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歳入法上の外貨建て取引の換算ルール(2005年10月)
タ イ 2005 年 10 月 1.歳入法上の外貨建て取引の換算ルール (法律名) 歳入法第 9 条、第 65BIS(5)、第 65 条 BIS(8)および第 79/4 条に基づく、外貨からタイバーツへの換算 に関する歳入局施行規則 NO.POR.132/2548 ORDER OF REVENUE DEPARTMENT NO.POR.132/2548 RE: CONVERSION OF A FOREIGN CURRENCY INTO THAI CURRENCY UNDER SECTION 9, SECTION 65 BIS (5), SECTION 65 BIS (8), AND SECTION 79/4 OF THE REVENUE CODE. (法令の趣旨) 歳入法典上の税金である個人所得税、法人税、付加価値税、特定事業税および印紙税に関して、外貨 から邦貨(タイバーツ)への換算ルールを総括し、例を挙げて解説したのが、上記法令である。 (改正の背景) 期末における外貨建て資産・負債および外貨建て取引のバーツへの換算について、以下を原因として、 適用する為替レートに関して実務上多くの誤解が生じていた。 ① 法人税および付加価値税については、一部換算ルールが規定されているが、その他の換算につい ては、歳入法典本法に規定が無く、財務省令で基本ルールに従うことになっている。しかしながら、 歳入法典本法の規定を具体的にどのように適用するのか、また財務省令をどのような取引に適用す るのかについて、解釈が錯綜していた。 ② 中央銀行は、現在、その日の商業銀行の為替レートの平均値を翌日に参考レートとして公表してい るが、「中央銀行のレートを使用する」という意味が、その日に公表される参考レートを使用するのか、 翌日に発表される参考レートを使用するのかについて誤解が生じていた。 ③ 歳入局が刊行する月刊誌において納税者に知らせている換算レートとして、SIGHT BILL レートと TT レートがあるが、それらをどのように選択するかについては、何ら説明がなかった。 これまでに存在した実務上の混乱を是正するため、今回の法令は、歳入法上の換算ルールを例を挙げ て総合的に解説している。 (日系企業への影響) これまでの換算ルールが変更されたわけではなく、具体的な解説が加えられたのみであるため、日系企 業への大きな影響は特にない。ただし、今回の法令の中で、「タックスインボイスを発行した後の為替の 変動が、デビットノート・クレジットノートの発行事由ではない」と説明しており、これまで為替の変動に伴う 代金の修正とともに付加価値税(VAT)を修正していた会社(特に商社)に是正を求めている。 多くの商社は、取引後(タックスインボイス発行後)に為替の変動が生じた場合、その損益を顧客に還元 するため、過去のタックスインボイスに記載された代価を修正するとともに、それに対応する VAT を修正 1 している。しかし、今回の法令は、「為替の変動を理由に VAT を修正してはならない」と解説している。 歳入法典上の換算ルールの概要 法人税の換算ルール ① 会計期末現在で保有する外貨建て資産は、中央銀行が公表するその日の商業銀行平均買いレー ト、外貨建て負債は、中央銀行が公表するその日の商業銀行平均売りレートを適用する。 ② 期中における外貨建て取引のタイバーツへの換算は、取引日における財務省令で示されるルール に従う。 VAT の換算ルール ① 物品販売またはサービスの提供を行った月において外貨を受領し、それをタイバーツに両替した場 合には、当該両替によって取得したタイバーツをバーツ建て代価とする。 ② 物品の輸入に関しては、関税局が関税の計算に適用する換算レートをそのまま適用する。 ③ その他の外貨からタイバーツへの換算は、財務省令で示されるルールに従う。 財務省令で示されるルール ① 源泉税、特定事業税、印紙税、外貨建てのタックスインボイス、非居住者への送金に課される VAT に関しては、このルールを適用する。 ② 換算にあたって、商業銀行が発表する為替レートまたはタイ国中央銀行が発表する商業銀行平均 レートのいずれかを選択適用できるが、いったんいずれかを選択したら、その後は、それを継続適 用しなければならない。 ③ 商業銀行が発表する為替レート、タイ国中央銀行が発表する商業銀行平均レート、いずれも、その 日に発表されたレートを使用することを原則とする。 今回の法令で明確にされた点 ① タイ国中央銀行は、各月の最終労働日において、その日の終業時における商業銀行平均レートを 発表している。発表後のその日の取引については、そのレートを適用する。規定されていないが、 期末日現在の外貨建て資産・負債の換算もこのレートを適用すべきである。 ② 換算で適用するタイ国中央銀行の平均買いレートは、SIGHT BILL レートでも TT レートでもどちら でも認められる。 ③ タックスインボイス発行日以後に生ずる為替の変動を理由にして、過去のタックスインボイスの VAT を修正してはならない。 以上 2