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第6学年 人権学習指導案 - 大分県教育委員会 学校ホームページ

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第6学年 人権学習指導案 - 大分県教育委員会 学校ホームページ
第6学年
人権学習指導案
指導者
1.主題名
迷信のおかしさがわかった小太郎
2.資料名
木曽の小太郎
出典
新納
敦子
「あけぼの」長野県同和教育推進協議会(出版当時)
3.ねらい
小太郎がどんなことを考えて「きつねつき」が迷信であることを話して回ったのかを,
迷信によって結婚を反対されていた小太郎の苦しみと迷信のおかしさに気づいた小太郎の
気持ちに目を向けて考えることを通して,迷信のおかしさやおかしいことを変えるための
行動の大切さに気づくことができる。
4.主題設定の理由
(1)子どもについて
何事にも真面目にとりくむ子どもたちで,最高学年となり,委員会やたてわり班活動などで意
欲的に活動する姿が見られている。
学級の中では,遊びや話題などの好みに違いはあるものの,誰とでも一緒に学習したり活動し
たりすることができる。ただ,相手のことを思ってか自分に自信がないのか,意見が違うのに自
分の考えを言わないまま合わせてしまうということもある。授業中は自分から手を挙げて発言す
る子は尐ない。ワークシートには自分の思いをすらすらと書くことができ,指名すれば発言でき
るが,誰かが言ってくれるのを待っていることが多い。友だちの意見を聞くことはできる。
昨年度,いくつかの人権教材を扱って学習した。「ほんとの気持ちを」では,傍観者的立場の
人も友だちにつらい思いをさせていることを学習し,尐しずつであるが言い過ぎた友だちに注意
する姿などが見られるようになってきた。部落解放学習では,「ふみきりむこう」「おれはかきを
とってないぞ」の教材を扱い,言われなき差別について学習した。「生まれたところで差別する
のはおかしい。」「平一たちはかわいそう。」という感想は多く出されたが,不当な差別に対する
いかりや憤りまではとらえきれていない。
A児は,決まった答えなど自信があるときは発言することができるが,自分の考えや思いを語
るということはあまりない。友だちの発言などに影響を受けやすく,すぐに信じてしまうところ
がある。今回の学習をきっかけに,真実を確かめ,自分で判断して行動することの大切さに気づ
いてほしいと考える。
(2)教材について
わけのわからないことで両親や友だちから結婚を反対された小太郎が,おしょうさんの話を聞
いて,本当のことをみんなに知らせていったことで迷信がだんだんと尐なくなっていった。
「うわ
さや迷信による不条理な差別」や「真実を明らかにしていくことによって,その差別がだんだん
と薄くなっていくことにつながった」ことを捉えることができる教材である。
小太郎も初めは「きつねつき」が何のことかわからず,かおるとの結婚を反対する両親や友だ
ちを説得することができなかった。そのもどかしさに苦しんでいた小太郎が,おしょうさんの話
を聞いてそれまでのもやもやがすっかり晴れたという場面では,本当のことがわかった喜びが 表
されている。そして,本当のことを粘り強く話していったことで,かおるとの結婚が許され,
「き
つねつき」の迷信自体も尐なくなっていったというところに,小太郎の行動力のすごさを感じる
ことができると思われる。
友だちの発言に安心してしまったり,自分の考えをもっていてもなかなか表現できなかったり
する子どもたちが,自分自身を見直すのにこの教材は適しており,また,うわさや迷信を信じて
しまいがちな自分の姿と重ね合わせることができる。そして,本当のことをみんなに伝えなくて
はいけないと思った小太郎の心情を読みとることにより,それまでの自分自身をふり返り,いろ
いろな状況や意見に流されることなく,正しいと思うことを自分自身が判断し,行動する気持ち
をもつきっかけとなる教材である。
