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「ものづくり」の精神を受け継ぎ、 次代を担う新しい価値を

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「ものづくり」の精神を受け継ぎ、 次代を担う新しい価値を
R & D 戦略
「ものづくり」の精神を受け継ぎ、
次代を担う新しい価値を創造する
アイシンでは豊富に蓄積された自動車部品技術を基盤に、次代を担う新しい価値の創造に努めています。
つねに新しい市場を開拓する精神こそ、事業拡大と永続的な成長・発展を約束し、ひいては社会の発展にも
寄与するものと確信しています。
■高い技術力を背景に、着実な成長
高い安全性や環境への配慮、運転する喜びなど消費者
が自動車に求めるニーズや機能は、多様化と高度化の一
アイシングループは多彩な企業によって企業集団を形成し
途をたどっています。そうした要求に的確に応えていくこと
ています。アイシン精機を筆頭に各社がそれぞれ専門性の高
がアイシンの重要な使命です。そこで、当社では「品質至
い技術を保有し、独自の技術開発を行うとともに、各社の強
上」を理念として、信頼性の高い先進技術の開発に取り組
みを一層伸ばした上で、より良い組み合わせによって斬新な
み続けています。
機能や技術、製品を世に送り出す、競争と協調の両面を重視
現在の顧客に求められている技術や製品の研究開発に注
力する一方で、30年、50年先を見据えた研究開発にもチャ
した独自の開発体制をとっています。
そのスキームはまず各社の優位性を一層伸ばした上で、
より良い組み合わせによって斬新な機能や技術、製品を世に
レンジしています。
こうした 取り組 み は、毎 年 着 実 な 成 果を 上 げ ており、
問うというものです。例えば、アイシン精機はボディ関連、エン
2005年度には、環境性能と走行性能を高い次元で両立さ
ジン関連を中心に、すべての商品セグメントに関与し、開発全
せた、世界初の「後輪駆動車用ハイブリッドシステム」
を開発
体のイニシアチブを発揮しています。また、アイシン・エィ・ダブ
しました。さらに、2分割ケースの採用により、世界トップレ
リュはドライブトレイン関連と情報関連、アイシン・エーアイは
ベルのコンパクト化と軽量化を実現した
「高容量前輪駆動車
ドライブトレイン関 連、アドヴィックスはブレーキ及びシ
用6速マニュアルトランスミッション」
を開発し、多くの車種で
ャシー関連について、それぞれ技術開発の中核を担っていま
採用されています。
す。さらに、アイシン高丘やアイシン化工は鋳造や塑性加工、
また、安全や環境、走行性能の核となるシステム・モジュー
ル化技術を強化し、
トヨタ自動車と共同で、電動のシステム
としては世界初となる
「電動アクティブスタビライザーシステ
樹脂成形などの要素技術開発を受け持つとともに、独自の工
法を活かした応用商品の開発にも携わっています。
これらグループ各社が共同で開発に取り組んでいるのが、
ム」
を開発しました。自動車はカーブを曲がる際に遠心力を
走行系運動制御システムや運転支援システムなど、各社の持
受けるため、車体がカーブの外側に傾く現象
(ロール)
を生じ
つ技術を組み合わせるシステム商品です。いずれもアイシン
ます。スタビライザーはロールに応答し、車体の水平を保と
のグループ力をいかんなく発揮できる分野で、将来性の高さ
うとして働く装置で、同システムはこの機能を車両の姿勢に
でも注目を集めています。
応じて可変制御し、ロールの抑制と乗り心地の良さの両立を
実現しました。
また、自動車の快適性、利便性を高める新機能・新商品の
提案に関しては
「電動格納シート」が注目を集めました。これ
はミニバンの後部座席を簡単に床下に格納し、車内の収納
スペースの拡大に貢献する製品です。
高温環境下
(50℃まで)
の機能部品
への影響を評価する高温室
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■グループ各社の競争と協調による
研究開発を展開
経営戦略
経営戦略
事業紹介
社会との関わり
関連会社
財務データ
豊頃試験場(北海道中川郡)
氷結路でのABSなどの制御ブレーキ性能評価
■国内外に世界トップクラスの評価施設を保有
アイシンは部品単体はもちろん、車両全体を評価することの
できる世界トップクラスの評価施設を保有しています。例えば、
低温環境下(−50℃まで)でのエンジン
始動性などの車両への影響を評価する
低温室
家庭用燃料電池の性能試験
■エネルギー関連事業でも積極的に
研究開発を推進
一方、エネルギー関連事業では21世紀のエネルギー機
国内には藤岡試験場
(愛知県)
と豊頃試験場
(北海道)
の2カ所
器と期待される燃料電池の開発に力を入れています。自動
があり、豊頃試験場は2005年9月に全長7.9kmの総合周回
車用に先駆けて実用化を見込まれているのが、
トヨタ自動車
路を新設しました。この総合周回路は一般の高速道路と同様
にバンクの無いカーブや勾配を設け、また、鉄橋やトンネル、
コンクリート壁などを設置し、電波障害やI
TS関連の試験を行
えるようにするなど、実際の走行環境を模擬した世界の部品
と共同開発している家庭用燃料電池コージェネレーションシ
ステムです。これは一般家庭で自家発電するとともに、燃料
電池反応過程で発生する熱エネルギーを無駄なく利用する
もので、省エネ性が高く、二酸化炭素の削減に有効とされて
います。
メーカーを見渡しても類を見ない試験環境を有しているのが
この事業分野ではすでに市販されたガスエンジンコージェ
大きな特徴です。また、海外では米国ミシガン州ファーラビル
ネレーションシステムから、色素増感型太陽電池など将来が
市に日系サプライヤーとして初めて北米に試験場を新設しまし
期待されているものまで、多様な機器や技術の開発に取り組
た。車両性能評価を行える試験環境を整えたことで、北米で
んでいます。社会や環境などに貢献するという観点からも、
の開発・販売体制を一層強化し北米市場での事業拡大をめざ
その研究開発を今後さらに積極的に推進していきます。
します。
こうした評価施設は製品の信頼性を高める上で不可欠の
要素です。アイシンでは今後も評価施設や機能の拡充を図
り、製品の安全性の確保に努めます。
AISIN REPORT 2006
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