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2月ユーロ圏消費者物価(速報)
EU Indicators 欧州経済指標コメント:2月ユーロ圏消費者物価(速報) 発表日:2014年2月28日(金) ~縮小回避の犯人はフランスか?~ 第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 田中 理 03-5221-4527 ・ 2月のユーロ圏の消費者物価の速報値(EU統一基準)は前年比+0.8%と前月から不変。前日発表の ドイツの2月の消費者物価の前年比上昇率が前月から縮小していたこともあり、ユーロ圏全体でも上 昇率が縮小するとの観測が高まっていた。5ヶ月連続で前年比1%未満の推移と、ディスインフレ基 調に変化はないが、上昇率が一段と鈍化しなかったことで、3月6日のECB理事会での追加緩和期 待が後退している。四捨五入前では1月:同+0.85%→2月:同+0.78%と上昇率がやや鈍化した。 ・ 公表済みの内訳は、エネルギーが前年同月の“裏”もあり同▲2.2%と前月(同▲1.2%)から下落率 が拡大、食料・アルコール・たばこが同+1.5%と前月(同+1.7%)から上昇率が鈍化した一方、コ ア物価が同+1.0%と前月(同+0.8%)から上昇率が予想外に加速し、全体の物価計数を押し上げた。 ・ 公表済みの国別の消費者物価(統一基準)は、ドイツ(1月:同+1.2%→2月:同+1.0%)、スペ イン(同+0.3%→同ゼロ%)、イタリア(同+0.6%→同+0.5%)が揃って前月から上昇率が縮小。 ここから、シェアが大きいフランスの物価上昇率が前月から相応に拡大したと推測。フランスでは1 月1日より付加価値税率が引き上げられ、1月の物価計数を同+0.6%ポイント押し上げた。同日発表 されたフランスの1月の消費者支出は前月比▲2.1%と大幅減。駆け込みの反動減を考慮に入れても、 消費の基調は弱々しい。今月のフランスの物価上昇率の加速(見込み)は、景気底入れの影響波及で はなく、税率引き上げの影響が遅れて顕在化したものと考えられる。インフレ圧力が極めて限定的と の従前の判断を変えるものではない。ただ、追加緩和のカードが乏しいなか、3月会合では利下げを 温存し、SMPの不胎化中止と固定金利・無制限供給方式の2016年までの延長で対処すると考える。 ■ ユ ー ロ 圏 :消 費 者 物 価 ( 前 年 比 ) ■ユーロ圏主要国の消費者物価(統一基準、前年比) (%) 5 (%) 4 消費者物価 コア消費者物価 4 3 3 2 2 1 ドイツ スペイン イタリア フランス 1 0 -1 06 07 08 09 10 11 12 13 0 14 注:コア物価は食料・タバコ・アルコール・エネルギー除く 出所:Eurostat 11 12 13 14 出所:Eurostat ■ユーロ圏の消費者物価(%) 消費者物価 コア消費者物価 食料品 アルコール タバコ エネルギー (前期比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) 2013 2013 2014 1Q 2Q 3Q 4Q 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 0.4 0.1 0.4 -0.1 0.2 0.1 0.0 -0.2 -0.0 0.1 0.1 - 1.9 1.4 1.3 0.8 1.6 1.3 1.1 0.7 0.9 0.8 0.8 0.8 1.4 1.1 1.1 0.8 1.1 1.1 1.0 0.8 0.9 0.7 0.8 1.0 2.6 3.0 2.8 1.3 3.3 3.0 2.2 1.4 1.1 1.4 1.3 - 2.6 2.8 2.6 2.7 2.7 2.5 2.5 2.7 2.7 2.8 2.9 - 4.6 3.9 5.2 4.0 4.9 5.4 5.4 4.0 4.0 4.0 3.9 - 3.2 0.3 0.1 -0.9 1.6 -0.3 -0.9 -1.7 -1.1 0.0 -1.2 -2.2 注:消費者物価の前期比は季節調整後。コア消費者物価は食料・アルコール・たばこ・エネルギーを除く。 出所:Eurostat 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1