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食中毒(細菌性)について

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食中毒(細菌性)について
薬タイムズ 第72号
第72号 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター薬局 07 夏号
食中毒(細菌性)について
厳しい暑さが続く毎日です。今回の薬タイムズでは、高温多湿で体力が落ちやすくな
るこの時期に発生しやすくなる細菌性食中毒についてお話します。
<食中毒とは>
有害・有毒な微生物や化学物質など毒素を含む飲食物、水を人が口から摂取した結果
として起こる下痢や嘔吐や発熱などの中毒の総称です。
その、原因になった因子・物質によって、細菌性食中毒、ウィルス性食中毒、化学性
食中毒、自然毒食中毒、その他、に大別されます。
今回は、細菌性食中毒の中で、発生数が多く、よく耳にする食中毒について、お話し
ます。
<主な細菌性食中毒の特徴や予防方法>
◇サルモネラ菌
約2500の菌型がありますが、最近特に増加しているのはサルモネラ・エンテリ
ディスという、鶏の腸管に普段からいる菌です。
症状
40℃近くの発熱、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
要注意な食品 卵、肉など
予防
熱に弱いので、70℃で1分以上加熱する。
加熱しない食品(卵原料の生クリームなど)は・・・冷所に保存し菌が増
えないうちに早めに
食べる
◇腸炎ビブリオ
海水に存在するこの菌は、海産魚介類に付着して食中毒を引き起こします。海水温度
が高くなる夏季はとくに要注意です。増殖力が強く、次々に菌が移って中毒を起すの
で、調理器具の扱いにも注意が必要です。
症状
激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐など・・・生命に関わることは少ないが
症状が重いと水の様な下痢を1日に10回以上起すこともある。
要注意な食品 海産魚介類など
薬タイムズ 第72号
予防
真水・熱に弱いため、海産魚介類を生で食べる場合は、真水でよく洗い、
早めに食べる。加熱して食べる場合は、65℃で1分以上加熱する。
また、二次感染を防ぐために魚を調理した後の手洗いや器具の洗浄を十
分行なう。
◇黄色ブドウ球菌
人間の鼻やのど、傷口やあかぎれなどをすみかとする。この菌は、増殖するときにエ
ンテロトキシンという毒素をつくり、この毒素が人に中毒を起こします。菌そのものは
熱に弱いのですが、毒素が熱に強いので加熱処理では予防できません。菌を食品につけ
ないことが大切です。
症状
嘔吐、腹痛、下痢など
要注意な食品 食品全般(とくに素手で触れる食品)
予防
調理中の手洗い励行、手指の荒れや傷がある場合は、素手で調理しない。
◇ボツリヌス菌
酸素(空気)がないところで増殖し、熱に強い芽胞(菌の塊)を形成します。この菌
は食品中などで毒素を作ります。このボツリヌス毒素は神経に作用する強力な毒で、死
に到ることもあります。この毒は熱に弱く加熱で毒素を失います。
症状
初期症状は吐き気、嘔吐などで次第に舌がもつれる、頭痛・視力障害お
よび物が飲み込みにくいなどの神経症状が現れる。重症の場合は呼吸困難
により死亡することもある。
要注意な食品 嫌気性食品(びん、缶詰など)
予防
缶詰、瓶詰め、真空パックが膨れあがっているような食品は食べない。
◇病原性大腸菌O157
大腸菌は人の腸にも多く存在する細菌ですが、このうち、はげしい下痢などの腸炎を
起こすものがあり、病原性大腸菌と呼ばれています。病原性大腸菌O157 はベロ毒素と
呼ばれる強い毒素をつくり、この毒素が悪さをします。早い段階で適切な処置をすれ
ば、多くは回復するので、早めの受診が不可欠です。
薬タイムズ 第72号
保育園や介護施設などでの集団発生が多いことからわかるように、人から人へと直接伝
染することもあります。感染が確認された後の対応も重要です。
症状
初期症状は下痢、腹痛で、発症1∼3日目に血便、激しい腹痛が起こり、
発症5∼10日目で、溶血性尿毒症症候群(HUS)などの合併症が出現す
ることもある。重症の場合は死に到ることもある。
要注意な食品 様々な食品に注意が必要であるが、肉が最も注意を要する。井戸水を含
め、動物の糞便の汚染のおそれのあるなま水にも要注意。
予防
大腸菌は熱に弱いため、十分に加熱する。手指からの汚染を防止するた
めに手洗いを励行する。
<最後に>
国内で報告されている細菌性食中毒には、今回紹介していない菌によるものもありま
す。細菌性食中毒から身を守るために、食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつけ
る」の三原則があります。
予防を常に心がけてみて下さい。十分な予防を行なっていても、もし、お腹が痛くなっ
たり、下痢をしたり、気持ちが悪くなったりしたら、すぐに医師の診察を受けましょ
う。
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