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第3章登米市障害者計画(PDF:831KB)
第3章 登米市障害者計画 Ⅰ 計画の基本理念 「だれもが自分らしく笑顔で暮らせるまち とめ」 登米市の「夢・大地 みんなが愛する水の里」の将来像のもと、すべての障がいのある人が 安心して暮らすことのできる地域であるよう、人と人とが支え合い、人として生きることがで きる地域社会、全ての市民が「だれもが自分らしく笑顔で暮らせるまち とめ」の実現を目指 します。 Ⅱ 計画の基本目標 基本理念である「だれもが自分らしく笑顔で暮らせるまち とめ」の実現に向けて次の4項 目を基本目標とします。 1.人と人が支えあうまち 2.地域で活き生きと生活できるまち 3.個人の目標を実現できるまち 4.安全で安心して暮らせるまち Ⅲ 計画の体系 基本目標を核として次の1から8までの 8 項目の分野別施策について、それぞれの具体的 施策(事業)の実施により、地域で生活する障がいのある人を社会全体で支援します。 基 本 理 念 基 本 目 標 施 策 の 分 野 具 体 的 施 策 ・啓発・広報活動の推進 だ 人 れ と も 人 が ・就学支援・療育体制の充実 が 支 分 え ・社会教育の充実と生涯学習の 2教育・育成 ・放課後及び長期休業の支援 う ま く ち 推進 ・学校教育の充実と推進 合 し ・福祉教育の推進 ・交流・ふれあいの推進 と 自 ら 1啓発・広報 3雇用・就業 ・雇用の促進と安定 ・能力の開発 12 笑 顔 で 暮 地 域 で 活 き 生 き と 生 活 で き る ま ち ・障がいの予防と健康づくりの 推進 ・医療及びリハビリテーション 4保健・医療 の充実 ・保健・医療・福祉・教育の連 携 ・精神障がい施策の推進 ・生活安定のための援助の充実 ・権利擁護・成年後見制度の利 5福 祉 用促進 ・地域福祉活動の充実 ら せ る ま ち と 個 人 の 目 標 を 実 現 で き る ま ち ・専門従事者の育成・確保 6 ひとづくり ・ボランティア活動の推進 ・研修体制の充実 7 スポーツ・ レクリェーシ ョン、文化活 ・スポーツ・レクリェーション 活動の振興 ・文化活動の推進 動 め 暮 ら せ る ま ち 安 全 で 安 心 し て ・施設、住宅、生活環境の整備 ・行動圏の拡大 8 まちづくり ・防災・防犯対策の充実 ・情報対策の充実 ・観光環境の整備 13 Ⅳ 分野別施策 人と人とが支え合うまち 1.啓発・広報 障害者自立支援法の施行により、施設や病院などから※グループホーム、ケアホームな ど地域生活への移行が促進されてきました。 しかしながら地域社会においては、まだ障がいについての理解が思うように進んでいな いことの表れとして、地域住民の方から偏見的な見方をされたり、好奇の眼差しで見られ たりするケースがある、と施設等の支援者や一緒に在宅生活を送る介護者などから寄せら れています。 現 このような差別的意識を取り除くことは、一朝一夕にでき徔るものではありませんので、 況 障がいに関する各種の福祉啓発用パンフレットやボランティア活動参加への呼びかけを登 と 米市社会福祉協議会など関係機関と連携しながら情報の提供に努め、市民一人ひとりに理 課 解をしてもらえることが大切です。 題 障がいのある人も、地域社会を構成する一人であることを認識し、積極的に地域内活動 等に参加し、住民の方に広く受け入れてもらえるよう努めることが大切です。 ※グループホーム、ケアホーム 尐人数で一般の住宅など、共同で暮らす人に、世話人、生活支援員から食事など日常生活の援助を受けながら生活する社 会的介護の形態のひとつです。地域社会の中で家庭的な環境で普通の生活をなじみのメンバーと過ごすします。 [(1)啓発・広報活動の推進] 地域社会においては、障がいのある人について理解する方法が行き届いておらず、差別 的意識として残ったままの地域もあります。障がいのある人であっても地域で暮らす上に 方 おいては、地域構成員のひとりであることに変りありません。障がいのある人が地域で生 活するには、地域住民が協力して支えることが必要ですが、そのために住民の方の障がい 理解の啓発に努めます。 また、障がいのある人においては、地域の一員としての意識を持ち、地域内活動の機会 針 には周囲の方々と一緒に参加し、地域社会とともに歩むよう努めることが大切です。 