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創立10 周年記念式典 庄内プロジェクト 公開

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創立10 周年記念式典 庄内プロジェクト 公開
「オーバー・ビュー」は、東北公益文科大学のマインドシンボルである「東北から俯瞰せよ。
」をイメージした言葉です。
東北公益文科大学
創立 10 周年記念式典
庄内プロジェクト
公開シンポジウム
庄内セミナー
東北公益文科大学
ACTIVE NEWS
創立10周年記念式典を挙行
式典には、県内外からたくさんの来賓の方々が駆けつけてくださいました。
公益ホールの席を埋める 500 名ほどの式典参加者の前で、学生2人が堂々と学生の言葉を
述べました(写真は4年の川森俊策さん)。
No.24
2010.DEC
TOPICS
01
創立 1 0 周年記念式 典
東北公益文科大学は、21 世紀の幕開けの 2001 年に、地域の将来を担う人材の育成と地域社会活性化への貢献への熱い期待を受けて、公設民営の四年制大学として開
学しました。今年、創立 10 周年を迎え、10 月 23 日(土)に本学公益ホールで創立 10 周年記念式典・記念講演会が開催されました。記念式典には、開学にあたり多
大なご支援を頂いた山形県と庄内 14 市町村(当時)を代表して、吉村美栄子県知事と榎本政規鶴岡市長にご臨席いただいたほか、本学に関係の深い大学の理事や学長な
ど来賓約 320 名が出席。学生・院生・卒業生・教職員も含め総勢 500 名ほどの盛大な祝典となりました。
地域の方々が真に誇れる大学をめざして。
記念式典当日は、空が澄み渡りうっすらと雪化粧した鳥海
「この庄内の優位性を活かして地域を活性化させ、持続的な
山が鮮やかに見える、まさに秋晴れの天気。公益ホール前の
地域をいかにつくっていくか、そして、今後の地球を担うで
広場には、本学の大学祭である公翔祭を楽しむ学生や来場者
あろう北東アジアの発展に貢献する日本(山形県さらに庄内)
のにぎやかな声が響き渡り、開式前のホール内はたくさんの
をこの大学から発信していくことが、地域に根ざした大学の
お祝いの花々や祝電が飾られ、来賓の方々や関係者が和やか
使命である」と述べました。
「それら大きな目標の実現に向け、
に談笑する光景が見られました。
地域でつくられ地域の方々と共に歩んでいく大学として、地
式典は、午後 2 時から神田直
域の方々に誇りを持っていただけるような大学をつくってい
弥講師の司会でスタート。始
くことを誓い、地域や行政など関係者全ての方の変わらぬご
めに、大学を代表して黒田昌
支援をいただきたい」と結びました。
裕学長がご出席の皆様へ式辞
続いて新田嘉一理事長が挨
を述べ、10 年の歳月を振り返
拶。開学までの礎を築いてくだ
り、行政や地域住民の方々の
さった関係者に改めて敬意を
温かい支援、ならびに創成期
表するとともに、「大学の存在
の大学関係者へ改めて謝辞を
価値は、地域に何を応えるかに
伝えました。その上で、今後
ある。私の思う『公益』とは、
の大学のあり方について、「中
税金を納める人をつくること、
期計画で立案した、『日々の営みにおいて、他人の権利を侵
自立できる人材をつくること。
すことなく、自分に課せられた義務を遂行し、人々に与えら
社会を生き抜く力を持ち、人々
れた権利を安心して行使できる社会を設計し、実践し、それ
から信頼され、きちんと税金を
を次世代に継承していくことができるように、個を磨き、尊
納める人、ひいては、税金をつくる、つまりはこの地域で業
重の精神をもって調和のとれた社会を築くことに尽力するよ
を起こすことができる人材をつくる、そのような気概をもっ
うな人材を輩出すること』を、大学の最大の目標に据えて
て、教職員一同、地域の先頭にたって活躍する人材の育成に
21 世紀の新しい大学像を確立していきたい」と宣言。加えて、
努力していく」と述べました。その上で、「10 年が経ったと
2
no.
