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「ブラジルの通関地域と保税倉庫システム」

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「ブラジルの通関地域と保税倉庫システム」
2015 年 10 月 30 日作成
J-FILE 用参考資料
ブラジルの通関地域と保税倉庫システム
外国からの輸入貨物の通関手配をする場合、荷主には3つの方法がある。一つ目は、ブ
ラジルの主要港で荷卸された輸入貨物をその港の税関で輸入通関申請をする場合で、この
港湾内にある税関地域をファースト・ゾーンと呼んでいる。二つ目は、荷卸した港湾の港
から半径約 10 キロ以内にある「税関保税倉庫」(Retroportos)に輸出入貨物を移管して
そこで輸出入通関を行う方法。三つ目は輸入貨物を荷卸したファースト・ゾーンの港から
地方の民間保税倉庫に移管して輸入通関を行う場合である。この地域の民間保税倉庫は
「PORTO SECO(ポルト・セッコ:ドライポートの意味)」(正式名は「EADI-Estação
Aduaneira Interior」)と呼ばれるもので、セカンド・ゾーンに位置づけられる。航空貨物
の場合は、外国から直接ブラジルの国際空港に到着する貨物を、到着地の税関で輸入通関
する地域をファースト・ゾーンと呼んでいる。到着した航空貨物を地方のドライポートに
移管して輸入通関することも出来る。
輸出する貨物の輸出通関も同様で、海上貨物の場合、輸出企業が外国に向けて出港する
港にある税関地域に貨物を直接運び、そこで輸出通関を行う時にその地域をファースト・
ゾーンと呼び、 輸出企業から直接ファースト・ゾーンに運ばずに、一度途中の地方のドラ
イポート税関倉庫に運びそこで輸出通関を行う地域をセカンド・ゾーン と呼ぶ。セカン
ド・ゾーンの税関倉庫は EADI とも呼ばれる。以上は航空貨物の輸出も同様である。
ファースト・ゾーンの国際空港税関はグアルーリョス(サンパウロ)、ビラコッポス(カ
ンピーナス)、リオデジャネイロ(ガレオン)、サルバドール(マガリャンイス)、レシ
フェ(グアラッペス)、マナウス(エドゥアルド・ゴメス)、ブラジリア、フォルタレー
ザ(ピント・マルチンス)など 8 空港。港はサントス、リオデジャネイロ、パラナグア、
リオグランデ、サンフランシスコ・ド・スル、イタジャイ、ビトリア、サルバドール、レ
シフェ、フォルタレーザ、サウイッペ、マナウス、ベレンなど 13 港である。
サンパウロ州の場合、港湾ではサントス港始めグアルジャー港、サン・セバスチャン港
合せて 45 の税関倉庫があるが、そのほとんどは民間企業が政府の認可を得て運営している
ものである。主なものは、
「Santos Brasil/Mesquita」、
「Grupo Libra」、
「Tecondi Terminal」、
「Bandeirantes」、「Local Frio」、「Marimex」、「Deicmar」である。輸出入通関を
ファースト・ゾーンで行うか、セカンド・ゾーンに移管して通関申請するかは、輸入およ
び輸出企業の自由選択だが、セカンド・ゾーンに移管する場合は、貨物が到着する 72 時間
前までに地方の保税倉庫への移管手続き(Declaracao de Transito Aduaneiro)を行う必要
がある。
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2015 年 10 月 30 日作成
J-FILE 用参考資料
ブラジル政府の保税倉庫システムは、ブラジル各州の開発とファースト・ゾーンにおけ
るインフラ投資を軽減する目的で、各州の主要都市、工業団地の密集地域などにおいて、
セカンド・ゾーンとして民間企業に内陸保税倉庫業務と税関業務の代行権利を委譲する政
策を推進している。設立にあたっては、入札方式で保税倉庫設備規定に基づく各種設備が
設置可能な民間企業が応札できる。2015 年 10 月末時点で全国に41ヵ所あり、サンパウ
ロ州に13(サンパウロ都市圏には 6)、リオグランデ・ド・スル州に8、パラナ州に4、
ミナス・ジェライス州に3、、リオデジャネイロ州、サンタ・カタリーナ州、ペルナンブ
ーコ州、各2ヵ所ある。これらのドライポート保税倉庫は全て民間企業が入札によりその
