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滋賀県知事、商工観光労働部長がコア研究施設訪問
2004 年 8 月 No.5 滋賀県知事、商工観光労働部長がコア研究施設訪問 ★ 6 月 11 日(金)、國松善次滋賀県知事が、コア研究施設に来訪されました。 当日は、井上事業総括から事業全体の状況、山岡研究統括から研究の進捗状況、川嶋新技術エージェント から特許出願状況や実用化の可能性について説明いたしました。 また、國松知事は施設内の実験室等も視察され、三役との活発な意見交換が行われました。 ★ 6 月 8 日(火)、 河本光明滋賀県商工観光労働部長(左から 3 人目)と村井達次長(左から 2 人目)が、コア研究 施設に来訪されました。 当日は、井上事業総括と山岡研究統括より事業状況を説明いたしました。その後視察された実験室では今 後の研究の方向性や実用化の可能性などについて意見交換が行われました。 1 二酸化炭素による可塑化効果を利用した塑性加工技術の開発と体系化 (財)滋賀県産業支援プラザ (研究リーダー 主任研究員 京都大学大学院工学研究科 教授 志熊 治雄 大嶋 室温下の塑性加工の一例として,応力印加法を適 用し,二酸化炭素を溶解させたPMMAシートに 刻印を用いて,応力を印加して,印字発泡(描い た泡のCOEという文字)させた(図2)。この 印字発泡した部分の断面SEM観察写真(図3) から,発泡部の中心は0.1∼1μmの微細構造 発泡化が形成される。このように,発泡だけでな く,二酸化炭素による可塑化効果はいろいろな成 形加工法に応用可能となる。 1.はじめに 高分子材料に二酸化炭素を溶解させるとガ ラス転移温度が下がるという現象(可塑化効果) が知られている。この可塑化効果は高分子に可塑 剤や溶媒を混入すると分子鎖の運動性が向上し て,柔らかくなり,力を掛けて引張ったりするこ とができる。従って,二酸化炭素の溶解において 発現する可塑化効果を上手く利用すれば,一般に 温度をかけて実施している成形加工を違った面 から技術展開できる。そこで,塑性加工技術を体 系化して,シーケンシャル・ユースとする検討を 実施している。 2.可塑化効果と応力印加法の適用 3.今後の展開 二酸化炭素による可塑化効果はこれまでとは 違った技術展開を可能にすると考えている。応力 印加法に止まらず,常温塑性加工法の開発・体系 化と共にリサイクル材料の製品化と強度向上に 関する検討を実施していく。 高分子としてポリメチルメタアクリレート(P MMA)樹脂を選び,二酸化炭素を溶解させた材 料と溶解させない材料の室温下における応力− 歪曲線を示す(図1)。二酸化炭素を溶解しない 材料の強度は高いものの,伸び変形が小さく,室 温下で応力を印加すると直に破壊(脆性破壊)し てしまう。しかし,二酸化炭素を溶解した材料は 強度の低下と共に伸びが大きくなっている(延性 破壊)。このことは,室温下で塑性加工(成形加 工)が達成できることを意味している。 80 二酸化炭素溶解無 70 図2 応力印加法による印字発泡 図3 印字発泡中央部のSEM観察写真 応 力 (M Pa) 60 50 40 30 20 二酸化炭素溶解有 10 0 0 図1 50 100 150 200 伸び(%) 250 300 正裕) 350 二酸化炭素の溶解による応力−歪曲線 2 (仮題) 星型ポリマーの複合ゲルによる物質捕集材料の開発 (財)滋賀県産業支援プラザ (研究リーダー 主任研究員 大阪大学大学院理学研究科 上坂 貴宏 教授 青島 貞人) 1.はじめに 3.物質捕集材料の環境ホルモン捕集性 近年、自然環境中に放出される外因性化学物質 (環境ホルモン)が大きな問題になっている。環境 ホルモンは極微量でも生物の生態系に深刻な影響 を与えると言われ、環境中からの高効率除去技術の 開発が望まれている。 我々のグループは最近、添加塩基存在下でのリビ ングカチオン重合を用いることにより、定量的に分 子量分布の狭い星型ポリマーを合成する方法を見 出した。また、星型ポリマーの枝または核に極性官 能基を導入することにより、低分子化合物を効果的 に捕集することも明らかにした。 我々のグループでは、リビングカチオン重合によ り合成した星型ポリマーを、ポリビニルアルコール (PVA)に担持させた複合ゲルを作製し、水溶液中の 環境ホルモンの捕集性について検討している。 作製したブレンドゲルを、ビスフェノール A 水溶 液に浸漬し、一定時間後に取り出した結果、ビスフ ェノールAの濃度が 25%に低下した(図1)。星型 ポリマーをブレンドしたゲルが効果的にビスフェ ノール A を捕集したことが分かった。 また、捕集したビスフェノール A は、アセトニト リル水溶液に放出ことができ、この操作を繰り返す ことにより、ビスフェノール A を効率的に除去する ことが可能である(図2) 。 ビスフェノールA濃度 (%) 100 2.物質捕集材料の作製 リビングカチオン重合で得た星型ポリマーをポ リビニルアルコール(PVA)のハイドロゲル作製過程 でブレンドし、星型ポリマー/PVA ブレンドゲル を作製した。このゲルは、水溶液中に浸漬すること により、目的物質を捕集することが可能である。 :ブレンドゲル :PVAゲル 75 50 25 0 捕集前 捕集後 図 1 ビスフェノール A の捕集実験 PVAゲル中に星型ポ リマーが高分散して いる 物質捕集材料 (PVA + 星型ポリマー) ブレンドゲルは乾燥させて 繰り返し捕集できる ビスフェノールA水溶液に物 質捕集材料を浸漬し、目的物 質を捕集 分離 放出 取出し ビスフェノールAを捕 集した物質捕集材料 アセトニトリル 50%水溶液 中にビスフェノール A を放出 図2 物質捕集材料による環境ホルモンの捕集と放出 3 ビスフェノールAの回 収 第 3 回 主任研究員報告会開催 ★ 5 月 31 日(月)に第 3 回主任研究員報告会を開催しました。 当日は、共同研究に参加している先生方も出席され、主任研究員の報告のあと、活発な意見交換が行われまし た。 シャーマ主任研究員 志熊主任研究員 上坂主任研究員 会場風景 ★ 本共同研究事業の成果として、今年度3件の特許出願が完了しました。(昨年度は6件出願) ・ 特願 2004−189963 樹脂成形体の製造法 ・ 特願 2004−191605 導電性樹脂成形体の製造方法及び導電性樹脂成形体 ・ 特願 2004−213797 廃液浄化方法および廃液浄化システム <今後の予定> • 9 月 10 日(金) 10:00∼ コラボしが21 • 9 月 10 日(金) 13:30∼ 〃 共同研究推進委員会 • 9 月 16 日(木) 14:00∼ 〃 研究交流促進会議 • 10 月 29 日(金) 中間評価自己報告書提出 • 11 月下旬∼12 月初旬 中間評価現地調査 • 平成 17 年 1 月初旬 中間評価面接調査 ご質問、お問合せは、下記にお願いいたします。 財団法人 滋賀県産業支援プラザ 地域結集型共同研究事業プロジェクト推進室 〒522-0057 彦根市八坂町3225 環境調和型産業システム研究室内 TEL 0749-28-0155 FAX 0749-28-0157 E-mail:[email protected] U R L http://www.kesshu.shigaplaza.or.jp 4 研究リーダー会議