Comments
Description
Transcript
有限会社グリーンワーク
平成22年度農林水産祭むらづくり部門中国四国農政局長賞受賞 「有限会社グリーンワーク」 いいくりひがしむら 島根県出雲市佐田町飯栗東村地区 やまもと ともよし 代表者 山本 友義 代表取締役 地域の担い手として農作業受託や羊を利用した畦畔管理等の営農活動を実施す るとともに、地域の一員として福祉活動等を実施している。各種事業により地域 の雇用の創出と後継者育成に取り組んでいる。 【むらづくりの経緯】 地 区 の 概 要 飯栗東村地区は、出雲市の南端に位置 規模:5集落 区分:山間農業地域 し中心地から南西30kmの山間地にあり、 総世帯数 105戸 農業生産概要 標高は100~150mの集落である。地区は 総人口 344人 直営 販売農家戸数 33 戸 水稲 11.2ha 三つ子山を背にした山間と神戸川沿いの 主業農家 2 戸 野菜 0.5ha 比較的平坦低地からなる5集落である。 準主業農家 3 戸 作業受託 副業的農家 28 戸 刈取り、乾燥 少子高齢化や耕作放棄地の増加等地域 耕地面積 17 ha 調整 12.5ha の存続が危ぶまれる中、 「地域を守ろう、 田 14ha、畑 3ha 農業の受け皿になろう」と当地区内に2 販売農家1戸当り耕地面積 0.5ha 認定農業者 2 人 つの営農組織が生まれ活動を開始した。 うち法人 1 しかし、従来型の「地域全体救済」的な 営農理念では組織オペレーターの高齢化や増える一方の委託希望者に対応することができ なくなった。このような状況の下、既存の集落機能を生かし発展させるため、平成14年に 2つの営農組織が合併し、「有限会社グリーンワーク」として新たなスタートを切った。 「故郷を子供たちにも誇りあるものとして残したい」との理念のもと設立されたグリー ンワークは、経済的に自立した組織として利益を追求する一方、地域に利益を還元すると いう2つの目的を持っている。 グリーンワークは営農活動のほか森林公園等の管理委託業務、高齢者支援のための外出 支援サービスなど多岐にわたる事業活動を行っ むらづくりの推進体制 ている。羊を利用した畦畔の草刈りを契機に、 羊毛製品の生産・販売を行う「メリーさんの会」 との連携や、小学校へ羊を食農教育の素材とし て提供している。 地域のつながりが希薄となりかけているなか、 農道・水路などの補修作業や小学生を巻き込ん だ泥田での運動会、田んぼの生き物調査など、 共同活動組織「窪田ふるさと会」へ集落の一員 として積極的に参加している。 【むらづくり活動の特徴】 ~ 地域の担い手として ~ 水稲の直営栽培や地域内水稲作業の受託などの水田営 農と併せて島根県認証のエコロジー農産物(農薬・化学 合成肥料の5割減)やトマトの養液樽栽培(軽少量培地 耕)に取り組んでいる。農産物は産直や直売所で販売し 良食味で好評を得るなど地産地消にも取り組んでいる。 さらに、JA所有の水稲育苗やライスセンターも受託 運営し、集落エリアを越えた農業振興に寄与するなど広 域農業に対する支援も担っている。 育苗センター管理作業 「米づくり」、「育苗・ライスセンターの運営」でオペ レーターの確保を図るとともに、地域振興の視点から行っている目田森林公園の指定管 理業務や「高齢者等外出支援サービス」により、地域での年間雇用体系を確立している。 また、(有)グリーンワークはIターン者の受入れを行っているほか、出雲市の空き屋対 策事業を活用し作業・定住体験を行うなど、若者の定住対策にも力を注いでいる。 ~ 羊の放牧と副産物の活用 ~ 地域で問題となっていた畦畔の草刈り対策として、平 成17年から羊(畦畔草刈り部隊)を放牧している。これ は、農地の遊休化の防止や有害鳥獣の被害低減にも役だ っている。また、羊の副産物の羊毛を活用して「メリー さんの会(地域女性グループ)」はセーター等の加工・販 売を行っている。活動の拠点は(有)グリーンワークの 敷地内に「メーリーさん工房」として建設され、女性活 動の場を提供している。 羊の放牧 ~ 地域振興のためのサービス事業の実施 ~ 地域の高齢者等が住み慣れた地域で安心して生活してもらえるよう「高齢者等外出支 援サービス」を行っている。高齢者のため「ドアtoドア」を実現するために事前予約 制とし、通常は病院窓口まで付き添い、診察が終了するまで病院内で待機するなど、手 厚い支援を行っている。現在では80人の高齢者が登録し40人程度が定期的な通院に利用 している。また、市内中心部の買い物等荷物を運ぶなど高齢者の生活援助のための送迎 にも対応し、地域生活には無くてはならない存在となっている。 メリーさん工房 羊毛製品の展示販売 福祉タクシー