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第1部《前半》

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第1部《前半》
「消費者と事業者の間の信頼の再構築
のあり方」に関する資料
平成13年10月4日
国民生活局
Ⅰ.日米を中心とした企業行動基準の策定状況
1.米国におけるコンプライアンスの歴史的背景・・・・・・・・1
2.アメリカ peer review panel に対するアンケート調査結果 ・・2
3.企業のコンプライアンス・プラグラムへの取組状況に関する
研究の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
4.倫理の内部制度化の主な手段・・・・・・・・・・・・・・・5
5.連邦量刑委員会が定めたコンプライアンス・プラグラム
(7つの基準) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
6.日本におけるコンプライアンス・・・・・・・・・・・・・・7
7.経団連企業行動憲章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
8.経団連アンケート調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・10
9.経済同友会アンケート調査結果・・・・・・・・・・・・・・14
10.日本監査役協会アンケート調査結果・・・・・・・・・・・・17
11.経営理念の制定・見直し状況・・・・・・・・・・・・・・・19
12.倫理綱領の総合評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
13.倫理綱領の社内での位置付け・・・・・・・・・・・・・・・23
14.独占禁止法に関するコンプライアンス体制の整備状況・・・・25
15.日米の倫理制度化の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・26
Ⅱ.欧米の消費者行政における企業行動基準の位置付け
1.アメリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
2.カナダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
3.オーストラリア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
4.EU諸国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
(別紙)イギリス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
フィンランド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
デンマーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
5.社会的責任に関する取組み・・・・・・・・・・・・・・・・44
Ⅰ.日米を中心とした企業行動基準の策定状況
1.コンプライアンスに関する米国における歴史的背景
1990
1980
ォー
ウ
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ド
事
件
ゲ
ト
事
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事
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・
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景
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動
、
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為
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止
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)
倫理プログラム導入の
動き拡大
1970
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企や
業製
責造
任物
へ責
の任
倫理プログラム導入の
動き始まる
(注)田中宏司「コンプライアンス経営」生産性出版(1998)を参考に作成。
関
係
法
令
等
企
業
倫
理
の
動
向
2.アメリカの「peer review panel」調査結果
① 倫理に関する価値や配慮(concern)を日々の企業の業務に組み込むために何らか
の措置をとっていますか。
はい
93%
192 社/207 社
いいえ
5%
10 社/207 社
計画中
2%
5 社/207 社
② どのような目的を達成するために、倫理を制度化するための努力を行うのですか。
利潤を増加するため
30%
64 社/216 社
従業員に行動のガイドラインを提供するため
94%
202 社/216 社
パブリック・イメージの向上
43%
92 社/216 社
従業員を確実に法律に従わせるため
79%
171 社/216 社
社会的責任を果たすため
95%
205 社/216 社
③ 以下のどの手段を、会社に倫理的価値を組み込むためにお使いですか。
倫理綱領
93%
212 社/229 社
倫理委員会
25%
57 社/229 社
倫理トレーニング
52%
118 社/229 社
会社の構造の変革
13%
30 社/229 社
その他
11%
26 社/229 社
*「会社の構造の変革」とは、取締役会のメンバーの変化、取締役会の役割の
変化、倫理ディレクターの設置、意思決定への労働者の参加等を意味する。
④ 以下の社員に対して倫理トレーニングを行っていますか。
エグゼクティブ・オフィサー
76%
