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老後の過ごし方
老後の過し方 何もしないで生きていても良いのか? 2008 年の日本人の寿命は、男子が 79.29 歳、女子が 86.05 歳になりました。縄文時 代の平均寿命は 30 代前半だそうですから、 「現代人はとんでもなく長生きだな」と呆れて しまいます。私が平均的な男だとするとあとまだ平均して9年間の人生のロスタイムがあ るというわけです。もっとも、定年退職してからの 10 年間はあっという間でしたから、気 が付いた時はもう既にこの世にはいないかも知れません。 実は、我々が長生き出来るようになったのは、現代人が元気になったからではありませ ん。長生きできるようになったのは 1.医療が発達した。 2.食べ物が豊富になった。 3.衛生状態が向上した。 などです。そのために我々は、ものすごいエネルギーを消費しているわけです。つまり、 高齢者の医療費が膨らむということは、それだけ地球の資源を食いつぶしているというこ とになるわけです。 動物の社会を見ていると、人間のように仲間から食べさせてもらっている「おじいちゃ ん」や「おばあちゃん」は存在しません。一部の蛾では口が退化して、成虫になってから は全く摂食しないものもいます。この場合には、体内に蓄えた脂肪等をエネルギー源とし て活動しますが、退路は断っているのです。蚕蛾(カイコガ)はその典型的な例ですが、 蓑虫の雌などは蓑の中で産卵し、子供たちが大きくなると蓑の中で子供たちの餌として一 生を終えます。昆虫たちは生殖が終われば死が待っており、次の世代にその生を譲ります。 我々人間の場合は、エネルギーという代価を払って、長寿社会を成り立たせているわけ です。その結果、長いスパンで見れば、やがて人類は滅び、地球も滅びるかも知れません。 私は、 「現役時代には、一生懸命働いてきたのだから、退職後は趣味を生かして世の中の 役に立つボランティアにでも取り組んで、年金を貰って悠々自適の生活を送ろう」と漠然 と考えて過ごしてきました。68 歳で現役を引退して 2 年目になりますが、最近少し疑問に 思うことがあります。つまり、老後の生き方に関する疑問です。生物学的に考えると、そ んなに長生きしてはいけないのではないかと思うからです。すなわち、 1.一生懸命働いてきたのだから、もう働かなくても良いのか。 2.老後、すなわちおまけの人生を自分の為だけに使って良いのか。 の2点です。 その伸びた寿命をどのように有用に使うかが今の私には問題になってきました。 1 「メタボ」になると「糖尿病」や「高血圧症」になりやすいとして、いまや私達は「メ タボ退治」に大わらわです。しかし、これには重要な遺伝子が絡んでいます。 「節約遺伝子」 というのがそれに当たります。 人間の祖先が約 20 万年前に「ホモサピエンス」として自立して以来、殆んどの期間を「飢 餓」と戦ってきました。実は、人類が食料の心配なく過ごせるようになったのは、ここ 1000 年程だといわれています。 そのような「飢餓」に備えて、 「節約遺伝子」が働くようになったというわけです。獲物 が沢山獲れた時には脂肪分として体内に蓄えるよう機能する遺伝子です。したがって、か っては、この遺伝子が働くことによって、獲物がないときにはすきっ腹を抱えながらも、 蓄えた脂肪分で何とか生き延びることが出来たわけです。 現在でも、アフリカなどではまだ「飢餓」で沢山の子ども達が亡くなっています。子供 たちの姿を見ていると、 「節約遺伝子」が働くチャンスが皆無であることが良くわかります。 ところが、現代のように「飽食の時代」になると、その「節約遺伝子」が逆に悪者にな ってしまうのです。 遺伝子はたかだか 1000 年くらいでは変化しませんから、今でも余分な栄養分が体内に入 ると溜め込もうとするわけです。現在は消費するよりも溜め込む一方ですから、「メタボ」 になってしまうというわけです。 さて、生命体は遺伝子の乗り物であるというのは良く聞く話ですが、新しい秩序の「生 成」と古い秩序の「消滅」が絶えず拮抗しており、やがて消滅のほうが生成過程に勝ると 「生命体の死」になるわけです。この働きを担っているのが「アポトーシス」と呼ばれる 遺伝子に書き込まれた「死の指令」です。 前記したように「節約遺伝子」が上手く機能しているということは、「アポトーシス」と いう遺伝子に書き込まれた「死の指令」も有効に働いているはずです。遺伝子はたかだか 1000 年くらいでは変化しないことを考えれば、人の寿命も縄文時代の平均寿命の 30 代前半 とあまり変わらないはずです。環境の変化が短期間のうちに遺伝子の指令を凌駕するのは、 ウィルスや細菌のような小型の生き物だけなのではないでしょうか。 