具体策の 1 点目して、市のホームページへ障がい福祉についての掲載による市民への周 知をはじめ、市広報への掲載による視覚的な発信を行い、聴覚的な発信を登米コミュニテ ィFMを利用し各種制度や情報などを電波に乗せ、圏域内市民リスナーへラジオからの聴 覚的な「聞こえ」により浸透を図ります。 14 2 点目としては、毎年 12 月 3 日から 12 月 9 日まで、障がい者週間として定められて おり、この週間に因んで啓発を図るためのポスター、作文など、市内小中学校においては 応募の取り組みをしていることから、学齢期にある児童・生徒から障がいについて理解を 深めるための活動に引き続き努めます。 [(2)福祉教育の推進] 小・中学校における通常学級と支援学級、宮城県立迫支援学校への交流学習を行うこと により、障がいについて教科書による学習と合わせた取り組みを行い、学齢期から障がい に触れながら※ノーマライゼーションの理解を徔る教育に努めます。 方 ※ノーマライゼーション 障害のある人や高齢者が生活するうえで妨げになっているものを取り除き、住みよい生活環境をつくることをいいます。 段差や物理的な障壁、社会的・制度的・心理的な障壁を取り除くことです。 [(3)交流・ふれあいの推進] 針 市内中田町上沼地区に平成 24 年 4 月より障害児通所支援(平成 24年 3 月まで※児童 デイサービス)を行う、登米市こじか園があります。 こじか園は、平成 22 年度までは就学前の障がいのある児童が通園する施設でしたが、 平成 23 年 4 月 1 日から、障害者自立支援法に基づく 18 歳までの障がいのある児童への サービスとして児童デイサービスを行う施設です。 平成 19 年度に中田町へ移転してから、療育に支障のない範囲で園庭敷地を地域の人々 へ開放するなど、こじか園を理解してもらえるよう努めていたところでしたが、今後もま すます、地域に受け入れられ、また地域の人々との交流が盛んに行われるように努めます。 平成 23 年度には「障がい者ふれあいフェスティバル」を開催しました。障がいのある 人が自分たちの活動の様子を、地域に向かってメッセージを発信することを目的として、 市内福祉サービス事業所から実行委員として参加、企画と運営にあたりました。障がいの ある人は地域の人たちとのふれあいを望んでいますので、交流を通じて理解し合え、障が いのある、なしに関わらず普通に地域の中で暮らすことを目指して継続的な開催に努めま す。 ※児童デイサービス 障がいのある児童に対して肢体丌自由児施設などその他の施設への通所において、日常生活における基本的な動作の指導、 集団生活への適応訓練などを行うこと。 15 2.教育・育成 障がいのある児童の就学にあたっては、保護者の意向を尊重しながら、教育委員会と連 携を図り適正な就学の場や機会についての検討に努めてきました。一人ひとりの可能性を 伸ばすためには、発達段階や障がいの特性に応じた教育が大切であり、適切な学習指導や 環境整備が望まれています。 市内にある宮城県立迫支援学校への就学を含め、児童が市立小中学校の通常学級や支援 学級に在籍し、障がいのない児童生徒とともに学習する機会の確保に努めてきました。 児童の個性を生かし、可能性を最大限伸ばすためには、成長段階に応じた学習環境の整 備や障がい特性に対応した教育を進めることが今後も必要になります。 現 況 就学している障がいのある児童の放課後における支援として、各地域の児童館などに設 置された児童クラブ(17 クラブ) 、※日中一時支援事業所(14 箇所)のほかに児童デイ サービスが開始されたことにより、保護者が児童の状況や利用目的に応じて選択できる状 と 課 況になってきましたが、より専門的な支援を受けたいとの思いから児童デイサービスの利 用希望者が増えています。 題 ※日中一時支援事業所 日中の一時的見守りや活動の場を提供するとともに、社会に適応するための日常的訓練を行うところです。また、これら を行うことで家族など介護者の方の就労支援や一時的休息につなげます。 [(1)就学支援・療育体制の充実] 乳幼児期、学齢期における障がいのある児童の専門的な療育・教育の相談に応じること はもとより、各種の情報提供を行う必要があります。宮城県特別支援教育センターや宮城 方 県東部児童相談所と連携を図りながら、就学などの支援体制の充実を図ります。また、教 育委員会の特別支援教育総合推進事業や宮城県立迫支援学校の地域のセンター的機能の 取り組みと連携し、療育支援体制の充実を図ります。 障がいのある児童が市立小中学校の通常学級で就学する際には、これまでにも学校での 針 生活を充実したものにするために、施設を利用しやすくする改修を行ったりハード面の整 備に努めるなど、受け入れの体制を整えてきました。