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製品の安全な使い方
Product Safety Technology Center 第35回 製品安全点検日セミナー 製品の安全な使い方 平成22年1月12日 於 鹿児島商工会議所ビル 0 1.石油ストーブによる火災事故 1 1-1 石油ストーブによる火災事故 平成18年度から平成20年度の間にNITEに寄せられた 石油ストーブに関する事故情報は440件ありました。 そのうち、315件が誤使用や不注意による事故です。 製品に起因 11件(3%) 事業者の設置・ 施行不良 2件(0%) その他 46件 (15%) ガソリン誤給油 35件(11%) その他 (原因不明等) 107件(24%) 誤使用・不注意 315件(72%) 製品に 起因しない 5件(1%) カートリッジ タンクのフタ の締め付け 不十分 70件(22%) 可燃物が接触 79件(25%) 合計 315件 合計 440件 事故原因区分 洗濯物等 の乾燥 85件(27%) 誤使用や不注意の内容 平成21年12月11日現在 NITE事故情報データベースより 2 1-2 石油ストーブによる火災事故事例 【事故事例①】 (平成19年9月 長崎県) 石油ストーブの上方に干していた洗濯物がストーブの上に 落下し、2階建て住宅を焼いた。 【事故事例②】 (平成19年12月 大分県) 石油ストーブを消火せずに給油したところ、カートリッジタン クのふたの締め方が不完全であったため 本体にセットする クのふたの締め方が不完全であったため、本体にセットする 際に漏れた灯油に引火し、木造2階建て住宅を全焼し、家人 も火傷を負った。 【事故事例③】 (平成19年4月 宮崎県) 農機具用のガソリンを灯油と間違えて石油ストーブに給油 したため、異常燃焼を起こし、木造2階建て住宅を焼き、家人 も火傷を負った。 3 1-3 石油ストーブの火災再現実験 ①落下した洗濯物に引火 ②給油タンクからの灯油漏れ ③ガソリンの誤給油 4 1-5 石油ストーブ事故等の注意ポイント 石油ストーブを使用する際は、取扱説明書をよく読んで 以下のことに注意して正しく使用してください。 ◆ 給油するときは、必ず火を消してください。また、給油タン クの口金がしっかりとしまっているか確認してください。 ◆ 間違えてガソリンを入れないでください。 ◆ 石油 石油ストーブの上部などで洗濯物を干さないでください。ま ブ 部な 洗濯物を干さな くださ 。ま た、カーテンやふとんなど燃えやすいものの近くで使用し ないでください。 ◆ 換気を必ず行ってください。酸素が不足すると不完全燃焼 を起こすために一酸化炭素が発生し、中毒を起こすおそれ があります。 ◆ 可燃性のスプレー缶を付近に置いたり、近くで使用しない でください。引火や爆発することがあります。 5 2.金属製湯たんぽの破裂事故 6 2-1 金属製湯たんぽによる破裂事故 平成18年度から平成20年度の間にNITEに寄せられ た事故情報のうち、直接加熱することが可能な「金属製 湯たんぽ」の口金(フタ)をしたまま加熱して発生した事 故は8件ありました。 (件数) 5 破裂 4 湯漏れ、噴出 3 2 1 0 H18年度 H19年度 H20年度 金属製湯たんぽの破裂事故情報件数 平成21年12月11日現在 NITE事故情報データベースより 7 2-2 金属製湯たんぽによる破裂事故事例 【事故事例①】 (平成20年12月 大阪府) 湯たんぽの口金(フタ)を閉めたまま、ガスこんろで温め たと考えられる事故が発生し、ガスこんろの天板上部が 押しつぶされて破損し、窓ガラスが割れた。 【事故事例②】 (平成20年1月 福井県) 金属製湯たんぽを電磁調理器で直接、温める際に口金 金属製湯たんぽを電磁調理器で直接 温める際に口金 (フタ)を外さなかったことから内圧が上昇して破裂し、電 磁調理器などが破損した。 【事故事例③】 (平成19年12月 兵庫県) 金属製湯たんぽのを口金(フタ)を外さずに電磁調理器 (IHこんろ)で温めたため、内圧の上昇に絶えられなくなっ た湯たんぽが破裂して壁にキズができた。 