経営陣(management)
95%
他のサラリーを受け取る従業員
84%
時間給労働者
57%
その他
17%
91 社/120 社
114 社/120 社
101 社/120 社
68 社/120 社
20 社/120 社
⑤ もし、倫理方針を成文化している場合、貴社ではそれをどのように従業員に伝達
していますか。
印刷物
100%
223 社/224 社
ワークショップないしセミナー
43%
97 社/224 社
スタッフ・ミーティング
47%
106 社/224 社
社内トレーニング・プログラム
50%
112 社/224 社
社外トレーニング・プログラム
6%
13 社/224 社
⑥ 倫理委員会は、以下にあげる機能を果たしていますか。
倫理方針の見直し
81%
倫理綱領違反の処理
52%
倫理方針への疑問に対する回答
62%
会社の倫理方針の発展
70%
その他
8%
62 社/77 社
41 社/77 社
48 社/77 社
54 社/77 社
6 社/77 社
⑦ 倫理方針を執行するために、以下にあげる公式的な制裁措置を貴社ではとってい
ますか。
解雇
89%
199 社/224 社
降格
44%
99 社/224 社
戒告
76%
171 社/224 社
とっていない
7%
16 社/224 社
その他
8%
20 社/224 社
⑧ 貴社では社会監査に際して以下に示す領域を監査していますか。
製品とサービスの質と安全性
69%
85 社/124 社
平等な雇用機会
91%
113 社/124 社
法律と規制の遵守
84%
104 社/124 社
職場おける安全性ならびに環境保全
72%
89 社/124 社
その他
17%
21 社/124 社
⑨ 監査結果を誰に報告しますか。
一般大衆
株主
取締役会
全従業員
エグゼクティブ・オフィサー
17%
20%
66%
38%
77%
19 社/115 社
23 社/115 社
76 社/115 社
44 社/115 社
89 社/115 社
(注)大山泰一郎「企業倫理の内部制度化」立正経営論集(1996)
1990年フォーチュン誌1000社に対し、ビジネス倫理センターが実施し
たアンケート調査(回答数244社)
3.企業のコンプライアンス・プログラムへの取組み状況に関する研究の概要
著者
USSC(Ethics Resource Centre)
Ward
Still
Schwartz
Weinberger
V.Braithwaite
Andersen
USSC(Laufer)
年次
1996
1997
1997
1998
1990
1993
1996
1996
国
アメリカ
アメリカ
オーストラリア
カナダ
アメリカ
オーストラリア
ノルウェイ
アメリカ
サンプル 従業員4,035人を対象
回答率53%
33%の企業が違反を報告
調査結果
したり、助言を求めたり
する倫理オフィスを設置
している。
5,000企業を対象
Affirmative Action Agenc不明
全米トップ1,000のうち
Affirmative Action Agenc100人の経営者
雇用員50~500人の会社
有効回答数262
に報告をした
ミズーリ州にある27社
に報告をした
212社
86%が正式なコンプライ
アンス方針を持ってい
る。
金融機関上位75社
87%の経営陣がセクハラ
のない職場を推奨してい
る。
回答率74%
70%がインサイダー取引
に関するコンプライアン
スポリシーを用いてい
る。
全ての会社
86%が全従業員向けの行
動指針を作成した。
65%が明確なコンプライ
アンス基準と的確な手続
きを有している。
9%が策定中。
5%がもっていない。
コンプライアンスが規定
している上位8領域は以
下のとおり。
1.倫理、公益と贈与の
葛藤(86%)
2.労使法規(75%)
3.反トラスト、取引規
制及び調達(68%)
4.環境、健康、安全
(65%)
5.ロビー活動、政府と
の関係、政治貢金
(60%)
81%がセクハラの訴えを
取り扱う正式で的確な手
続きを有している。
63%が従業員や幹部に基
準および手続きを伝達す
る冊子を作成している。
58%がコンプライアンス
の監督責任を高い地位の
人に負わせている。
54%が定期的にコンプラ
イアンスプログラムの見
直しや監査を行なってい
る。
47%が不正を見つけ出す
ためにコンプライアンス
体制を調査している。
70%が行動指針の1990年
中の目標をたてた。
31%が環境、健康、安全
について強調している。
37%が環境、健康、安全
についてやや強調してい
る。
32%が環境、健康、安全
に対して関心がない。
75%の企業が高い地位の
者によって監督される行
動基準を有する。(書面
してないもの含む)
71%が自らのコンプライ
アンス・プログラムが効
果があると思っている。
売上1000万ノルウェークローネ以下
の企業の29%が環境、健
約50%の企業では、オー
康、安全が必要だと思っ
ナー、最高経営責任者、
ていない。
社長などに直接報告がで
きる高い地位にある人
を、コンプライアンス担
売上1億ノルウェークローネ以上の 当として設置している。
企業の6%が環境、健康、
安全が必要だと思ってい
ない。
33%が功績査定や昇進決
定にコンプライアンスを
考慮している。
44%が従業員に基準およ
び手続きを説明するため
の研修を実施した。
6.証券法規(55%)
7.知的財産(52%)
8.国際商習慣(46%)
41%がコンプライアンス
手続きを強制する仕組み
を持っている。
38%が雇用者のために不
正を報告する仕組みを有
している。
(注) Ward,A.(1997),"Compliance surveys: Companies say better safe than sorry" 62(7)Corporate Legal Times,pp.1-3
Still,L.(1997),Glass Floors and Sticky Ceilings: Barriers to the Careers of Women in the Australian Finance Industry, Human Rights and Equal Opportunity Commission, Sydney.
