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序 交通バリアフリーの必要性
序 交通バリアフリーの必要性 序-1 序 交通バリアフリーの必要性 基本構想策定の背景と目的 (高齢化の進展) わが国の総人口は、平成 19 年(2007 年)をピークに減少するとともに、少子高齢 化がその他の先進国に類をみない速さで進行しており、平成 27 年(2015 年)には、 国民の 4 人に 1 人(25%)が 65 歳以上の高齢者となる超高齢社会が到来しようとして います。 (ノーマライゼーションの理念に基づいた社会の実現) また、高齢者や障害者が健常者と同じように社会参加できるといった「ノーマライ ゼーション」の考え方も広がっています。 (バリアフリー化の必要性の高まり) そのため、高齢者や身体障害者をはじめとする多くの市民が自立した日常生活を送 り、社会参加できるように様々な施設のバリアフリー化を早期に実現することが社会 的課題となっています。 こうした背景を受けて、平成 12 年(2000 年)11 月に「高齢者、身体障害者等の公 共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」 、通称、交通バリアフリー 法が施行されました。これにより整備の一定基準が示され、各自治体でも対象となる 旅客施設及びその周辺の歩行空間を中心に、バリアフリー化の取り組みが進められつ つあります。 (岐阜市のバリアフリー化に対する取り組み) 本市においても、着実に進行しつつある少子高齢化の現状を踏まえ、高齢社会に適 応した生活環境整備や福祉施策の充実を図るとともに、ノーマライゼーションの考え に基づき、障害者の自立や社会参加の促進を図ることにより、誰もが地域社会の中で 支え合いながら暮らしていける環境づくりを積極的に進めています。 今後は、その取り組みをより効果的なものとするため、旅客施設やその周辺の歩行 空間に存在するバリア(障壁)を市民・事業者・行政が協働して解消することに努め るとともに、まちづくり全体に発展させていくことによって、バリアのない社会の実 現を目指す必要があります。 (基本構想策定の目的) こうした背景を踏まえ、高齢者や身体障害者をはじめとする市民の移動の利便性や 安全性の向上を早期かつ効果的に実現し、日常生活における自立や社会参加を進める ために、交通バリアフリー法に基づき基本構想を策定するものです。本市における旅 客施設、周辺道路及び車両等で重点的にバリアフリー化整備を行う箇所を選定し、そ の整備方針を明確にすることにより、効果的かつ効率的なバリアフリー化の促進に資 することを目的とします。 1 序 序-2 交通バリアフリーの必要性 岐阜市の高齢化と身体障害者の状況 (1)高齢化の状況 本市の高齢化率(本市人口に占める 65 歳以上の人口比率)は 18.3%(平成 13 年 10 月)で、全国の高齢化率 17.7%(平成 13 年 3 月末)と比較すると、0.6 ポイント 高い値です。平成 27 年には人口の1/4 を占めることが予想されており、今後の急 速な高齢化への対応が課題となっています。 図 年齢三区分別人口比率の推移 (%) 昭和45年 23.8 70.4 5.8 50年 24.8 68.4 6.8 55年 23.4 68.4 20.8 60年 8.2 69.5 平成 2年 17.2 7年 15.1 12年 15.6 67.3 17年 16.4 64.1 22年 16.7 71.1 11.7 65歳以上 14.4 17.1 19.5 61.2 20% 15∼64歳 9.7 70.4 0% 0∼14歳 22.1 40% 60% 80% 100% (資料:平成 12 年 3 月岐阜市老人保健福祉計画より) 図 高齢化率の推移 (%) 30 25 25 22.1 19.5 20 17.1 14.4 15 10 25.8 11.7 5.9 6.8 8.2 9.7 5 昭和 平成 45年 50年 55年 60年 2年 7年 12年 17年 22年 27年 32年 (資料:平成 12 年 3 月岐阜市老人保健福祉計画より) 2 序 交通バリアフリーの必要性 (2)身体障害者の状況 本市の身体障害者数(岐阜市身体障害者手帳台帳搭載数)の推移を見てみると、昭 和 45 年においては 5,939 人、市人口の 1.5%であったのに対し、現在(平成 14 年) では 14,475 人、市人口の 3.6%と倍増しています。全国平均の 2.5%(平成 13 年度) と比較しても高い値となっています。増加の要因の一つは、生活習慣病からくる障害 (糖尿病の合併症:網膜障害・脳疾患・内臓障害、脳疾患による四肢障害等)と考え られ、これからも増加すると考えられます。 