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中部地方
第2学年 組 社会科学習指導案 指導者 1 2 単元名 中部地方~活発な産業を支える人々のくらし~ 単元の目標 ○ 中部地方の地域的特色に対する関心を高め,中部地方の産業が発展した背景を意欲的に追究 し、とらえようとする。 (社会的事象への関心・意欲・態度) ○ 中部地方の産業が発展した背景を、環境条件と関連付けて考え、適切に表現することができ きる。 (社会的な思考・判断・表現) ○ 中部地方の地域的特色について、有用な情報を適切に選択して、それを基に読み取ったり、 図表にまとめたりすることができる。 (資料活用の技能) ○ 中部地方は、環境を生かしたり克服したりすることで様々な産業が発展してきたことを理解 する。 (社会的事象についての知識・理解) 3 単元と指導 (1 )単 元 に つ い て 本 単 元 は ,中 部 地 方 の 特 色 を 産 業 を 中 核 と し て と ら え さ せ る こ と を 目 的 に 設 定 し た 。内 容 は 、 学 習 指 導 要 領 地 理 的 分 野 の 内 容 ( 2 ) ウ 「 日 本 の 諸 地 域 」( ウ ) に 該 当 す る 。 と ら え さ せ た い 特色は、 中部地方は、環境を生かしたり克服したりすることで様々な産業が発展してきた。 と い う こ と で あ る 。「 環 境 」 と は 、 気 候 や 地 形 、 土 壌 と い っ た 自 然 環 境 や 、 消 費 地 と の 位 置 関 係や他産地との競合関係、交通網の変化といった社会環境のことである。 中部地方は、東海、中央高地、北陸の三地域に分けることができ、それぞれの地域において 異なる産業が発達してきた。 【東海地方】 ・温暖な気候や交通の便のよさを生かして施設園芸農業、近郊農業が盛んとなっている。ま た、台地の水不足を用水路を開発によって克服し、茶の生産量日本一となっている。 ・かつての繊維工業の技術、国内外の流通に適した環境を生かし、機械工業を中心に発展し た。地球温暖化、グローバル化に対応した生産活動に力を入れている。 【中央高地】 ・扇状地を生かした果樹栽培、冷涼な夏の気候を生かした野菜作りが行われている。交通網 の発達に伴い、観光農園が増加している。 ・かつては、製糸業が産業の中心であったが、需要の減少、交通網の発達に伴い、精密機械 械工業や電気機械工業が行われるようになった。 【北陸地方】 ・客土によって、土地を改良し、豊富な雪どけ水を利用して米の単作が行われている。米を 取り巻く環境が変化するなか、銘柄米を生産している。 ・冬、農業ができないことから、副業としての地場産業が発達してきた。海外製品との競争 が激しくなるなか、ブランド化を図るなど新たな方向性を探っている。 本単元で、生徒は三つの地域の産業について個々に調べ、それぞれ発展した背景を習得して いく。そして、それらを活用し、共通点に着目しながら中部地方の特色を考える。さらに、そ こで得られた概念を他の事例に当てはめ、読み解いていく。この一連の活動は、生徒の社会的 な見方・考え方を育むという意味を持つ。生徒は、習得した知識を活用して、事象の特色を考 えることで社会的な見方・考え方を獲得し、それが他の事例を捉える際に活用されることで、 より確かなものへと深まっていくと考える。 (2 )生 徒 に つ い て ( 省 略 ) (3 )指 導 に つ い て 本単元では、生徒の思考力・判断力・表現力を高めるとともに、中部地方の特色を習得した諸 情報を活用して理解できるようにするために、次の二つに重点を置いて指導する。 ①「帰納的思考」と「演繹的思考」の思考場面を組み込む。 