1
言っても、まだまだ本学はスタートラインに立ったばかり。
應義塾は、学問を通して社会の発展に寄与するという共通の
大学は学生のため、地域のためにあるので、どんな意見でも
目標を持っている。これからもお互いに刺激し合い、高めあ
遠慮なく聞かせてほしい」と話を終えました。
いながら、常に進化を遂げていこう」と述べられました。
式典には、お忙しい合間を
引き続き、この式典のため
縫って多くの来賓の方が駆け
にはるばる中国黒龍江省から
つけてくださいました。来賓
来日された東北林業大学の楊
を 代 表 し て 5 名 の 方 が 挨 拶。
伝平学長が挨拶。今年 5 月に
始めに吉村美栄子山形県知事
教育・学術連携を目的とした
から「市民と一体となった活
協力協定を締結したことに触
動を通じ、地域に根ざし、地
れ、「東北公益文科大学と東北
域の発展を支えつつ、東北か
林業大学は、教育、科学技術
ら全国、そして世界を俯瞰し
研究、学生交換など多方面に
発信する大学として一歩一歩
渡って親密な協力関係をつく
着実に歴史を重ねてこられた。これからも、経済活動と豊か
り上げ、協力し合うことになった。これによって、中日両国
な自然、伝統文化との調和を保ちながら真に豊かな社会を築
の教育面での協力や交流を推し進め、中日両国人民の友好関
いていくための学問的なバックグラウンドとなる「公益学」
係が一層深まる。この友好関係が末永く続きますように」と
「公益」をキーワードに、研究の成果を企業や行政、市民な
言葉を述べられました。また東北林業大学様からは、10 周
どに提供する知の拠点として、地域づくりの先導的役割を果
年を記念して素晴らしい旗を頂戴しました。
たしてほしい」とエールが送られました。
来賓祝辞の最後は、昨年 5
続いて、庄内 2 市 3 町を代
月に連携協力協定を結んだテ
表して、本学大学院公益学研
ンプル大学ジャパンキャンパ
究科がある鶴岡市の榎本政規
ス の ブ ル ー ス・ ス ト ロ ナ ク
市 長 が 挨 拶。「 公 益 を 学 ん だ
学長から、「地域社会、経済
1,000 名の卒業生は、私どもの
の発展のために尽力する地域
地域も含め地域社会、地域公
貢献は、地域につくっていた
益 に 貢 献 い た だ い て い る し、
だいた大学の最も重要な使命
安心安全な地域社会をつくる
だ。今後も、テンプル大学は
ために、若い力を各地域で実
公益大学のパートナーとして
践していただいている。これ
山形県の国際化、人材育成にともに貢献していく」とのお
からも、多くの学生がこれに続いて地域社会をつくり上げて
言葉をいただきました。ご挨拶いただいた方に加え、壇上
くれることを期待しているし、確信している。公益大の発展
に登壇していただいた、本間正巳酒田市副市長、町田睿後
がまさしく庄内 2 市 3 町の発展にも結びつく」と、心温まる
援会長、小林勝雄保護者会長、新宮香織同窓会副会長と、
祝辞をくださいました。
会場にご出席の国会議員や市町村長のお名前が紹介され
次に、開学にあたり知的支
ました。
援をいただき、現在もさまざ
続いて、学生を代表して 2 名が学生の言葉を述べました。
まな場面で連携をさせていた
1 人目は 4 年の川森俊策さん。4 年間のキャンパスライフを
だいている慶應義塾を代表し、
振り返り、「多くの挑戦をした時間だった。講義では公益を
真壁利明常任理事が「伝統的
考えるため環境や社会、経営など多様な科目の講義から知識
に公益とゆかりが深い庄内の
と社会を把握する力を修得し、部活動では、硬式野球部で念
この地で、日本で唯一無二の
願の 1 部リーグ昇格を果たし、なかなか経験できない達成感
公益という文字を冠した大学
を味わうことができた」と述べ、支えていただいた地域の方、
としてますます発展し、グロー
関係者へ感謝を伝えるとともに、「10 年後 20 年後に公益大
バル時代の日本と、地域社会
から、日本や世界をリードするような力強い人材を輩出でき
を力強く牽引していかれることを切に期待する。公益大と慶
るよう応援お願いします」と締めくくりました。
3
TOPICS
01
創立 1 0 周年記念式 典
続いて同じく 4 年の高橋美
プロである」と説明。“創造の 1/10000”については、「アマ
帆さん。学生生活を振り返り、
チュアの方は創造的で面白いアイデアを持っている。プロは
自分を成長させてくれた経験
10,000 枚の絵から 1 枚の絵を選ぶ。質より量がより大事。量
について、「1 つめはトライア
をこなせば質はついてくる」と語りました。さらに、3 年前
スロンとの出会いで、トライ
に帰国し独立して気がついたこととして、「日本とイタリア
アスロンを通じて最後まで諦
は中小企業が多い点は共通しているが、日本の中小企業は大
めないこと、その先にある達
企業の下請けとしてしか機能していない。日本は技術立国と
成感の大きさを知った。もう 1
勘違いしているが、あえて言えば『技術』には価値がない。『技
つはニュージーランドへの短
術』そのものは『食材』であって、それを『料理』して初め
期留学で、留学を通じ物事に
てお客様にとっての価値が生まれる。『技術』という素晴ら
対する価値観が大きく変わり世界の広さを知った」と語りま
しい『食材』をどう『料理』するかが重要である」と述べま
