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講演資料
巨大加速器で探る ヒッグス粒子の謎 31.5.2013 NISTEPシンポジウム 小林富雄 (東京大学) 徳宿克夫 (KEK) 1 137億年 太陽系の形成 400万年前 40億年前 46億年前 130億年前 宇宙の歴史 宇宙はビッグバンで始まった 2 物質は何から できているのか? 陽子や中性子は u-クォークとd-クォークで できている ニュートリノ 電子 ミューオン 物質を構成する 素粒子 3 素粒子の間に 働く力は? “光子” 量子力学では “波” = “粒子” 陽子 π中間子 中性子 湯川先生 力は粒子を交換することで伝わる 4 γ クォークやレプトンの間に 働く力は? g 光子 グルーオン 物質を構成する 素粒子 Z W 力を媒介する 素粒子 これらの力(相互作用)を 記述するのが標準理論 (ゲージ理論) 5 素粒子は重さ(質量)をもっている 質量の起源は? ボソン(スピン1) ボソン(スピン0)、真空と同じ性質 フェルミオン(スピン1/2) ・現在の素粒子の理論(標準理論)では ヒッグス粒子を仮定して質量を説明する ・だがヒッグス粒子だけが未確認だった 6 ヒッグス粒子(場)が質量を生み出す仕組み “自発的対称性の破れ”と “ヒッグス機構” 南部先生 ヒッグス 真空の対称性が破れると 質量0の粒子(NGボソン)が存在 --- 南部・ゴールドストーン NGボソンが 素粒子の質量に ヒッグス場の ポテンシャル NGボソン 真空の 相転移 ビッグバン直後の真空 H ヒッグス粒子 ビッグバンの10-10 秒後の真空 7 陽子と陽子の衝突 LHC (Large Hadron Collider) 1995年に建設決定。 それから長い建設期間を経て2009年 から衝突実験開始 周長 27km シンギャップチェンバー 超伝導トロイド電磁石 (バレル用) 陽子の衝突点 ミューオン検出器 (電子回路) 22m 巨大加速器で 質量の起源:ヒッグス粒子の発見 を目指す。 超伝導トロイド電磁石 (エンドキャップ用) 超伝導ソレノイド電磁石 43m 内部飛跡検出器 カロリメーター 赤は日本の分担部を示す 陽子・陽子衝突について 陽子 g g u u ヒッグス粒子 陽子 7TeV d 単純な模型での陽子 実際の陽子 実際にアトラスで取られたヒッグス候補 CERN-LHC加速器 From LINAC to LHC… ?? H 2004: The 20 member states 陽子・陽子衝突について 一回の衝突毎に測 定器にたくさんの粒 子が記録される。 実験はそれを写真 にとるようなもの 加速器のビームパイプ (真空) 1000億個ぐらいの 一回の交差で約20個の バンチは一秒間に 陽子がかたまりに 陽子と陽子がぶつかる 4千万回交差 なって加速器の中を 回る (バンチ) かたまりの大きさ16μm バンチは加速器の中を何周もしながら徐々に数が減っていく、 (髪の毛より細い) 一日に数回入替えをする。 通常のクォークやグルーオンの散乱 一秒に8億枚 ヒッグス粒子の生成 10~100秒に1枚 100億人の人の中から知人をさ がすようなもの。 他人の空似に惑わされないで 正しい発見をするには、 よい測定器 と 邪念のない心 が大事 12 ATLAS Collaboration: 38 カ国 176の大学・研究所 の共同実験 ~3000 人の研究者(内 大学院生約1200人) 13 ATLAS Collaboration: 38 カ国 176の大学・研究所 の共同実験 ~3000 人の研究者(内 大学院生約1200人) 女性 男性 14 ATLAS日本グループ 約110名の研究者・院生:16研究機関:高エネルギー加速器研究機構、筑波大学、 東京大学、東京工業大学、首都大学東京、早稲田大学、信州大学、名古屋大学、京 都大学、京都教育大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島工業大学、 長崎総 合科学大学、九州大学 15 ATLAS 測定器 大きさ :~25x25x44m 重さ:7000 ton ⇒ density 0.3g/cm3 16 測定器設置 2003年から 2008年 Sep 2007 •すべてのパーツは直径12mと 18mの2つのシャフトから搬入 •一番重いものは 280 t 2006 Aug. 2003 Jun 2007 2009年実験開始 Dec. 2004 Dec 2005 17 ヒッグス粒子は? First Higgs in ATLAS (4/Apr/2008) 18 ヒッグス粒子は? ヒッグス粒子は? 1100兆回の衝突を起こし、ヒッグス粒 子が4つの粒子にこわれたと思われる粒子 を約10個検出した ヒッグス粒子はいろいろな粒子に崩壊する。 ちゃんと別な崩壊モードでも同じところにピークがある! ヒッグス粒子は? → かなりヒックスらしい新粒子を新発見! 1100兆回の衝突を起こし、 ヒッグス粒子が、2つの光子にこわれたと 見られる粒子を約500個検出した 21 2012年7月4日CERNでのセミナー で報告 20世紀後半:標準理論の確立 • 物質は3世代6種類のクォークと6種類のレプトンからできている。 すべてフェルミ粒子 (でもどうして3世代あるかは謎!) • 4つの力があるが、重力を除いてすべて同じ仕組みの力(ゲージ相 互作用)である。 力を媒介する粒子はボース粒子 • 本来すべての粒子は質量をもたなかったが、ヒッグス機構で質量を もった。 この理論ではヒッグス粒子があるはず →今回見つけた新粒子がそれ らしい →でもこの理論そのままの ヒッグス粒子かはちゃんと 調べなければいけない。 →何年もかかる仕事 今回発見か??