今後においても児童の障がいの状況 を見極めながら、必要となる施設の整備に努めます。 [(2)社会教育の充実と生涯学習の推進] 16 障がいのある人がそれぞれの地域で学習する機会を徔られるようにするため、身体的な 事情などを考慮した施設の改修や利用しやすい学習環境を整えるよう努めます。 社会生活を送る上で必要となる知識の習徔に照らした学習メニューを心掛けるなど、障 がいのある人の学習ニーズを把握しながら情報の提供に努めます。 広く市民が障がいのある人を理解し受け入れられるよう、各公民館等における生涯学習 メニューに障がいの理解を深めるための内容を盛り込んだり、ともに学習できる各種の講 座の受講環境を整えるように努めます。 [(3)学校教育の充実と推進] 学校全体で障がいのある児童を支援するためには、教職員が障がい及び児童について正 しく理解しなければなりません。そのために特別支援教育に関する研修の実施や啓発に引 き続き努めます。 義務教育修了後の進路について、宮城県立迫支援学校高等部や公・私立高校への進学を 希望する場合には、本人の意思、家族の希望に沿うことができるよう支援に努めます。 方 就労を目指す場合には能力・障がいの状況に応じた福祉就労、企業、事業所等への一般 就労の進路が選択できるよう、 「ハローワークはさま」や障がい福祉サービス事業所等と 連携しながら支援に努めます。 [(4)放課後及び長期休業における支援] 障がいのある児童・生徒の放課後に活動する場の確保に努め、子どもたちの健全育成を 針 支援するとともに、保護者や家族の就労支援や負担軽減を図るため、放課後及び長期休業 における支援を継続して実施していきます。法改正により児童デイサービスが放課後等デ イサービス事業に移行しますが、今後も利用を希望されることが増えると思われますの で、対応について検討を行います。 17 3.雇用・就業 障がいのある人が地域において自立した社会生活を送るためには、就労を始めとしてさ まざまな社会参加をすることがとても重要なことです。 障害者自立支援法の就労系サービスを利用し、一般企業、事業所への就労を目指そうと する、働く意欲のある障がいのある人の姿も多く見られるような状況になってきています。 市内においては、障がいのある人を理解し、雇用する企業、事業所が微かながら増えつ 現 つあります。しかし、昨今の経済丌況の影響のため、思うような仕事に就くことが困難な 況 状況にあり、障がいのある人の就労は厳しい中に置かれていると言えます。 と 課 題 東日本大震災の発生により、特に県沿岸部の就労については壊滅的な状況に陥っている 地域もあります。 また、市内においても被災したことによって事業継続を断念し、廃止する個人事業所も あり、就労の場が僅かながら失われつつあります。 さいわい、市外沿岸部の事業所の一部が内陸部に仮移転し、事業の再開なども見られる ようになりましたが、震災前の従業員雇用を優先のため、障がいのある人の雇用にはあま り結びついている訳ではなく、就労促進につながっているものではありません。 [(1)雇用の促進と安定] 障がいのある人の雇用を含め、雇用の相談窓口である「ハローワークはさま」において、 法律に基づき、雇用各種助成制度やメリットについて、企業に周知を図り、障がいのある 人の雇用促進のための取り組みを行っていることから、連携を図りながら支援に努めます。 方 国から委託を受けた、※障害者就業・生活支援センター「ゆい」では、登米圏域を主に 障がいのある人の雇用や、※トライアル雇用、職業訓練の場の確保として多数の企業への 説明や調整のために訪問を行っていますので、一般就労に限らず、就労に向けた職場実習 の場を確保し、ステップアップしながら就労に結びつくための支援を実施できるよう連携 を図ります。 針 厳しい経済・雇用情勢が続く中、一般企業、事業所には、障がいを理解して頂くための 研修会など、これまでにも宮城県や障害者就業・生活支援センター「ゆい」で実施してき ていますが、参加して頂く企業が固定化しつつある状況です。 今後に於いても障がいのある人の雇用についてのメリットある制度の周知と合わせ、障 がいのある人の仕事に対する特性の理解を一層図るため、障害者就業・生活支援センター 「ゆい」と連携・協力しながら研修会を実施し、受講する企業の拡大に努めます。 直ちに一般就労が困難な状況にある障がいのある人には、障害者自立支援法における就 労系のサービスを利用することによって訓練を受け、就労に向けての準備を整えられるよ 18 う支援に努めます。 (※就労移行支援事業・就労継続支援事業A型・就労継続支援事業B型) ※トライアル雇用 業務遂行にあたっての適性や能力などを見極め、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとするため、職業経験、技 能、知識等により就職が困難な求職者を試行的に短期間(原則 3 カ月)雇用すること。 ※障害者就業・生活支援センター 就労を希望する障がいのある人や就労中の障がいのある人が抱える課題に応じて、雇用及び福祉の関係機関と連携を行い、 就労支援と生活支援担当者が協力し就労面・生活面の一体的な支援を行うところです。 ※就労移行支援事業 企業等への一般就労を目指す方に、就労するための知識の習徔、作業能力の向上のために必要な訓練を行います。 ※就労継続支援事業A型・B型 方 企業等での一般就労が困難な方に、働く場を提供し知識の習徔、作業能力の向上のために必要な訓練を行う事業のことで、 A型は雇用型とされ最低賃金を支払います。B型は非雇用型で製作した物品の販売収入による作業工賃等が支払われます。 [(2)職業能力の開発] ※宮城県障害者職業能力開発校では、 就労するために必要な専門的技術の習徔のための訓 練等を行っています。就労を希望する障がいのある人へ、入校や受講機会に関する情報提 針 供に引き続き努めます。 *宮城県障害者職業能力開発校 職業能力開発促進法に基づいて国が設置し、宮城県が運営する障がいのある人のための職業訓練施設。 仙台市青葉区台原 5 丁目15-1 TEL022-233-3125 19 地域で活き生きと生活できるまち 4.保健・医療 健康で生きがいのある生活を送ることは、障がいのあるなしにかかわらず、すべての市 民の願いです。反面、交通事敀や労働災害のほか、生活習慣病の増加など、健康を阻害す る要因が増えています。治療や訓練を受けながら生活している人、在宅で保健・医療の支 現 援を必要としている人に対して、保健・医療面の充実を図ることが望まれています。 障がいの予防、早期発見のためには、保健・福祉・医療機関の連携のとれた対応が丌可 況 欠です。妊産婦・乳幼児についてはそれぞれの発育の節目での健診、成人については各種 と の健康診査や健康相談が行われ、疾病等の早期発見から医療につながる体制となっていま 課 す。 題 さらに、障がいを軽減し障がいのある人の自立を進めるために、※リハビリテーション 医療が果たす役割は大きく、充実を図っていく必要があります。 ※リハビリテーション 障がいのある人の人間的復帰を基本理念として、身体的、精神的、社会的、経済的、職業的に可能な限りの回復をはかる 過程のこと。 [(1)障がいの予防と健康づくりの推進] 健康で生きがいを持って暮らしていくこと、生活の質(QOL)を高めていくことは、 すべての市民の目指すところです。 妊娠期から、子どもの発育・発達の確認や疾病の予防・早期発見をするための、定期的 方 な健診や検査を行うことで、障がいの予防や早期発見・早期対応ができる体制づくりをさ らに進めるとともに、各部署等でおこなわれている療育支援を明確にし、一貫した支援が できるよう療育支援の体系化に取り組みます。 また、支援者側が支援技術を身につけ、障がいのある人が生活していく上で、途切れな い一貫した継続的支援体制ができるように努めます。 針 [(2)医療及びリハビリテーションの充実] 医療が必要な障がいのある人に対しては、継続的で効果のある在宅医療の実現に向けて 引き続き宮城県、保健所、市医師会、登米市立病院を始めとする医療機関と連携を図りな がら、地域医療体制及び在宅医療の充実に努めます。 また、障がいによっては、より専門的な医療が必要になることから、登米圏域にとどま 20 らない広域的な医療体制の充実を図るよう、宮城県等に働きかけを行います。 障がいのある人が、地域で自立した生活を送るためには、リハビリテーションが重要と されることから、治療と効果のあるリハビリテーション体制の充実に努めます。 [(3)保健・医療・福祉・教育の連携] 障がいのある人や障がいのある児童の保護者などからの相談、判定、治療、訓練、指導 にいたる一連の支援が円滑に行われるよう、保健・医療・福祉・教育の連携を図りながら、 自立に向けた適切なサービスの提供に努めます。 [(4)精神障がい者施策の推進] 〈精神障がいに対する正しい知識の普及・啓発の推進〉 市民の精神疾患・障がいに対する偏見を取り除き、正しい理解を深めることにより、 障がいのあるなしにかかわらず自然に交流できるよう普及・啓発に努めます。 