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講義資料(泉講師)[PDF:1.39MB]

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講義資料(泉講師)[PDF:1.39MB]
秋葉原ブランドの情報発信
日本観光振興協会 寄附講義「ツーリズム産業論」
平成24年度
首都大学東京
【秋葉原の観光 ― 説明主旨】
日本政府が推進する訪日旅行促進施策 Visit Japan Campaign 開始の翌2004年、秋葉原では既に
地元主導の観光をキーワードとする活動の萌芽がみられた。その後の国策と連動したATPA設立の背
景をはじめ、商業の街 秋葉原が新たに「観光地」として注目され現在に至る経緯などを説明する。また、
地域と横断的に連携する組織の一例としてNPO法人秋葉原観光推進協会(ATPA)の活動を紹介するこ
とにより、観光を切り口とする地域活性化や、秋葉原という街のブランド力アップを目指す地域の取り組
みに対する理解を深めていただく。
(1)商業地から観光地へ
国土交通省を中心に、関係省庁や民間企業・団体の参加によって構成されたビジット・ジャパ
ン・キャンペーン(VJC)実施本部が2003年4月1日に発足。国をあげての訪日外国人旅行者誘致
が始まった。
2003年10月、秋葉原の免税店を集めた商品勉強会で、VJC実施本部中国担当部長から外国人入
国者数の動向と国の対応、訪日旅行者数増加が見込まれる中国市場への期待などについて説明を
受ける。免税店関係者からは、このような国の政策と生業とを関連付ける情報提供の場が設けら
れたことに対し多くの賛同の声があがった。
これを契機に宝田無線電機社長(現ATPA理事長)が中心となり、翌2004年、秋葉原西口商店
街振興組合(現秋葉原駅前商店街振興組合)に「観光部会」、秋葉原電気街振興会には「観光に
関する特別委員会」が設置された。その後、同年12月には両者が連携する「秋葉原観光部会」が
発足、訪日外国人旅行者招致活動を協力して展開することで合意した。
秋葉原の商店街には従来「観光」に対応するという概念が希薄だったため、2004年は秋葉原
の観光元年と位置づけられる。秋葉原の街自体は現在に至るまで商業地であることに変化はない
が、これ以降「観光」をキーワードに地域でどのような取り組みがあったか、そして一般の認識、
すなわち秋葉原に対するイメージが「観光地」に推移していく背景を以下に説明する。
1
(2)日本ツーリズム産業団体連合会との連携「秋葉原プロジェクト」
2005年4月、(社)日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)1 内の訪日ツーリズム委員会に「東
京部会」が発足した。文化部門ワーキンググループ、スポーツ部門ワーキンググループ、商業部
門ワーキンググループが設置され、商業部門ワーキンググループの強化地区として秋葉原が選ば
れた。
商業部門ワーキンググループは、秋葉原観光部会と協働して訪日外国人旅行者誘致を目指す方
針を打ち出し、ここに「秋葉原プロジェクト」がスタートした。
同プロジェクトは「外国人が安心して買い物の出来る街づくり」と「秋葉原に訪日外国人旅行
者を誘致する活動の展開」を主目的として掲げ、6月には、東京部会商業部門ワーキンググループ
メンバー、秋葉原観光部会役員、電気街振興会や駅前商店街振興組合会員、旅行業関係者、地元
免税店、家電メーカーに加え、TIJ、VJC実施本部、東京観光財団2 などインバウンド推進主要団
体の職員ら約40名が一堂に会し、キックオフ勉強会が行われた。
勉強会のテーマは以下の4項目で、プロジェクトの目的を達成するためのアクションプランが話
し合われた。
1)秋葉原電気街への集客活動
2)キャンペーン、イベント等の提案
3)観光標識、観光バス駐車スペース等のインフラ整備
4)免税に関して
この2年後の2007年に、住民、企業、事業者と千代田区とが街づくりを推進する組織として秋
葉原タウンマネジメント株式会社(TMO)を設立したが、観光に関してはTIJの「秋葉原プロジ
ェクト」がその先駆けだった。以下に具体的な活動事例を紹介する。
1
観光産業に携わる民間企業、業界団体が中心となって提携し、観光に関する政策提言、観光立国実現に向けての
