラム評価を行いました。評価の結果、
な取引の犠牲にならないように仲買人との交渉力を付け
計画していたプロジェクトがすべて実施され、多くの目
ていくことなどが今後の課題です。それらの課題も、グ
標が達成されたことが確認されました。
ループを作り、互いに助け合いながら取り組むことにより
一方で、達成できなかった課題もありました。例えば経
乗り越えていくことは可能です。次なるステップへ向けて、
済開発プロジェクトでは、グループを作り、農業や手工
住民の代表者とも話し合いを継続しています。
❶教育プロジェクトーさまざまなニーズにこたえる質の高い教育に取り組んでいます
❷保健衛生プロジェクトー水管理システムの整備により人々の衛生意識が高まってきています
❸経済開発プロジェクトー収入向上にむけた加工販売センターの建設により、職業グループの連携が深まりました プロジェクト報告
2006
1
2012
教育プロジェクト ーさまざまなニーズにこたえる質の高い教育に取り組んでいます
チャイルド全員が義務教育を修了するという目標のもと、プロジェクトが続けら
れました。その結果、登録された子どもたちすべてが学校に通えるようになりま
した。 教育の質を高める取り組みとしては、政府と協力しながら、ADPにある5つの
学校の教員に対する研修や学校施設への支援を行いました。
課外活動としてキャンプや織物教室、職業体験、自然環境の保護といった社会
奉仕活動への参加の機会も引き続き提供しています。
地域の住民の約 9 割が少数民族です。そのため低学年の子どもの中には、タイ
語で行われる授業についていけない子どももいます。そのような子どもたちのた
めに、タイ語と少数民族の言語の両方で書かれた教材の提供を行いました。子
どもたちが自分たちの文化に誇りを持ちつつ、タイ社会でも活躍できるように配
少数民族の子どもたちを対象にしたタイ語の補修クラスを
実施しています
慮しながら取り組んでいます。
キャンプの一場面。子どもた
ちはゲームをしながら楽しく
学んでいます
少数民族の言語で書かれた教材を見せる少数民
族出身の補助教員
2
保健衛生プロジェクト ー水管理システムの整備により人々の衛生意識が高まってきています
保健衛生プロジェクトは、地方政府、病院、学校、地域リーダーとの協力の
もと活動が行われました。地域の人々の健康が増進されることを目標に清潔な
水の確保と地域における水管理システムの整備を実施しました。その結果、対
象となる世帯の83% が飲用水及び生活用水として清潔な水にアクセスできるよ
うになりました。さらに、ADPでは、地域住民の環境衛生への関心が高まる
よう啓発活動にも力を入れました。プログラム評価では、水管理システムなど
のインフラ整備は進みつつあるものの、まだ未達成の地域があること、また衛
生に関する人々の意識にも継続的な働きかけが必要なことが報告されました。
これらの課題については次期計画の中で引き続き検討し、改善していきます。
トイレの設置作業をする村人。環境衛生の啓発活動を実施
し、人々の衛生に関する意識向上を目指しています
家の近くに給水パイプが設置
され喜ぶ子どもとお年寄り。
妊産婦を対象に保健教育を実施しました
タイ王国 タプ・タオ地域開発プログラム(THA-182314)
2020
3
経済開発プロジェクト ー収入向上にむけた加工販売センターの建設により、職業グループの連携が深まりました 経済開発プロジェクトでは、活動対象となる世帯が、生産した農
作物を販売して収入向上を目指すことに加え、生産コストの削減
や副収入による世帯収入の向上を目指して活動を行いました。プ
ロジェクト実施以前の調査の結果では、約 50%の世帯が農産物
を販売しても利益が出ないという状況でしたが、プログラム評価
の結果、80%の世帯が利益を得られるようになりました。
さらにこれを向上させる足掛かりとして、農業に従事する住民が
共同で生産物の加工や販売ができるセンターの建設を支援しまし
た。建物はすでに完成し、2012 年末までに正式に開所できる予
定です。これまで住民はそれぞれ仲買人と個別に交渉して作物を
販売していましたが、このセンターが完成し、共同で交渉、販売
になることが期待されています。プロジェクトを通して設立された
