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2013 年 5 月 1 日

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2013 年 5 月 1 日
ベルリン自由大学交換派遣留学生
吉田岳史さん(芸術学部デザイン学科 4 年)
2013 年 5 月 1 日
夏学期が始まりました。冬学期で学んだ演劇学の基礎を生かし、夏学期では、より実践
的な授業を履修するようにしています。授業内容は以下の通りです。
・「ジェンダー的な問題をいかにパフォーマンスとして表現するのか」
ゲイやレズビアン、社会的な女性としての立場、など今まで社会的弱者とされてきた人
たちを問題視するジェンダー問題。それらのアンチ政治的な表現としてのパフォーマン
ス。オノヨーコ、マリーナアブラモヴィッチ、アランカプローなどを例にパフォーマン
スにしか出来ない事を学び、最終的には自分のプロジェクトを提案して、ベルリンの美
術館(Akademie der Kunst)に展示します。
・「演劇ではないパフォーマンスの魅力とは何か」
演劇とパフォーマンスの違いを主に学びます。観客との距離が近いパフォーマンスの魅
力、危険、はかなさ、雰囲気。絵画や彫刻との関係も学びます。
・「劇作家サミュエルベケットの不条理演劇」
不条理演劇の神様と言われるサミュエルベケットを中心に学びます。ベケットの不条理
演劇とは何なのか。二つの世界大戦の時代に生きたコンテクスト、少年ベケットへの影
響。Berliner ensemble や Deutsches Theater などへも訪れ、
「ゴドーを待ちながら」や
「勝負の終わり」など理論だけでなく、実践的に学んでいきます。自分の中では、ペケ
ット空間と言われる「なにもない空間」(ピーターブルック書)に通じるような演劇が
生成する空間を研究していきたいと思います。
・哲学的考察:
「空間」という概念(ベルリン芸術大学での聴講生)
フーコー「監獄の歴史」
、ガストンバシュラール「空間の私学」、イーツーファン「空間
の経験」、ハンナアーレント「人間の条件」などを読み込み、改めて、空間、環境、社
会的システムが抱える問題点について理解を深めていきます。最終的には、演劇と空間、
建築と空間、パフォーマンスと空間、という自分が興味あるテーマに昇華していきたい
です。
・ドイツ語コース「ベルリンと映画」
ベルリンと映画というテーマでドイツ語を学んでいきます。昨年度オスカーを獲得した
ミヒャエルハイネヶ監督の「Liebe」という映画についてのプレゼンテーションを目標
に、Passiv や Konjuktiv など文法を中心に学んで行きます。
また、5月の終わりには、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所へも行こうと思って
おります。
・次年度派遣候補生へのアドバイス
自分のやりたい事をしっかりと明確に計画すること。そうすれば、派遣先のベルリン自
由大学だけでなく、ベルリン芸術大学やフンボルト大学、ベルリン工科大学へも聴講生
として授業を受ける事が出来る。
日本にいる間も、自分の専門用語(Fachwörter)をしっかりと頭に入れておく。そうす
れば、少し話すのが早い教授の話も、全体は理解できなくても、部分部分で理解する事
が可能。
Stadtbibliothek(市立図書館)に登録する事で、本や DVD を借りる事が可能。しかし、
Staatsbibliothek(国立図書館)とは別物なので注意する事。
WG(シェアルーム)に問題があるときは、シェアルーム会議を開き、みんなでデモクラ
シーで議論する事。この時に、自分の意見、立ち位置をしっかりと主張する事。家、つ
まり帰る所で問題があると、勉学にも支障を来す可能性あり。
私は、いまのところ経験はしていないが、他の日本人留学生が道を歩いている途中に、
ドイツ人に唾をかけられるという事件が発生。外国にいるというのは、自分たちが彼ら
から見て外国人だという事。今では、アジア人に対する偏見は少なくはなっているが、
外国人というのは、国民のフラストレーションの矛先になりやすい存在なので、十分に
注意する事。
写真:週末を利用して、Bauhaus の本拠地である Dessau 市へ行ってきました。
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