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ボツワナ共和国という国

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ボツワナ共和国という国
ボツワナ共和国という国
2012/07/25
アフリカの国を国別に調べて行くと、大体パターンが決まっていて「ここもか!」という
気にならざるを得ない。独立→独裁→反政府勢力との紛争→貧富格差の拡大という政治的
パターンに加え、特に南部アフリカではエイズが足を引っ張っている。何とかこの負の連
鎖から抜け出せそうなところと、未だに行く手に明かりが見えない国の違い程度である。
ただボツワナという国だけは違っていた。独立は 1966 年と一般のアフリカ諸国に比べて
遅れ気味である。南アフリカのすぐ北に位置し、完全な内陸国である。しかもカラハリ砂
漠とその周辺のサバンナという土地が大部分で、季節によって湿地帯も生まれるが、人間
が住むには決して恵まれた土地ではない。
ただ1つの幸運と、為政者の努力がこの国を変えた。幸運とは独立後に大きなダイヤモ
ンド鉱石が発見されたことである。これが独立前ならイギリスの利権になっていたであろ
う。そして一般に貧しいアフリカでは、為政者でさえもその利権にしがみつき、却って紛
争の種になり、「紛争ダイヤモンド」と呼ばれることが多い。ところがボツワナの大統領は
じめ政府はアフリカには珍しく、これを国を活かす方向に使ってきた。
ボツワナでは独立後、一度もクーデターや内紛が起こっていない。これ自体が珍しいが、
決して人民を抑え込んで来た訳ではなく、民主化された政治組織で動いている。従って大
統領も適度に替わっている。
為政者の努力というのは、そのダイヤモンドの活かし方である。世界でダイヤの相場を
支配していたデビアス社と交渉し、ダイヤの加工工場を国内に作らせることに成功した。
その条件を呑まないと、ダイヤはデビアス社には売らないという姿勢だった。これによっ
て、他の中小のダイヤ取扱い業者は、すべて加工工場をボツワナ国内に設置せざるを得な
くなった。
ここから生まれる利点は①雇用が生まれる②国内に加工技術のノウハウが残る、という
ことで喩えダイヤを掘り尽くしても、加工でしばらくはダイヤ業界を支配できる。更に③
そのノウハウを利用してボツワナ人で起業する人が出てきた、というところまで及んでい
る。この結果1人あたりの国民所得は、南アフリカ共和国を超えている。セーシェルのよ
うな特殊な環境にあるところを除けば、サブサハラ第一の金持ち国になった。
ただ、ダイヤ一辺倒では雇用も知れている。農業には向かない国なので、第2次産業の
誘致に力を入れている。今のところ軽工業はあるものの、重工業やハイテク産業はない。
そこで法人税の引き下げや海外からの投資に優遇税制を設ける等で努力している。インフ
レ率も安定しているし、経済成長率も高い。都市周辺ではインフラは十分整っている。
この誘致が上手く行けば、ボツワナはアフリカのモデルになれる。今でも十分その資格
はあるが、まだ他に手を貸すところまでの力はない。アジアで日本が果たしてきた役割を、
このボツワナがアフリカで果たせればと思う。そこに行きつくまで日本も協力を惜しまな
い方がいい。
問題は南部アフリカ全域で問題のエイズだけは解決していない。ただ薬品の無料配布を
始める等、手は打ち始めている。この面でもアフリカのモデルになってくれればと思う。
(福山記)
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