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腹臥イ立への体位変換が脳活動および ” 霊神経活動に

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腹臥イ立への体位変換が脳活動および ” 霊神経活動に
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-原著 腹臥位への体位変換が脳活動 お よび
自律神経活動 に及ぼす影響
渡
辺
しき子,平
野
秀
新潟大学大学院 医歯学総合研究科
利,山
田 好
秋
顎顔面機能学分野
(
主任 :山田好秋教授 )
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8日受付
1
2月 9日受理
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抄轟 :腹 臥位- の体位変換が脳 活動 に及 ぼす影響 については月
齢皮の周波数解析 ,脳 幹網様体の活動 に影響 があ るとさ
0分間の後 に仰臥
れる自律神経活動 については心拍変動の分析か ら検討 したQ対象は優麗 な女子 学生 5名で,椅座位 1
A)
,腹臥位 ,頭 部 を挙上 した腹 臥位 ,仰臥位 (
B)
の順 に各 1
5
分 間同-体位 をと らせたO脳波 はF4
か ら単極誘導で
位(
we
r
値 は,仰 臥位 (
A)か ら腹 臥位へ の体位変換直後 には
記録 した。覚醒 や精神活動 を反 映す る とされ る β波 % Po
l
l
.
60
/
Oか ら2
0
.
70
/
Oに,腹臥位か ら頭部 を挙上 した腹 臥位では1
4.
30
/
Oか ら2
3.
2%に有意 に増加 (
p<0
.
0
5)し,aR間隔 は有
意で はないが短縮 した。腹臥位 で は1
0
1
5分 に は安 静臥床時の億 に回復 したが ,頭 部を挙上 した腹 臥位 は, β波 %
Po
we
r
値 は高い状態 を,RR間隔は短い状態 を維持 し,覚醒度 を示すVAS億が 最 も高か ったこ とと一致 したO高周波
- 41 -
206
新潟歯学会誌
3
4は)
:
2
0
0
4
成分 (
托F)は座位か ら仰臥位 (
A)になった直後に約 2倍に増加 し,その状態 を維持 した。低周波成分 と高周波成分の
LF.
ノ
HF)
については有意な変化はなかった。この結果か ら,腹臥位 に体位変換することが直接大脳機能を活性化
比(
波 % P
o
we
r
値の増加お よび交感神経活動優位の傾向がみ
するとは言い難い。ただ し,頭部を挙上 した腹臥位で, β
られたことか ら,腹臥位は患者の随意運動を行いやす くし,患者が頭部を自分で挙上 Lようとす ることが覚醒皮の改
善や 自発性の向上につながることが示唆 された。
椅 座位 1
0分間の後 に仰 臥位 ,腹 臥位 , 自分 で頭部 を挙
緒
上 した腹 臥位 (
以下 「頭 部挙 上腹 臥位 」とす る),仰臥
看
5
分 間ずつ 同一体位 を と らせ たO便宜 的に始 め
位 の順 に1
遷 延性 意識障害患者 や 日常生活動 作能力が低 下 した人
(
A)
,後半 の仰 臥位 を仰臥位
の仰 臥位 を仰臥位
(
B) と
(
低 ADL者 )は,仰 臥位 やベ ッ ドをギ ヤツチア ップ した状
した。体位変換 は被験者が 自分で行い,腹臥位 で は上肢
態 で ,常 に背面 をベ ッ ドに密着 させ た ま まで過 ごす こと
を外 転挙上肘 関節屈 曲位 とし,手 掌 をベ ッ ドに接触 させ
に よ り,医原性 の寝 た き り患者 を増 加 させ る といわれて
るよ う指示 したQ 体位変換後 ,被験者 の状態が安定 した
い るO 川 島,平松・
らl・2'は背面 開放端 座位 が, 有働 3い
時点 か ら安静 開眼時 の脳波 と心電 図 を測定 した。体位変
6'
は腹 臥位が , この ような患者 の覚醒 度の改善, 自発性 向
8
.
1±4
2
.
6秒 で あ った。 正確 を期す る
換 に要 した時 間 は6
上,外 界へ の関心 の高 ま りに効果が あ る と報告 して いる。
ため に同一被験 者 に 日を替 えて 2-3回実施 した。
小板 橋 ら7'は腹臥位 と足底接触 の関係 に着 日し,健常着
測 定 は,被験者が普段 の生活 で食後 2時 間以上経過 し
を対 象 に脳 波 の周波 数解析 を行 い ,腹 臥位 お よび足底接
た状 態 で実施 し,起 床後 の喫煙 , カフェインの摂取 を禁
触 に よ りβ波帯域 の増 幅 を引 き起 こす可 能性が ある と述
じた1
1
㌧ 実験 の時間帯 は,人 間が 受 け るス トレスの量が
べ て い るo大久保 ら8)は背 面 開放座位 と背面密 着型 座位
:
0
0-1
4:
3
0と し,土曜 日または 日曜
少 ない とされ てい る9
の体 内機能維持,活性 化 に着 目し,心拍 変動の周波 数解
2
0
0
3
年5
月31日 -2
0
0
3
年 9月7日)o 実験 は
日に行 った (
析 に よ り背 面 開放 座位 の方 が明 らか に 自律神経 活動 の活
A校 看 護 実習 室 で 行 い ,室温 21
.
9±1
.
2℃ ,湿 度 6
4.
6±
.
3±51
.
1Lux,騒音 4
0
.
2±1
.
4
dbであった
7
.
