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性的マイノリティーと法
キーワード 民法 家族法 研究テーマ ワタナベ ヤスヒコ 渡邉 泰彦 法務研究科・教授 博士(法学)/同志社大学 主な研究業績 「ヨーロッパにおける同性カップル の法的保護」東北学院大学論集法 律学63号 (2004) 「同性カップルと親子関係 – ヨー ロッパの状況をめぐって」東北学院 大学論集法律学63号 (2004) 「同性カップルの法的保護」水野紀 子編 『ジェンダー法・政策研究叢書 第6巻 家族 – ジェンダーと自由と 法』東北大学出版会(2006) 「ドイツ生活パートナーシップ法の 概観(1)(2・完)」東北学院法学65号、 66号(2006、2007) 「憲法と婚姻 - 性同一性障害者の 性別変更要件をもとに-」同志社法 学332号Ⅰ(2009) 「同性パートナーシップの法的課 題と立法モデル」家族<社会と法> No. 27(2011) 「性別変更の要件の見直し—性別 適合手術と生殖能力について」産大 法学45巻1号(2011) 「ミニシンポジウム 同性婚」 比較 法研究74号(2012) 概 要 2004年から日本でも、性同一性障がいの当事者が、戸籍上の性別を変 更することができるようになった。性同一性障がいを含む性的マイノリ ティーを意味するLGBTという用語は、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・ トランスセクシュアルを含んでいる。 LGBTに関わる法律の問題は、新たに生じたのではなく、ようやく法的な 問題点について議論できる状況となってきた。生物学的な男女間を中心 に考えられてきた家族には収まりきらない共同生活として、性同一性障が いの当事者を含む家族、同性カップルによる家族をどのように扱うのかが 問われている。 性同一性障がいの問題と同性カップルの問題について議論がなされ、 取り組んできているヨーロッパ諸国の状況を参考に、日本における性的マ イノリティーの法的問題を考えていく。 これらの問題について、特殊性を強調する問いの立て方が正しいともい えない。従来の婚姻や親子、性別の理解に大きな影響を与える、より一般 的な問題と捉えることができる。 例えば、1990年代よりヨーロッパ諸国において進められてきた同性パー トナーシップ制度の立法とその議論をこれまで採り上げてきた。そこでは、 婚姻が男女間であることの意義、婚姻と同様の効果を有する制度が併存 する際の婚姻の存在理由、縁組において父母が男女であることの必然性 など、これまでになかった問題設定を生み出している。それは、性的マイ ノリティーを対象とする例外事例として片付けることはできない問いかけを 含んでいる。 応用分野 社会学