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第37回丹後震災記念展開催要項
第37回丹後震災記念展開催要項 1 趣旨 昭和2年(1927)3月7日に丹後一円を襲い、死者 2,992 名(奥丹後震災誌より)の 犠牲を生んだ北丹後地震(丹後大震災)が発生してから平成 21 年(2009)で 82 年にな ります。 北丹後地震は京丹後市網野町郷を震源とし、京丹後市を南北に縦断する全長約 18km の活断層・郷村断層帯が引き起こした地震です。最も被害の大きかった京丹後市峰山町 の峰山地区では、9割以上の家屋が全焼・全壊したと言われ、当時の人口の約 25%に当 たる 1,094 人の死亡者を出した大惨事であったと記録は伝えています。 昭和5年には、震災義捐金の残金をもとに丹後震災記念館が建築され、あわせて震災 記念物の保存・慰霊祭の執行・地震に関する調査研究・社会教化を目的として「財団法 人丹後震災記念館」が設立されました。財団法人は、戦前を中心に活動しており、昭和 10 年度には「震災実況模写油絵」を伊藤快彦(やすひこ)氏に依頼して作成しており、 翌 11 年度には、京都市美術工芸学校に依頼して震災実況の絵を作成していました。財団 法人は、昭和 29 年に解散し、丹後震災記念館は峰山町に譲渡されました。 その後、震災に関する資料は、遺品や写真・新聞記事も加え約 150 点ほどが市内外の 方々より峰山町へ寄贈され、現在は京丹後市峰山図書館に保管されています。 今回はその資料の中から遺品や写真パネル等、当時の状況をよく伝える資料のうち約 100 点の資料を展示します。かつて丹後を襲った大災害を思い起こし、そこから立ち上が った先人の経験を知り、そのことを通じ防災意識の啓発を図ります。 また平成 19 年度は、震災 80 年記念事業として震災記念館を会場としましたが、好評 の声が大きく、丹後震災記念館の本来の建築目的にも合致しますので、今年度も引き続 き丹後震災記念館を会場に展示をおこないます。 2、開催日時 平成 21 年3月7日(土)∼3月8日(日) 3、開催場所 丹後震災記念館(峰山町室) 4、入館料 無料 5、内 容 ① 遺留品・被災物展示コーナー ② 写真で見る震災コーナー ③ 「震災実況模写油絵」(伊藤快彦作)の公開 ④ 丹後震災記念館∼建築とその後の展開∼ ⑤ 文化財セミナーの開催 ⑥ 起震車体験 コーナー (別紙1) (市総務課実施、別紙2) 日時:3月7日(土)午前 11 時∼午後 2 時 30 分 会場:丹後震災記念館前 ⑦その他、震災記録映画の放映(随時) 6、その他 展示協力(受付等) 市内有志(予定) 午前 10 時∼午後 5 時 (別紙1) 京丹後市文化財セミナーの開催 丹後震災記念館に掲げられている「震災実況模写油絵」は、昭和 10 年度に財団法人丹後 震災記念館の依頼によって、当時、関西美術院の院長であった洋画家の伊藤快彦氏が描い たものです。伊藤快彦(1867∼1942)は、京都市左京区の熊野若王子神社の宮司であった 洋画家です。伊藤は、十二・三歳の時に仙洞御所であった京都博覧会において高橋由一の 「鮭」に恍惚として見入ったことに端を発し、京都画学校にて田村宗立(園部出身)に学 び、卒業後東上し原田直次郎の家塾鍾美会に入り、明治 25 年に京都へ戻っています。翌 26 年には家塾鍾美会を設立しています。その後、浅井忠とともに関西美術会の結成や関西美 術院の設立に深く関わり、大正5年∼昭和 11 年には院長に就任しています。静物画を得意 とした戦前京都の洋画界の重鎮といえます。伊藤氏については、その研究が少なく、黎明 期の京都洋画檀の先駆者の一人でありながら、注目された存在ではありませんでした。 昨年3月に、早稲田大学大学院生の石井香絵氏が丹後震災記念館の絵を調査し、伊藤氏 の晩年の大作であるという評価を行っています。また石井氏は、修士論文に伊藤快彦研究 を作成しており、伊藤氏のことを一番良く理解している人物といえます。 石井氏により伊藤快彦氏のそのものおよび本作品の美術史的な位置付けを「伊藤快彦研 究(仮題)」として講演していただく予定としています。 またあわせて石井氏より、伊藤氏が宮司であった熊野若王子神社に、「震災実況模写油 絵」の制作途中および慰霊祭の模様を撮影した写真が残されていることをご教示いただき、 先日、その調査を実施しました。財団法人丹後震災記念館一件書類(旧峰山町役場文書) の調査をあわせて実施し、財団法人設立までの過程とその目的が浮かび上がってきました。 丹後震災記念館建築から 80 年を迎え、もう一度、丹後震災記念館建築の趣旨を思い起こ すことを目的として、講座「丹後震災記念館∼建築とその後の展開(仮題)」を文化財保護 課職員によりあわせて開催する予定としています。 10:30∼12:00 日 時:3月8日(日) 会 場:丹後震災記念館 内 容:講演会「伊藤快彦の活動とその作品」 (早稲田大学大学院生 講 石井香絵) 座「丹後震災記念館∼建築とその後の展開」文化財保護課 橋本