2%,照 度91
脳 波 は , 国 際 電 極基 準 1
0-20方 式 に よ り右 前 頭 部
(
F4)か ら単 極 誘 導 で 記 録 した O 測 定 に はNeur
of
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7
4
1
4 (日本光電, 日本) を使 用 し,明 らか な体動 の部分
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を除 き,波形 処理 ソフ トCED Po
)は健常老人 と健常 成人
発化 を示 した としてい るo 柳 ら9
0
1は虚弱 高齢者 を対象 に,腹 臥位 が 自
を対 象 に,新村 ら1
律 神経活動 を介 した生体調節能力 の維持 や大脳 活動へ の
覚醒 刺激 となる可 能性 が あ る と報告 している。
腹 臥位 と背面開放座位 の共通点 は,背面が重力 か ら開
。
る体性 感覚刺激が有効 であ り,体位 変換 直後 に変化 は現
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秒単位 で周波
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数解 析 を行ったO周波数帯域 は, ∂波 (
0
.
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0Hz
)
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れ,時 間経過 と共 に順応 し変化 は小 さ くなるので はない
波(
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.
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.
0Hz
)
, a波 (
8
.
0-1
3
.
0Hz
)
, β波 (
1
3
.
0-3
0
.
0
か と考 え られ る。本研究 の 目的 は,健常若年者 を対 象 に,
腹 臥位へ の体位変換が脳活動 に及 ぼす影響 につ いて は脳
we
r
値 の総和 を1
0
0% と した ときの各帯域
Hz) とし,Po
we
r値) を算 出 し (
図1
)
,覚醒 や精神 活
の割 合 (
% Po
波 の周波 数解析 ,脳幹網様体 の活動 に影響があ る とされ
動 を反映 してい る1
1
'
'とされ る β波 につ いて0
/
oPo
wer値
る 自律神 経活動 について は心拍 変動 の分析か ら検証 す る
の5
分毎 お よび 1分 毎の平均値 で比較 した。
放 されてい ることと,患者 が頭 部 を 自分 で コン トロール
す る こ とで あ り,姿勢 を保 とう とす る力 ,姿勢 反射 によ
'は,いず れ も体位変換 に よる
こ とで あ るo先行研 究 710
影響 を避 け るため に,体位 を とってか ら測定 までの 3-
>
E2.
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1
.
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0
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0
㈱
1
.
0
1
5分 間 は,測定対 象か ら除外 してい るが ,前述 した よう
に体位変換 直後 に変化 は現 れ,時 間経過 とともに順応 し
I
,
乙0
変化 は小 さ くなるので はないか と考 えるため,体位 変換
佃納
3
87.
53
88.
03
88
.
5 389.
03
8
9.
539
0
.
039
0.
53
91
.
03
91
.
539
2.
0S
徳 ,波形 が安定 した比較 的早期 か ら測定 し,体位変換後
の時 間経 過 による変化 も含 めて検 討 したO
方
法
0.
5 2
対象 はボ ランテ ィアに よって参加 した健康 な女子学生
4
6
8
10
1
21314 16
18
20 2
2 24 26 2B 3
0
Fr
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I
Cy
5名 で,年齢 は2
0-2
4
歳 (
平均 士標 準偏 差 2
0.
8±1
.
8
歳)
Hz
図 1 脳波の 1例 と
o
we
rS
p
e
c
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r
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この脳波を周波数解析 して得 られるP
で あ った。
-
42-
渡辺
2
0
7
しき子 ほか
R間隔 を lmsの精度 で計測 し, 5分毎 お よ
心電 図 はR-
倫理 的配 慮 は,被験 者に実験 の 冒約 ・方法 ・デー タの
び 1分毎 の平均値 で比較 したO心拍 変動 の周 波数 解析 は,
取 り扱 いにつ いて 口頭 で説 明 し,実験 はいつで も中止可
R間隔 の時 系列 に対 し 直線 補 間
測定 に よ り得 られ たR-
能 であ るこ とを説 明 した。 頭部挙上腹 臥位 を1
5分間続け
R間隔で サ ンプ リ ング を行 い, 高速 フー リエ
軌 平均 R-
る ことは苦 痛 を伴 うため,特 にそ の点 は強 調 して説明 し,
変換 (
Exc
e
l2
0
0
0を使 用) を行い , 5分毎 の変化 を比較
実 施 中 も確 認 したO
した o0
.
1
5-0
.
45Hzの 高周波 (
HF)成 分 を副交 感神経
結
.
04-0.
1
5Hzの 低周 波 (
LF) 成 分 と
活動 の指標 と し, 0
果
HF成分の比 (
LF′
′
HF) を交 感神経 の指標 とした 。
各被験者 (
A二
E) に 2- 3回実験 を行い ,同 一被 験者
なお,脳波 は睡 眠 の影 響 を受け るこ と,腹臥位 を不快
s
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lAna
l
o
gSc
a
l
e(
VAS)
に思 う人 もい る こ とか ら,Vi
wer値の 相関 につ
の各実験 で の相 関 を見 た。 β波 % Po
汀眠い」 を O, 「
す っ き り」 を1
0,「
不快」 を O,「
快 適」
い て , 被験 者 Aの 1回 日 と 2回 目で は相 関係 数 -0
.
22
告l
o
) を用 い て,覚醒 度 と快 適度 の被験者 による主観 的
,BはO.
0
9(
p=0
,
7
8
3
)
,Eは 0
.
30 (
p-0
.
2
9
4)と
(
p=0
.