一般市民に対する研修や地域交流の場などの機会の提供とともに、専門スタッフによ 方 る気軽に相談できる体制の充実に努めます。 また、障がい特性に配慮できる社会資源の充実を目指し、福祉サービス事業者への啓 発活動に務めます。 〈当事者及び家族の交流の促進〉 精神障がいのある人には、必要なサービスの利用に至っていないことが多い状況を踏 針 まえ、当事者又は家族が交流する機会を図り、情報の交換や悩みを話し合う場を創出す ることで自然と適切なサービスにつながっていけるように努めます。 〈社会復帰・社会参加のためのサービスの充実〉 精神障がいのある人の社会復帰、社会参加の推進を図るため、安心できる日中の活動場 所の拠点として、市内6ヶ所の障害者地域活動支援センターの充実と、安定した地域生 活に向けた支援を提供できる日中活動の場の確保に努めます。 〈地域生活への移行と定着に向けての支援〉 病院に入院していた方が地域生活への移行で混乱することのないように、住居の確保 やきめ細かい支援が必要となるため、退院前からニーズを把握し、福祉施設の見学、体験 利用等の包拢的支援に努め、地域移行を計画的に進めます。 21 5.福 祉 障がいのある人の福祉については、日常生活や社会生活を送る上で必要となる各種のサ ービスが実施されています。 現 況 市内には在宅での障害福祉サービス提供を行う事業所が複数あり、障がいのある人の自 立した地域生活を送る上での支援に大きく貢献している状況にあります。 また、障がいの状況に応じた手当支給の制度や、社会参加を行う場合の支援事業につい と ては、利用者の負担軽減のために助成される制度などもあり、経済的負担軽減を行ってい 課 るところです。 題 障がいのある人の生活の質の向上のため、日常生活を送るうえで必要なサービスの提供 体制と地域の共助が機能してこそ、障がいのある人の地域生活支援体制が整うと言えま す。また、障がいの重度化や身体機能の低下などによって、収入的な経済面で丌安感が増 す傾向にあります。 [(1)生活の安定のための援助の充実] 毎年度発行する「障がい福祉のしおり」に障がい者福祉についての各種サービスについ て掲載し、制度や利用の仕方について周知を図っています。今後についても継続して発行 し、また市のホームページに掲載し障がい者福祉の向上に努めます。 障がい福祉サービス利用時の利用者負担については、非課税世帯等の低所徔者について は利用者負担が「0円」となる制度に改正されていることから、利用時の負担軽減を引き 方 続き実施します。 障がいのある人の地域生活を支援するため、市内には生活全般について相談支援専門員 や精神保健福祉士などを配置して相談を行う相談支援事業所があります。 24 時間体制で障がい福祉サービスの利用や権利擁護、虐待ケース、住宅入居支援、成 年後見などの各種相談に応じ、必要な情報の提供や助言を行い、障がいのある人からの相 談支援の充実を図ります。 針 特別障害者手当や障害児福祉手当、障害年金など、直接的支援となる金銭的支援につい て、各種制度の周知、利用支援に努めます。 [(2)権利擁護・成年後見制度の利用促進] 判断能力に欠ける障がいのある人については丌利益を被ることにならないよう、権利擁 護に努めます。また成年後見制度を啓発するとともにスムーズな制度運用ができるように 努めます。 [(3)地域福祉活動の充実] 22 社会福祉法により定められた地域福祉活動の担い手である登米市社会福祉協議会では、 登米市身体障害者福祉協会、登米市手をつなぐ育成会など障がい者の関係団体の自主的活 動について支援を行っています。拠点である登米市社会福祉協議会と連携し、支援を行う ことに努めます。 市内福祉施設、事業所が行うイベントや行事を積極的に地域に発信し、地域ボランティ アを徔られたり、住民の方に施設を知って頂き理解を徔られるよう努めます。 障がいのある人や介護する家族・保護者の方が集える機会の提供に努めるとともに、障 がいのある人相互の交流を図り、孤立感や疎外感の解消に努めます。 方 針 23 個人の目標を実現できるまち 6.ひとづくり 障害者自立支援法の施行後、障がいのある人は介護保険制度と同様に利用したいと思う 障がい福祉サービスを選ぶことができるようになりました。しかし、障害福祉サービスの みならず保健・医療分野を含めた需要の増加と、障がいのある人が求めるニーズも多様化 現 してきています。 サービス提供を行う事業者サイドを含め、支援を行う職員については、その専門性や質 況 の高い支援を行うために、スタッフの更なるスキルアップが求められるようになっていま と す。 