日本の、2008 年時点での「生産年齢人口」 (15 歳~64 歳)の全人口に占める割合は約 65% といわれており、この割合は毎年減少を続けており、将来の労働不足が懸念されています。 一方、 「老齢人口」 (65 歳以上)の全人口に占める割合は 21.6%で、超高齢化社会(高齢化 率が 21%を超えた社会)に突入しています。 さて、2010 年 7 月 23 日に発表された「年次経済財政白書」は、景気は少しだけ持ち直し たものの、日本だけが主要先進国においてデフレ状況にあると報告しています。デフレの 要因である慢性的な需要不足を解消するための提言の一つに、高齢者の就労促進による消 費拡大を挙げています。 どういうことかと言うと、高齢者が働いている世帯の方が、無職世帯よりも消費水準が 2 高いとの分析を示し、高齢者の就労促進が消費の活性化につながるとしています。家計を 中心とした内需拡大の道を探るには、年金のみの生活で、エネルギーだけを浪費し、おま けの人生を送っている老人達を再び勤労者の一部に組み込もうというわけです。 年金の範囲内で生活すると、どうしても「節約」というプレッシャーがかかり、消費を 控えてしまいます。そういう意味で「おまけの人生」を送っている私のような老人たちを 労働市場に引きずり出そうというのは面白いアイディアです。 「白書」を読むと、私が持っていた2つの疑問の解決はどうやら可能なようにも思われ ます。つまり、働いて、以前の消費者に戻ることです。ただ、民主党のように「事業仕訳」 で老人たちの職場の一つである全国的な組織を持つ「シルバー人材センター」等をやり玉 に挙げて嬉々としている姿を見ていると、「白書」とは矛盾するあらぬ方向に政府は動いて いるようにも思えます。 国民の期待を裏切り、 「政治と金」 、 「普天間」という二つの問題に翻弄され迷走し続けた 鳩山政権に変わって、菅政権になりましたが、この政権も「さらなる失望」を運んできた だけで殆ど期待は出来そうにありません。 ところで、菅首相とは一体どんな人なのか「菅語録」を見てみると、 ○ テポドンの時、「ミサイルが何発か飛んできたら考える。」 驚きました。これではとても、日本の総理大臣として相応しい働きが出来る人とは思えません。せいぜ い市民運動家止まりです。民主党政権は、鳩山政権に続いて、「国家の安全」、「国益の確保」、「国民 の権利保護」 「真っ当な教育の確保」など全てが落第点の政権です。この政権は、まさに国民を治安上の 、 危機にさらしているのです。 ○ 「自衛隊派遣は憲法違反だ!だが私の発言は気にしないで欲しい。」 菅氏は何が言いたいのでしょうか?「 国家の安全」について何も考えてないようです。 ○ 「靖国参拝は憲法違反だ。総辞職しろ!」。ところが小泉氏が 1/1 に靖国参拝すると、「8/15 に参拝 しないのは公約違反だ。総辞職しろ。」 行ったら行ったで「憲法違反」、行かなきゃ行かないで「公約違反」、一体どうしろというのでしょう か? ○ 「二世議員の存在は絶対に良くない!」 と発言。ところが息子が出馬することになると、 「源太郎に選挙区を譲ったわけではなく、二世議員の 弊害はない」「優秀な人材を探したら、たまたま息子だった。」 自分の息子が政治家として優秀な人材であるとはある意味ですごい発言ですね。「政治屋」にはそれな りの人もいますが、「政治家」となるとそんな優秀な人材がいるとは思われませんが。 ○ 「諫早湾の干拓工事は誰の許可でやっているんだ!」 と発言しましたが、実は自分が大臣時代に了承していました。 ○ 辛光洙(シン・ガンス)の無罪釈放を求める嘆願書の件に関しては、「深く考えずに署名した。」 3 北朝鮮の元工作員、シン・ガンス元死刑囚による原敕晁さんの拉致事件について、菅直人・千葉景子氏 らがシン・ガンス釈放嘆願署名・ 要望書に署名した事件です。 外国では自国民を拉致した元工作員の「助命嘆願」をして、国を売るような人が総理大臣(菅氏)にな ったり、法務大臣(千葉氏)になったりすることなど考えられません。「何でこんな人が」とびっくりし ますが、さらにびっくりするのが千葉景子氏です。インターネットを覗くと売国奴オンパレードで、学生 時代からの悪評は一読の価値があります。 ○ 「乾杯だとカンパイ(完敗)になりますから、カンショウ(完勝)と言いましょう。では、カンパ~イ!」 参議院選では、やっぱり「完敗」いや「菅敗」でしたね。 ○ 「無駄な公共事業削減が一番の景気対策。」 ところが、現実には公共事業の急激な削減で建設業の経営に打撃を与え、地域の経済や雇用、防災体制 の維持などに深刻な影響を与え始めていますが? ○ 「事業仕分けをやったから、これから景気がどんどん回復する。」 本当でしょうか? 