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糸でんわ100号2012年1月発行
★ご自由にお持ちください ・特集 パーキンソン病 どんな病気?・・・・・・・・・・・・・1P 運動症状以外の症状とは?・・・・・・・2P どんな検査をするの?・・・・・・・・・2P 治療方法と注意点!・・・・・・・・・・3P ・講演会のお知らせ・・・・・・・・・・・・3P 東京都健康長寿医療センター・コミュニケーション誌 第100号(平成24年1月号) 特集 ・クリスマスコンサートを実施いたしました・4P ・受賞報告・・・・・・・・・・・・・・・・4P ・情報クリップ・・・・・・・・・・・・・・4P パーキンソン病 神経内科 部長 金丸 和富 どんな病気? パーキンソン病は、ふるえや筋固縮・筋肉のこわばりを伴い、動作が 緩慢になり、転びやすくなるといった運動症状が特徴的です。片方の手 の振戦(ふるえ)で発症することが多く、じっとしている時にふるえる 安静時振戦が特徴的です。 パーキンソン病は、中脳黒質(脳の中心部の黒質というところ)に あるドパミン神経細胞が、減少しておこる病気です。ドパミンという 物質が、通常の20 ∼ 30%以下に減少するとパーキンソン病の症状がで てきます。およそ1000人に1人がかかる頻度の多い病気です。中脳黒 質の残った神経細胞内には、レビー小体という異常な蓄積物質が出現 します。 なお、パーキンソン病と同様のパーキンソン症状が、薬によって生じ る場合がありますので、注意が必要です。パーキンソン症状をきたす薬 物には、抗精神病薬(クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、 リスペリドンなど) 、 制吐薬(メトクロプラミドなど) 、 循環器用薬(Caチャ ンネル阻害薬)などがあります。 1 運動症状以外の症状とは? パーキンソン病では、運動症状だけでなく、精神症状や睡眠障害、自 律神経症状、痛みや嗅覚低下といった感覚障害などの非運動症状も出現 します。精神症状には、不安や抑うつ状態、意欲低下・アパシーがあり ます。認知症を伴うことがあり、レビー小体が大脳皮質に出現し認知症 をきたすものをレビー小体型認知症と呼んでいます。生々しい幻視が特 徴的です。自律神経症状には、頑固な便秘や排尿障害、起立性低血圧、 発汗障害などがあります。 睡眠障害には、不眠、日中の眠気、下肢静止不能症候群(夜間の下肢 異常感覚、動かしたいという衝動) 、REM睡眠行動異常症(REM睡眠 中に、夢のまま叫んだり、けがをするような体動を生じる)があります。 嗅覚低下は、パーキンソン病の運動症状発症前の症状として注目されて います。 どんな検査をするの? まず、画像検査(CTやMRI)を行い、パーキンソン症状をきた すパーキンソン病以外の疾患(脳血管障害、正常圧水頭症、進行性核 上性麻痺、多系統萎縮症など)の有無について調べます。特殊検査には、 MIBG心筋シンチや脳脊髄液検査があります。 MIBG心筋シンチ 心臓の交感神経の働きをみるアイソトープの検査です。パーキンソン 病では、MIBGの心臓への集積は、著明に低下します。 脳脊髄液検査 脳脊髄液中の、ドパミン代謝物であるHVA(ホモバニリン酸)を測 定すると、パーキンソン病で低下しています。脳脊髄液は、腰椎穿刺に より採取します。 2 治療方法と注意点! 治療は、薬物治療が中心です。最近、薬の種類が増えてきましたが、 残念ながら、パーキンソン病自体を治す特効薬は、まだ、ありません。 治療薬には、L−ドパ剤やドパミン受容体作動薬(ドパミン受容体を刺 激する薬)、ドパミンやL−ドパの分解を抑制する薬、アセチルコリンを 抑える薬などがあります。基本的にドパミンを補充するL−ドパ剤が、 一番効果があり、薬物療法の中心となっています。ドパミンそのものは、 脳の中に入り込めないので、脳の中に入ってドパミンに変化するL-ドパ 剤を内服します。アセチルコリンを抑える薬は、振戦には効果がありま すが、精神症状や消化器症状の副作用、また、認知症を悪化させる可能 性があり、高齢者では使用しにくい薬です。 パーキンソン病の治療薬を開始する際、以下の点に注意してください。 1. パーキンソン病以外に服用している薬があれば、申し出てくださ い。パーキンソン病治療薬と相互作用がある薬があります。 2. 指示された量を正しく服用してください。今後の、薬の調節に必 要です。 3. 自分の判断で薬を中止しないようにしてください。 4. 次のような症状・副作用が出たら、すぐに主治医に相談してくだ さい。吐き気、食欲低下、実際にないものが見えたとき、めまい、 立ちくらみ、眠気。 外科治療:脳外科的手術療法には、視床や基底核(淡蒼球) 、視床下核の 破壊術と深部電極による刺激術があります。手術療法は、薬物療法にて 治療が不十分な運動症状や日内変動、不随意運動(ジスキネジア)が適 応となります。 講演会のお知らせ 第3回健康長寿いきいき講座 知っておきたい脳の病気 ∼生活の質を守るために∼ 「治せる脳梗塞への取り組み」神経内科副部長 小宮 正 「こうして防ごう・付き合おう もの忘れの病気」精神科副部長 古田 光 司会:小林 秀 副院長 平成24年2月16日(木)午後1時から午後4時まで 北とぴあ さくらホール 当日先着1,300人 申込不要・入場無料 電話 03-3964-3241 内線3008 事業推進課 広報普及係 3 クリスマスコンサートを実施いたしました 平成23年12月12日に職員によるクリスマスコンサートを実施いたしました。 この合奏団の楽しみの一つに、大物特別ゲス トの参加があります。今回は、ヴァイオリストの 佐藤美代子さん、歌手の清水理恵さんをお招き しました。 参加した患者様の中には、「昔、演 奏会をやっていたのを思い出した。」 と、懐か しむ声もありました。 総勢150人程の患者様、 職員が、およそ50分間、奏でる音楽に聞き入り (総務課 総務係) ました。 受賞報告 当センター4東病棟の看護師3名が、 『大腸内視鏡前処置の患者の負担軽減 ∼起床時に冷水を飲用し、 ニフレック内服量の減量をめざす∼』のテーマで、平成23年度 門田基金看護研究助成金を受賞しました。 平成23年度 門田基金看護研究助成金贈呈式 4東病棟で大腸内視鏡検査を受ける患者様は、年間約270人前後です。前 処置で検査当日にニフレックを2,000ml内服しますが、患者様より「飲むの が辛い」等の訴えが聞かれたため、高齢者の検査の苦痛を最小限にと考え、 ニフレック減量を試みました。 診療科・部門・職種の枠にとらわれず、 センター研究所との連携により研究推進を 図る事が出来きたことを評価され、今回門 田基金を受賞することができました。 ありがとうございました。 後列(左から2番目)古田看護部長 4東病棟 臼田 細井 安藤 前列(左)臼田さん 情報クリップ 桑島副院長執筆の本(高血圧の常識はウソばかり)に、続編が発行されます! 「高血圧 効く薬効かない薬」 朝日新聞出版 平成24年1月13日発行 「糸でんわ」編集事務局 03-3964-1141(内3008) 4