4
4
9
)
相 関 は なか ったが , C,Dは,0
.
6
6-0.
71 (
p=0.
0
04270.
0
0
9
87
)とやや高 い相 関が あった。RR間 隔につ いて は,
感覚 を調べ た。
統計解 析 は,測 定項 目毎 に一元 配置 分散 分析 を行 い,
Leveneの検 定 で 等 分 散 が 認 め られ た 変 数 につ い て は
.
5
2(
p-0
.
05
9)で 相関 はな
被験者 Dの 1回 目 と 2回 目は0
Bo
nf
e
r
r
oni
の方 法 を用 い て多 重比 較 を行 い,等 分散 が認
め られ なか っ た変 数 に対 して はTa
mha
neの方法 を用 い
か ったが, 馳 はO
.
7
8-0
.
9
8(
p-0.
0
0
00
0
030
.
0
01
0
8
39) と
たO要 因 は時 間で あ り,体位 別に 5分 毎 または 1分毎 の
今 回 は,各実験 デー タを 1デー タ として処理 した。な
グループで ,分析 を行 った。有意 水準 は 5%と した。統
お ,被験 者 B, Cに関 して は, 1回 目の実験 で は仰 臥位
ude
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r
.
l
l
.
O
Jを使 用 した。
計 ソフ トはSPSSSt
(
B)を行わ なか ったため,デー タ数 は座位 ,仰臥 位 (
A),
高 い相 関を示 した 。
*
M e a n 土 SD
0 05
P< .
*
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.
仰臥1
立
(
A)
座 位
肢
臥位
王
頭部挙上腹臥1
立
イ
印臥位 (B)
時 間 (m i
n)
図 2 β波 % P
o
we
r
値の変化 (5分毎)
(
n-l
l
,ただし仰臥位 (ち)はn=9)
(% ) Ja 喜
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4
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.
0
0
0
1
5
.
0
1
0
.
0
0
5
.
0
0
0
.
0
0
M e an± SD
*
P<
0. 05
0
■
=◆
⊂
=
亡
=
(
=
=
⊂【
=一
(
=
t
=
f
=⊂
=
⊂
'
■
●
■
■
■
●
.
r
■
N
1
1
t
l
{
l
q
●
一
◆
I
■
・
.
一
◆
■
■
■
◆
∈∈∈∈∈∈ ∈∈∈∈ ∈∈∈E∈∈EE
L)r
h lT
⊂
:t
=亡
=∈亡
=≡
∈∈∈∈∈∈∈EE∈∈ EE
(
⊂
-
くり す
く亡I く亡l ぢコ
座 位
N
廿
岬
0
C
p
申
l
∈コ N
∈コ
仰 臥 位 (A)
†
T†M
I
l
一 昨
l
l くP
叩-
腹 臥 イ
立
1
L
ーL
} 叫
T
T
く○ くq
や q
Q
q
i
糾
せ
「
くり
Lr>L卜・
・ 07 ,一 fq L
n
さ
頭 部 挙 上 腹 臥 位 ; 仰 臥 枚 (B )
時 聞
図 3 β波 % P
o
we
r
値 の変化 (1分毎)
(
n-ll
,ただし仰臥位 (
ち)はn;9)
-
4 3 -
(m ;∩)
2
0
8
3
4(
2日 2
0
0
4
新潟歯学 会誌
その他 の臥位では低値であ り,仰臥位 f
A)と比較 して
腹臥位,頭部挙上腹臥位 は11,仰臥位 (
B)は 9であるO
脳波 の β波 % Po
wer
値 の変化 :覚醒や精神活動 を反
p-0.
01
5) が,
東 部挙上腹臥位で は,有意 に高 か った く
その他,各体位間に有意差 はなかった。
映 してい るl
・
q
'とされ る β波 について, 0
/
aPowe
r値の 5
分毎 の平均値で比較検討 した (
図 2)
O β波 % P
o
wer
変化 が体位変換 後 どの時点 で 出現 す るか をみ るため
値 は,仰臥位 (
A) か ら腹臥位へ の体位変換 直後 には,
図 3)O β波 %
に, 1分毎 の平均 値の比較 を行 った (
Po
we
r値 は,仰臥位 (
A)15分か ら腹臥位 1分お よび腹
ll
.
6±3.
7% か ら20.
7±9.
0% と有意 に増加 (
p-0.
038) し,
4.
3±4.
2% か ら23.
2±
腹臥位 か ら頭部挙上腹臥位では,1
臥位 1
5分か ら頭部挙上腹臥位 1分で増加 し,座位 1
0分か
7.
2% と有意 に増加 (
p-0.
048) した 。 座位 か ら仰臥位
ら仰臥位 (
A) 1分お よび頭 部挙上腹臥位 15分か ら仰臥
(
A) へ の体位変換直後 に1
9.
6±7.
0% か ら1
3.
8±4.
1% と
位 (
B) 1分で減 少 したが,いずれ も有意差 はなか った。
(
B)で は
心拍変動 :心拍 R
R間隔 の 5分毎 の平均 (図 4) は,
21
.
4±6.
70
/
Oか ら1
4.
0±3.
6% と減少傾 向にあった。その後
座 位か ら仰臥位 (
A) への体位 変換 直後 に885.
6±1
69.
3
の 51
0分では,腹臥位 では20,
7±9.
0% か ら1
6.
0±7.
6% に,
msか ら1
059.
6±158.
8msに延長 し,その後 の 5分で はさ
頭 部挙上腹臥位では,23.
2±7
.