した。そして「卒業後は、公益大で学んだ『公益のこころ』
した。その上で、「中東 UAE で原油を一切使わないまちを
を常に持ち続け、全ての人が安心して暮らせる安全な社会を
つくる実証実験が行われている。なぜこうした実証実験が必
めざし尽力していく」と決意を述べました。
要かと言えば、
『技術』が『食材』だとすると本当の価値は『料
最後に、表實副学長が「本学はこれまでの 10 年の経験を
理』であって、『料理』がどのような副次効果を出すかは実
踏まえて、本日次の 10 年に向けての新しい一歩を踏み出し
際やってみないとわからない」と説明。「このような実験は、
た。今後とも皆様方の心強い声援とご協力をお願いしたい」
都市部ではできないが田舎ならトライできる。最近では国の
と述べ、式を閉じました。
機関とも連携をとりながら、将来のモビリティサービスやま
ちづくりについてさまざまな絵を描いており、ぜひそれを日
奥山 清行氏 講演会
「人生を決めた15分 創造の1/10000」
本でやってみたいと思っている。日本を元気にして、いろん
なことをこの地から皆さんと一緒に発信していきたい」と話
を締めくくりました。
15 時からは創立 10 周年を記念して講演会が催されました。
講師は山形市出身で世界的に著名なカーデザイナーとしても
知られる奥山清行氏。「人生を決めた 15 分 創造の 1/10000」
と題して、25 年間の海外経験とそこから学んだことについ
てご講演いただきました。
奥山氏は大学卒業後に渡米し、留学後、ゼネラルモーター
ス(GM)社に就職。仕事に没頭し、32 歳で研究所の所長に
就任し順風満帆のキャリアを築く中で、大きな挫折に遭遇。
「大学時代の恩師を自らが解雇、GM を退社した半年後に研
究所が閉鎖という出来事を通じ、“人よりモノ”という教訓
を得た。“人よりモノ”とは、裏を返せば、人が大切だから
こそモノ(結果)がついてこなければ人が活きない。モノが
できて、そのモノが売れて初めて人が活きる。非常に辛辣だ
が大きく学んだことの一つ」と語りました。さらに、“人生
を決めた 15 分”のエピソードを披露。「フェラーリ社の『エ
ンツォ=フェラーリ』のプロジェクトに関わり、会長の最終
判断を仰いだデザイン画に下された会長の判断は NO。15 分
の時間が与えられ再提出したデザイン画が採用された。それ
は、ダメになったときのために準備していた絵であった。人
生のうちに一度来るか来ないかわからない、恐らく来ないで
あろう一瞬のチャンスを逃さないように準備しておくのが
4
no.
2
創立10周年 記念祝賀会
16 時 45 分からはカフェテリアに場所を移し、祝賀会が開
催されました。この日のために練習を積んだ弦楽サークル
「koeki ストリングスびぶら~と」の生演奏が、来場者を和
やかにお出迎え。伊藤眞知子教授の司会で高らかに開会が宣
言され、黒田学長から来場者の方々へ重ねての感謝の意が告
げられました。引き続いて、町田睿後援会長、本間正巳酒田
市副市長より心温まる祝辞をいただき、初代理事長の原田克
弘様のご発声で乾杯。来賓の方々を囲み、会場のあちこちに
楽しい笑い声が響き渡りました。
会後半には、ご講演いただいた奥山清行氏も参加。太鼓サー
クル「W-ind の会」・よさこいサークル「蒼嵐」の演舞で 10
周年のお祝いムードはピークに達し、会場に集まった全員が
10 周年を迎えた喜びを分かち合うととともに、この記念す
べき日を一つの区切りに、次なる公益大のステージへ向けて
の決意を新たにしました。
hi
story of
10
YEARS
公益大10年の歩み
1999 年度 3 月 学校法人庄内地域大学設立準備委員会発足
9 月 大学設置認可申請及び学校法人寄附行為認可申請を文部省が受理
2000 年度 4 月 東北公益文科大学起工式
「学校法人東北公益文科大学」法人
12 月 文部省が設置認可書を交付・
設立登記
2001 年度 4 月 日本初の公益を冠した大学として酒田市に開学
初代学長に小松隆二が就任
第 1 期生入学
6 月 公開講座「公益教養プログラム FORUM21」シリーズを開始
8 月 評論誌「現代と公益」第 1 号発刊
2002 年度 4 月 聴講生制度導入
5 月 ニュージーランド研究所発足
2003 年度 4 月 教員養成課程開設
2004 年度 3 月 第 1 期生が卒業
2005 年度 4 月 大学院公益学研究科公益学専攻修士課程を鶴岡市に開設
社会福祉士国家試験資格取得課程導入
9 月 山形市に山形事務所「十日町オフィス」開設
3 月 公益ホール(酒田市公益研修センター)完成
2006 年度 4 月 公益総合研究所(現・公益総合研究センター)開所
5 月 地域共創センター開設
12 月 開学当初から 3 期 6 年理事長を務めた原田克弘が退任
後任理事長に日野雅夫が就任
2007 年度 4 月 大学院公益学研究科公益学研究専攻博士後期課程を開設
9 月 文部科学省「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」(学生
支援 GP)に本学「インクルージョン社会をめざした大学づくり」が選定
12 月 山形県立置賜農業高等学校と教育に関する連携協定を締結
3月 山形県立酒田商業高等学校と教育交流に関する協定書締結