土壌に負担の少ない農業を
推進するために有機農法の
技術研修を実施しています
開所を待つ生産物の加
工販売センター
少数民族の手工芸品の製作
と販売に取り組んでいる職
業グループの女性
することにより、作業の効率化とともに適正価格での販売が可能
職業グループの連携、協調も深まっています。
スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトーチャイルドの健やかな成長をともに喜ぶために
指す
「子どもを中心とした開発」
について理解し、
さまざま
な分野で実施している支援活動において、
一人一人がそ
れぞれの役割を理解し、
将来的に活動を担っていけるよ
う支援しています。
「子どもを中心とした開発」
の例とし
て、
子どもフォーラムなど、
子どもたち自身が自分たちの
声を大人たちに届けていく活動も行っています。
「スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクト」
は、
チャ
イルドとの手紙の交流や毎年の成長報告などを通して、
チャイルドとスポンサーの皆さまが支援の成果を実感
し、
その喜びを共有していただくための活動です。
具体的
には、
チャイルドの成長を定期的にモニタリングし、
支援
事業がチャイルドとその家族、
さらに、
地域の人々の生活
にどのような変化をもたらしているかの確認を行ってい
ます。
また、
チャイルドの家族や地域の人々が、
ADPの目
収支計算書
子どもたちの笑顔を支える地
域づくりが進められています
会計報告
支援分野別内訳(THA-182314)
チャイルド ストーリー
母親の愛を身近に感じています
キティコーン君(9 歳)
ワールド・ビジョンの支援を受ける前は、キティコーン君は
毎日食べることができず、学校の制服や靴、そして冬には毛
布もありませんでした。彼は日雇い労働者の母親と祖母の
3 人暮らしです。放課後は宿題をし、大好きな母親を手伝っ
て家の掃除や食器洗いをします。
「学校の制服を持ててすご
くうれしい!夢のようだよ。ぼくは学校に通うのが大好きな
んだ」とキティコーン君ははにかんだ笑顔で話します。キティ
コーン君の母親は、キノコ栽培の研修を受け、安定した収入
が得られるようになりました。
「チャイルド・スポンサーとワー
ルド・ビジョンに感謝しています。キノコ栽培で得たお金を
貯め、子どもが大学で勉強ができるようにしたいです」と母
親は言います。母親が別の地域で働くことを今後心配する
必要がなくなったので、母親の愛を身近に感じることができ
てキティコーン君は幸せな気持ちでいっぱいです。
母親と一緒に本を読むキティコーン君
プログラム担当者から:平本 実
どんな事業にも必ず始まりと終わりがあります。5 年間のプ
ログラム評価の際、将来このプログラムが終わるときを具体
的にイメージするために、2009 年 9月に活動を終了したウェ
※
ンケンADPの活動地をタプ・タオADPの現地スタッフとと
もに訪れました。そこではプログラム終了後も住民自らが農
業協同組合や学校を通して、子どもたちの健康で安心した暮
らしを支える仕組みを動かしている様子を垣間見ることがで
きました。タプ・タオADPとは条件が異なる点もありますが、
先輩 ADPの経験をお手本にして目標に向かって活動しよう、
と現地スタッフと話し合いました。
※ウェンケンADP:1997年度∼2009年度まで、
タイ王国チェンラ
イ県ウェンケン郡ムアン・ヤイ区、
ライ・ンガオ区、
タ・カラム区(タイ北
部)
にて実施していたADP
地域の子どもたちとプログラムを担当する平本スタッフ
2012年度 プログラム近況報告(2011年10月1日∼2012年9月30日)
タイ王国 タプラヤ地域開発プログラム(THA-191642)
支援活動に地道な努力が続けられています みんなで学校に行くのが楽しい!と元気いっぱいの子どもたち
タプラヤ地域開発プログラム( 以下、ADP) は、地域住
みの植え付けを、4 地区で試みました。稲作以外にも、
民の生活の質向上と、地域の抱える問題を自らが解決
養豚を行う4つのグループを組織しました。
する力をつけることを目標に、今年度も活動を行いまし