2% か ら1
9.
4±6.
3% に減少
らに延長 したが,有意差はなか った。仰臥位 (
A) か ら
したが,有意差 はなかった。各体位 とも, 5-1
0分か ら
腹 臥位 へ の体位 変換 直 後 に は ,1131.
7±175.
2msか ら
10-1
5分 にかけての変化 は小 さ く有意差はなかったO た
1
052.
6±1
63.
Omsと短縮 し,その後の 5分で は延長 した
だ し,頭部挙上腹臥位では他の体位 よ り高い状態 を維持
が,いずれ も有意差はなか った。 また,腹臥位か ら頭部
していた。
挙上腹臥位- の体位変換直後には短縮 し,その後の 5分
減少傾向 を示 し,頭部挙上腹臥位か ら仰臥位
体位変換 の影響が少 ない と推 定 され る座位 5-l
o介,
で はさ らに短縮 し 頭部挙 上腹 臥位 か ら仰臥位
(
ち)へ
各 臥位 の 1
0-15分 の平均値 で各体 位 の比較 を行 った結
の体位変換直後には延長 し,その後 の 5分ではさらに延
we
r
値 は,座位 と頭部挙上腹臥位 で高 く,
莱 , β波 % Po
長 したが,いずれ も有意差 はなかった。各体位 とも,餐
Mean±SD
0
5
r
l
l
n
.㌔
ml
n.
m
i
n
.r
】
(
A
)
P< 0. 0 5
n
.・r
T
l
l
n
,.r
n
l
n
. ml
n
.-r
n
l
n・・T
T
l
l
n.
ヨ
真
部挙上旗臥位
仰臥1立(a)
r
T
l
l
n. ml
n
.
仰臥位
座イ
立
*
r
TH
時槻 く
mi
n)
図4
R-R間隔の変化 (5分毎)
(
n-ll,ただし仰臥位 (B)はn-9)
M ean±SD
* P < ○_ 0 5
(su)旺匡苧 ∝
t >
吐 臥 枚
仰 臥 位 (A)
.
・ ナ
頚 部 挙 上 h
k臥 位
L
事
L
t
F
ワL
心 =別 ■
l
r・
一 L
7
L
p J
U
!
u
m
U
!
LJJ
e
u
!
uL
.
f
=E
E∈
>
亡
0t
[
座 位
E
A ≡
L
J
!
u
l
6
U
.
I
u
L
U!
t
U
S
L
J
!
u
C
L
J
!
u
J
r
U
!
L
L
I
,
㌣
亡l
=l
=l
=【
=.
⊂l
=
t
l吋
弓F
U
t
u
Z
1
岩■
言「
萱 ≡T
吉■
さ
仰 臥 位 くB)
8
専聞 くmi
n)
図5
R-R間隔の変化 (1分毎)
(
n-ll
,ただし仰臥位 t
B)はn=9)
-
4
4 -
しき子
渡辺
2
0
9
ほか
M e an±
:
SD
LF/H ド (交 感
H ド(
苗リ交 感 手申経 )
*
P< 0. 0 5
神経 )
l
U
4
1
*
O
2
1
㌧
.
.
.
I
.
.
.
'
.
I
;
.
I
-L
J
I
U
S
L
・
O
U
.
U
8
.
,J
f
山 ⋮≡
座位 仰臥位(
A
)
-毘
T内
・
〇
t
t
叫
uS
U
.
US
L
・
B
L
T⊥ 出
L
!
L
A
O
L
・
Tm 日日U L
!
uS
I
D
T⊥門
u亡
u
盲S
L
・
I[
EQ
TS
W
!
uTQ
山 ⋮o
L
・
S
o
o 2
o 0
o
q
}4
0 O 0 0
円
o
8
O
位(
a
)
T ⊥
o
0
・
-
都拳 上 肢 臥 位 仰臥
u
t
unO
L
t
J
!
u
LD
TS
u
l
uS
・
0
≡
u
l
S
TOl
1
洗
臥位 帝
u
E
u
18Lふ
L
l
u
ElS-a
OL
U
u
L
Jご・
O
L
.
I
t
L
L
O
L
・
S
1
)
u
t
∈
S
・
B
u
l
u
S
T
仰 臥枚 (
A) :
≡ I
E
Oヾl
■
T
I
L
u :
三
・
二
J
l
臥せ 耳琳事上J
A臥位仰
臥也
(
a
)
図 6 自律神経活動の比較
(
n=1
1
,ただ し仰臥位 (
別 はn=9)
化は体位変換 直後 の 5分 間に出現 し,その後の 5-l
o介
考
と1
0-1
5分での変化 は小 さい結果 であ ったO 頭 部挙上腹
察
臥位では, 5分 よ り1
0分, 1
0分 よ り1
5分 と時間 を追 って
短縮傾向にあ った。体位変換 の影響が少ないと思われる
体位変換 に伴 う脳 波の変化 :β波 は αb
l
o
c
k
i
ngのと
座位 5-l
o介,各臥位 の1
0-1
5分 の比較で は,座位 と頭
きに前頭 部 に 目立つ 2
0〃Ⅴくらいの比 較 的不 規則 な波
部挙上腹臥位 で短縮傾 向にあ り,その他の臥位 では延長
で ,覚醒状 態 と関係 して いる1
2
'とい われてい るo β波
A) は有 意に延長
傾向にあった。座位 と比べ て仰臥位 (
%Po
we
r
値 は,仰臥位 (
A)か ら腹臥位-の体位変換直
(
p=0
.