三つの地域の事例の共通点は何かを帰納的に考えさせ、中部地方の特色「環境を生かし た り 克 服 し た り す る こ と で さ ま ざ ま な 産 業 が 発 展 し て き た 。」 を 見 い だ さ せ る 。 次 に そ の 見 方 が 中 部 地 方 の 他 の 事 例 に も あ て は ま る か 演 繹 的 に 検 討 す る 。「 具 体 → 概 念 」「 概 念 → 具 体 」 の二つの方向性の思考を行き来することで、習得した諸情報が活用され、確かな全体認識 として定着すると考える。 ② 「 選 ぶ 」「 書 く 」「 説 明 す る 」 場 面 を 設 け る 。 本時の実際における、演繹的思考の場面では、前時まで扱っていない富山県のチューリッ プ 生 産 、ア ル ミ サ ッ シ 生 産 の 事 例 を 提 示 す る 。そ れ ら に 関 す る 資 料 の 中 か ら 根 拠 を 見 い だ し 、 『中部地方の特色』を .裏 .付 け る こ と を 通 し て 、.理.解 の 深 ま り を 図 る 。 そ の 際 、 複 数 の 資 料 の 中から必要な資料を選び、 書. き 、 そ れ が 環 境 を 「 生 か す 」「 克 服 す る 」 の .読 .み 取 っ た こ と を . どちらに該当するのかを選ばせる。それらを説明し合うことで、他者の考えに触れ、思考力 ・判断力・表現力が高まっていくと考える。 4 単元の指導計画(全6時間 本時6/6) なぜ中部地方では、さまざまな産業が発展したのだろう。 5 時 主な学習活動 関 考 技 1 ・中部地方を三地域に分け、そ れぞれの地形や気候を調べる。 ○ ○ ・三地域の地形と気候を地図や雨温図からと らえ、図表にまとめることができる。 2 ・中部地方の三地域における産 業の全国的地位を調べ、単元の 課題を設定する。 ○ ○ ・ 三 地域 の 代表 的 な農 産 物や 工 業製 品 を調 べ、単元の課題を設定し、産業発展の背景を 予想することができる。 3 ・東海の産業は、どのような環 境のもとで発展してきたのかを 調べ、説明する。 ○ ○ ・施設園芸農業や機械産業が発展した理由、 を自然環境、社会環境に着目して説明するこ とができる。 4 ・中央高地の産業は、どのよう な環境のもとで発展してきたの かを調べ、説明する。 ○ ○ ・果樹や野菜栽培、電気工業が発展した理由、 を自然環境、社会環境に着目して説明するこ とができる。 5 ・北陸の産業は、どのような環 境のもとで発展してきたのかを 調べ、説明する。 ○ ○ ・ 稲 作や 地 場産 業 が発 展 した 理 由を 自 然環 境、社会環境に着目して説明することができ る。 6 ・富山県の産業が発展した背景 を、「中部地方の特色」と資料 を関連付けて考察する ○ ○ 知 学習活動における主な評価規準 ・富山県の産業が発展した背景を「中部地方 の特徴」と資料を関連付けて書くことができ る。 単元構造図 中部地方は、環境を生かしたり克服したりすることで様々な産業が発展してきた。 東海では、温暖な気候や都 市との近さを生かしたり、水 不足を克服したりすること で、農業が発展してきた。ま た、流通に適した立地を生か し、環境の変化に対応しなが ら工業が発展してきた。 中央高地では扇状地や冷涼な 気候を生かした農業が発展し てきた。大都市への近さを生 かした観光農園が増えてい る 。高 速 交 通 網 の 発 達 に よ り 、 工業の中心が電気機械工業へ と変化している。 北陸では、積雪の多さを生か したり、湿田を客土で克服し たりすることで稲作が発展し てきた。また、農閑期の副業 が地場産業に発展した。近年 は、安い海外製品に対抗する 努力や工夫をしている。 