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8-1 経営戦略マネジメント

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8-1 経営戦略マネジメント
 8-1 参考
競争優位
「競争優位」とは、競合他社と比較して優
位であるかどうかという位置付けのこ
と。製品やサービスなど、競合他社より優
れた価値を提供するためには、競争優位
となる経営戦略を策定する必要がある。
経営戦略マネジメント
8-1-1 経営戦略手法
企業が自社を取り巻くあらゆる変化に適応しながら、他社より優位に立って
事業を推進していくためには、企業としての明確な目的および「企業理念」を
定めると同時に、その達成に向けた明確な「経営戦略」が必要となります。
企業理念とは、企業経営における基本的な考えのことで、具体的には、企業
の存在意義や目指す方向性、行動指針などを明示したものです。
経営戦略とは、企業が持続的な成長を目指し、中長期的な視点で描く将来
的な構想のことです。競合他社と差別化された独自の価値を提供し、競争
優位を勝ち取るための戦略である必要があります。そのため、競合他社の
参考
ベストプラクティス
「ベストプラクティス」とは、経営や業務
のやり方において、最も優れているとさ
れる方法のこと。最良事例や成功事例を
意味している。
参考
「ベストプラクティス」を見つけ出し、
「ベンチマーキング」を行うプロセスが重
要です。
経営戦略は、
トップマネジメントと呼ばれる経営者を中心に、次のような流れ
で策定していきます。
1
企業理念の明示
企業の存在意義や行動指針などを明示する。
ベンチマーキング
「ベンチマーキング」とは、ベストプラク
ティスを求めるために、競合他社との比
較を行い、分析結果から得られたヒント
を経営や業務の改善に活かすこと。
2
企業目標の明示
企業が目指す最終到達点を明示する。
参考
チェンジマネジメント
「チェンジマネジメント」とは、経営や業
務にかかわる様々なイノベーション(革
新)を推進し、成功に導くためのマネジメ
ント手法のこと。
参考
シェアドサービス
425
「シェアドサービス」とは、企業内の人事
や経理、総務などの共通の業務を個々の
企業から切り離してグループ内の一カ所
に集約し、コストの低減やサービスの向
上を図る経営手法のこと。主に多くのグ
ループ会社を持つ大企業の間接業務を
独立させて別会社を作り、各グループ会
社にサービスを提供することが多い。
3
企業ドメインの定義
市場における自社の位置付けを定義する。
4
経営戦略の決定
変化に適応しながら存続するための、将来的な構想を決定
する。
「事業戦略」
経営戦略は、主に「全社戦略」
と
の2つに分けられます。
1
全社戦略
参考
「全社戦略」
とは、複数の事業を展開する企業が、事業ごとに策定される戦略
とは別に、全社的な観点から経営の方向性を示したものです。より高いレベ
ルで持続的な競争優位を実現することが目的です。
(1)全社戦略の種類
全社戦略で示される経営の方向性には、次のようなものがあります。
名 称
説 明
顧客の視点で自社の企業価値を創造し、顧客満足(C S)の向
上を第一に企業経営を行う。
CSは、
「Customer Satisfactioin」の略。
コアコンピタンス経営
自社の強み(コンピタンス)を事業の中核(コア)に位置付け、
経営資源を集中させる。
多角化経営
既存事業とは関連のない事業分野にも進出し、企業の安定的
成長を図る。
グループ経営
独立した複数の企業が一体となって、経営の効率化、市場
シェアの拡大を目指す。
全社戦略を実現するための手法には、次のようなものがあります。
●アウトソーシング
「アウトソーシング」
とは、専門的な技術やノウハウを持つ外部の業者に、自社
「外部委託」
の業務の一部を委託することです。
とも呼ばれます。技術やノウ
ハウを持たない自社で抱え込むよりも、低コストで、より良い成果を生むこ
とができるだけでなく、リスクを低減できるというメリットもあります。アウト
ソーシングを戦略的に活用することで、企業は「選択と集中」を進め、自社の
コアとなる事業に経営資源を集中させることが可能になります。
「コソーシング」
アウトソーシングの形態のひとつに、
があります。コソーシング
とは、自社の業務を外部の業者に全面的に委託するのではなく、一部を委
託し、自社と外部の業者が共同で業務を実施することです。自社は外部の業
者から業務のノウハウを得ることなどが期待できます。
●アライアンス
「アライアンス」
とは、企業間での連携・提携のことです。アライアンスの形態
には、資本関係をともなわずに特定の分野だけで提携する形や、資本関係を
ともなって企業が統合する「M&A」などの形があります。
「合併」
M & Aとは、企業の「合併・買収」の総称で、
は複数の企業がひとつの
「買収」
企業になること、
は企業の一部、または全部を買い取ることです。一
方の企業が存続し、他方が消滅する「吸収合併」もM&Aに含まれます。M&A
は、自社にはない技術やノウハウを獲得することにより、新規事業への展開
を短期間で実現できるのがメリットです。M & Aの目的には、新規事業や市
場への参入、業務提携、企業の再編、経営救済などがあります。
参考
クラウドファンディング
「クラウドファンディング」とは、製品・
サービスの開発や新しいアイデアなどの
実現のために、
インターネットを通じて不
特定多数の人々に、比較的低額の資金