事業展開、観光産業の発展を図り、日本の経済に寄与することを目的として 2001 年に設立。2011 年 4 月、(社)
日本観光協会と合体し(社)日本観光振興協会となる。
2
「活力と風格ある世界都市・東京」の実現を目指して、産業や技術、歴史的・文化的資源など東京の魅力を発
信し、旅行者やコンベンションの誘致を積極 的に展開する東京都の公益財団法人。
2
【秋葉原プロジェクト活動事例】
1)「秋葉原新発見ツアー」
ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部、秋葉原観光部会、TIJの連携で、香港市場に向け
たVJC事業支援として、街の魅力を体験する「秋葉原新発見ツアー」を企画、試験的に催行した。
香港で新聞広告によるツアーの告知を6回行い、秋葉原ではチラシを制作して店頭に配布。ガイデ
ィングは東京観光財団のボランティアガイド、通訳は免税店のスタッフが対応した。
その後、独自の参加者募集サイトが構築され、対象を全世界に広げて「秋葉原新発見ツアー」
が正式に稼働し始めた。当初、年に数回訪日客の多いシーズンに実施してきた同ツアーは、2007
年7月から毎週土曜日の催行となり通年化された。過去通算1,100名以上が参加している。(現在
は期間限定で、より深い内容のツアーに移行している。)
2)プロモーションDVDの制作
2006年に街を紹介するDVD(英語)を地元の協賛も得て制作。“Shopping”と“Culture”の二つ
のパートで構成され、“Shopping”ではパーツ街や免税店・電気店が立ち並ぶ新旧秋葉原の風景や
豊富な品ぞろえ、免税店での多言語対応等が紹介され、“Culture”には海外から注目が集まり始め
ていたアニメ、マンガ、コスプレ、メイドカフェ等秋葉原の新しい文化が盛り込まれた。このDVD
は、国内外の展示会での活用に加え、「秋葉原新発見ツアー」の参加者プレゼントとしても人気
を呼んだ。3
また、当時はまだ「アメリカのサイト」で日本語版のなかったYou Tubeにアップされ、現在に
至るまでに11万回以上再生されている。このような新しい媒体を積極的に活用したのも秋葉原ら
しいといえる。
3
訪日外国人への配布を想定して、PAL と NTSC の両方式で制作。
3
3) その他
秋葉原プロジェクトでは、他にもガイドマップの制作支援、「杭州ジャパンフェスタ 日中大
交流展」や「Yokoso! Japanトラベルマート」等国内外の展示会で秋葉原をPR、「Yokoso! Japan
Weeks」(ビジット・ジャパン事業の強化月間)に合わせて地域内免税店の合同売り出しキャン
ペーンを開催する等、様々な活動を展開した。
また、事業実施以外にも、国土交通省(現観光庁)、東京観光財団、旅行業界幹部、免税店オ
ーナーなどの情報交換、交流の場や人脈形成の場として活用された。
2005年から2007年にかけて、秋葉原は従来のショッピングの街から、商業地と観光地の両面を
備えた街へと姿を変えていく転換期と位置づけられる。この期間に地域内外の異業種連携が推進
され、観光をキーワードとする活動の基盤が形成された。ただし、この時点で活動の中心的役割
を担っていたのは免税店や電気店等であり、ポップカルチャー分野との本格的連携は、これ以降
となる。
(3)観光をフックとする地域活性化における横断的な組織の必要性
~NPO法人秋葉原観光推進協会(ATPA)の設立~
秋葉原では、街全体の活性化とお客様が楽しく買い物ができる環境作りを目指して1979年に
電気街振興会が設立されたが、電気街まつりの企画・実施が活動の中心であった。他の組織も活
動の幅に制約があり、地域横断的に動ける組織が行政以外は長らく存在しなかった。TIJ秋葉原プ
ロジェクト等、観光を切り口とする活動の実績ができ始めたこともあり、より幅広く動くことが
できる組織構築への要望が高まっていった。
商業地区である秋葉原で、観光という間口の広いキーワードをフックに地域活性化を推進す
るためには、業種や業態を超えたネットワークを持ち、かつ中立的な立場の独立した組織の方が
効果のある活動を展開できると考えられた。そこで、秋葉原プロジェクトで事業推進に係ってい
たメンバーが中心となり、電気、ポップカルチャー、先端産業など様々な分野から賛同者を募っ