2008 年度 4 月 日本政策投資銀行様、荘内銀行様と産学連携協力協定を締結
6 月 初代学長小松隆二が退任、後任学長に黒田昌裕が就任
9 月 独立行政法人科学技術振興機構(略称 JST)の社会技術研究開
発事業 研究開発プロジェクト採択
9 月 山形銀行様と産学連携協定を締結
11 月 日本政策金融公庫様と産学連携協力協定を締結
12 月 「給付型奨学金制度」を創設
3 月 理事長日野雅夫が退任
2009 年度 4 月 3 つの系から、政策マネジメント・地域共創・社会福祉・環境サ
イエンスの 4 コース制に改編
4 月 太陽光発電システムが NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技
術総合開発機構)および経済産業省が実施する「新エネ百選」に選定
5 月 理事長に新田嘉一が就任
5 月 中期計画を策定
5 月 テンプル大学ジャパンキャンパスと連携協力協定を締結
7 月 文部科学省「大学教育・学生支援推進事業学生支援推進プログ
ラム」
(就職支援 GP)に本学「地方小規模大学におけるキャリア
開発プログラムの拡充と強化」が採択
10 月 大学院公益学研究科と関西学院大学大学院経営戦略研究科が包
括協定を締結
2010 年度 4 月 「平成 21 年度大学機関別認証評価」を受審し、「認定」と評価される
4 月 日本財団が支援する「大学などの地域資源を活かした社会貢献支
援事業」に、本学の地域共創センターの取り組みが採択
4 月 山形県立鶴岡中央高等学校と教育研究交流に関する協定を締結
5 月 中国黒龍江省東北林業大学と教育・学術連携を目的とした協定を締結
9 月 英国ティーズサイド大学と学術交流を軸とする連携協定締結に基本合意
5
TOPICS
02
庄内プロジェクト 公 開 シ ン ポ ジ ウ ム
地域の発展に資するために大学は何をすべきか。
庄内の発展とそのための課題解決に対し、地域の大学とし
て、地域の現場を揺り動かす作業に取り組んでほしい」と述
て今後どのような取り組みを行うべきか、改めて分析・検討
べました。2 人目の鶴岡市社会福祉協議会事業推進課長の蓮
を行うことを目的とし、2010 年 2 月に「庄内プロジェクト」
池妙子さんは、「専門職に携わる職員が多くいるが、彼らの交
を立ち上げました。庄内プロジェクトでは、①庄内全域を対
わるところをうまく機能させることができないのが悩み。福
象に、②地域の課題に対する本学教員の研究シーズを集合的
祉の現場は多くの課題を抱えている。これらの課題について
に扱い、学問分野を超えた複数の教員の連携によるプロジェ
の研究・調査を大学と協力して行うことができれば、地域の
クトを推進することにより、③庄内地域特有の課題への解決
ニーズが分かり方向性が見えるのではないか」と述べました。
策、あるいは他地域への応用が可能な普遍的な解決策等に関
3 人目の後藤好邦さんは山形市役所都市政策課に在籍し、本
する研究成果を全国へ発信していくことをめざしています。
学大学院の修了生でもある方。「これからは、酒田エリアと鶴
10 月 22 日(金)に 301 教室を会場に行われた公開シンポ
岡エリアのパートナーシップの構築が必要で、市益・町益で
ジウムは、3 部構成で進められ、第 1 部では、工藤教和副学
はない“庄内益”という考え方が重要になってくる。大学に
長が「地域の発展と大学の役割」をテーマに基調講演。第 2
は、地域活性化のコーディネーターの役目、大学の売りであ
部では、呉尚浩准教授が開学からの 10 年間の教育研究活動を
る公益をもっと明確にすること、社会人のニーズにあった魅
振り返り発表。第 2 部後半では、8 月 20 日から 9 月 5 日にか
力ある大学院カリキュラムの構築を期待する」と語りました。
けて庄内 2 市 3 町 1,050 名を対象に行った住民アンケート調
それらの意見に対して、渡辺暁雄准教授、小地沢将之講師が
査の結果を、照井孫久准教授が中間報告しました。
学内の立場からコメント。最後に黒田学長が、「今日頂いたご
第 3 部では、「庄内地域の発展と大学の役割~東北公益文科
意見は、皆様方からの叱咤激励。その叱咤激励に応えるべく、
大学がめざすもの~」をテーマに、学外からパネリスト 3 名
教職員一同で真摯に頑張っていくことが我々の使命であり、
をお迎えしてパネルディスカッションが行われました。1 人
公益実現の一つの柱になる。本当に望まれる公益社会の実現
目のパネリストは、㈱ウエノ代表取締役社長の上野隆一さん。
に向けて地域全体が一緒に切磋琢磨していく、そんな環境を
上野さんは、庄内の一番の地域課題は雇用と高齢者福祉であ
整えて新しいモデルをつくり、ぜひ庄内から発信していきた
るとし、「大学には、庄内の現状分析データを水平展開して
い」とまとめました。
10 年後、20 年後の推測データを作成し、そのデータがより良
本学では今回のシンポジウムを一つのきっかけとして、地
い数字を示すように研究してほしい。研究だけでなくコーディ
域の方々に誇りに思っていただけるような大学をめざして今
ネーターの役目もし、具体的な数値も入れた庄内の将来の展
後も活動を続けてまいります。
望図を描いてほしい。実情にあった踏み込んだ話をぜひやっ
6