0
3
9) したが,その他 ,各体位間 に有意差 はなかっ
後 ,お よび腹臥位か ら頭部挙上腹臥位へ の体位変換 直後
た。
に増加 し,座位 か ら仰臥位 (
A)へ の体位変換直後 ,お
R間隔 に
体位 に よる変化 が どの時点で現 れるのか,R-
よび頭部挙上腹 臥位 か ら仰臥位
(
B)へ の体位変換 直後
ついて も, 1分毎 の比 較 を行 っ た (
図 5)Oそ の結 果 ,
に減少 した ことは,座位 と頭部挙上腹臥位では頭の位置
各体位 とも主 な変化 は体位変換直後の 1-2分 で起 こっ
0
0 に近い状態 であ り,仰臥位,腹 臥位
が床面 に対 して9
ていたが有意差 はな く,その後の変化 は緩やかであった。
に比べ て,姿勢調節 のメカニズ ム13)が よ り強 く働いたた
心拍変動の周波数解析 について,フー リエ変換 はデー
め と考 え られる。 姿勢反射 に関わる頚部や四肢 の固有受
Ⅹ
個必要で ある。心拍 数は4
2
9
0回/分だったため,
タ数が2
容寄,皮膚 の受容器 などか らの体性感覚 は,主 に視床の
5分毎の比較 は1
28
個 で行 った。 その 結 果 (
図 6),副交
感神経活動 を反映す る とい われてい るHF成分 は,座位
A) に な っ た直後 に75
.
94±1
8.
64 か ら
か ら仰 臥位 (
腹側基底核 群を経 由 して大脳皮 質に到達 してい るといわ
れ 13㌧ 体位 変換 時 には,これ らの反射が 関与 して, β波
% Po
we
r
値の増 加が起 こるもの と考 え られ る。 また,
1
3
6
.
41±23
.
69と有意 に増加 (
p-0.
0
0
0
2) した。 また,体
位変換 の影響 が少 ない と思 われ る座位 5l
o介 ,各 臥位
0-1
5分 の比較 で は,座位 5-1
0分 と比べ て仰 臥位
の1
Mean±SD
♯ P<0.05
(
A) 1
0-15分 (
p-0.
0238) お よび腹 臥位 10-15分
(
p-0
.
03
03) は有意 に増加 した。 交感神経 活動 を反 映す
るといわれてい るLF/
HFは,座 位か ら仰 臥位 (
A),頭
部挙上腹臥位 か ら仰臥位
(
B)で減少傾向がみ られたが,
有意差 はなか った。
覚醒度 お よび快 適度 の主観評価 :覚醒 度 を示す VAS
値の平均 は,頭部挙上腹 臥位7
.
5±2.
9で他 の体 位 よ り高
J
LX EL
l
臥
位
【
A
)
値だったが ,有意 差 はなか った。快 適度 を示 すVAS値
仰
の平均 は,頭 部挙 上腹 臥位 2
.
7±2.
5で ,他 の体 位 と比較
d
F
臥
位
叫
群
書
上
J
l
臥
位
仰臥 位(
朗
図 7 主観評価 の測定
して有意 (
p-2
.
1
9
E0
8
7
.
51
E0
7
) に低 かった (
図 7)0
(
n:
≡ll
,仰臥位 (B)はn=8)
-
4 5 -
ロ快 適度
21
0
新潟歯学 会誌
今回は被験者が 自分で体位変換 を行ってお り,随意運動
3
4はき
:2
0
0
4
と共に順応 し変化は小 さくなるという仮説を裏付ける結
に伴 う変化 とも考えられる。顕の位置がほとんど変わ ら
果であった。ただ し,頭部挙上腹臥位ではその変化が持
な い仰 臥位か ら腹 臥位- の体位 変換 直後 に β波 %
Po
we
r
値の増加があったことは,座位や頭部挙上腹臥位
ほ どではないが,姿勢の変化 に伴 う前庭反射の影響が考
続 したO このことは,頭部 を挙上するとい う課題を課 し
た結果であったと考えられる。
え られるが,頭部挙上腹臥位か ら仰臥位-の体位変換直
we
r
債が低下することとは矛盾する結
後に, β波 % Po
果であった。
仰臥位 (
A)
,(
B)
,腹臥位では,体位変換直後には β
波 % Po
we
r
値の増加ない しは減少が起 こるが,1
0-1
5
以上の結果 より,β波 % Po
we
r
値は腹臥位への体位
0-1
5
分後には仰臥位 と変わ
変換直後には増加するが,1
らない偉 く
安静臥床時の債)に回復 し,腹臥位に体位変
換することが直接大脳機能を活性化するとはいえない結
果であったOむしろ,腹臥位にすることで患者の随意運
分後にはβ波 % Po
we
r
値は1
1
ふ1
4
.