Schwartz,M.(1998),"Compliance and business ethics are coming of age in Canada", 12(1)Ethikos & Corpolate Conduct Quarterly,pp.7-9,12.
Weiberger,A.(1990),"Preventing insider trading violations: A survey of corporate compliance programs", 18 Securities Law Regulation Journal, 180-193.
Braithwaite,V.(1993),"The Australian government's affirmative action legislation: Achieving social change through human resource management", 15(4)Law & Policy,327-354.
Andersen,O.(1996),"The Norwegian internal control system: A tool in corporate environmental management ?" 3 Eco-Management and Auditing,pp.26-29.
4.倫理の内部制度化の主な手段
① 倫理綱領(code of conduct ないし code of ethics)
・ 従業員の職場における行動規範(社会に不利益をもたらす行為)
・ 公正な競争を行なうための行動規範
・ 社会で果たすべき企業の責務
・ 会社と従業員との関係(会社側の従業員に対する責務)
・ 違反行為に対するペナルティー(解雇や訴訟など)
・ 倫理委員会の機能、社内監査、倫理に関する質問の照会先など倫理綱
領を遵守させるための機構
② 倫理委員会(ethics committees)
③ 倫理トレーニング・プログラム(ethics training program)
④ 倫理監査(ethics audits)
⑤ 倫理オフィスの設置(ethics office)
⑥ 倫理ホット・ライン(ethics hot lines)
⑦ 倫理に関する問題について従業員がオープンに議論でき、倫理を重視する
組織風土の醸成
⑧ 報酬システム(ethics focused reward system)
⑨ ピアー・レビュー・パネル(peer review panel)
(注)大山泰一郎「企業倫理の内部制度化」立正経営論集(1996)
5.連邦量刑委員会が定めたコンプライアンスプログラム(7つの基準)
① 犯罪行為を合理的に予防することが可能となるような、遵守基準と手続
きを設定すること。
→(予防手続きの成文化、倫理綱領の設定)
② 組織内で、遵守基準と手続きを監督する責任者として、特定の上位者を
指名すること。
→(企業倫理担当責任者の任命)
③ 法律違反を行なう恐れのある人物に、実質的に自由裁量的な権限を委
譲しないよう適切な注意を払うこと。
→(権限委譲者の適正な選任)
④ すべての従業員と関係者に、トレーニング・プログラムに参加させたり、
資料配布するなど、遵守基準と手続きを周知徹底するために必要な措置
をとること。
→(教育・研修プログラムの実施)
⑤ 基準遵守を達成するため合理的な手段として、犯罪的行為を発見できる
ように設定された監視システムや監査システム、あるいは従業員が報復
を受けることなしに犯罪行為を報告できる報告システム等の合理的な措
置を講ずること。
→(企業倫理監査の実施、照会・報告ラインの運用)
⑥ 適切な懲戒制度を通じて、成文化された基準の遵守を徹底してすること。
→(倫理綱領の周知徹底、罰則規定の整備)
⑦ 犯罪行為を発見した場合に適切に対応できるよう、また将来同様の犯罪
行為の再発を防止できるように、あらゆる合理的な措置を講ずること。
→(緊急対応策と再発防止策の確立)
(注)田中宏司「コンプライアンス経営」生産性出版P136より
6.日本におけるコンプライアンス
企業不祥事
コンプライアンスの動向
1980 年代 ココム違反事件
贈収賄事件
1990 年代
公取委「流通、取引慣行ガイドライン」
公表(1991)
米国支店不正取引損失事件
公正取引協会「独占禁止法コンプライア
ンスプログラムの手引き」(1991)
経団連「企業行動憲章」策定(1991)
銅不正取引事件
経団連「企業倫理に関する中間報告」発
