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LM-04 子どもたちの生活と未来

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LM-04 子どもたちの生活と未来
LM-04
子どもたちの生活と未来
~シエラレオネの子どもたちを事例として~
0311216 坂元はる奈 1
指導教員 藤掛洋子
【背景と目的】現在、世界中で 8 億 5400 万の人々が飢えで
苦しんでいる。そのうち 3 億 5000 万が子どもたちである 2。
死亡原因世界第 1 位とされる飢餓の 3 大要因は不適切な経
済政策・紛争・エイズである。
紛争地域における子どもたちの生活は、今尚、脅かされ
ている。西アフリカのシエラレオネでは、10 年間続いた内戦
の影響により、経済低迷・難民・ライフライン(水、道路、家な
ど)の問題が後を絶たない。
中でも内戦の影響を受けた子ども兵の増加は、深刻な問
題である。紛争地域では、子どもたちが兵士として紛争の前
線に立つことが当たり前と考えられ、誇りとも考えられている。
教育を受けないまま育った子どもたちは、兵士たちの制服
姿に憧れを抱き、兵士になることが名誉だと考えている。
しかし、紛争へ参加し、殺人を犯すことにより子どもたち
の心は傷ついている。自分自身も身体的に傷つけられた上、
親族や友人を殺害すること、仲間の手足を切り落とすことを
強要され、子どもたちは生涯にわたって心身ともに大きな傷
を負っている。
本研究では、紛争が起きるメカニズムを検証し、子どもた
ちの未来を明るくするための方法を考察する。
【方法】国際協力機構資料館所蔵の資料分析・インターネッ
トによる資料分析及び調査。
【結果及び考察】世界銀行では、1日1.25米ドル以下で生活
する人々を絶対的貧困と定めている(世界銀行 2008、この
数字は8月26日改定)。また、絶対的貧困とされている人々
は、世界で 12 億存在し、3 秒に 1 人の子どもが貧困を原因
として命を落としている。
乳児死亡率、5 歳未満の子どもの死亡率が世界第 1 位の
シエラレオネでは、1991 年から 10 年間に渡って内戦が続
いた。隣国であるリベリアのテーラー大統領は、自国の軍隊
をシエラレオネ革命軍のふりをさせ、RUF(Revolutionary
United Front=革命統一戦線)として内戦を起こした。シエラレ
オネで産出されるダイヤモンドが狙いであった。RUFはダイ
ヤモンドを財源に、勢力を増していき、首都フリータウンを
除く全州を支配下に置いてしまった(山本 2006)。
子どもたちは兵士たちに脅され、子ども兵として紛争に参
加した。任務は、スパイ行為や荷物運び、地雷の除去、伝
令などがある。これらの任務はすべて危険を伴い、任務遂
行中に命を落としてしまう子どももいた(ブレッド&マカリン
2002)。子ども兵は、上官に逆らった仲間の腕や足を切り落
とし、銃で殺害することさえ強要された。戦闘中は麻薬やア
ルコールで思考回路を麻痺させられ、人を殺害したい衝動
に駆られ、農村を襲撃したという。
内戦の原因となったダイヤモンドは、市民たちの生活を
益々脅かした。RUF のダイヤモンド取引量は 1990 年代後
半には毎年最低 2500 万ドル、多い年は1億 2500 万ドルに
上ったと推定されている(国際連合 2000)。RUF は、市民を
奴隷として扱い、武器を調達するためにダイヤモンドを採掘
させていた。このように世に出てきたダイヤモンドのことを
「紛争ダイヤモンド」(ハート 2002)という。今までに流出した
紛争ダイヤモンドは全体の 4%であるといわれているが、実
際の数は明確ではない。
世界の主要なダイヤモンド採鉱企業であるデビアス社は、
「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチコピーのもと、世
界のダイヤモンドを全て支配してきた。デビアス社は、アン
ゴラから産出されるダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)にも着
手し、消費者へ大量に販売していた。また、広告予算を毎
年 2 億円投資し、高級ブランドグループである LVMH(モ
エ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)と協力関係を結び、ブランド展
開を図っている(ガーグ 2008)。
紛争ダイヤモンドの存在が明らかになり、国際的な議論が
開催される中、キンバリー・プロセス認証制度(KPCS)が
2002 年に立ちあがった。これはダイヤモンドの原産地証明
を義務付け、紛争ダイヤモンドを排除する制度である。これ
により、紛争ダイヤモンド取引防止の第一歩を踏み出した。
内戦中、内戦の原因であるダイヤモンドの採掘作業を仕
事としている市民は多く、それがより一層内戦を長引かせた。
停戦した現在は、現地の復興が進行しているが、子ども兵
だった子どもたちは、十分な教育も受けられないまま育って
しまった。内戦が残した爪痕はあまりに大きい。
【結論】内戦が起きることにより、経済は低迷し、政治は腐敗
する。市民たちの生活は困難になり、貧困は終わらない。そ
の影響を受けるのは、何の罪もない子どもたちなのである。
子どもたちの未来を明るくするためには政治、教育、市民の
自立の 3 本柱を確立することが重要である。政治が安定す
ることで、生活は安定し、教育を受けることで、子どもたちは
生きぬくための知恵を習得できる。それらは市民の協力な
しでは達成し得ないのだ。
また、豊かさの裏には陰が存在する。豊かになることを求
めるほどに、犠牲になる人々が増えていくことを、わたした
ちは認識しなければならない。その根底の原因を探求する
ことも重要である。一人でも多くの人がこれらの課題を理解
し、声を上げていくことが平和な未来への第一歩に繋がると
考える。
1
Haruna SAKAMOTO
2
WFP(国連世界食料計画) <http://www.wfp.or.jp/country/694.htm>
(2008.6.27 参照)
LM-04
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