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 札幌本道はしばらく
海岸線と平行に西進し
ますが、かつての敷生
コタンと呼ばれた地区
(北吉原駅近辺)から
進路を北に変えていま
した。大正期の大日本
帝国陸地測量部の地図でも、現在の北吉原八幡神社へ向
かって道路が描かれています。
この明治14年は開拓使が計画していた【10ヶ年計画】が
札幌本道は敷生川を越え、北吉原八幡神社から海へ
満期を迎える前年であって、開拓使は“北海道開拓”の進
捗具合をお披露目しておく必要に迫られていました。したがって町史の「天皇は8月30日午後5時ころ小樽に入港
された。小憩後、直ちに特別列車で札幌に向かわれた」との淡白な記述は、実はかなり重要なところです。小樽か
ら伸びた路線は、前年に札幌までを結んで竣工した北海道で最初の鉄道でした。小樽手宮と札幌を結んだ北海道で
最初の鉄道でした。天皇は札幌の豊平館を拠点に視察を済ませ、白老などを経由して室蘭から森へと渡り、函館か
ら帰京しています。
このように拓殖事業において当初から重要視され、巡幸のルートとして実用された小樽港と室蘭港ですが、室蘭
までの敷設が遅れた可能性もありました。というのも、幌内炭鉱産出の鉱石を運搬するルートは、榎本武揚が推す
オランダの水利技術を取り入れた幌内∼小樽(一部石狩川利用)と、ケプロンらアメリカの技術者が推す幌内∼室
蘭の2通りが考案されていたからです。しかも驚くことに、両案は同時進行されていました。最終的には陸路派が
先んじて結果を残しましたが、もし榎本派が十分な成果を出していたなら、室蘭港の価値にも変化が生じていたか
も知れません。 仙台藩白老元陣屋資料館 平野敦史学芸員
⡤⡘⡚⡟⡠⣚⤖⣰➥❺
アイヌ民族博物館の姉妹館 フィンランドサーミ博物館館長が講演
フィンランド・ラップランド州イナリにあるサーミ博物館「シーダ」のタルモ・ヨンパネン館長が5
月21日、アイヌ民族博物館で講演しました。ヨンパネン館長は5月25日から12月まで開かれている「北
極圏のコミュニケーション境界を越えるサーミ」にちなんで開催された北海道大学総合博物館の土曜市
民セミナー(5月26日)に招かれて来日しました。
サーミ博物館とアイヌ民族博物館は1984年6月21日に姉妹博物館を提携し、10周年にはアイヌ民族博
物館で「スコルト・サーミの世界」展を開いてロシアのサーミを紹介。2004年には「シーダ」で姉妹館
提携20周年記念展「アイヌ―祈りの世界」を開催しています。ヨンパネン氏は10周年の時、アイヌ民族
博物館に来館、今回で二回目訪問です。
講演でヨンパネン館長は、「サーミはフィンランド・ノルウェー・ロシアの三カ国に分かれて暮らす
北欧の先住民族で、フィンランドのサーミは憲法によって保護され、議会もあるが、サーミ語を母語と
することが義務付けられており、都市に流出する若い世代が母語をうしなっているのが課題」と語りま
した。また産業として、トナカイの飼育や観光用の
工芸品づくりがあり、豊かな自然という観光資源も
あるが、鉱山開発での自然破壊という身近に迫った
問題もある―と語りました。
講演にはアイヌ文化を継承しようと学んでいる受
講生らが参加しており、「失われつつあるアイヌ語
を復元する難しさ」について語りつつ、サーミの人
たちがどのように母語であるサーミ語を継承してい
るのか熱心に質問していました。
白老美術協会 ふるさとを描く小品展
白老美術協会『小品展』が5月22日から、白老町コミュニテ
ィセンターのロビーで開かれ、ふるさと白老の『風景』や静物
の『花』など会員の作品が出品されました。
秋の美術協会展の前に春に開かれる小品展は「ふるさとの魅
力」を再発見するために始まった作品展。今年は15人の会員か
ら27点の油絵、水彩画、版画に陶芸作品も並べられました。
早春や晩夏のポロト湖に、森野の秋を描いた3部作など、小
さいがあじわい豊かな作品で見ごたえがありました。
2012年7月号 28
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