て、2007年9月にNPO法人秋葉原観光推進協会(ATPA)を設立した。
4
(4)誘致と受入環境整備は両輪の活動
ATPAは、観光をキーワードに地域横断型の産業間連携による地域ブランド力向上と活性化を
目的として設立された。秋葉原プロジェクトの活動の継続と歴史の中で育まれてきた秋葉原ブラ
ンドの更なる向上を目指しつつ、活動領域を拡大している。
また、観光地として歴史が浅い秋葉原の受入環境整備にも注力している。来訪者の利便性をは
かることで秋葉原ファンが増え、リピーターを獲得することは、街の賑わいを生んで地域の活性
化につながる、つまり、お客様を呼び込むことと受け入れる側がそれに相応しい準備(お客様の
期待を裏切らない店づくりや街づくり)をすることのバランスをうまくとることが重要と考えて
いる。また、電気、パソコンに続く街の魅力となっているポップカルチャー系の企業や店舗との
連携にも着手した。
秋葉原における受入環境整備の一例として、APA設立以前の2004年から駅前商店街振興組合観
光部会が制作している、免税店の案内を主とする3ヶ国語(英語、中国語簡体字、韓国語)マップ
や6ヶ国語(英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語、スペイン語、日本語)ホームページが
挙げられるが、以下に近年の事例を紹介する。
事例1)来訪者が安全・安心に楽しめる街を目指して~秋葉原おもてなしプロジェクト
様々な国籍・趣味の人々が集り、安全・安心の中で触れ合える魅力溢れる街 秋葉原の魅力を
最大限に活かすために、ATPAは現在「秋葉原おもてなしプロジェクト」4を展開している。
同プロジェクトは、秋葉原の電気店、ポップカルチャー関連店、学術機関等が横断的に参加で
き、街のブランド力アップと地域の産業振興支援を目指す意欲的な試みである。国内各地の秋葉
原ファンは勿論のこと、新たな購買層として注目されている訪日外国人観光客には、免税商品だ
けでなく日本のポップカルチャーも訴求、様々な「おもてなし」を実施する。
ATPAは、プロジェクトに参加する店舗に掲出していただく「おもてなしロゴ」を開発。現在、
電気店や免税店に加え、メイドカフェ、アニメ、マンガ、エンターテイメント関連店など30店舗
以上にこのロゴを見ることができる。外国人が安心して楽しめる店の選定にあたっては、通訳案
内士5(注)が協力している。
また、プロジェクトを紹介する街の案内役として、オリジナルのキャラクター8体をProduction
I.G.6と制作した。
秋葉原おもてなしロゴ
4
秋葉原おもてなし公式キャラクター
平成 21 年度、22 年度の 2 年間、中小企業庁・JAPAN ブランド育成支援事業として採択された。
5「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすること)を行うことを業
とする」
(通訳案内士法第 2 条)有国家資格者。
6『攻殻機動隊』や『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら~』のアニメ
化を手がける世界的に有名なアニメ制作会社。
5
事例2-1)海外での秋葉原プロモーション:C3 in Hong Kong 2011
日本のアニメのキャラクターを一堂に集めた大型イベントC3 in Hong Kong 2011(C3 日本
動玩博覧2011)
に出展。
最新のアニメキャラクターカルチャーを現地に届けるイベントで、ATPA
は「秋葉原おもてなしプロジェクト」とその案内役のオリジナルキャラクターを初披露。秋葉原
の魅力や街の紹介に加え、アンケート調査を行い、「秋葉原」や秋葉原で営業している店の知名
度が高いことを確認した。
開催期間:2011 年3 月11 日(金) ~ 13 日(日)
会
場:香港會議展覧中心 3FG
事例2-2)海外での秋葉原プロモーション:
「第12回ジャパンエキスポ~JAPAN EXPO 2011~」
「第 12 回ジャパンエキスポ~JAPAN EXPO 2011~」で、ATPA の法人会員 株式会社漫画家
学会が実施する「もえかみ!」7を「秋葉原おもてなしプロジェクト」公式キャラクターを活
用して支援する形で招致活動を行った。 紙芝居口演「ボンジュールおもてなし!」では、コ
スプレをした声優が、日本人のおもてなしの心を説明して日本への来訪を呼び掛けた。オープ