3% で安定 し,各体
位の間に有意差がなかったことは,先行研究 7- 9rlO】と矛
動 を行いやす くし,患者が 自分で頭部を挙上 しようとす
ることが覚醒度の改善や自発性の向上につながることが
わかったO
盾する結果であった。腹臥位直後には,関節,防,皮膚
か ら受ける刺激および体位変換 とい う随意運動を行った
ぎのうち,洞結節 に対する自律神経系入力のゆらぎをそ
体位変換に伴 う心拍変動 :心拍変動 とは心周期のゆら
結果, β波 % Po
we
r
値 は増加するが,1
0分程度で慣れ
の主な起源 とする ものをい う。心拍変動のHF成分 は心
が生 じ,仰臥位 と腹臥位で β波 % Po
we
r
値 に差がな く
なるのではないか と考えられる。
臓迷走神経によって,LF成分は心臓迷走神経 と交感神
頭部挙上腹臥位 は不 自然 な姿勢 であ るO有働 3
'が ,
経 の両者によって媒介 される と考え られてお り1
4
㌧ HF
成分,LF/HFが大 きいほど,各 自律神経の活動が活発
パーキ ンソン病患者を腹臥位 にした ところ,寝返 り動作
に行われていることになる。 早野は,心拍変動は重力の
がみ られたと報告 していることか ら,腹臥位が大脳機能
を活性化するポイン トは,患者が 自分で頭部 を持 ち上げ
影響 を受け体位によって変動す る07
0
0
の 「
He
a
d
upt
i
l
t
に よって平均R
R間隔は短縮 し,HF成分の振幅は減少
ようとして,頚部や上肢 ・背部の筋群が働いたことにあ
す る。 これらの変化は静脈還流の減少に対する迷走神経
るのではないか と考え,今回,この ような体位を取 り入
活動の抑制 を反映する。一方,LF成分の振幅は若年者
れた。本研究の結果,頭部挙上腹臥位 は,座位 と同程度
の一部で増加するが,若年者の約半数 と中高年者では有
」 川 とい う実験結果 を紹介 し,
意 な変化 はみ られない。
に β波 % Po
we
r
値を増加 させ,体位変換 5-1
0分後に
は減少するものの,その後の 5分間では再度増加 し,他
の体位 よ り高い値 を維持 した。このことの要因 としては,
今回,頭部挙上 という課題を与えたことにより,課題達
HF成分の振幅は常に減少す るため,LF/HFは増加する
a
dupt
i
l
t
か ら臥位 に戻す と逆の反応
と述べてお り,He
が見 られると報告 している。本研究でも,早野の実験結
成のための随意運動の結果, β波 % Po
we
r
値の増加 と
して現れたのではないか と考 えられるO 有働 = -は,棉
果 と同 じく,座位か ら臥位への体位変換直後にR
R間隔
神面において飛躍的な改善が認め られた効果のポイン ト
という結果 とな り,自律神経活動が重力の影響 を受けて
は手掌面 をベ ッ ドの方へ向けるという点にあ り,手掌で
変化 した結果であることがわかった。各体位で 5分・
毎の
ベ ッドを押す ことでさまざまなインパルスが中枢神経 を
賦活 し,
患者の覚醒度が改善す るに至ったと述べている。
良R間隔の変化を分析 した結果,仰臥位 (
A)
,(
B)
,腹
R間隔が最 も短 く,そ
臥位は,体位変換 直後 5分間のR
頭部挙上腹臥位時にβ波 o
/
aPo
we
r
値が仰臥位 と比 して
有意に増加 したことは,腹臥位への体位変換時に手掌 を
差はな く,臥床す ることで副交感神経活動優位になった
ベ ッ ドの方向へ向けることにより,患者が寝返 りを打 っ
結果 と考えられる。副交感神経活動 を反映するといわれ
た り,頭 を持ち上げた りする運動を行いやす くしてお り,
ているHF
成分についても,座位 より仰臥位 (
A)
,腹臥
患者の随意運動 を促すことにより,患者の覚醒皮の改善
位で有意に増加 し,臥位で副交感神経活動が完進するこ
に効果的だったのではないか と考 えられる。 このことに
とを示 していた。 このことは,腹臥位でR
R間隔が有意
ついては,有働 6'が腹臥位 を動 こうとする基本 のポ ジ
に短縮するという先行研究 9・10
'
とは異 なる結果であったo
HFが減少傾向にある
が延長 し HF成分は増加 し,LF/
,
0分間はやや延長 し,安定 してお り,各体位間の
の後の1
Lか し,同 じ臥位でも頭部挙上腹臥位では,体位変換直
シ ョンと位置づけていることと一致する。
変化が体位変換後 どの時点で出現するかをみるために
後か ら座位 と同程度であ り,なおかつ持続することがわ
1分毎の平均値の比較 を行った結果,有意差はなかった
か った。HF成分 については,頭部挙上腹臥位 は他の臥
が各体位へ変換 した直後 に変化があ り,同一体位中は濃
やかな変化であった。 5分毎の平均では,仰臥位 (
A),
位 と比 して,同程度かむしろ増加する傾向にあ り β波
% power億やRR間隔の測定結果 と矛盾する結果であっ
(
B),腹臥位の各体位は,体位変換直後 に変化 は現れ,
た。頭部挙上腹臥位は,体幹お よび下肢が心臓 と同 じ高
51
0分か ら1
0
1
5分にかけての変化 は小 さく,時間経過
さであるにもかかわらず,座位 と同程度にR
R間隔が短
,
-46-
渡辺
しき子
21
1
ほか
縮 したことについては,挙上 した頭部 に血液を送るため
操 を行 ったが,臨床の場 においでは,看護者や介護者に
に心拍 数 が増 えた結 果 と考 え られ る。HF
成分 お よび
よる受動的 な体位変換 が多 く,受動的な体位変換に よる
L
F/
HFの はっ き りした変化 が なかった点 につ いて は,
影響 については今回明 らか にす ることがで きなかった。
脳波,心拍変動 は ともに加齢 によ り変化する1
1
,1
3.
