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地域金融機関を取り巻く事業環境(各地域の産業構造)、 企業の抱える

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地域金融機関を取り巻く事業環境(各地域の産業構造)、 企業の抱える
地域金融機関を取り巻く事業環境(各地域の産業構造)、
企業の抱える経営課題及び地域金融機関の取組み
平成26年12月19日
沖縄総合事務局
問合せ先
沖縄総合事務局財務部金融監督課
TEL 098-866-0095
地域金融機関を取り巻く事業環境(各地域の産業構造)、企業の抱える経営課題
及び地域金融機関の取組み
1.沖縄県那覇市の産業構造及び主な特徴
― 沖縄県の産業中心地「那覇市」 ―




•
•
沖縄県の中枢拠点都市である「那覇市」の産業構造は、サービス業
が25.9%と最も高く、製造業は1%にも満たない。
県内市町村内の純生産に占める割合は32.3%と大きい。
従業員数では、卸・小売業が20.7%、次いで宿泊・飲食サービス業
が15.1%となっている。
市町村別事業所数では27.4%を占めている。
沖縄県の観光収入の県民総所得に占める割合は約10%と高い。
人口は2025年あたりまでは増加する見通しでポテンシャルは高い。
県民総所得に占める観光収入
及び軍関係受取の割合
昭和47年度 平成23年度
観光収入
軍関係受取
6 .5 %
9 .5 %
1 5 .5 %
4 .9 %
【資料:沖縄県)】
【資料:沖縄県市町村民所得、県民経済計算】
○新たな「国土のグランドデザイン」(国交省)によれば、
沖縄は、全国に比べ人口減少幅は小さく、人口増加
地点数割合は非常に高い。
【資料:経済センサス】
-1-
【資料:国立社会保障・人口問題研究所)】
人口増減率( 2 0 1 0 ―2 0 5 0 年)
沖縄
▲6%
全国
▲24%
【資料:国交省(新たな「国土のグランドデザイン」資料)】
 沖縄県の1人当たり県民所得水準は、全国の約7割程度で推移しているほか、給与水準も全国の77%前後の水準で推移。
 雇用状況では、人手不足の影響は一部の職種で深刻となっているが、未だミス・マッチがみられ、雇用環境の改善が課題。
 那覇市の観光の中心地である「国際通り」では、再開発の兆しがみられる。
那覇市の中心地、国際通りの再開発の兆し
① 海外資本の進出 →台湾大手企業によるホテル等の建設計画
② 業 界 再 編 →百貨店(沖縄三越)閉店及びリウボウHDによる
跡地利用計画 ⇒
REVICによる再生支援
③ 経営の多角化と県外資本の参加 →地元ビール会社及びJR九州ホテル
ズによる大型ホテルの建設計画
④ 地元企業による商店街の活性化 →映画館跡地再開発
③
【資料:厚労省「毎月勤労者統計」(年平均)】
【資料:沖縄県「県民経済計算」】
有効求人倍率(25年度平均)
職業全体
0 .49 倍
看護
1 .64 倍
建築・土木
・測量技術者
1 .58 倍
建設
0.69倍
接客・給仕
1 .37 倍
介護
0.97倍
事務的
0.27倍
販売
0.44倍
②
沖縄雇用環境の状況
人手不足の状況
・一部で深刻化
・低倍率の職種も
あり、ミス・マッチも
娯楽施設等複合施設が入居予定
完全失業率(25年) ⇒沖縄5.7%(全国4.0%)
有効求人倍率(25年)⇒沖縄0.53倍(全国0.93倍)
映画館跡地
現在コインパーキング
事業主
労働者
経営基盤の安定・向上
生活や将来への不安解消
・正社員への転換
・賃金上昇
・キャリアアップ充実
・人材の確保・定着
・安定した技能承継
・採用・教育コスト減
 生産性向上
 産業競争力上昇
 業務拡大・経営改善
好
循
環
実
現
④
・モチベーションUP
・帰属意識の上昇
・離職者の減少
映画館跡地
①
現在コインパーキング
【資料:沖縄労働局】
沖縄県経済の活性化、持続的発展
-2-
再開発後、屋台村・離
島マルシェが入居予定
2.地域中核企業の抱える経営課題・対応状況
対応状況
経営課題
成長が期待される「沖縄市場」における地元企業の全国的
な競争力の強化が共通する課題
観光関連
①「全国・海外からの人材確保」
②「海外拠点の構築」と「県外拠点の確立」
③旅行形態の変化への対応
④観光インフラの整備
⑤観光客の季節平準化
○「人材不足」対応については、人材不足を補う新た
