スクラム - 早稲田大学

スクラム
ＳＣＲＵＭ
1K05B030
指導教員
主査 太田章先生
筆 者 は高 校 生 の頃 からラグビーを始 め、大 学
内田 雄介
副査 間野義之先生
しまったのかを見 極 めるポイントとして両 プロップ
の部 活 動 でも最 前 列 の フロントロー でスクラムを
が構えた時 の膝や肘の位置、ヒット後の立ち位 置、
組 んできた。その中で「ラグビーはスクラムだ」とい
足の位 置 、他のプレイヤーが邪 魔をしていないか
う言葉を何度も耳にし大切にしてきた。事実スクラ
等 があった。スクラムコラプシングは相 手 に押 され
ムが勝っているときには常に試合を有利に展開で
ないための一 つの駆 け引 きであると認 識 されてい
き、反 対 に負 けている時 は不 利 な展 開 となった。
ると述 べる。第 三 章 ではタイトヘッドプロップに焦
しかし、筆 者 は大 学 に入 り四 回 目 になったシーズ
点 を絞 り、どのようにすればスクラムを押 すことが
ン、この聞 きすぎてきた言 葉 をいつのまにかない
出 来 るのか、エンゲージの瞬 間 どこに注 意 しなが
がしろにしてしまっていた。春 に慶 応 戦 で負 け、
らヒットしているのか、相 手 の１番 とはスクラムの中
夏 にはフランス戦 で負 け、秋 には大 学 ラグビー対
でどういった駆 け引 きがあるのかなどといったこと
抗 戦 で５４連 勝 目 となるはずだった帝 京 に負 けて
をインタビューを交 えながら分 析 した。結 論 として
しまった。そして、これらの全 ての試 合 のスクラム
は相 手 のルースヘッドプロップに懐 に入 られない
は圧 倒的 に早 稲 田 不 利 のスクラムになっていた。
ことが重 要 であった。そのための技 術 として膝 を
特 に筆 者 も途 中 出 場 した対 フランス大 学 選 抜 の
落として胸を張る、アングルを内向きに変える、頭
スクラムは燦 々たるものだった。試 合 後 のインタビ
突 き、インパックなどを紹 介 する。第 四 章 ではル
ューでフランスチームのキャプテンが「僕 らにはス
ースヘッドプロップがどうすれば相手 を押し、一番
クラムの哲 学 がある」と語 っていた。ならば筆 者 の
側 から押 し込 んでスクラムを崩 すことが出 来 るの
スクラム哲 学 とは何 であろうか。そもそもスクラムと
か、ヒットの瞬 間 どこに注 意 しているのか、相 手 と
はどのようなものであるか、どうすれば強いスクラム
はスクラムの中でどういった駆け引きがあるのかな
が組 めるのかを明 確 にする必 要 があると考 えた。
どといったことを解 析 した。結 論 としてはルースヘ
第 一 章 では導 入 として様 々なスクラムを見 ていく
ッドプロップが相 手 スクラムに組 み勝 つポイントと
ことでスクラムについて深 く理 解 し、どのようにす
して最 も大 切 なことは相 手 の懐 に入 ることであっ
れば強 いスクラムが組 めるのであろうかということ
た。そのためには相 手 との間 に隙 間 を作 り肩 をも
について書 いた。そのためにはコラプシング・１番
ぐりこませる方 法 を紹 介 した。不 安 定 である左 肩
側・３番 側 といった三つの視 点 からスクラムを見 て
をいかに有 効 に使 うかがポイントであった。これら
いく。第 二 章 ではスクラムコラプシングについてな
の技 術 は 様 々な世 界 中 のフロント ロ ーが相 手 を
ぜ崩 れるのかについて焦 点 を絞 りこんだ。コラプ
打 ち負 かすためにルールの隙 間 を縫 いながらあ
シングはただ単 に崩 れているわけではなくその中
み出 してきたものである。試 合 に勝 ったとしてもス
では様 々な駆 け引 きが行 われていた。意 図 的 に
クラムが勝てなければチーム全体の雰囲気が悪く
スクラムを崩 す行 為 も時 には必 要 であった。意 図
なる。スクラムにはラグビーとはまた別 の勝 負 が秘
的 な反 則 なのか力 が拮 抗 して仕 方 がなく崩 れて
められている。しかし、スクラムを最 前 列 で組 んで
いるプロップにはこれほど多 くのテクニックや駆 け
むべきかわからないフロントローの選手はどこにで
引 きの手 段 があるにもかかわらず多 くが反 則 であ
もいる。その ような選 手 のためにもこの研 究 で提
るためにこれらの技 術 は決 して表 には出 てこない。
示 したスクラムの技 術 や考 え方 を多 くの人 が知 る
最先 端の環 境でラグビーをしているものの間で口
べきであると考える。
頭 でしか伝 わらないのである。やる気 もあり、強 い
足 腰 もあり、体 力 もあるがどのようにスクラムを組