HLと
頭部挙上腹臥位は座位で下肢 を下 げることに比 して循環
動態 に及ぼす影響が少 ないため と考え られ るO近森 ら15'
0
歳代前半の若い女性 5
いわれてい る。今回の対象 は,2
は,腹臥位療法の安全性 に注 目し,長期臥床患者 を腹臥
名であるO 性差 や年 齢 に よる違 い,意識 障害患者 や低
位にして も,血圧,心拍 数の有意 な変化はな く,心負荷
ADL者で も同様 の反応か どうか は,今後 の課題であるO
はかか らない,廃用症候群 により心身機能の低下 してい
結
る高齢者 において も,腹臥位 とい う体位の変化 に対 して
三
上
ゝ
i
j
冊
血圧の調整機 能が働 くと報告 してお り,今 回の結果 も,
座位 と比較 して頭部挙上腹臥位が循環系に与える負荷が
健常若年者を対象に,腹臥位への体位変換が脳活動お
小さい可能性 を示 してい る。
よび自律神経活動 に及ぼす影響 について検討 したC 脳活
覚醒 度 を示 す VAS値 は,個人差や測定時の体調 に左
動 について は脳波の周波数解析 ,自律神経活動 につ いて
右されば らつ きはある ものの,頭部挙上腹臥位 で最 も高
は心拍変動 の分析か ら検討 した結果,以下の示唆が得 ら
く, β波 % Po
we
r
値の高 さや交感神経活動の克進 と一
れたo
致 していたこ とか ら,頭部挙上腹 臥位 は,覚醒状態 を促
we
r
値 の増
1.腹臥位への体位変換直後にはβ波 % po
し前頭部の大脳機能 に刺激 を与 えることが示唆 された。
加があ り,脳活動 を活性化す る可能性 ,および頭 部挙
ただ し,快適 度 を示す VAS倍の平均 で は,頭 部挙上腹
上腹臥位 は他の体位 に比べて,脳活動の活性 を維 持す
臥位は最 も低 く,快適性 に間麓が残った。
る可能性 が示 唆 されたO この こ とは,覚醒 度を示す
VAS値が頭部 挙上腹臥位で最 も高かったこ とと一致
心拍変動 と意識 との関係 について,有働 3.4・ 6)は意識
していた。
の調節系 としての上行性網様体賦活系 と視床下部賦活系
の働 きに注 目し,腹臥位療法 によ り低 ADL者の運動面,
2.座位か ら臥位へ の体位変換 直後 に心拍RR間隔 は延
精神面, 自律神経機能 において三位一体の相乗 的改善が
F成分は有意 に増加 ,LF/HFは減少傾 向にあ り,
長,H
起こると述べ てお り,並河1
6
)もこの考えを支持 しているO
副交感神経が優位 な状態 を示 し,持続 した。おな じ臥
紙屋 ら1
7
1
9
)は,意識障害患者 に温浴運動刺激療 法,腹臥
位で も頭 部挙上腹臥位では体位変換直後か らR
R間隔
位を含む運動 の発達過程 を再現す るプログラム,サーカ
成分 ,LF/HFの有 意な変化 はな
が短縮 したが ,HF
ディアンリズムの確立等 の援助 を行い, 日常生活動作 を
かったQ この ことは自律神経活動が重力の影響 を受け
再獲得 し,意識が回復 した症例を多数報告 している。 ま
て変化 した結果であ り,頭部挙上腹臥位は座位で下肢
0日間のベ ッ ドレス トで重
た,郡司 ら20'は健常成人で も2
を下げることに比 して循環動態に及ぼす影響が少 ない
6
0%低 下す ると報告
力刺激 に対す る循環調節機能が40
ため と考 えられる。
ている と考 え られ る。 さ らに加 齢 に ともない,視床下
3. β波 % Powe
r
値 は腹 臥位への体位変換直後には増
071
5分後には仰臥位 と変 わらない値 (
安
加す るが ,1
)し, 自律神経バラ ンス は交感神
部 ・下垂体機能は低下21
静臥床時の倍) に回復 し,腹臥位 に体位変換すること
2
)といわれてい る。 以上 のこ とか ら,
経優位 に偏位 す る2
が直接大脳機能を活性化する とは言い難い。 む しろ,
長期臥床 の意識障害患 者や低 ADL者 の体位変換 に腹臥
腹臥位は患者の随意運動 を行 いやす くし,患者が 自分
位を取 り入れ ることは, 自律神経機能 を整 えてい くこと
で頭部 を挙上 しようとす ることが覚醒度の改善や 自発
につなが り,その ことが覚醒や大脳機能の活性 化につな
性の向上 につ なが るので はないか と考 えられる。
してお り,長期臥床患者 は自律神経の調節機能が低下 し
がるのではないか と考 え られる。 この点について, さら
謝
に研究 を深めてい く必要がある。
研究の限界 と課題
辞
本研究の趣旨をご理解いただ き,快 く被験者 となって
い ただいた A校 看護科の学生 のみ なさま,心 拍変 動の
大脳へ の刺激の8
0% は視覚か ら入 る といわれ てお り,
フー リエ変換のプログラムを組 んでいただいた北里 大学
視覚か らの情報量 は膨大である。脳波 を用いた研 究では,
保健衛生専 門学 院
開眼や眼球運動 は脳波 の結果に影響 を与えるため,開眼
く感謝いた します。
安静で測定 されることが多 く,今 回も開眼の状態で測定