な技術の開発による生産性向上や女性人材育成、就
労形態の多様化等を検討
○「競争力強化」対応については、成長分野への経営
多角化やグループ基盤の強化等による経営基盤強化
策を検討
金融機関への要望
○金融機関は、単に融資のみではなく、会社が抱え
ている課題や地域に対して、当事者として、主体的に
関与してもらいたい。
建設関連
①人手不足(職人・技術者)や原材料高によるコストアッ
プで収益圧迫
②好調な沖縄建設市場への県外からの進出等による競
争激化
③県内企業は資本ストックが小さく大きな変革への対応
が困難
小売関連
①有望視される「沖縄市場」における全国的な競争力の
強化
②人口減少・高齢化問題を見据えた長期投資計画(店
舗)の策定
③沖縄の高物流コストへの対応
④後継者問題及び付加価値の高い人材の育成と確保
-3-
○新たな事業展開を必要とする企業・業種に対して、
金融機関は、成長分野展開のための情報提供やM
&A、コンサル等の支援が必要。
○大型融資需要への地域金融機関全体での対応策
も求められる。
○金融機関は、有望プロジェクトやベンチャー的なも
のに対して、しっかり「目利き力」を発揮し、企業を育
ててもらいたい。
○沖縄は「観光」は先進県であると思うので、より専
門性を発揮して、金融機関がリーダーシップを取って
もらいたい。
3.地域金融機関の取組み
(1)金融機関に求められる役割の発揮状況 ①
各金融機関においては、目利き力の向上やコンサルティング機能の強化を課題と認識し、態勢整備に取り組んでいるもの
の、取組状況に対する現状認識・評価においては、利用者側はいまだ不十分であるとの認識をもっており、利用者側が求
める役割の発揮に向けて更に取組みを強化する必要がある。
金融機関の取組状況
利用者の意見(業務説明会、企業ヒアリング等)
(目利き力の向上、事業性評価の取組み)
【評価(課題・問題)、金融機関に求めること】
・経営診断機能を有する経営支援システムを活用し、内外環境分析
から顧客のライフステージを見極める目利き力を養成するとともに、
経営課題を可視化することで顧客と共有。
・農業経営アドバイザー、医療経営士、動産評価アドバイザーの資格
取得により事業性に対する目利き能力を強化。
・ABLの取組強化のため、専担チームを組成し、部・課間の連携や研
修体制を整備。また、店舗ごとにABLの取組目標を設定、実際に提案
し実務的なノウハウを積むことで目利き力の向上を促進。
・顧客の独自技術や特異業種に対し、実態調査を踏まえた技術力評
価・事業評価による融資を実行。
・海外展開支援に係る人材育成のため、海外トレーニー等へ職員を
派遣。
・企業の財務状況について常時把握されていないような事例、担保保
全優先の事例が見受けられる。
・優良企業に対する貸し過ぎの事例が見られ、金融機関の顧客視点に
疑問をもっている。
・金融機関も営利企業であるため、常に営業目標に追い立てられ、貸
せるところに貸したい本音がみえ、企業の経営課題の認識が二の次に
なっている。
・担保だけでなく、経営者の資質や経営理念、事業の将来性等に対す
る目利き力を高め、事業性を重視した融資を実施するなど、適切にコン
サルティング機能を発揮してほしい。
・有望なプロジェクトやベンチャー的なものに対し適切に目利き力を発
揮して、企業を育成してもらいたい。より専門性を発揮してリーダーシッ
プを取ってもらいたい。
(外部機関等との連携・活用)
・トップライン支援強化等のため、中小企業基盤整備機構、よろず支
援拠点、ミラサポの活用を促進。
・ミラサポや中小企業再生支援協議会等の外部機関を活用した経営
改善支援の実施、中小企業庁の「中小企業のシニア人材確保・定着
支援事業」を活用した「新現役・専門家個別面談会」の開催。
・事業者の事業計画作成を支援機関へ委ねる意識が強い事例がみら
れる。
・金融機関は事業計画・改善計画等を企業と一緒に作成する能力を自
ら更に高めたうえで、外部機関や他の金融機関との連携をより密にす
る必要がある。
-4-
(1)金融機関に求められる役割の発揮状況 ②
金融機関の取組状況
利用者の意見(業務説明会、企業ヒアリング等)
【評価(課題・問題)、金融機関に求めること】
(地域の成長分野や地元経済活性化・面的再生へ向けた支援)
・行員の人事異動サイクルが短くなり、企業との密着性の希薄さが出
てきている。