また、障がいを持つ人々やその家族の生活、母子の健
た。教育プロジェクトでは、子どもと若者が、地域での
康を地域で支えていくために、その中心的役割を担う村
生活をより良いものにしていくためのライフ・スキル を
の保健ボランティアの育成という取り組みも始められま
身につけることを目指し、幼児発達センターの教師を対
した。
象に、教材開発も支援しました。
成果はすぐに目に見えるものばかりではありませんが、
経済開発プロジェクトでは、地域住民の大半が従事す
地道な努力が続けられています。
※
る農業で、安定した収穫を得られることを目的に、稲作
に関する研修や試験農場で生産性が高いとされる種も
※子どもたちが、自分で考え、意思決定し、それを伝えることができる
ようになることを目指す学習
❶教育プロジェクトー子どもの権利とそれを実現するための方法について子ども、親、地域関係者が一緒に学んでいます
❷経済開発プロジェクトー収入向上のためにグループで協力して取り組んでいます
❸保健衛生プロジェクトー予防啓発の取り組みでは、子どもたちも大切な役割を担っています
プロジェクト報告
2009
1
2012
教育プロジェクト ー子どもの権利とそれを実現するための方法について
子ども、親、地域関係者が一緒に学んでいます
教育プロジェクトでは、昨年度から引き続き幼児発達センターの教師を対象に教
材開発の支援を行い、子どもたちやその親を対象に旅行や家族キャンプも実施し
※
ました。また、子どもと若者がライフ・スキルを身に付け、地域での生活をより良
いものにしていくことができるよう取り組みました。テレビや携帯電話など、タイの
地域社会でも情報化が進んできています。そこから得る情報の中には、子どもの
健全な成長に望ましくないものや、子どもたち自身や社会に対して不利益になるよ
うなものも少なからずあります。そこで、子どもたちを保護する観点と、子どもた
ち自身が地域社会の中で自分たちの夢や希望を実現していく力を身に着けるため、
子どもの権利やそれを妨げる問題について、研修やイベントを通して伝えています。
また地域社会をよくしていくのは、子どもたち自身でもあるという意識を持ってもら
うため、課外活動の時間を利用して地域の清掃活動などにも取り組みました。
※子どもたちが、
自ら考えて意思決定し、
それを他者に伝えることができるようになることを目 家族キャンプの一場面。ゲームを通して親子のきずなを深
めます
指す学習
将来の夢を実現するために、子どもたちが守られるべき
権利をもっていることを学びました
2
さまざまな子どもの権利とそれを脅かす問
題について学んでいます。今日のテーマは人
身取引です
課外活動の一環で行われた、地域の清掃活
動に子どもたちは取り組みました
経済開発プロジェクト ー収入向上のためにグループで協力して取り組んでいます
経済開発プロジェクトでは、貧しい家庭が生活に必要な収入を得られるようにな
ることを目標に活動を進めました。まずこの活動に興味、関心のある人々のグルー
プを組織し、グループに対して情報提供や研修などを行いました。対象グループ
の人々は、有機的な養豚や適切な米の栽培について得た知識や技術を、実際に自
分の農地や実験農場で試し始めています。これらの研修は、郡の農業事務所といっ
た行政からの協力も得て実施することができました。
地域の水不足の解消については、灌がい設備の設置などの話しあいを引き続き行っ
ています。
農民グループを対象に、
子豚の支援を行いました
農業生産性向上のための研修を受けた後、
高収量品種の種もみ
を支給しました
農業研修の様子。
環境に配
慮し、化学肥料や農薬に頼
らずに高い収量を得る方法
について学びました
タイ王国 タプラヤ地域開発プログラム(THA-191642)
2023
3
保健衛生プロジェクト ー予防啓発の取り組みでは、子どもたちも大切な役割を担っています
昨年度に続きプロジェクトでは、子どもたちを含む地域住民の保健衛生状態
をケア、保健ボランティアの能力強化に取り組みました。病気の予防や感染
症拡大の防止、HIV/エイズや結核感染の可能性が高くなる行動を避けること
の大切さや、新生児や妊婦のケアの重要性が、ボランティアを通して地域住