ニングでは、キャラクターを紹介するプロモーションビデオでオリジナル曲「ようこそアキバ
へ!」が流れ、会場の注目を浴び多くの観客が集まり喝采を浴びた。
開催期間 :2011年6月30日(木)~ 7月3日(日)
会
場 :フランス パリ・ノール・ヴイルパント展示会会場
7
萌え紙芝居。日本の伝統文化である紙芝居に「萌え」の要素を加え、ゴスロリ等の衣装を着けた声優がアニメ
ーションのアフレコ(吹き替え)と同じ形式で実演する。
6
事例2-3)海外での秋葉原プロモーション:Visit JAPAN FIT Travel Fair in Bangkok
タイ Visit JAPAN FIT Travel Fair in Bangkokでは、「秋葉原おもてなしプロジェクト」
のキャラクターを使ったスライドショー、「秋葉原おもてなしマップ」、ポスター等で「秋
葉原おもてなしロゴ」掲出店や秋のイベントを紹介して招致活動を行った。また、法人会員
企業の協力でメイドを派遣し、秋葉原ならではの歌やパフォーマンスで会場を沸かせた。日
本のポップカルチャーの海外での人気と、今後の招致活動に活用することの有効性が確認で
きた。
開催期間: 2011年8月27日(土)~ 8月28日(日)
会
場: タイ・バンコクサイアムパラゴン内 HALL OF MIRROR
事例 3)来訪者が求めるものを把握するために ~ 通訳案内士との連携やTICの運営
観光推進や地域活性化において、しばしば検討される課題として「自分たちが見せたいもの、
知らせたいこと」と「来訪者が見たいもの、知りたいこと」にはギャップが生じる場合があるの
で注意しなければいけない、ということがある。観光地において、このギャップを感じることが
できるのは、もっぱら地域外からの「よそ者」であり、このような人達との協働は、先入観にと
らわれない分、ガイドブックにも載っておらず地元も見過ごしているような、新たな魅力の発見
につながるケースがある。当事者はもちろんのこと、第三者の声に真摯に耳を傾けることは、来
訪者の満足を得るために不可欠と考えられる。
ATPAでは、イベント開催時や国内外の展示会出展時にアンケートを採集したり、観光関連業
者や街で実際に来訪者と接している店舗等からヒアリングを行う等して、「今何が求められてい
るのか」を把握するよう努めている。
7
さらに、訪日外国人旅行者対応のプロである通訳案内士と連携することにより、来訪者のニー
ズを知ることができ、また、地域の観光資源を外国人に近い目線で「再発見」してもらい、より
深い案内をすることが可能になっている。例えば、有名スポット、最新スポットの案内ばかりで
なく、秋葉原で今でも操業しているすだれ屋や、宮内庁御用達の箸屋を組み合わせることにより、
日本の生活文化についても話題が及ぶ。ポップカルチャーの紹介としてマンガを語る際に、現在
の人気を語るだけでなく、何百年もの昔から鳥獣戯画や源氏物語絵巻等の絵巻物があること、江
戸の写し絵にアニメの原点をみることができるといった説明を加えることは、日本の伝統文化に
比較的関心の高い外国人に喜ばれている。
ATPAは2010年12月より、JNTOのV案内所の指定を受けた秋葉原観光情報センターを運営して
おり、外国人旅行者のニーズを把握する貴重な場となっている。
日々進化を続ける秋葉原は、店などの移り変わりも速く、ガイドブック類はもとより普通の観
光サイト情報では追いついていないことがある。また、専門的なことやニッチなことを質問する
方も多い。お客様の要望に正確に応えるためには、実際自分の足で歩いたり、街の人に話を聞く
など、新しい情報を常に収集する地道な努力が必要とされている。
8
(5)秋葉原ブランドのさらなる向上と持続可能な観光地を目指して
商業地から観光地へと一般の認識が変わってきた秋葉原だが、商業地区であることには変わり
ない。観光目的の来訪者が消費をしてこそ地域活性化という目的が達成される。一方で観光地と
して持続していくためには、魅力ある地域として秋葉原のブランドイメージを維持・向上させ誘
客を推進すると同時に、来訪者に満足していただくために受入環境を整備していくことが肝要で
ある。環境整備に際しては、地域内の店舗や施設の理解と協力が不可欠になるため、結果として
何がどのような形で地域に還元できるか、という視点を常に持ち合わせていく必要があると考え
