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中国遼寧省瀋陽市における 「結核移動セミナー」

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中国遼寧省瀋陽市における 「結核移動セミナー」
中国遼寧省瀋陽市における
「結核移動セミナー」
結核予防会 岡田 耕輔
国際部長 結核研究所に対する瀋陽市胸科医院から技術指導の
「PZA薬剤感受性検査の現状」について,複十字病
要請を受けて,
結核研究所抗酸菌部細菌科 青野主任,
院におけるPZAの耐性率,全国の多剤耐性結核菌を
複十字病院 伊医員が訪中することとなった。
そこで,
用いたPZAのPhenotypeとGenotypeとの比較研究を
この機会を利用して,瀋陽市での結核移動セミナー開
紹介した。小職は,
「ポスト2015年世界結核戦略と結
催を打診した結果,胸科医院側から快諾をいただき,
核の早期発見」と題し,新戦略の概要,カンボジアに
セミナーを共催する運びとなった。中国側は「遼寧省
おける疫学調査から得られた知見について紹介した。
医学会結核病学分科会」としての共同開催である。こ
最後に,森名誉所長が,
「日本の結核対策―現状と問
れに際しセミナー講師として,森亨結核研究所名誉所
題点」をテーマに,日本と欧米との比較,日本の死亡
長と小職が追加参加することとなった。
率の高さ,都市における結核問題,BCGの効果,接
セミナーは,
「瀋陽市における結核対策最新知識アッ
触者検診へのIGRA検査の導入に伴う効果などについ
プグレイド研修」として 9 月24日に実施され,胸科医
て説明し,日本が直面している課題と必要とされる対
院の医師,看護師約100名のほか,遼寧省内にある他
策について講演された。また,日本で最近承認された
の結核専門病院の医院長約10名も出席した。その目的
新抗結核薬デラマニドの紹介とそれに対する新しい薬
は,これまでのDOTS戦略の成果やその限界,WHO
剤耐性を作らないための日本の取り組みについても説
が今年策定した新世界戦略を理解するとともに,高齢
明された。ちなみに,森名誉所長は講演の冒頭のご挨
化が進む日本の結核対策の現状を知ることにより中国
拶を流暢な中国語で述べられ,会場から大きな拍手で
の結核対策に寄与することである。
歓迎された。
セミナーでは,先ず,伊医師が「新診断検査IGRA
この他,胸科医院の柳先生による骨結核治療の進歩
の原理と検査方法」と題し,IGRA検査の原理,および,
についての講演,李先生による胸腔鏡の臨床応用に関
QFT-3G,T-SPOT.TBの各検査の特徴やその応用例
する講演の二題もプログラムに組み込まれ,胸科医院
について紹介した。胸科医院では既にT-SPOT.TBが
における最新治療の現場も紹介された。日本人はもと
導入されていて,治療に伴う検査結果の変動の意義な
より中国人講師との質疑応答も活発に行われ,セミ
どに関する質問が寄せられた。続いて,青野主任が,
ナーは成功裏に終了した。
青野主任の講義の一コマ
日本人講師の話を熱心に聴講する参加者たち
11 / 2014 複十字 No.359
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