刷新会議による「事業仕分け」は、新政権が日本経済の成長戦略として謳った、 ・「内需主導への転換」 ・「科学技術の促進」 ・「医療介護を雇用創出産業に育成」 といった国家ビジョンから離れ、政権担当者の能力不足から「コスト」と「投資」の区別が出来ず、本来 の「事業仕分け」とは異なる「削減目的の為のパフォーマンス」に陥っています。さらに、「仕分け人」 すなわち「評価者」の選任に際して、本来の目的に沿った人選がなされておらず、国民新党が指摘したよ うに市場原理主義を推進した有識者が選ばれています。この程度の偏ったレベルの議論で景気が回復する わけがありません。 ○ 「エコポイントとかソーラー発電で景気は回復する。」 エコ家電は消費電力が減ったことが売りですが、まだ使える製品を使い捨てにして買い替えを勧めるの は「エコ」ではありません。エコと逆行するような商売を奨励しながらエコといい、そのことを不思議に 思わない菅氏のいう「エコ」は「エコノミー」の「エコ」で、「エコロジー」の「エコ」ではありません。 この人は、何も判っていませんね。 ○ 「高速道路を無料化して、自動車税を1台につき 5 万円上げる。」 高速道路を無料化し、無料化の財源としては日本には現在約 7000 万台の車があり、1台に年 5 万円課 税すれば 3 兆 5000 億円になります。料金所も廃止できることなどを挙げましたが、全国の料金所で働い ている人達への配慮(次に仕事はあるのか)が完全に抜け落ちています。これに加えて、「子供手当て」 の財源は「扶養と配偶者控除」の廃止だそうで、これが実現して、消費税も 10%が実現した場合、史上空 前の大増税政権の誕生です。民主党は「やった後はどうなるか」など先の事は考えない小学校低学年の様 な頭脳集団です。 ○ 「いざとなったら米国債を売ればいい。」 売却先として最も可能性があるのは中国でしょう。日本とは違い中国は国家戦略上の一つの切り札とし て米国債を大量保有する考えです。でもアメリカは日本に売却を許さないでしょうね。本当に出来ると思 4 っているのでしょうか?口から出まかせとはこのことですね。 更に、菅政権は大韓航空機爆破の犯人「金賢姫元死刑囚」を 3 泊 4 日の日程で日本に招待しました。こ のテロリストを破格にもてなした日本政府のやり方に海外は呆れています。 政府は ・ チャータ機を飛ばし ・ 元首相の別荘を提供し ・ ヘリで東京上空を遊覧させ ・ 大臣主催の晩餐会に招待する など国賓扱いにしました。しかし、韓国マスコミは日本政府の歓待を冷ややかな目で眺めています。とい うのは、「爆破テロ」で犠牲になった乗客、乗務員 115 人の遺族の心情を思いやってのことです 菅政権は北朝鮮や日本人拉致問題について「北べったりのイメージ」を消すために金賢姫を招待したと 韓国では見ているようです。日本でもそのように見ていますが、元テロリストをVIP扱いで招待した菅 政権の対応で日本政府の「鼎の軽重」が問われているのですが、菅氏にはそれがよく判っていないようで す。 海外では「ホワイトハウスがビン・ラディンを招待したようなものだ」と日本政府の軽率なやり方を憫 笑しています。 民主党政権に欠けているのは ・ 実現のために何が必要か、 ・ 実現したら何が起こるか ・ 内容に矛盾はないか、 といった「練り上げる作業」が全くありません。 とまあ、「出てくる言葉」や「やっていること」の一つ一つが支離滅裂で話になりません。 閑話休題。 さて、鳩山氏辞表取りまとめの閣議後、前原国交相の「野党と 与党では見える世界が違った。野党の時は、選挙に勝つために出来るかできな いか判らない発言をしたり、約束してしまう。本当に政権を取ったときにやれ るかやれないのかをしっかり考えないと、結果として出来なければ国民に嘘を ついたことになる」。 呆れたことに、これが政権・与党 8 ヶ月半の「最大の教訓」だったというの ですから返す言葉もありません。 民主党は「官僚の協力など要らない、政府主導でやる」と言っていますが当 事者能力が殆どゼロで、その上、財源なきバラマキに奔走する政党ですから、 「白書」の提言のようにはいかないでしょう。 老齢者の労働は正に政治の問題です。「水は低きに流れる」、すなわち、「年 金貰ってのんびり余生」と考えている人達の就労促進が消費の活性化につなが 5 るという方向に流れるよう、道をつくるのが政治の役目です。ともかく、働き たい老齢者は沢山いますが、現在でも働いて消費が上向くような老齢者たちに とって良い仕事など見当たりません。さしあたって、我々も細々と目の前に転 がっている仕事に手を出す以外に方法はないようです。 したがって、内閣府から出している「経済財政白書」のせっかくの提言も民 主党政権を見ている限り、「夢のまた夢」、「絵に描いた餅」ということにな るでしょうね。 2010.7.25 6