したため,臨床で起 こっているこ とを必ず しも反映 して
いるとはい えない。 また,今回は被験者が 自分 で体位変
-
4
7-
臨床工学専攻科
菅野啓祐先生 に深
21
2
新潟歯学会誌
3
4(
2)
:2
0
0
4
引用文献
1)川島み ど り,平総則子 ほか :寝 た きり状態 の高齢
者 に対す るベ ッ ド上背 面 開放端 座位 の効 果 一精
神 ・身体 ・生活 行動 面 の変化 とQOLの向上 を通
して -, 第 2回老 人在宅福 祉研 究助成報告 集(
財
団法人大 同生命厚生事業 団),1
4,1
9
94
2)平桧則子 :身体 を起 こす ,看護美濃の根拠 を問 う
(
小松浩子 ,菱沼典子編),3
5
46,南江 堂,東京 ,
1
9
9
9
ll
)早野肢 一郎 :心拍変動 に よる 自律神経機能解析,
循 環器疾患 と自律神 経機 能 (
井上博轟 ),5
88
8,
9
96
医学書 院,東京 ,1
1
2)加藤象二郎 ,大久保尭夫編著 :初学者 のための生
体機能の謝 り方 ,3
0
3
3, 1
1
3
1
1
9, 日本出版サービ
9
9
9
ス,東京 ,1
1
3)本郷 利 憲 , 贋 重 力監 修 :標 準 生理 学 第 5版 ,
1
99
220, 327332, 407453,医学 書 院,東 京,
2
0
0
0
1
4)早野順一郎 :心拍変動 の スペ ク トル解析,臨床医
のための循環器 自律神経 機能検査法 (
今泉勉編),
3) 有働 尚子 :低 ADL高齢 患 者 に対 す る 「腹 臥位療
法 」のすすめ,me
di
c
i
na,3
6(
5),8
7
91
8
8
7,1
9
9
9
51
61,株 式会社 メデ ィカル レビュー社 ,東 京,
1
9
9
7
4)有働 尚子 :低 ADL (
高齢 ) 患者 に称 す る腹臥位
1
5)近森栄子,熊谷佳代 ,谷 口久代 ほか :腹臥位 によ
療 法 のす す め -QOL重 視 の全 人 間 的 ア プ ロー
る血圧 ,心拍,酸素飽和 度の変化 一長期臥床患者
3(
l
l
),1
0
04
1
0
31
,1
9
9
9
チ -,看護学雑誌 ,6
に柑す る身体 的影響 -, 神 戸市 看 護 大学 紀 要 ,
5)有働 尚子 : (
腹 臥位療法) 8つのバ リエー ション
寝 た きり状態の重症 度 と介護環境 に合 わせ た最適
な体位セ ッテ ィング,看護学雑誌 ,6
3(
1
),3
6
45,
1
9
99
6)有働 尚子
:(
有働式 生活療法)- の招 待
p
ART-
Ⅰ
Ⅰ(
理論編 1) - (ヒ ト) と しての生 命 を全 うす
5
76,V
I
TA臨床生命学研究所,福
るために -,4
0
0
3
岡,2
7)小板構音久代,柳 奈津子 ほか :腹 臥位 が大脳機能
に及ぼす影響 にら いての研究 一脳波の周波数解析
Vo
l
.
4,4
9
5
4,20
0
0
1
6
)並河正晃 :老年者ケアを科学す る-い ま,なぜ腹
9
6
7,医学書院,東京 ,20
0
2
臥位療 法なのか ,3
1
7
)紙屋克子 :意識障害患者へ の看護,看護実践 の科
学 ,1
6(
1
3),3
6
4
0,1
9
91
1
8)紙屋克子,林裕子 :意識障害患者の看護 第一報,
5(
4),4
5,1
9
9
2
日本看護研 究学会雑誌 ,1
1
9)林裕子 ,紙屋克子 :意識障害患者の看護 第二報,
日本看護研 究学 会雑誌 ,1
5(
4),4
5
4
6,1
9
9
2
20)郡司篤晃 :ヒ トの長期間のベ ッ ドレス トか ら "
寝
に よる検討 -,Ki
t
akant
oMe
d.J
.50(
5),431
-
た きり"状態 に移行す る生理学的プロセスに関す
43
7,2
0
0
0
0集,
る研究 ,大和諾券ヘ ルス財団研究業績集 第2
8)大久保陽子,菱沼典子 :背面 開放座位 が 自律神経
に及 ぼす 影響 , 臨床 看 護研 究 の進歩 ,Vol
.1
0,
5
3
5
9,1
9
9
8
9)柳 奈津子 ,小池弘人,有働 尚子 ほか :腹臥位が大
脳機能お よび 自律神経機能 に及ぼす影響 一健常老
人 と健常成人の比較 -,群馬大学医学部保健学科
36
41
,1
9
96
21)井口元 三,千原和夫 :加齢 に ともな う視床下部 ・
2(
2),254258,
下垂体 機 能低 下 ,総 合 臨床 ,5
20
0
3
22
)阿部正人,神林崇,清水徹男 :高齢者の睡眠 ・覚
r
i
a
t
icMedi
r
c
i
ne,
醒 に伴 う自律神軽機能の変動 ,Ge
41(
4)
,5
00
5
0
3,2
0
03
紀要 ,4
3
4
8,2
0
02
1
0
)新村洋未 ,柳奈津子,小板橋 喜久代 :虚弱 高齢者
に対す る腹臥位が大脳 ・自律神経活動 に及 ぼす影
響 , 日本看護研究学会雑誌 ,2
6(
3
),31
1
,2
0
0
3
-4
8-
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