利権を享受したもので、定期的に国税庁(RFB)税関局による運営、管理、設備などに関
する検閲がある。
ドライポートに移管する目的、理由は様々だが、時期的な問題(例えば、港湾ストが頻
発する時期、年末年始、カーニバル前後、連休など)、輸出入貨物が急増した場合、輸入
通関でトラブルが予想されるような場合、通関が完了するまでに予想以上の時間を要し、
そのための保税倉庫料がかさむ、などである。進出日系企業でも、ドライポートへ移管す
る企業が多くみられ、なかでもサンパウロ州スザノ市(サントス港から約 150kmの距離を
アプト式鉄道で内陸に向かって輸送可能)の“CRAGEA”というドライポートでの取扱い
が多い。
保税倉庫制度には、輸入の保税倉庫システムと輸出の保税倉庫システムがあり、前者は、
国際見本市のプロモーター、造船所、石油・天然ガス掘削用プラットホームなどが利用す
る連邦国税庁(RFB)から認可指定された保税倉庫で、委託輸入物品の保管区域である。
現在稼動している保税倉庫は、輸出入貨物のドライポート保税を兼業しているところが大
部分である。
2010 年 12 月1日より有為替でも無為替のどちらの輸入貨物でも、ファースト・ゾーン
からドライポートへ移管することが可能となった。ただし、有為替条件で移管された輸入
貨物の再輸出は認められない。これらの輸入貨物の蔵置期間は 360 日で、理由が認められ
ればさらに 360 日間保管できる。後者の場合、入庫日から起算して 120 日間である。
輸入の保税倉庫システムは、日本の委託輸入制度による貨物の保管に相当するもので、
前述の期限内であれば、次の方法で輸入通関を行うことができる。
a. 内貨(Nationalization)としての通関:委託輸入をした輸入企業の名義から、第三者
の名義(輸入企業)に切り替えて、通常の輸入税その他を支払って内貨にする。複数
の商品の場合は、必要に応じて分割して内貨にすることも可能。
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b. 無為替輸入条件でドライポートに移管された貨物は諸税の支払いなしで再輸出が可
能:補給部品など、調達期間を短縮するためにこのシステムを利用して蔵置している
ものの一部を内貨とし、需要がないとみられる荷物は、全て第三国に再輸出すること
も可能。ただし有為替輸入条件でドライポートに移管された貨物の再輸出は認められ
ない。
この他、連邦政府は「ロジスティック税関工場センター」(CLIA-Centro Logistico e
Industriais Aduaneiros)と呼ばれるいわば、保税工場としての税関倉庫を設置を許可して
いる。現在、サンパウロ州内 12 箇所、エスピリットサント州に 3 箇所、ミナス州に 2 箇所、
サンタカタリーナ州に 2 箇所、サルバドール市、リオデジャネイロ市、クリチーバ市、南
リオグランデ州に各々1 箇所、合計 23 箇所が指定されている。ここでは比較的簡単な組み
付け工場を設置し、輸入通関した輸入商品(原材料、構成品、部品など)を組付け輸出商
品として直ちに輸出通関を行うことが出来る。
又、輸出通関専用の税関地区として、全国、主要港近郊に、71 箇所の REDEX (Recinto
Especial para Despacho Aduaneiro de Exportacao)を設置している。このうちサントス港
近郊には 45 箇所、リオデジャネイロ港近郊に 9 箇所が指定されている。
根拠法規:
2002 年 11 月 6 日付の財務省連邦収税局指令第 241 号(保税倉庫制度の基本規定)
2000 年 5 月 23 日付の財務省連邦収税局指定第 55 号(地方の保税倉庫:EADI)
2010 年 11 月 30 日付の財務省連邦収税局(RFB/MF)第 1.090 号(EADI の細則変更)
2011 年 1 月 18 日付の財務省連邦収税局(RFB/MF)第 1.123 号(EADI の細則変更)
2014 年 2 月 14 日付の財務局(RFB)指令第 1.444 号(EADEの細則変更)
2001 年 12 月 31 日付の財務局(RFB)指令(IN/SRF)第 114 号(Redex 関連法規)
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