TOPICS
03
庄内セミナー
庄内を フ ィ ールドに『生命』を学び研究する。
慶應義塾大学教養研究センターと本学との共催事業である
「庄内セミナー」が今年も開催されました。
に登場したほか、庄内関連の書籍やスイーツの販売など、横
浜にいながらにして庄内を感じられる雰囲気に包まれまし
このセミナーは、「庄内に学ぶ『生命』-心と体と頭と」
た。最終報告会ではグループごとに、横浜と庄内という距離
を総合テーマに、本学と慶應義塾大学の学生が夏に庄内で 3
を超えて深めた研究成果を披露。1 グループは、「酒田未来
泊 4 日の合宿を行い、テーマに関する講義やフィールドアク
航路図」と題し、酒田の観光と地域活性化をテーマに、観光
ティビィティに参加。合宿の最終日に中間報告を行い、その
地をめぐるバスや「ゆるキャラ」の活用などを政策提言しま
報告へのアドバイスを受け約 2 ヶ月間の発表準備期間を経
した。2 グループは、庄内では「公益の祖」と呼ばれる本間
て、研究成果を最終報告会で発表するものです。
光丘についての再評価を実施。続いての 3 グループは最上川
本学から 6 名、慶應義塾大学から 17 名が参加しての今年
を経済・歴史・自然の 3 つの視点から考察したほか、最後の
のテーマは、
「<庄内を知る・2 >芭蕉が見た庄内の『生命』」。
4 グループは、「つや姫の挑戦」と題し、山形県が 10 年の歳
8 月 31 日(火)から 9 月 3 日(金)に行われた庄内での合
月をかけて開発した米「つや姫」の知名度を上げる販売戦略
宿プログラムでは、慶應義塾大学経済学部長の小室正紀氏、
などについてプレゼンしました。
俳人の柳生正名氏、作家の金森敦子氏から、「荻生徂徠と福
他大の学生となかなか交流の機会がない本学の学生は、今
澤諭吉」や松尾芭蕉についての基調講演をいただいたほか、
回のセミナーに参加して、「住んでいる所も学んでいる内容
フィールドアクティビィティでは、庄内各地の史跡や郷土資
も違うけれど、慶應の学生も自分達と変わらない同世代の大
料館などを調査。合宿最終日に行われた中間報告会では、両
学生だった。一緒に学んだことは、自分にとってとてもよい
大学の学生が 4 グループに分かれ、研究成果や今後の課題に
刺激になった」と語りました。今回のセミナーは、本学の学
ついて発表を行いました。
生にとっても、慶應の学生にとっても非常に有意義で忘れら
中間報告会を受けての最終報告会は、11 月 13 日(土)に
れない経験となったことでしょう。この庄内セミナーでの交
慶應義塾大学日吉キャンパス(横浜市)を会場に開催。日吉
流を含めた連携を通じ、両大学はさらなる知的交流をはかっ
キャンパスでは、最終報告会に合わせ「庄内フェア」が開かれ、
ていきます。
庄内風の芋煮とつや姫のおにぎりのセットが食堂のメニュー
7
TOPICS
04
Koeki Univ.
公益大アクティブニ ュ ー ス
ACTIVE NEWS
●今年9月から11月までの公益大のニュースをまとめてお伝えします●
英国ティーズサイド大学と
研究協力を記者発表
9月14日
(火)
9 月 14 日(火)、本学と英国ティーズサイド大学は、社会的企業の分野で本学「公益
総合研究センター」と英国ティーズサイド大学「社会未来研究所」が研究協力を行うこ
とを発表しました。本学「公益総合研究センター」内の公益ビジネスプロジェクトは、
2007 年と 2009 年に英国ティーズサイド大学のあるミドルスブラを訪問、日英共同研究
を進めていたことから今回の協定締結合意に至りました。今後、具体的な研究内容決
定後、両大学にて文書による協定を締結し、教職員の交流を含め、研究をさらに深め
てまいります。
※英国ティーズサイド大学
イングランド北東部のミドルズバラ市にあり、今年 80 周年を迎える。未来社会研究所は、ティーズサイ
ド大学の付属研究機関で、イングランド北東部における社会的・経済的再生を目的とした政策提言や事業
実施など、地域再活性化に向けた実践的な研究を行っている。
9月28日
(火)
【東北復権特別講演会】
キッコーマン会長 茂木 友三郎氏
9 月 28 日(火)、鼎談「東北復権」特別講演会の第 6 回が行われ、キッコーマン株式
会社代表取締役 CEO の茂木友三郎氏が「日本の民主主義と地域主権を考える」と題
し講演しました。茂木氏は、昨年 8 月に行われた総選挙の結果や政権交代のことにも
触れながら、わが国の民主主義の現状と将来について話されたほか、キッコーマン社
のグローバル戦略にも触れ、
「アメリカで築いた醤油のビジネスモデルを世界中に広め
ていきたい」と語りました。また、財政を含め日本は今後どうあるべきか、という質問
に対し、
「デフレを脱却し経済成長すること、そのために研究開発などのサプライサイ
ドを刺激し需要を作り出すことが大事である」と語りました。
10月19日
(火)
【東北復権特別講演会】
トヨタ自動車副会長 渡辺 捷昭氏
10 月 19 日(火)、鼎談「東北復権」特別講演会の第 7 回が行われ、トヨタ自動車株
式会社副会長の渡辺捷昭氏が「環境変化への対応と東北への期待」と題し講演を行
いました。東北への期待として、
「人材や多彩な基盤技術、産学官の連携など、もの
づくりには適している。起業家精神で新技術を開発し、逆に我々に提案してほしい」