民に伝えられています。また、今年度は新たに地域の中で障がいを持つ人々
のケアを行うボランティアに対し研修を行いました。これらの具体的な取り組
みが、さらに来年度以降拡大すること
を期待しています。
地域住民や子どもたちへの予防啓発の
新生児と産前産後ケアについて、保健ボランティアが地域の
母親を対象に研修を行いました
取り組みでは、子どもたちが予防接種
推進のパレードやイベントに参加する
など、子どもたちも大切な役割を担っ
ています。また学校での虫歯予防キャ
ンペーンでも、子どもたち自身がメッ
セージを発することで、多くの人々の
注意を喚起することができました。
虫歯予防のための歯磨きキャンペーンを、
学校と協
力して行っています
予防接種推進
キャンペーンの
行事に参加した
子どもたち
スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトーチャイルドの健やかな成長をともに喜ぶために
「スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクト」は、チャイルドとの手紙の
交流や毎年の成長報告などを通して、チャイルドとスポンサーの皆さまが支援
の成果を実感し、その喜びを共有していただくための活動です。具体的には、
チャイルドの成長を定期的にモニタリングし、支援事業がチャイルドとその家
族、さらに、地域の人々の生活にどのような変化をもたらしているかの確認を
行っています。また、チャイルドの家族や地域の人々が、ADPの目指す「子
どもを中心とした開発」について理解し、様々な分野で実施している支援活動
において、一人一人がそれぞれの役割を理解し、将来的に活動を担っていけ
るよう支援しています。「子どもを中心とした開発」の例として、子どもフォー
ラムなど、子どもたち自身が自分たちの声を大人たちに届けていく活動も行っ
ています。
収支計算書
会計報告
スポンサーからの手紙を受け取り喜ぶ子どもたち
支援分野別内訳(THA-191642)
チャイルド ストーリー
生計支援のおかげで貧困状況から脱することができました
パイロット君 (10 歳 ) ワチャラポン君 (7 歳 )
タイ国サカエオ県で母親と祖母と一緒に暮
らすパイロット君とワチャラポン君の兄弟に
は、将来、先生や警察官になりたいという夢
があります。以前は、父親の仕送りと母親と
祖母の稲作仕事だけでは生活が厳しく、兄
弟の将来を考える経済的余裕はありません
でした。さらに地域を干ばつが襲い、米が
不作となり、米を買うために人に借金をしな
ければならないという苦難を家族は経験し
ました。ワールド・ビジョンは生計の手段と
して、この家族に子豚を2 頭支援し養豚の訓
練を実施しました。今では、豚を売ることで
家族は収入を得ることができます。また、兄
弟が通う学校でキノコの栽培プログラムを
実施したことで、生徒たちは栄養豊かなキノコを収穫することができま
した。
「ワールド・ビジョンの生計支援のおかげで、貧困の状況から脱
することができたことをありがたく思っています」と母親と祖母は話しま
す。2 人の兄弟は夢の実現に向かって、機会が与えられたことに喜んで
います。
豚舎の前に母親と祖母と一緒に立つパイ
ロット君
(左)
とワチャラポン君
(右)
プログラム担当者から:平本 実
タイ王国とカンボジア王国の国境沿いに位置するタプラヤADP。国境を超えたカンボジア側では、トモプオADP
の支援が今年度から始まりました。陸続きの国境では、地域住民は比較的自由に行き来ができるため、高い賃金
を求めてカンボジア側からタイのタプラヤ側へ渡ってくる労働者も少なくありません。子どもたちの国籍や人身取
引など、目に見えない問題も少なからずあります。将来、この2つのADPが協力してそれらの問題に取り組めない
か、思案しているところです。
チャイルドとその母親と平本スタッフ
国境検問所で聞き取りをする平本スタッフ
2012年度 プログラム近況報告(2011年10月1日∼2012年9月30日)
タイ王国 トゥンワ地域開発プログラム(THA-191647)
すべての子どもが健全に成長できるよう、
地域の課題に取り組んでいます 子どもキャンプにて、違いを超えてみんな仲良く!
