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日本の伝統工芸「つまみ簪」に学ぶ -簪から
【松戸地区】 日本の伝統工芸「つまみ簪」に学ぶ -簪からコサージュ・髪留めへ- 1. はじめに 日本が誇れる種々の伝統工芸の良さが薄れていくなか、エコやリサイクル、もったいない精神を日 本の伝統工芸につなげ、基本の技術や考え等を身につけ、授業の中で活かし、応用することを目指し、 この研修を計画した。 2. 研究計画 (1) 平成 24 年6月1日(金) 研究協議・テーマ設定 (2) 平成 24 年 10 月 22 日(月) 研修会(会場:市立松戸高校 応接室) 講師 千葉県指定伝統工芸師、江戸つまみ簪創作家 穂積 実氏 3. 研修内容 (1) 講義 「簪の今昔」 花、蝶、松、鳥等のパーツが組み合わされて日本の四季が巧みに表現されたつまみ簪。まさに 日本特有の美を伝える伝統工芸である。かつては成人式、七五三と和服に華やかさを出すために 多く使用されていたが、現代では少子化の影響や和服離れ、レンタル利用の多さ、また中国から の安価な輸入品に押され、目にすることも少なくなってきた日本製の簪。ここ数年は浴衣ブーム もあり、夏の女性の髪を飾るだけではなく、装飾品の一部として現代風にアレンジして利用され ている。 正方形の薄い羽二重(絹)の小片をつまんで形作っていくことから名付けられた「つまみ簪」 は、江戸時代から職人の手によって受け継がれ、今に至る。現在、精巧な技を守っているのは全 国でも十数人といわれ、その内の一人である穂積氏は、工房で新風を取り入れながら作品作りに 勤しんでいる。過去は振り返らず、伝統に縛られすぎないよう基本の素材の羽二重をちりめんに 変えて、ふくらみや柔らかさを出したり、短い髪にもつけられるようピン留めでのつまみ簪を考 案する等、常に流行の最先端を研究し、作品に取り入れている。 (2) 実演と製作実習(今回は愛らしい小花作りに取り組む) ①台を作る(今回は穂積氏考案の台を利用) 。 ②のり板に糊を3ミリ程度に平らに敷く。 ③花びら作り(基本はつまんで折るの繰り返し) 。 正方形に切った布を斜めに二つ折り→更にもう一度二つ折り→折った布の中心をピンセット ではさみ、わ方向に開いている布端を戻すように折り返す→ピンセットで挟み直し②の台の 上に置く→これを繰り返し、必要な花びらの枚数分作る。 ④糊が布になじんだら①の台に花びらをのせていく(5枚のせると梅の花が出来る) 。 ⑤花の中心に飾りをつける。次々と小花が出来、これらをまとめてあでやかな花とする。 4. 研修会を終えて(感想抜粋) ・ 伝統工芸師の先生に間近で手ほどきを受け、簪のパーツを作る貴重な体験をさせていただきま した。技術的なことばかりか、話のひとつひとつに伝統を繋いでいく人の謙虚な姿を拝見でき ました。これからもっと日本の伝統工芸に触れてみたいと思いました。 ・ 普段、伝統工芸に思いを馳せることは少ないのですが、日本で作られ、和服等に使用される江 戸つまみ簪を作る内に日本人の温かい心に触れたようで、とても充実した一時でした。これを 機に日本の美を意識した生活を心がけたいと思います。また、生徒達にも授業を通して日本の 文化を伝えていきたいと思いました。 ・ 布の可愛らしさが出ていて、とても手の込んだ心のこもった工芸品であると感じました。お人 柄も温かく、工芸の歴史がよくわかりました。 ・ 今も実家に七五三で使用した簪があります。姉妹で大切に使用したことを思い出すとともに、 穂積氏の作品かもしれないと思うと嬉しくなりました。 ・ ユーモアに富んだお話と丁寧な御指導で楽しい時が過ごせました。自分が着けた七五三の簪は 綺麗で、その後も何度も見とれ、眺めていた記憶があります。 ひょっとしたら、この簪も穂積先生の作品ではと思いました。 5. おわりに 今回の研修会では、日本の巧みな技に触れ、基本の技術や知識などを理解することが出来ました。 日本のよき文化の見直しが出来たと同時にその素晴らしさにも感動しました。 授業において取り入れる事は難しいが、製作物の端切れの小さな布や時には捨ててしまうような 物から装飾品が作れることを考えたら、もったいない精神のもと、簪ばかりでなく技法を上手に活 用し、ブローチ・コサージュ・髪留め・ストラップ等、いくらでも応用し授業に取り入れる事が出 来るのではないかと感じた。技術は勿論、考え方も取り入れ、無駄のない生活や工夫した生活、心 豊かな生活をする為の精神をも受け継いだ文化の伝承が必要であると痛感した。 お忙しい中、準備、指導くださいました講師の穂積先生に深く感謝申し上げます。