表(1992)
総会屋への利益供与
(証券・銀行・百貨店等)
日本経営倫理学会設立(1993)
「製造物責任法」施行(1995)
経団連「企業行動憲章」改定(1996)
粉飾決算、飛ばし疑惑
経営倫理実践研究センター設立(1998)
2000 年代 恐喝未遂事件
集団食中毒事件
クレーム・リコール隠し
「金融商品販売法」施行(勧誘方針の策
定・公表)
(2001)
「消費者契約法」施行(2001)
7.経団連企業行動憲章(抜粋)
1996年12月17日
(社)経済団体連合会
〔序文〕
企業行動憲章の発表から5年が経過したが、その間、企業行動上の様々な問題が生じ、国
民の間で企業に対する不信感が高まっている。また、企業をめぐる環境にも以下のような
大きな変化が生じている。このような状況を踏まえて、これ迄の企業行動を振り返り、21
世紀に向けて真に豊かで活力ある市民社会にふさわしい企業行動のあり方を確立するため、
今般、憲章を改定することとした。
第1に、戦後の高度経済成長を支えてきた経済社会システムが行き詰まり、今後の発展
の制約要因ともなっていることから、その根本的な改革のための行動が求められる。
第2に、世界のボーダーレス化の進展に伴い、企業のグローバリゼーションが新たな次
元に入っており、企業行動を世界的視野から見直す必要がある。
第3に、高度情報通信ネットワーク社会の進展により新しいタイプの企業倫理の問題が
生じており、企業のマネージメントに従来と異なった手法が求められている。
第4に、自然保護、地球環境保全、社会貢献を積極的に経営の中に組み込む時代になっ
ている。
第5に、製造物責任法の制定や株主代表訴訟制度に関わる商法の改正などにより、企業
の自己責任の強化や透明性の一層の向上が要請されている。
第6に、規制緩和の進展に伴い、企業は行政依存から脱却し、これまで公的部門が担う
とされてきた役割についても、自己責任において積極的に事業活動の中に取り入れていく
ことが必要である。
このような中で、企業行動のあり方について、消費者・ユーザー、株主、地域社会、従業
員、取引先などの各ステークホルダーズとの関係を含め、見直しが求められている。企業
は、企業行動憲章の趣旨を体現し、自ら変化に果敢に対応することによって、こうした社
会変革の主役としての役割を果たさなければならない。
会員企業は、次に定める企業行動憲章の精神を企業の具体的行動として実行することを
申し合せ、内外に宣言する。
経団連企業行動憲章
企業は、公正な競争を通じて利潤を追求するという経済的主体であると同時に、広く社
会にとって有用な存在であることが求められている。そのため企業は、次の 10 原則に基
づき、国の内外を問わず、全ての法律、国際ルールおよびその精神を遵守するとともに社
会的良識をもって行動する。
1. 社会的に有用な財、サービスを安全性に十分配慮して開発、提供する。
2. 公正、透明、自由な競争を行う。また、政治、行政との健全かつ正常な関係を保つ。
3. 株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公
正に開示する。
4. 環境問題への取り組みは企業の存在と活動に必須の要件であることを認識し、自主的、
積極的に行動する。
5. 「良き企業市民」として、積極的に社会貢献活動を行う。
6. 従業員のゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい環境を確保するとともに、従業
員の人格、個性を尊重する。
7. 市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決
する。
8. 海外においては、その文化や慣習を尊重し、現地の発展に貢献する経営を行う。
9. 経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、
関係者への周知徹底と社内体制の整備を行うとともに、倫理観の涵養に努める。
10. 憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたり、
原因究明、再発防止に努める。また、社会への迅速かつ的確な情報公開を行うととも
に、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行う。
以 上
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