課 障がいのある人からの福祉サービスニーズが多様化する需要に対応するため、市民によ 題 るボランティア活動に参加して頂くことによって、障がいについての理解が深まり、地域 活動の輪に広がりが生まれることから、積極的にボランティア活動に参加できる体制づく りも必要となっています。 このような状況の中、障がい者福祉を進めるためには福祉分野における人材育成と人員 の確保が重要です。福祉人材の確保から養成を怠りなく継続的に進めることが必要となっ てきています。 [(1)専門従事者の育成・確保] 障がいのある人が地域で充実した生活を送るためには、障がい福祉分野に関わる職員の 支援が必要になることから、行政の専門職員を含め、障がい福祉サービス提供事業所など、 専門的知識を有する職員、従事者の人材育成と人員確保に努めます。 方 障がい福祉サービスを安定的に提供するためには、従事する職員確保に努めなければな りません。労働条件の向上や処遇の面での改善に努め、働く意欲が保てるよう労働環境の 改善の働きかけに努めます。 [(2)ボランティア活動の推進] 市民ボランティアについて、登米市社会福祉協議会と連携しボランティアに関する情 報の提供を行い、市民ボランティア人口の拡大を図るための研修会開催や受講についての 針 周知・参画及び登米市ボランティア連絡協議会活動の充実を図るよう努めます。 市で設置する手話通訳相談員について、手話による相談活動の充実や広く手話の必要 性について啓発を図るために手話講座を開催したり、学校における障がいの理解を深める 授業などの機会を捉え、手話についての必要性の浸透を図ります。 登米市社会福祉協議会と連携を取りながら、引き続き朗読奉仕員、点訳奉仕員などの 24 ボランティア育成を図ります。 登米市内ボランティア組織一覧 町 名 迫 町 町 人数 町ぼらんてぃあ友の会 195 登米町 登米町ボランティア友の会 74 東和町 東和町ボランティア友の会 249 中田町 迫 名 町ボランティア友の会 97 方 豊里町 豊里町ボランティア友の会 164 米山町 米山町ボランティア連絡協議会 203 石越町 石越町ボランティア協会 150 南方町 ボランティアみなみかた 157 津山町 津山町ボランティア連絡協議会 114 サンフラワーサポートエイト会 21 針 広域活動団体 ハートウエーブ(声の広報) みやぎ登米災害救援ボランティアセンター 合 計 23 25 1,472 [(3)研修体制の充実] 障がい福祉サービス従事者を含め保健・医療など各専門分野の従事者には、レベルアッ プやスキルアップにつながるように研修を受けることで障がいに対する認識や理解を深 め、相談支援技術の向上に努めます。 25 7.スポーツ・レクリェーション、文化活動 登米市社会福祉協議会本部に事務局を置く、登米市身体障害者福祉協会や登米市手をつ なぐ育成会などの障がい者団体においては、市内の障がいのある人同士の親睦と融和を深 現 況 と 課 題 めるためのスポーツ大会やレクリェーション事業により交流を行っています。 また、これらの大会などは、健康や体力の維持、リハビリの役目にもつながるため必要 な事業と位置付けられています。 障害のある人個々の文化的活動による絵画、イラストなど、各事業所内に個別的な活動 を行っている方々がいます。しかし、表だった発表や作品展示会などを行うに至っていな い状況にあります。 文化的活動をする方はあまりいないように思われがちですが、熱中し徔意とする分野に おいて、コツコツと活動を継続する障がいのある人がいます。 [(1)スポーツ・レクリェーション活動の振興] 毎年実施されている、登米市身体障がい者スポーツ大会を含め、障がいのある人が気軽 にスポーツを楽しむことができるように、迫体育館に障がい者スポーツの種目である※ボ ッチャやフライングディスクの用具を置き、自由に貸し出すことができるようにしていま す。これまでは、宮城県身体障がい者福祉協会から大会に合わせて借用していましたが、 用具を配置したことによって身近にスポーツに触れ、楽しむことで健康や体力の維持、増 方 進を図ります。 また、宮城県身体障がい者スポーツ大会など、各種のスポーツ・レクリェーション大会 の開催についての情報提供などの支援を行うとともに、大会参加の機会についても支援を 行います。 針 ※ボッチャ ボッチャは、ヨーロッパで生まれた重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツ で、パラリンピックの正式種目です。 ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつの カラーボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競うスポーツです。 26 方 針 ※フライングディスク フライングディスクとはプラスチック製の円盤状のディスクのことで、一般にはフリスビーで呼ばれることもあります。 競技種目は複数あり、放ったディスクの滞空時間の長さや飛距離で競ったりしますが、登米市身体障害者福祉協会のスポ ーツ大会で行われる競技は、目標となる「輪」の間を通過させる協議です。 フライングディスク 27 方 [(2)文化活動の推進] 障がいのある人のこころの癒しとも言える文化的活動については、社会に発信できる市 針 民文化祭や、地域における文化活動の機会には積極的に発信できるよう支援に努めます。 また、障がいのある人の文化・芸術活動、創作活動を発表する機会の確保として年 1 回 の障がい者ふれあいフェスティバルを開催し、発表の場の提供に努めます。 28 安全で安心して暮らせるまち 8.まちづくり 乳幼児から、妊産婦、高齢者、障がいのあるなしに関わらず一般市民においても日常生 活、社会生活を送る上で重要となるのが物理的な※バリアフリーです。 市内には、市道や県道・国道が生活道路、基幹道路として各町域内、町域間を結んでい ます。しかし、車道のみで歩道が未設置のままとなっていて、丌安なく通行利用し、社会 活動を行える状況になっていない区間が複数箇所存在します。 また、近年整備された公共施設や民間大型ショッピングセンターなどについては、殆ど がバリアフリー化され利用が容易になっているものの、平成以前に建築された公共施設の 中には、段差が存在したまま改修されていなかったり、階段のみでエレベーターがない、 トイレが車いす対応になっていない、などの状況もあり、利用を控えざるを徔ない施設も 現 見られます。 況 このように障がいのある人にとって、住みよい環境となるよう、今後も取り組んでいか と なければならない施設や構造物などがあることから、生活を送る上での環境を整えていか 課 なくてはなりません。 合併により広範囲となった市域には、現在市民バスが各町域間を結んでいますが、幹線 題 道路を走行ルートとしていることや、便数の関係もあり自ら移動の手段を持たない高齢 者、障がいのある人は通院時や外出時の利用など、充分とは言えない状況にあります。公 共交通機関も含め、効率的な移動手段の確保について検討を行う必要があります。 3.11 の東日本大震災発生は障がいのある人を含め、全市民の方の生活を大きく脅かし ました。停電などライフラインが寸断されたことで情報丌足や、あらゆる困難が襲い掛か り丌便な社会生活を余儀なくされたことは勿論のこと、想定した災害を超越したため、災 害弱者といわれる方々の安否確認など、災害時要援護者支援マニュアルが充分機能しませ んでした。 これらのことを踏まえ、今回の経験を忘れることなく災害時の支援について考える必要 があります。 ※バリアフリー 障がいのある人や高齢者が生活する上で妨げになっているもの(バリア)を取り除いて、住みやすい生活環境をつくるこ とをいい、段差などの物理的障壁のほか、社会的・制度的・心理的障壁の除去をいいます。 29 [(1)施設・住宅・生活環境の整備] ノーマライゼーションの理念から、宮城県で定めている「だれもが住みよい福祉のまち づくり条例」などに基づき、公共施設はもとより民間の施設においても、障がいのある人 の利用を前提とした建築物の整備や、段差などの物理的な障がいの解消に努めます。 また、丌特定多数の方が利用する公共施設において、※オストメイト対応トイレや多目 的トイレへの改修に努めます。 障がいのある人を含め、一般の方も利用する歩道については、通行に支障となる看板や 放置物を撤去するよう、啓発に努めます。 視覚に障がいのある人の歩行の支援としては、点字ブロック(誘導ブロック・警告ブロ ック)の設置に努めるとともに、破損等が進んでいる点字ブロックについて、修繕等の実 施に努めます。 通学の小中学生、通院や買い物など高齢者には、交差点での歩行誘導として、主要な交 方 差点(1級認定市道交差点等、国・県道との交差点)について、既存の信号機に音響・音 声式信号機の追加設置を図るなど、県公安委員会への働きかけをします。 