トゥンワ地域開発プログラム(以下、ADP)では、教育、
されていますが、このトゥンワでは平和な共存生活が営
保健、経済開発、スポンサーシップ・マネジメント・プ
まれています。ADP の活動は宗教のいかんに関わらず、
ロジェクトの 4 分野で支援活動を行っています。仏教
すべての子どもを対象に進められ、この地域の平和と安
徒が主流のタイ社会において、トゥンワADP のある南
定の一助となっています。そこで働くスタッフもイスラム
部のこの地域は、イスラム教徒が多数を占めます。機会
教徒、仏教徒がおり、そのチームワークで地域から信頼
や経済的格差を理由に民族・宗教間の対立が取りざた
を得ています。
❶教育開発プロジェクトー子どもたちが生きる力を養うための教育に取り組んでいます
❷保健開発プロジェクトー文化や宗教の違いにも配慮しつつ学んでいます
❸経済開発プロジェクトーグループによる収入向上のための試行錯誤が続けられています
プロジェクト報告
2008
1
2012
教育開発プロジェクト ー子どもたちが生きる力を養うための教育に取り組んでいます
子どもたちが年齢に適した教育を受けることの重要性を認識し、実
践できるように教育機関との連携を持ちつつ、子どもたちとその親に
啓発活動や研修を行いました。
また、子どもと若者が地域での生活をより良いものにしていくため、
※
ライフ・スキル・トレーニング にも取り組んでいます。タイ南部はビー
チ・リゾートなど観光地も多く、子どもの健全な成長に望ましくない
情報や文化の流入などの危険が少なからずあります。そこで、子ども
たちを保護する観点と、楽しい行事を通して子どもたち自身が地域社
会の中で自分たちの夢や希望を実現していく力を身につけられるよ
う、さまざまな課外授業や遠足、キャンプといった行事が企画、実
施されました。
キャンプでゲームをして楽しむ子どもたち
※子どもたちが、自分で考え、
意思決定し、それを伝えること
ができるようになることを目指
す学習
キャンプに参加し、同
世代の仲間たちとレク
リエーション活動を楽
しむチャイルド
交通警察と協力して、
交通安全教室を開催
しました
2
保健開発プロジェクト ー文化や宗教の違いにも配慮しつつ学んでいます
保健開発プロジェクトでは、地域住民が衛生環境に気を配り、感染
症の予防についての知識や理解を深め自ら予防のための行動をとるこ
とができるようにしています。また、保健ボランティアを中心にした情
報の伝達や、生活習慣を変えるための働きかけを行っています。保護
者たちが母子保健や乳幼児に栄養のある食事を与えることの大切さを
理解できるように研修を行ったり、青少年が性と生殖に関する正しい
知識を持ち、健康の重要性を理解できるようになることを目指して啓
発活動に力を注ぎました。
イスラム教徒が多い支援地域ですが、宗教や文化が異なると生活習
慣も異なります。啓発や研修は、そのことを踏まえて計画しなければ
なりません。指導するスタッフやボランティアにとっては、大きな挑戦
でもあります。
行政の保健機関や
学校と協力して、子
どもたちにも保健衛
生の重要性が伝えら
れます
講義形式だけでなく、
学んだことを日々の生活に応用できるように話しあい
ます
衛生的な環境の大切
さを理解し、地域の
清掃に参加する親子
タイ王国 トゥンワ地域開発プログラム(THA-191647)
2023
3
経済開発プロジェクト ーグループによる収入向上のための試行錯誤が続けられています
貧困家庭が十分な収入を得て生活を営むことができるように、昨年度に引き続き、グルー
プによる収入向上のための支援活動を行いました。また今年度は対象となる地域を拡
大しました。活動内容は、養鶏、ウズラの飼育、ナマズの養殖やヒラタケの栽培など多
岐にわたります。生産されたものを販売することで収入を得、それをさらに回転資金に
しているグループもあります。しかし、市場の価格とかかる時間やコストが釣り合わない
ため、収入につなげられないグループもあり、試行錯誤が続けられています。
また、家計支出を計画的に行う
重要性を認識し、貯蓄ができる
アヒル飼育グループに参加して美味しい卵が食べられ
るようになりました
ようになることを目指した研修も