提供を呼びかけて資金調達をすること。
参考
コアコンピタンス
「コアコンピタンス」とは、他社が真似で
きない核(コア)となる技術や資本力な
どの能力(コンピタンス)のこと。自社に
とっての強みであり、独自の価値を創出
し、他社との差別化を図るための経営資
源のひとつと考えることができる。また、
他社との提携の際には、相手に与える影
響力や先導力のキーとなる。
経営戦略
(2)全社戦略の手法
「ベンチャービジネス」とは、新技術や高
度な知識、創造力、開発力などをもとに、
大企業では実施しにくい新しいサービス
やビジネスを中小企業が展開すること。
第8章
CS経営
ベンチャービジネス
参考
規模の経済/範囲の経済
「規模の経済」とは、生産規模が拡大す
るに従って固定費が分散するため、製品
1個当たりの総コストが減少するという
考え方のこと。
「範囲の経済」とは、新しい事業を行う場
合に、既存の事業とのシナジー効果(相
乗効果)を活用することによって、コスト
を削減できるという考え方のこと。例え
ば、経営資源を他の事業と共有すること
で、効率的に利用できる。
参考
経験曲線
「経験曲線」とは、製品の累積生産量が
増加するに従って、労働者の作業に対す
る経験が積み上げられ、その結果、作業
の効率化が進み、単位当たりの総コスト
が減少するという考え方のこと。
参考
M&A
「Mergers and Acquisitions」の略。
426
参考
EMS
「E M S」とは、ほかの企業から受注した
電子機器などの受託生産を行うこと。発
注する企業側では、個々の製品ごとに自
社生産するのでは効率が悪いため、アウ
トソーシングの形態のひとつとしてEMS
を利用する。
「Electronics Manufacturing Service」の略。
2
事業戦略
「事業戦略」
とは、全社戦略にもとづいて、それぞれの事業領域で競争優位を
勝ち取るための具体的な構想を描くことです。競争優位を確立するという
意味において「競争戦略」
とも呼ばれます。
(1)事業戦略の種類
事業戦略には、次の3つの「基本戦略」があります。
名 称
説 明
コストリーダシップ戦略
競合他社に対してコスト面で優位に立つための戦略。単に
販売価格を下げるのではなく、仕入先の変更による原価の
低減や、業務の効率化による人件費の削減といった努力が
求められる。
差別化戦略
製品やサービスに独自の価値を追加することで、競合他社
との差別化を図る戦略。コアコンピタンスを十分に発揮す
ることが重要となる。
集中戦略
特定の顧客層や地域、流通チャネルなどに経営資源を集中
することで、効率化を図ると同時に独自性を打ち出し、コス
トの低減や差別化を実現する戦略。
参考
競争戦略論
競争戦略論の第一人者であるマイケル・
E・ポーターは、あらゆる業界の競争状
態は、次の5つの要因(ファイブフォー
ス)によって決まるとしている。
・新規参入の脅威
・業界内における事業者間の敵対関係
・代替製品および代替サービスの脅威
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力
参考
ブルーオーシャン戦略
事業戦略のためのデータ分析の手法には、次のようなものがあります。
●プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)
「プロダクトポートフォリオマネジメント」
とは、企業が扱う製品を、市場占有率
「花形」、
「金のなる木」、
「問題
と市場成長率を軸とするグラフにプロットし、
「負け犬」の4つに分類する経営手法のことです。
「P P M」
児」、
とも呼ばれま
す。4つの分類に経営資源を配分することで、効果的・効率的で、最適な事
業や製品の組合せを見つけ出します。多角化経営を進めるにあたって、各事
業の優先順位や、経営資源の配分などを検討する際に役立ちます。
↑
市場成長率
↓
低
参考
事業戦略を策定する際には、自社が現在置かれている立場や状況を分析
し、企業の強みや弱みを把握する必要があります。
高
「ブルーオーシャン戦略」とは、フランス
のW・チャン・キムとレネ・モボルニュが
著したビジネス書の中で述べられている
経営戦略のこと。この中で、競合他社が
多く、企業が生き残るためには既存の商
品やサービスを改良して争う既存の市場
を「レッドオーシャン(赤い海)」、競合他
社がなく、可能性を秘めた未開拓の市場
を「ブルーオーシャン(青い海)」と名付
けている。ブルーオーシャン戦略では、新
しい市場を開拓し、顧客に対して付加価
値が高い商品やサービスを低コストで提
供することで、利潤の最大化を実現する
ことを狙いとしている。
(2)事業戦略の手法
花形
問題児
投資が必要だが収益が安定している製
品。投資を継続する。
投資することで将来的には成長が見込め
る製品。
投資を追加して花形に育成する。
金のなる木
負け犬
少ない投資で収益を生み出す製品。
過剰
な投資は抑制する。
将来性が低く、投資以上の収益が見込
めない製品。撤退を検討すべき。
大← 市場占有率 →小
PPM
「Product Portfolio Management」
の略。
●SWOT分析
「S W OT分析」
とは、強み(S t r e n g t h s)、弱み(We a k n e s s e s)、機会
(Opportunities)、脅威(Threats)を分析し、評価する手法のことです。
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