る。
今後の取り組みを以下に紹介する。
1.免税店等で買い物をする外国人旅行者には新しい文化としてのポップカルチャーを紹介、ポ
ップカルチャー目的の旅行者には土産物が買える免税店を紹介できるような、相互補完的
な仕組みを考える。
2.上記を実現するために、地域内見学、買い物アドバイス等を外国語で対応できる通訳案内士
と協働する。
3.テーマパークのように街を回遊してもらい滞在時間を長くするために、地元開催のイベント
やキャンペーンとの連動、ゲーム的な仕掛け等を考える。
4.企業、学術機関、行政とのネットワークを活用し、最新の情報や文化、先端技術等を知るこ
とにより、ATPA会員をはじめATPAパートナーのナレッジやモチベーションを高め、新た
な魅力創出へとつなげる。
(6)秋葉原で観光推進を継続するにあたり
秋葉原には多くの業種・業態がありそれぞれの顔がある。受け取る人間により秋葉原のイメー
ジは異なるかもしれないが、この街で働いている者は皆真面目に仕事に取り組んでいることをご
理解いただきたい。一部のメディアによる秋葉原を揶揄するような情報の影響のためか、秋葉原
の良さを知らずに誤解をしている方々がいると感じる。
確かにヘビーユーザーの世界は独特なカルチャーを生んでいるが、それが秋葉原の魅力の源泉
でもある。例えば、ガンダムカフェやAKB48カフェ&ショップは、もともとコアなファンに支持
されていたアニメ、アイドル等のコンテンツが、人気の継続・上昇によって誕生したものであり、
現在では観光地的スポットとしてライトユーザーにも人気がある。このようなライトユーザーで
も楽しめる店やオフィスビル、飲食店のビルが増えてきたことにより、最近は「ちょっと遊びに
来てみた人」、「たまたま勤務地が秋葉原にある人」といった所謂「一般のお客さま」も増加し
ている。
数では圧倒的にヘビーユーザーを凌駕し、地域における消費の担い手でもあるこの「一般のお
客さま」が、妙な先入観を持ったり、いらぬ誤解をしないよう、正確な情報を発信することは、
秋葉原ブランドの向上を目指すATPAの重要な使命だと考える。秋葉原の良さを幅広く伝えるこ
とは、彼らがまた違った観点で街の魅力を発見してコア層化し、新たなヘビーユーザーとなるこ
とにつながるのではないか。現在に至る秋葉原の歴史を振り返ってみると、新しいヘビーユーザ
9
ーが創る新しい秋葉原のカルチャーが、時を経てメジャーになりライトユーザーに波及する、と
いうサイクルが今後も続く可能性は大いにある。
最近の街の様子を見ていると、秋葉原のイメージがまた変化する兆候が既に感じられる。フッ
クとなる要因は時代によって様々だが、ATAPの業態・業種を超えた利害関係のない中立的な立
場という強みを最大限発揮すれば、今後の変化にも柔軟に対応できると考える。観光地へと一般
の認識が変化している秋葉原において、ATPAはこの変化を敏感に察知し、地域に根差した活動
を展開することにより、街が元気になるような地域活性化に貢献したい。そのためにも、常に進
化を続けるこの秋葉原の歴史と文化を尊重し、国内外の方々に安全・安心に楽しんでいただける
よう、観光をキーワードとする街づくりを秋葉原の方々と連携しながら継続していきたいと考え
ている。
(7)Visit Japan大使の会「アキバ文化」視察
意見交換会・ミニツアー/懇親会
報告資料
2012/11/19(月)開催
Visit Japan大使の会「アキバ文化」視察
意見交換会・ミニツアー/懇親会
NPO法人秋葉原観光推進協会(ATPA)主催。秋葉原の観光産業においての
持続的発展に関し、観光庁やビジット・ジャパン大使をはじめ、
都市型商業観光地として秋葉原の魅力的発展を願う90名余りの方々が集い、
意見交換会がおよそ1時間半行われ、今後の秋葉原発展に向けての意識を
深めた意義のある議会となりました。
秋葉原周辺やメイドカフェ体験などを盛り込んだミニツアーも実施され、
コスプレ欧風レストラン”ザ・グランヴァニア”での懇親会でも
志を同じくする方々の結束を再確認できる有意義な場となり
観光戦略の可能性をより強く感じられるものとなりました。
(NPO法人秋葉原観光推進協会 理事/事務局長 泉 登美雄)
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