行いました。さらにプロジェクト
では、グループ運営についての
訓練を行うとともに、将来それ
らグループがつながりを強め、
協力をしていくことができるよう
手に入れたアヒルの
卵の一部は塩漬けに
して、保存食として売
り現金収入になって
います
働きかけています。
子どもたちもウズラの卵を集める手伝いをします
スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトーチャイルドの健やかな成長をともに喜ぶために
「スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクト」は、チャイルドとの手
チャイルドの家庭を地域の
お母さんたちが訪問。支え
あう文化が育っています
紙の交流や毎年の成長報告などを通して、チャイルドとスポンサーの皆さ
まが支援の成果を実感し、その喜びを共有していただくための活動です。
具体的には、チャイルドの成長を定期的にモニタリングし、支援事業がチャ
イルドとその家族、さらに、地域の人々の生活にどのような変化をもたら
しているかの確認を行っています。また、チャイルドの家族や地域の人々
が、ADPの目指す「子どもを中心とした開発」について理解し、さまざ
まな分野で実施している支援活動において、一人一人がそれぞれの役割
を理解し、将来的に活動を担っていけるよう支援しています。「子どもを
中心とした開発」の例として、子どもフォーラムなど、子どもたち自身が
自分たちの声を大人たちに届けていく活動も行っています。
収支計算書
会計報告
ス ポ ン サ ー か らも
らった手紙を見せる
チャイルドと家族
支援分野別内訳(THA-191647)
チャイルド訪問
タイ トゥンワ地区に住むチャイルドを訪ねて
別府 優子 様
支援チャイルド:ネティプム君 14 歳
ためにご両親を手伝っていることな
ネティプム君を支援してから2 年
ど、
彼を取り巻く環境が厳しいこと
が経過した夏に、私は個人訪問を
を彼の家 族が 話してくれました。
決心しました。彼は絵が好きで、
トゥンワ地区の高校進学率は30%
別府さんとチャイルド
よく海の絵を送ってくれていたこと
程度とのことですが、彼にはぜひとも高校へ進学し
を思い出し、遊具やお菓子と一緒にスケッチブック
てほしいと伝えました。十分に職業観も育たないま
や絵の具や色鉛筆などをお土産として用意しまし
ま、生活に翻弄されて貧困から抜け出すチャンスを
た。ハートヤイ空港から舗装されていない小道を車
失ってほしくないと思ったからです。話をした後、ご
で約 2 時間進み、トゥンワ地区のネティプム君のい
両親の考えに変化が起きたのか、5 年後にまた会い
る学校へ向かいました。はにかんだ様子で現地ス
たいと言ってくれました。5
年後は彼が高校を卒業
タッフと一緒に私を待っていた少年は、ワールド・
するときです。5 年後、彼が今よりももっと強い信
ビジョンから最初にいただいた写真よりもずっと成
念と目的を持って人生を歩んでいるかもしれないと
長していました。両親がゴムのプランテーションで
思うと、今回の訪問はとても意義があったと思って
夜中に働き、収入が一定していないことや雨期には
います。
その仕事もなくなること、お姉さんが生活を支える
プログラム ストーリー
ナマズの養殖で安定した収入を得られるようになりました
ユーピンさん
「ナマズの養殖を始めるまで、私は日雇い労働者として、夫は建
設作業員として働いていましたが、安定した収入がありませんで
した」と、チャイルドの母親のユーピンさんは語ります。ユーピン
さんは、ワールド・ビジョンからナマズ養殖の起業支援を受け、
養殖のために必要な稚魚を500 匹買いました。現在 4 回目の
養殖に入っています。
「週末は、息子がナマズの餌やりや販売を
します。その収入から、魚の餌を買います。息子のために毎月の
貯金もできるようになり、これからもう1つ養殖池を増やしたい
と思っています」と、少額でも日々収入を得ることができるように
なったことを、ユーピンさんは喜んでいます。
ナマズに餌をやるユーピンさん
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