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Q1 鉄塔はどうやって建てるの?
スッキリ解消 皆さんからお 寄せいただいた疑 問にお 答えします。 No. ⓫ 鉄塔はどうやって建てるの? 愛知県のK・Uさんはじめ多くの 方々からご質問をいただきました。 中部電力のエリア内にある送電用鉄塔は約31,000基。高度経済成長期に建てられたものが多く、健全性 を保つため、年間約100基の建て替えを実施しています。今回は、鉄塔の建設工事について紹介します。 工事計画 送電ルートの決定後、現場の状況や 地質などの調査を重ね、各現場に合っ た鉄塔の仕様や資機材の輸送・工事 の方法などを検討します。 測量・地質調査・用地交渉 鉄塔は下から組み上げていきます。地 上で鉄塔の部品をブロックごとに組み 立てて、 クレーンで吊り上げ、作業員が 1本ずつボルトで固定していきます。 建設工事 事前調査に基づき、鉄塔の基礎・高 さ・形などを決定し、設計します。 設 計 鉄塔基礎工事 鉄塔組立工事 電線架線工事 完成 作業スペースを確保できる場所では自走式ク レーン (写真左)、 スペースに限りがある場所 ではタワークレーン (写真右) を使用します。 機械・人力で掘削し、 コンクリートを流 し込んで丈夫な基礎をつくります。大 規模な鉄塔では10m~30mの深さに なるものもあります。 鉄塔の建設は数基まとめて行うことが 多く、工事計画~完成まで数年を要し ます。大規模な鉄塔では約4年~5年 の期間になるものもあります。 山間部ではどうするの? 資機材輸送のため山中に設けられたモノ レールの線路。 山地鉄塔の規模は建設する地域 や送電する電圧によりさまざま です。大規模なものでは高さ約 70m~80m、重量約70t~90tに なるものもあります。現地まで 道のない山間部の現場では、資 ヘリコプターの資機材輸送は往復500回 におよぶことも。 山地の現場では、斜面に平らな足場を組 み、資機材置場を建設し工事に入る。 峻 な地形などで重機の搬入が困難 リートの搬入です。平地のように プターを利用するなど、各現場に な現場では、人力で作業を行う場 ミキサー車を配置することが困難 適した運搬方法で資機材を運びま 合もあります。 であるため、少量ずつ回数を重ね す。重機も分解して搬入し、現場 また、山地の作業で特に苦労す て、ヘリコプターで搬入すること で組み立てて使用しますが、急 る の が「 基 礎 」に 使 用 す る コ ン ク もあります。 機材の輸送ルートの確保が重要 です。そのため、索道 ※ や簡易の モノレールを敷設したり、ヘリコ きゅう しゅん ※空中に張り渡したワイヤロープに搬器を吊るして建設工事資材などを運搬する設備。 場・ ba - 2016 December Vol.23 16 Que s t i o n a b o u t e l e c t r i c i t y どうやって鉄塔に電線をつなぐの? 岐阜県のT・Kさんはじめ多くの 方々からご質問をいただきました。 鉄塔間に電線をつなぐ際 上で待機する架線電工さん(鉄塔に は、建設する地域の状況に 送電線を張るプロ)に渡していきま 合った工法を選定します。ここで す。 は、一例としてヘリコプターを用 そして、この細いロープを順々に いた電線架線工法を紹介します。 太いロープにつないでいき、最終的 電線は非常に重いため、まず、 には電線につなぎます。エンジン場 細くて軽いナイロンロープを巻い にてロープを巻き取っていくと、各 たリールを吊り下げて鉄塔間を飛 鉄塔間に電線が張られていく仕組み 行し、繰り出したロープを鉄塔 です。 細いロープを 手繰り寄せながら 重い電線を 架けていきます 【ロープと電線接続の例】 細いナイロンロープ➡ 太いナイロンロープ➡ 細いワイヤロープ➡ 太いワイヤロープ➡ 電線 電線架線工事イメージ図 (例:ヘリコプター工法) 延線ロープ 鉄塔 作業員 ドラム場【ロープや電線を送り出す側】 鉄塔間にロープを渡していく延線作業 は延線機を操作する 「ブレーキマン」の 腕が求められる作業です。 17 ヘリコプター エンジン場【ロープや電線を巻き取る側】 リールを吊り下げた状態で、鉄塔間を飛 鉄塔間に電線が張られると、架線電工さんが電線に 「宙乗り」の状態で、電線とがいし 行します。ヘリコプターの飛行が不可能 を固定します。電線には設計上決められた弛みを持たせることが必要であり、 この弛み な場所では、 ラジコンヘリを使用し、釣り を調整しながら作業していきます。 糸を引っ張らせていく方法もあります。 ■このコーナーで「聞いてみたい」 ご質問をぜひお寄せください。詳細は、巻末ハガキをご覧ください。