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スポーツを通しての地図活用

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スポーツを通しての地図活用
5年
世界地図を眺めさせ、日本や三大洋、六大陸の位
わたしの地図活用
置を確認させた後、参加する32か国を紹介した。
スポーツを通しての地図活用
子どもたちは、主要な国の名前は知っているが、
愛知県津島市立西小学校 冨田昌弘
世界のどこにあるのかを知っている子は多くなか
った。そこで、開催国の南アフリカ共和国の位置
1
を確認させた後、調べたい国を1つ決めて、その
はじめに
国が世界のどこにあるのかを探させた。子どもた
サッカー人気はとても高い。休日や授業が終わ
ちは、参加する32か国が、世界のいろいろな大陸・
った放課後など、歓声をあげてサッカーボールを
地域から南アフリカ共和国に集まってくること、
追いかけている子どもたちの姿をよく見かける。
自分の知っている国が日本から遠く離れた場所に
今年6月に開催されるサッカーワールドカップ
あることを知って、ずいぶん驚いた様子だった。
も注目の的で、各国チームの動向や日本人選手の
「一番驚いたのは、サッカーが世界の国々と関係
活躍に強い関心を抱いている子が少なくない。
があるということです。」という授業後の感想も
今回の授業実践は、このサッカーワールドカッ
あり、子どもたちは世界の国々に目を向けるきっ
プを教材に取り上げた。地図帳(『楽しく学ぶ小学生
かけをつかむことができた。
の地図帳 初訂版』) を存分に活用したサッカーワ
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ールドカップの参加国調べをきっかけにして、子
参加する国を調べよう。
(第2時)
どもたちが世界の国々へと視野を広げ、地図を読
第2時で、自分が選んだ参加国を調べる活動を
むことが楽しくなるようにすることをねらいとす
行った。はじめに地図帳p.65の「世界の国別統計」
る。このレポートが、地図帳の有効活用をねらっ
を示し、その国の国旗と首都、人口、面積をカー
た授業実践の何らかのヒントとなれば幸いである。
ドに記入させた。そして、その国の一番紹介した
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いところを考えさせた。調べ学習の参考にしたの
出場する国はどこにある?
(第1時)
は、世界の各州を拡大した地図(p.47〜56)に記
導入で、今年行われるサッカーワールドカップ
入されている、各国の特産品や世界一、名所など
の概要を説明し、
「その国の選手になったつもり
を示す挿絵や写真である。
で、南アフリカ共和国へ行くときの、飛行機の窓
ドイツを選んだ子は、「ソーセージやビールが
から見える世界の様子を実況中継してみよう。
」
うまい。ブレーメンの音楽隊の舞台になったとこ
と投げかけた。そして、地図帳のp.74〜76にある
『楽しく学ぶ小学生の地図帳 初訂版』p.74〜76 世界の国々
『楽しく学ぶ小学生の地図帳 初訂版』p.52②ヨーロッパ州
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から、地図帳に記載されている情報が多いものは
どれかを探りながら選び、それとともに、南アフ
リカ共和国へ到着するまでの、飛行機からの実況
中継のことばを考えていった。
第4時に、参加国から南アフリカ共和国までの
空路から見える様子の実況中継を発表する活動を
行った。子どもたちは、教室掲示用の世界地図の
『楽しく学ぶ小学生の地図帳 初訂版』p.61③世界のおもなスポーツ
前で、飛行機の模型を使いながら、通過する国々
ろ。」と紹介した。
のおすすめポイントを紹介していった。聞く側の
また、ブラジルを選んだ子は、p.61③「世界の
子どもたちも、自分が調べた国々と違う発表にと
おもなスポーツ」の地図を参考にして、
「Jリーグ
ても興味をもち、地図帳を広げながら熱心に聞き
に行っている選手が40人もいる。
」と紹介してい
入る姿を数多く見ることができた。
る。子どもたちは、地図帳に記載されている内容
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を見つけ出すことに、とても楽しく取り組むこと
おわりに
ができた様子だった。
右は授業実践
その後、紹介カードを白地図に貼りつけ、選ん
後の子どもたち
だ国の首都と南アフリカ共和国の首都とを結んで
の感想である。
航空路とした。地図帳にある日本を中心にした世
子どもたちは、
界地図では、南米のブラジルやアルゼンチンなど
地図帳にたくさ
の国々は太平洋を通ってオーストラリア上空を横
んの情報が載っ
断することになる。このことに疑問を抱き、
「実
ていることに気
際は大西洋を通って南アフリカ共和国へ行くんだ
づき、地図帳を
よね?」と気づいた子が数名いた。そこで、これ
眺める楽しさを
らの子どもたちの気づきを誉め、今回はこの地図
感じ取ることが
で国調べをするから、太平洋を通る航空路で南ア
できた。それと
フリカ共和国へ行くことにしようと伝えた。
ともに、世界の
次時は、その航空路の下にある国々や海洋で、
国々への興味・関心が一層高まったようである。
紹介したい場所を3つ程度選んで調べる学習をす
新学習指導要領5学年の社会科に、「世界の主
ることを告げた。
な大陸と海洋、主な国の名称と位置」を調べる内
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「…飛行機の通る道の下の国を調
べたとき、たとえばインドネシア
は人口がすごくいっぱいいてとて
も驚いた。今まではあまり地球の
ことには興味がなかったけど、今
回で世界の国が好きになった。」
(M)
「いろんな国の情報を地図帳で調
べてわかったことは、サハラ砂漠
が世界一の砂漠だということと、
コンゴ民主共和国にはいろんな動
物がいて、日本に銅鉱石を輸出し
ていることです。わたしの選んだ
フランスから飛ぶ飛行機が通ると
ころは、たくさん情報がないので、
もっと調べてみたいと思いまし
た。」
(Y)
容が盛り込まれた。子どもたちが世界の国々へ目
飛行機から見える国々は…(第3・4時)
を向け、追究しようとする意欲を喚起するために
第3時は、南アフリカ共和国へ向かう途中、飛
は、地図帳を効果的に活用する手だての開発と、
行機から見える国々や海を調べる活動である。通
興味・関心の持続可能な指導過程を講じることが
過する国々や海・特徴のある地形などを3つ程度
不可欠である。
選び、教師が用意した吹き出しにその紹介文を書
今後も、社会科が大好きな子ども、地図帳をい
き込みながら、白地図に貼っていくように呼びか
つも楽しく眺める子どもを育てていきたいと強く
けた。子どもたちは、飛行機が通過する場所の中
願っている。
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