と述べました。また、トヨタは今後どこをめざすかについて、
「質の向上なくして成長
はない。お客様目線でのものづくり・サービスの徹底が質の向上につながり、お客様
の獲得にもつながる。自動車を通して豊かな社会をつくり、世のため人のために社会
に貢献していく」と熱く語りました。さらに、
「庄内地域の可能性を感じた。皆さん一
人ひとりの努力とチームワークで素晴らしいまちができる。素晴らしい産業が振興され
ることを期待している」と結びました。
8
10月24日
(日)
高校生原稿募集
「公益のすすめ」Vol.10 たからもの編 表彰式
本学では、開学以来、公益学の理念や社会的意義を全国の高校生及び一般の方に理解を深めていただく目的で、高校生原稿募集「公益の
すすめ」を行い、優秀作品を本にまとめ発刊しています。今年度は「たからもの」をテーマに、
「手紙」と「エッセイ・小論文」の 2 部門で
実施。過去最多となる 4,142 作品の応募をいただき、10 月 24 日(日)に本学酒田キャンパスで表彰式を開催しました。表彰式には、和歌山、
兵庫、富山、埼玉などから受賞者が参加。黒田昌裕学長より賞状が手渡されたほか、表彰式終了後は審査委員との懇談やキャンパス見学、
昼食会が開催されました。受賞作品は以下のとおりです。
大 賞/『ポコ』 富山県立志貴野高等学校 2 年 塩崎 萌華
手紙部門
入 選/『おばあちゃんの私へ』 私立創価高等学校 1 年 綿貫 栄子
入 選/『生まれてくる君達へ~未来への宝物~』 山形県立鶴岡北高等学校 3 年 佐藤 知佳
エッセイ・
小論文部門
学校賞
10月27日
(水)
大 賞/『あの日の言葉』 和歌山県立日高高等学校 2 年 高芝 希
入 選/『命はたからもの』 兵庫県立長田高等学校 2 年 足立 彩夏
入 選/『私のたからもの』 私立八王子高等学校 3 年 三原 悠奈
宮崎県立都城西高等学校、私立創価高等学校、福岡県立福岡農業高等学校
ビジネスマッチ東北 2010 参加
10 月 27 日(水)に仙台市の夢メッセみやぎで行われた「ビジネスマッチ東北 2010」に初参加しました。
ビジネスマッチ東北とは、東北市場における新たなビジネスマッチングの創出を目的としたビジネス展示
会で、本学も企画出展(ものづくり・農商工・産学連携などの部)しました。出展ブースでは、JST 研究
プロジェクト「環境共生型地域経済連携の設計・計画手法の開発」や「社会起業家育成研究会」などの
取り組みについてパネル展示を行ったほか、平松緑教授が「最上紅花の健康へのすばらしさ」について
プレゼンテーション。紅花の若菜のサラダや紅花乱花を煎じたお茶などを来場者に振舞いました。
10月29日
(金)
ロシア語学研修報告会
10 月 29 日(金)、本学初となるロシア語学研修に参加した 4 名の学生による報告会が、104 教室にて
行われました。学生達は、8月 7 日(土)から 21 日(土)の 2 週間、ロシア太平洋岸のウラジオストク
にある極東国立総合大学で語学研修。ロシア語の授業の様子や現地市場の物価、現地での日本人と
の交流などについて、たくさんのスライドを交えながら発表しました。参加者の一人である高木悦子さん
は「実際に行ってみるとロシアはすごく近い国で、この 2 週間でとても多くの貴重な体験をした。次は、
首都モスクワに留学してみたいのでぜひ力を貸してほしい」と、次回の研修への意欲を覗かせました。
11月18日
(木)
インターンシップ学外報告会
11 月 18 日(木)、本学 31 会議室で今年度のインターンシップ参加学生によるインターンシップ学外
報告会が開催されました。インターンシップは、学生が、自分の専攻や将来の職業選択のために企
業、団体や官公庁で体験する社会実習のことで、本学では、インターンシップを正課の授業科目と
して位置づけ、2・3 年次の希望者を対象に実施しています。今年は 44 の企業・団体にご協力いた
だき 61 名の学生が実習。代表で 3 年の齋藤啓司さんと 3 年の塚本愛さんが実習成果を発表しまし
た。塚本さんは、
「楽しかったけど正直辛くてきつかった。でもそれを乗り越えたときの充実感・達
成感はとても大きく糧になった。この経験を就職活動にいかしていきたい」と語りました。
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F
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研究室
訪問
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Visit to Laboratory
古 山 隆 准教授の 研究室
外部からはなかなかわかりにくい大学の研究をわかりやすく紹介する研究室訪問。
今回は、環境サイエンスコースの古山先生の研究内容を紹介します。
専門は、資源工学・リサイクル工学ですが、研
(1300℃前後)で燃焼させて熱やエネルギーを回
究は広く環境全般がテーマです。なかでも現在メ
収するサーマルリサイクルが一般的ですが、私の
インに取り組んでいるのは、廃自動車シュレッ
研究では、ASR に含まれる可燃物を重油などの
ダ ー ダ ス ト(Automobile Shredder Residue:
有機溶剤を使って低温(200 ~ 300℃)で油化す
ASR)からの有価物の回収に関する研究です。
るリサイクル方法の確立をめざしています。この
まず、廃自動車シュレッダーダストとは何かで
方法を用いると ASR に含まれるレアメタルが酸
すが、廃車をシュレッダー破砕して鉄やアルミニ
化されないため、油化残渣からレアメタルを浮遊
ウムなどの有価物を回収した後に残る不要物のこ
選別法(水中で気泡を利用して選別する方法)に
とで、通常、廃車を処理すると 20 ~ 25%の重量
よって回収することも可能となります。
割合で発生します。ASR は自動車リサイクル法
このような研究を通じて、庄内地域で発生する
により、自動車メーカーが適正に処理することが
廃棄物を効率よく減量化するとともに、エネル
義務付けられていますが、形状が複雑で色々な物
ギーや資源の確保も行えるようなエコタウンの創
で構成されていることからリサイクルが難しい
出を検討してみたいと考えています。
とされています。そのため、現在は ASR を高温
10
卒業生メッセージ
02
2006年3月卒業(2期生)
五十嵐 葉子さん
み な さ ん、 こ ん に ち は。2 期 生 の
治体システムセミナーのお手伝いをし
公益大には、自分のやりたいことを
五十嵐葉子です。私は酒田市出身です
た際に、生き生きと仕事をしている方
どんどんできる環境があります。ま
が、現在は横浜で、お客様先のシステ
と出会った経験は、現在の仕事を選ぶ
た、公益大ならではの講義やサポート
ムサポートの仕事をしています。
大きなきっかけとなりました。大学時
がたくさんあります。大学時代に経験
大学時代の思い出と言えば、地域に
代のさまざまな経験を通して感じたこ
したことは、これからの人生の糧にな
密着している講義や実際に体験して学
とは、“人との出会いがおもしろいと
りますので、在学生の皆さんには、ぜ
ぶフィールドワークを通じ、自分の肌
いうこと、また何にも代えがたく素晴
ひ、いろいろな人のいろいろな考えを
で感じながら勉強することができたこ
らしいものである”ということです。
聞き、どんどんチャレンジしていって
と、また、オープンな雰囲気で、先生
たくさんの人との出会いにより新しい
ほしいと思います。
方 ・ 事務局の方 ・ メディアセンター ・
自分を発見できましたし、人それぞれ
学食の方など、世間話から相談まで気
の考えを聞きお互いの意見を交換して
軽にできたことがとても印象に残って
さらに考えていく、というプロセスを
います。深夜までかかって友人とプロ
通して、自分自身が成長し、人とのつ
グラミングの課題に取り組んだことも
ながりを改めて再認識しました。
今となってはいい思い出です。
現在は、「これからもたくさんの人
他にも、私は「いろいろなことにチャ
と出会いたい!」という思いと、公益
レンジする!」をテーマに、大学のイ
大の“世のため・人のため”の教えに
ベント・社会人サークル・市のイベン
基づき、翻って「お客様のために私が
トなど興味を持ったことには積極的に
できることはなんだろう」と日々自問
参加していました。なかでも、電子自
しながらも、楽しく仕事をしています。
会社の同期の結婚式でグアムに旅行
I n f o r m a t i o n
創立10周年記念事業(給付型奨学金基金創設・
学費減免制度の充実)寄附募集について
大学に進学するためには、入学金や授業料のほか、勉学のため
の図書購入費や生活費、また、自宅外通学であれば家賃等、多く
の費用を必要とします。その額は大学の所在地などによっても異
なりますが、全国平均で月 12 万円を超え、そのうち仕送りに頼
る部分が 8 万円を超えるというデータもあります。このように、
学生が大学生活をしていく上では、授業料のほかにも、毎年多額
平成 22 年度の給付型奨学金授与式
の費用が必要となってきます。
本学では、創設した給付型奨学金基金の運用果実により、返済
義務のない給付型の奨学金を一人でも多くの学生に給付すること
で、大学に進学して勉学がしたいけれど、経済的理由で進学を断
念せざるを得ない若者に、「大学進学の夢や希望を捨てないでが
んばれ」とエールを送りたいと考えています。
この私たちの思いを、多くの方々に共有していただき、給付型
■「給付型奨学生」の募集規模等(平成23年度学生募集要項より)
入試種別
一般入試
(前期)
採用人数
選考方法
給付内容
書類選考、
A:年額96万円(月額8万円)給付
10名以内
試験成績、面接、
B:年額72万円(月額6万円)給付
家計状況
C:年額48万円(月額4万円)給付
奨学金基金充実のためのご寄附にご賛同いただければ、と切に願
う次第です。ぜひとも、皆様の温かい思いを賜りますようお願い
■平成21・22年度「給付型奨学生」採用実績
申し上げます。
月額8万円
月額6万円
月額4万円
募集期間:平成 21 年 8 月から平成 24 年 3 月まで
平成21年度
2名
―
―
計2名(応募者数6名)
お申込について:個人の方/ 1,000 円以上おいくらでも結構です。
法人・団体の方/一口 10,000 円から
平成22年度
1名
1名
2名
計4名(応募者数15名)
現在の寄附状況は199件、122,020,209円です(11月30日現在)。