図 岐阜市の身体障害者数の推移 (人) 昭和45年 5,939 昭和50年 7,294 昭和55年 8,654 昭和60年 10,192 平成 2年 11,907 平成 4年 12,859 平成 6年 13,573 平成 8年 13,832 平成10年 13,512 平成12年 13,184 平成14年 14,475 0 表 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 障害者数の比較 身体障害者数(人) 岐阜市(H.13) 全国(H.13) 人口(人) 障害者率(%) 13,835 410,090 3.4 3,245,000 127,291,000 2.5 (資料:岐阜市障害福祉課調べ) 3 序 序-3 交通バリアフリーの必要性 ユニバーサルデザインのまちづくりに向けて 公共交通機関や歩行空間等を利用する人々は、健常者だけではなく、高齢者や障害 者、一時的に病気やけがをした人、妊産婦等多岐にわたります。 交通バリアフリー法においては、このような高齢者、身体障害者、一時的移動制約 者を主な対象とし、ハード面の対応を中心としていますが、これからのまちづくりに おいては、ソフト面での対応も含 めた「ノーマライゼーション」と いう基本理念のもとに、すべての 人が可能な限り同等に生活できる 社会の実現をめざし、バリアフリ ーの目標や理念及び施策等を推進 していくことが重要です。 すべての人が暮らしやすいまち づくりには、障害の有無や年齢、 性別、国籍にかかわらず、誰もが 【ユニバーサルデザイン七つの原則】 ① 誰でも公平に使える ② 使う上での自由度が高い ③ 簡単で直感的に分かる使用方法が確立 されている。 ④ 必要な情報がすぐ理解できる ⑤ うっかりエラーや危険につながらない デザインになっている ⑥ 無理な姿勢や強い力なしで楽に使用で きる ⑦ アプローチのしやすい寸法・空間になっ ている 使いやすい施設、製品、環境等の デザイン化を進める「ユニバーサルデザイン」の考え方が主流になると考えられます。 バリアフリー整備にあたっても、このようなユニバーサルデザインの考え方を踏ま えた、誰にでも利用可能(使いやすく安全)であるという視点からの検討が重要であ り、さらに、その理念をまちづくり全体へと展開していくことが大切です。 図 ユニバーサルデザインの考え方 ユニバーサルデザインの 3 要素 バリアフリー ジェンダーフリー エイジフリー 男女共同参画 誰もが年齢にとらわ 社会の実現 れない生き方ができ る社会 最初からバリアの存在しない社会 4 序 交通バリアフリーの必要性 本基本構想においては、重点的に進めていくハード施策等については、交通バリア フリー法に基づき、対象範囲や地区を設定します。今後は、本基本構想の基本的考え 方や手法がまちづくり全体へと広がっていくような取り組みを進めていくこととし ます。 図 ユニバーサルデザインの対象となる範囲 健常者(非移動制約者) 移動制約者(交通困難者) 交通バリアフリー法に基づく範囲(重点整備地区) 身体障害者等 高齢者 ■身体障害 ■身体機能の ■知的障害 ■精神障害 低下した高齢者 一時的移動制約者 ■妊産婦 ■けが人 その他の移動制約者 ■重い荷物を持った人など (子ども、外国人等) 理念の啓発(まちづくりへの展開、すべての人に) 本市では、このような交通バリアフリー整備の取り組みをはじめ、各種の施策との 連携及び相互補完により、 「人・環境にやさしいまち」 (ユニバーサルデザイン先進都 市)を目指します。 図 岐阜市の目指すまちづくりの方向 公共交通 の 利用促進 バリア フリーの 充実 人・環境にやさしいまち (ユニバーサルデザイン先進都市) 5 都市と 環境との 調和 序 序-4 交通バリアフリーの必要性 総合的な交通体系の確立に向けて これまでの交通政策は、高度経済成長や人口増加を背景として、増大する自動車交通 需要に対して、いかに道路容量を確保するかという観点から、道路整備を中心に進めら れてきました。 しかしながら、今日、少子高齢社会の進展、地球環境問題の顕在化など社会状況が大 きく変化してきている中で、都市の渋滞緩和、環境負荷の軽減、バリアフリー化、高齢 者等交通弱者の交通手段の確保などの諸課題が顕在化してきました。これらの課題に対 応するため、これまでの過度に車に依存した交通体系を見直し、歩行者・自転車やバス・ 路面電車等の公共交通を大切にし、これに車を加えたベストミックスな交通体系に大き く政策転換を図ることが求められています。 このため、本市では、まち中のバリアを解消し、歩行者や自転車利用者が使いやすく するとともに、道路空間の見直しにより、安全で安心して移動できる歩行者・自転車ネ ットワークの形成を図るなど新たな総合交通体系の確立に努めます。 また、バス・路面電車等のサービス水準向上により、公共交通の利用促進を図るとと もに、中心市街地においては、自動車流入を極力抑制します。 これらの新たな総合交通体系の基本的な方向と合致し、交通バリアフリーとが連携す ることにより「ひとにやさしいまち」が推進されるものと考えられます。 図 連携施策のイメージ 新たな総合 交通体系 + 交通バリアフリー (整備) 連携施策の推進 ひとにやさしい 6