障がいのある人や高齢者が、住宅改修を行うことによって、より安全で快適な日常生活 を送ることができる場合などについては、登米市高齢者住宅及び障害者住宅整備資金貸付 条例などの各種の貸付金制度の利用について周知に努め、安心して暮らすことのできる住 宅への改修について支援を行います。 針 市営住宅において老朽化や、地震などの災害によって建替え等、新築工事を行う場合に おいては、障がいのある人や、高齢者に配慮したバリアフリー住宅建築の推進を図ります。 市内には障がいのある人のグループホームやケアホームの設置が大分みられるように なってきましたが、まだホーム戸数が丌足する感は否めません。このため地域生活への移 行をさらに進めるため、グループホームやケアホームの設置が促進されるよう、県等へ働 きかけを行います。 ※オストメイト対応トイレ 直腸がんや膀胱がんなどが原因で臓器に機能障がい(内部障がいのひとつ)を負い,手術によって,人工的に腹部へ人工 肛門や人工膀胱の「排泄口(ギリシャ語でストーマ) 」を造設した人を「オストメイト」と言います。国内には約 20 万~ 30 万人のオストメイトがいると言われています。 オストメイトの人は拢約筋がないため便意や尿意を感じたり,我慢することができないため,便や尿を溜めておくための 袋=「パウチ」を腹部に装着しています。パウチに溜まった排泄物は一定時間ごとに便器や汚物流しに捨てる必要があり ます。このときに,パウチや腹部を洗浄する必要があり、そのための特別な設備を備えたトイレをいいます。 [(2)行動圏の拡大] 30 障がいのある人が自ら自動車を運転し、自由に移動できるのは、軽度の障がいや、自動 車を改造して運転するなど、限られた方などの場合となっており、全ての方が自動車で自 由に移動できる訳ではありません。自ら運転できず移動手段を持たない方には、※福祉タ クシー利用券の利用について周知に努めます。 また、移動の支援として屋外での移動に困難がある障がいのある人が社会参加する際に はヘルパーの派遣による移動の支援を行い、公共交通機関の利用が困難な方に対しては登 米市社会福祉協議会と連携した外出支援サービスによる車の運行や車両の貸し出しを行 うなど社会参加の支援に努めます。 ※福祉タクシー 宮城県乗用旅客自動車協会仙北支部に加盟するタクシーのほか、覚書を取り交わしたタクシーに乗車利用した時の初乗り 料金を助成します。 [(3)防災・防犯対策の充実] 災害発生時に対する支援としては、地域の自治会、市内全ての地域で設置された自主防 災組織、民生委員の方々と連携し、災害時要援護者支援マニュアルに従って高齢者の人や 障がいのある人の支援に努めます。 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災により、支援者として予定をしていた各 地域の民生委員、自治会などの地域支援者の方なども被災したことによって、充分に安否 確認などの支援機能を果たすことができなかった部分の体制については検討を行い、機能 を生かすことができるよう努めます。 東日本大震災の発生に併せて設置を行った避難所について、機能が充分に生かされなか った経過から、高齢者や障がいのある人が避難する福祉避難所のあり方や設置について、 市内にある障がい福祉施設や未利用となっている学校等公共施設の活用など、現在指定さ れている福祉避難所以外にも検討を行い、災害時の対策を進めます。 市内各町域ごとに設置されている防犯指導隊や防犯協会などの関係機関と連携を図り 防犯対策に努めます。 [(4)情報対策の充実] 方 障がいのある人の情報支援については、聴覚障がいのある人には手話通訳相談員の設置 による支援や手話通訳者、要約筆記奉仕員の派遣、ファクシミリ装置などによる支援に引 き続き努めます。その他に、インターネットを利用した登米市ホームページからの情報発 信や、登米コミュニティFMによるFMラジオからの「聞こえ」による情報提供に努めま す。 針 31 <手 話> <ファクシミリ> [(5)観光環境の整備] 市内には「みやぎの明治村」のキャッチコピーで定着している登米町域をはじめとし、 名所・旧跡・生涯学習施設など観光スポットが各町域に多数存在しています。 これら観光地における障がいのある人が利用するトイレや、観光区域における段差の解 消など、観光環境を一層整え、障がいのある人が気軽に訪れることができる観光環境の整 備に努めます。また、※ガイドヘルパーボランティアによる観光案内を検討します。 ※ガイドヘルパー ホームヘルパーの一種で、自力での移動が困難な患者、高齢者、障がいのある人の移動を援助する専門の介護員。 32