・経営改善計画等の策定や支援協議会との連携は大口先が中心で、
小口の中小企業者にはみられない。
・業界情報、業種別情報等の提供がほとんどない。
・生保・投信販売等の手数料商売に質・量ともに人手がとられ、顧客
ニーズをつかめていない状況。
・地域資源を活かした独自商品の開発や独自産業の育成に取り組ん
でもらいたい。
・取引先のもつ多様性を活かしたマッチングによる支援策を期待したい。
・県の創業率は全国的に高く、創業・起業等を積極的に支援してほしい。
・事業承継や海外展開等の専門家の配置・育成を要望。
・企業が成長する一定の段階まではメイン先の奪い合いを控える等、
金融機関全体の連携・サポート体制の構築が必要。
・単に融資のみではなく、会社が抱えている課題や地域に対して、当事
者として、主体的に関与してもらいたい。
・営業推進部内に専担グループを設置し、専門性の高い分野等に対
しスピード感のある貸出推進態勢を整備。
・医療専担チームを設置し、医療分野に特化したセミナーの開催や医
療経営士による営業活動を強化。
・医師会・看護師協会との連携により開業医等への取組みを強化、医
療機関向けセミナーや個別勉強会の開催。
・沖縄の味力発信商談会、沖縄大交易会のほか、ビジネス交流会な
どのビジネスマッチングの取組みを強化。
・事業承継、M&A及び相続対策支援の専門チームの組成、「後継者
塾」の継続開催により事業承継等サポート体制を構築。
・若手経営者・承継者を対象に若手経営塾を立ち上げ、定期的に勉
強会を開催。
【今後の課題】
・地域における顧客ニーズの正確な把握
・顧客のライフステージ(創業~成長~再生~承継)に応じた的確な課題分析・支援策の提供
・事業性を重視する融資審査態勢の確立
・専門性や目利き力向上のための更なる人材育成・人材確保の充実・強化
-5-
顧客目線での金融仲介機能・
コンサルティング機能の発揮
(2)ビジネスモデルの構築に向けた取組状況
県内総人口や世帯数は2025年までの間で今後も増加することが推計されており、「沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)」(2012~
2021年度)においても、計画最終年度に名目県内総生産38%増、就業者数11%増を社会経済展望値として位置づけるなど、成長に向けての各
種施策が推進されている。
こうした中、各金融機関においては、県内資金需要へのしっかりとした対応を柱に、地域密着型金融の更なる強化や地域経済活性化に向け
た積極的な支援など、地域とともに成長を享受できるビジネスモデルの構築に向けて取り組んでいる。
金融機関の主な取組み
金融機関の経済・企業課題認識
・沖縄の高いポテンシャルを引き出し、中長期的に地域とともに自らも成長するビジネス
モデルの再構築
・今後の成長が見込まれる医療・介護分野や農業の6次産業化に向けた取組強化
・県内人口・世帯数増加を背景とした住宅ローン・アパートローンの積極的推進、リテール
部門強化
・企業社長の高齢化・後継者不在に伴うM&A・事業承継支援の取組強化
・沖縄大交易会や沖縄国際航空ハブ活用推進事業等を通じた企業の販路拡大・海外展開
支援
・外部機関との連携による専門的なサービスの提供
・訪問営業から提案型営業への転換、専門人材育成や外部専門家との連携による営業力
強化
・地域とともに発展する健全な経営に向けたビジネスモデルの再策定
-6-
【成長が見込まれる分野】
・総人口の増加を背景に、医療・介護分野への
社会的ニーズは今後も増加が見込まれる。
・企業立地によりIT産業の雇用者増が顕著
・観光業も入域観光客数は増加が続いている。
【主要産業の課題等】
(観光業)
・外国人観光客の受入体制の構築
・人手不足、正社員拡大等の長期安定人材確保
・県外資本等との競争激化、リピーターの確保
・特徴のある商品開発、サービス品質の向上に
よる収益率の改善
(建設業)
・人手・機材不足、派遣雇用や機材リース契約の
長期対応、受注増に向けた設備投資の検討
・若年者雇用、若手職人の養成
・人件費や原材料・リース料高騰へのコスト抑制
・新たな販売手法の確立等による収益力の強化
(小売業)
・県外資本の進出、他業種参入等に対し、イベン
ト開催等による来店客確保・顧客の囲込み
・利益重視の価格戦略の展開、価格転嫁の検討
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