海外製品に対抗するため のブランド化 積雪が多い冬を副業で克 服し、地場産業に発展 客土による湿田克服 豊富な雪どけ水を生かし た稲作 高速交通網の発達に応じ た電気機械工業への変化 大都市への近さを生かし 観光農園 冷涼な気候を生かした高 原野菜 稲作に不向きな扇状地を 生かした果樹栽培 環境の変化に対応した生 産、開発 国内外の流通に適した立 地を生かす中京工業地帯 用水開発による、水不足 の克服 温暖な気候を生かした施 設園芸農業 中部地方は、東海、中央高地、北陸の三地域に分けられ、それぞれ産業が発展している。 6 本時の実際(本時6/6) (1)ねらい ・中部地方の地域的特色に関心を持ち、中部地方の産業が発展した背景を意欲的に考えよう とする。 (社会的事象への関心・意欲・態度) ・富山県のチューリップ生産やアルミサッシ生産が発展した背景を、中部地方の特色と資料 を関連付けて考察することができる。 (社会的事象についての思考・判断・表現) (2)学習過程 段階 つ か む ・ 見 通 す 5分 考 え る 15 分 学習活動・予想される生徒の反応 め る 30 分 「中部地方の特色」を活用して、富山県の産業が発展した背景を考えよう。 「中部地方の特色」 ・「中部地方の特色」をイメージできるように、 第2時以降、フォーマットを掲示しておく。 中部地方は、東海、中央高地、北陸に分けることができ、それぞれの 地域で産業が発展した。それは、 ( )からである。 3,各地域の共通点を発表し、キ ーワードを抽出する。 【説明する】 ・それぞれ環境を生かしている。 ・環境の厳しさを克服している。 →「環境」「生かす」「克服」 ・主体的かつ効率的に追究できるように、前時 の学習終了後、それまで学習したの3つの地域 のまとめの文章を活用して、共通点を考えてお くよう指示しておく。 4,キーワードを用いて、中部地 ・「環境」については、自然環境だけでなく、 方の産業が発展した背景を書く。 社会環境も含まれることを補足する。 【書く】 ・環境を生かしたり克服したり 評価(関心・意欲・態度) してきたから。 中部地方の産業が発展した背景を意欲的 に考えようとしている。【態度、シート】 〈富山県のチューリップ生産〉 ・資料1を見ると、冬の降水量 が多いことがわかる。だから、 環境を生かしているといえるだ ろう。 〈富山県のアルミサッシ生産〉 ・資料2,3を見ると、山がち で水力発電所が多いことがわか る。だから、環境を生かしてい るといえるだろう。 6,単元の振り返りを書く。 7 資料 1,ペアで前時までの復習をする。 ・本時のレディネスをそろえるために、東海、 復習用 【説明する】 中央高地、北陸の産業発展の背景を取り上げる。 PP 2,課題をつかむ。 5,富山県の産業が発展した背景 を「中部地方の特色」と資料を 関連付けて考察する。 【選ぶ・書く・説明する】 深 教師の支援と評価 ・シートの書き方を理解できるように、最初に 岐阜県の枡生産の事例を全員で検討しながら、 書き方を説明する。 ・中部地方の特色をふまえ、資料を関連付けて 考察できるように、シートは次のようなフォー マットにする。 資料( )を見ると チュー リップ 出荷量 統計 アルミ 国内生 産統計 。 だから環境を ( 生かしている ・ 克服している ) といえるだろう。 評価(社会的な思考・判断・表現) 富山県の産業が発展した背景を「中部地方 の特色」と資料を関連付けて書くことができ る。【シート】 ・自己の変容に気づくことができるように、第 2時で立てた予想を見てから書くようにする。 視点 次の場の設定は、思考力・判断力・表現力を高める上で効果的だったか。 ①「帰納的思考」と「演繹的思考」の思考場面を組み込んだこと。 ② 演 繹 的 思 考 の 場 面 に お い て 、「 選 ぶ 」「 書 く 」「 説 明 す る 」 を 活 動 取 り 入 れ た こ と 。