お問い合わせ
※平成 22 年度支給総額 456 万円
創立10周年事務室 Tel.0234-41-1110 詳細は本学ホームページにも掲載しております。
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笑顔は空気清浄機? ~表情と空気(雰囲気)
の関係~
みなさんが笑顔になる瞬間はどんな時でしょう?誰かに褒められた時、ありがとうと言われた時、おいしいものを食べた時・・等々、人
それぞれだと思います。今回は、そんな笑顔と空気(雰囲気)の関係について、本学の益子行弘実習助手に寄稿していただきました。
笑顔の人を見ると、私たちはごく自然に「何か
等動物に備わっています。他者の経験を自分の経
楽しいことがあったから笑顔なんだろうな」と思
験と同様に考え、危険を回避するなどの学習を行
います。「楽しい」という感情が原因となり、「笑
うために発達したなど諸説ありますが、霊長類の
顔」という生理的な変化が起こったと考えます。
ような、集団で生活をしてきた生物にとっては、
しかし、私たちのこの解釈とは全く逆の説があり
協調行動や他者の感情を推察するといった、集団
ます。ある実験で、口にペンをくわえて笑顔(風)
生活・社会生活を営む上では必要不可欠だったた
の表情を作らせ、気分評定を行いました。すると、
めに発達したともいわれています。ミラー・ニュー
偽の笑顔を作らせることで、真顔で評定したとき
ロンは、たとえば、他の人のあくびを見たら自分
よりも「楽しい」「幸せ」といった、よりポジティ
もあくびしてしまうとか、ジャンケンで、後出し
ブな回答をする傾向がみられました。この現象は、
なのに相手の出した手をとっさに真似てしまうな
顔面フィードバックとよばれ、100 年以上前から
ど、他者の行動を模倣するようにという指令を出
仮説が唱えられていました。顔の表情筋の活動パ
しますが、表情も例外ではなく、相手が笑えば自
ターン(この例では笑顔のパターン)が脳にフィー
分もつい無意識に笑顔になったりと、他者と同じ
ドバックされて、感情を喚起させるという、あく
表情を模倣することがわかっています。
まで「仮説」でした。しかし近年の研究で、笑顔
一人の笑顔がその場の空気をなごませ、笑顔に
に似た表情を作ることで、脳の快感物質である
なった人たちの気分を快適にする。まるで空気清
ドーパミン系の神経活動が活性化され、それが楽
浄機みたいですが、「笑顔が職場を明るくする」
しさの感情喚起につながることがわかってきまし
とよく言われるのは、これらの効果によるところ
た。「笑顔」という表情変化が原因となり、「楽し
が大きいのでしょう。
い」という気分的な変化が起こることが確認され
生活するフィールドは人それぞれ違いますが、
たのです。
その中の一人が笑顔でいることで、その場の空気
表情は伝播するという研究報告があります。集
がよりポジティブになるかもしれません。みなさ
団の中で、一人に笑顔をさせると、周囲の人の表
んも笑顔で空気を変えてみませんか?
情もほぐれて笑顔が表出されやすくなるという現
象です。どうしてこのような現象が起こるのか、
図:真顔と笑顔(女性 16 人の平均顔)
そのシステムは解明されていませんが、どうやら
脳にある、ミラー・ニューロンがこのような行動
の原因になっているのではないかといわれていま
す。ミラー・ニューロンは、他者の行動をまるで
自分が行動しているかのように、“鏡”のように
同じ活動を促す神経細胞であり、霊長類などの高
wave.
【表情に関心がある方へ・参考文献】
(1)大坊郁夫(著)
「しぐさのコミュニケーション」
サイエンス社 1998.
(2)吉川左紀子・益谷真・中村真(編)
「顔と心 -顔の心理学入門-」
サイエンス社 1993.
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編集後記
庄内プロジェクトにパネリストとして参加していただいた方のお一人が
動すること、そしてその一人ひとりの行動がバラバラではなく皆同じ方向
「(地域が)本当に求めているものが何かという問題意識への突っ込みが、
を向いていること、これが大切なのだと思います。一人ひとりの力は小さ
(大学側には)足りない気がする。この地域が求めていることを突き詰め
くてもそれが一つになれば大きなエネルギーになる。そのエネルギーこそ
ていけば、やるべきことも変わってくるのではないか」と発言されました。
本学が進化するために最も必要ではないでしょうか。言うは易く行うは難
厳しい言葉ですがまさにそのとおりだと思います。教員・職員一人ひとり
し。常に肝に銘じて行動していきたいと思います。
が本当にこの言葉を真摯に受け止め、自分が果たすべき役割を自覚して行
東北公益文科大学 広報誌「Over View」 No.24 2010.12 発行 Over View 編集委員会
〒 998-8580 山形県酒田市飯森山 3-5-1 0120-41-0207 tel.0234-41-1111(代表) fax.0234-41-1133 e-mail:[email protected] http://www.koeki-u.ac.jp
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