8 2-3 金属製湯たんぽ破裂事故再現実験 金属製湯たんぽをIHこんろ で加熱開始 破裂した金属製湯たんぽと 破損したIHこんろ 破損したIHこんろ 加熱開始後、膨らむ金属 製湯たんぽ 破裂した金属製湯たんぽ 9 2-4 金属製湯たんぽの事故防止ポイント 金属製湯たんぽを使用するときは、取扱説明書をよ く読み、以下に注意して正しく使用してください。 ◆ 金属製湯たんぽの中の水を、こんろ等で直接加熱する場合 は、口金(フタ)をしたまま加熱すると破裂し大変危険です。 必ず口金(フタ)を外して 加熱してください 必ず口金(フタ)を外して、加熱してください。 ◆ 金属製でも、製品によっては直接加熱できない場合もありま すので、必ず注意表示や取扱説明書を確認してください。 ◆ 高温のお湯を扱う製品ですので、安全に使用するためには、 加熱方法だけではなく、低温やけどの防止方法などについ てもよく理解して、正しい方法でご使用ください。 10 3.低温やけど事故 11 3-1 低温やけど 「低温やけど」とは 比較的低い温度でも長時間にわたり皮膚の同じ個所 に接触することによって生じる火傷です。 低温やけどは、熱源と接触する皮膚の血流が圧迫される と、皮膚の血流による熱放射が妨げられ、蓄積された熱に よって組織が損傷して生じます。 ・ 44℃ ・ 44~51℃ ・ 51℃以上 6時間以上で発生 1度上昇するごとに時間は半減 短時間で発生 ※ 皮膚に不可逆的な変化を生じる温度と時間 (第9回製品安全点検日セミナー資料より) 12 3-2 低温やけどの例 睡眠中アンカを長時間あてて いたことによって発生。一見、 熱傷面積は小さくみえるが、 深いⅢ度のやけど。 湯たんぽによって睡眠中に 生じたⅢ度のやけど。患者 は糖尿病があり、末梢神経 知覚障害がある。 13 <参考>やけどの深度と症状による診断 診断 同義語 所見 Ⅰ度 表皮熱傷 Ⅱ度 真皮浅層熱傷 有痛性紅斑の水疱底 軟膏 Ⅲ度 有痛性紅斑 浮腫 治療 軟膏 後遺症 瘢痕(-) 治癒まで2週間程 度、瘢痕(-) 真皮深層熱傷 白色、知覚鈍麻の水 疱底 デブリドマン、 治癒まで3-4週 植皮 間程度、瘢痕(+) 皮下熱傷 デブリドマン、 瘢痕(+) 植皮 灰白色あるいは褐色 炭化の表皮、水疱 デブリマン:死んだり変質した組織などを除去すること 表皮 真皮 皮下組織 ※皮膚の構造 出典:図説・運動生理学入門 14 3-2 低温やけどの事故件数 平成8年4月から平成21年10月までにNITEに寄せられた 低温やけどの事故情報は77件ありました。 平成16年度~19年度までの4年間で22件でしたが、平成 20年度は1年間で30件と急増しています。 (件数) 低温やけどの事故情報件数 30 25 20 15 10 湯たんぽ 電気あんか カイロ(使い捨て式) 電気毛布 その他 5 0 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 (年度) 平成21年12月11日現在 NITE事故情報データベースより 15 3-3 低温やけどの事故事例 【事故事例①】 (平成18年12月 愛知県) 湯んぽに湯を入れ、付属の袋と別に購入した袋で二 重に包んで足元に置き就寝したところ、ふくらはぎに低 温やけどを負った。 【事故事例②】 (平成20年4月 福岡県) 靴下用カイロを靴を履かずに使用したところ、低温や 靴下用カイロを靴を履かずに使用したところ 低温や けどを負った。 【事故事例③】 (平成18年11月 福岡県) 就寝時に電気あんかを「強」に設定し、両足に触れな いように置いていたが、睡眠薬を服用していたために熟 睡し、目覚めると両ふくらはぎの下に電気あんかがあり、 重傷の低温やけどを負った。 16 3-4 低温やけど防止の注意ポイント 身体にあてて使用する製品は、取扱説明書をよく 読み、以下に注意して正しく使用してください。 ◆ 湯たんぽ、電気あんかなどの暖房器具のほか、使いすて 式のカイロなどでもおこります。 ◆ 同じ部位を長時間温めないでください。違和感や熱いと感 じたら直ち 使用を中止 じたら直ちに使用を中止してください。 くださ ◆ 湯たんぽや電気あんかを、厚手のタオルや専用のカバー などで包んでも低温やけどはおこります。就寝前に布団の 中に入れ、温まったら湯たんぽは布団から出し、電気あか んはスイッチを切ってください。 ◆ 使いすて式の一般用カイロや靴・靴下用カイロは、目的以 外の部位では使用しないでください。 17 http://www.jiko.nite.go.jp/ 18