また,うわさ・迷信・親からの言い伝え(正しいことを知らない)など,今も部落差別がなく
ならない原因と共通した内容であり,今後部落差別の歴史認識や現在も残る差別の現実を学ぶ学
習へと発展していくのに適した教材であると考える。
A児にとって,本当のことがわからずに苦しむ小太郎の姿や,真実を伝えていこうとする小太
郎の行動力について考えることは,これまでの自分をふり返るよいきっかけになると思われる。
(3)指導について
長い文章で,難しい言葉も多い(迷信,ねたむ,とりつかれる
など)ので,言葉の意味を説
明したり,人間関係を押さえたりしながら読んでいく必要がある。そこで,2時間扱いとする。
結婚差別という辛さや憤りは6年生の子どもたちにとっては実感がわきにくいと思われるが, 自
分の人生にとって大事な時に家族や友だちからも反対されるということを想像させたり,村人た
ちが「小太郎を見習えや。」と言ってほめていたのに,かおるとのうわさが広まるとあいさつさえ
もしなくなったという変わりようを押さえたりして,小太郎の苦しみに共感できるようにしたい。
子どもたちは,主人公の小太郎に共感し,
「なぜ反対されるのか。」
「悲しい。」
「あきらめるしか
ないのか。」
「本当のことがわからない。」と小太郎が仕事まで休むようになった気持ちを想像し発
言すると思われる。ここで,小太郎の「苦しみ」とは,結婚に反対されることだけでなく,自分
自身が本当のことを知らないことであることも押さえておく。
小太郎への自分の思いをもったところで,おしょうさんから本当のことを聞いた小太郎が,そ
の話をみんなに伝えようとした部分に視点をあて,
『小太郎はどんなことを考えて,
「きつねつき」
が迷信だということを話して回ったのだろう。』と課題を設定する。
子どもたちは,「どうしてもかおると結婚したい・みんなに認めてもらいたい」「本当のことを
みんなに伝えたい・迷信にふりまわされるのはおろかだと伝えたい」と大きく二通りの考えをも
つと思われる。そこで,各々の考えの背景を聞いていき,その違いが分かるように板書する。そ
の際,どの子も自分の考えがもて,発表できるように,ワークシートを活用したい。ここで「お
かしいことは変えたい」という考えが出た場合は,さらに詳しく聞き,
「ただ自分たちの結婚が認
められさえすればよいという思いだけではなかったのかもしれない」と話を広げていく。
子どもたちの考えが「かおるとの結婚を認めてもらいたい」
「迷信はおかしい」という意見に集
中すると思われるので,教材の価値により迫るために,
「話して回ったのは,かおるとの結婚を認
めてもらいたかったからだけか」と深める問いを返す。そうすることで,こんなことが続くこと
は許せない,迷信にふり回されている村の人たちに本当のことを伝えたいという小太郎の思いに
気づかせたい。また根拠のないうわさや迷信によって傷つくのは,差別される側のかおるだけで
なく,真実を知らず苦しんだ小太郎であり,迷信にふり回されている周りの人たちでもあるとい
うことに触れ,小太郎の「真実を知りたい」という思いが行動につながったことで,差別が薄く
なり今後同じようなことで苦しむ人がいなくなるきっかけとなったのではないか という考えの深
まりを期待する。
A児は,迷信にふり回されるのはよくないということに気づくと思われるが,自分も人も大切
にするには,それを行動に起こすことが必要であることにまで目を向けられるようにしたい。ワ
ークシートに書く活動の中で机間指導し,自信を持って思いを言えるように発言を促したい。ま
た,学習の終わりには,自分の行動の前には,結局自分自身の判断があり,本当に自分で正しい
と思った行動がとれることが大事なのだということに気づいてもらいたい。
5.指導計画(全2時間)
○資料を読み,難しい語句について確認する。
第1時
○大事だと思うところ,みんなと考えてみたいところなどに線を引き,感想を
書く。
○小太郎の苦しみに共感する。
第2時(本時)
○小太郎の苦しみに十分共感したうえで,真実を知った小太郎の心情に迫る。
○本当のことを知り,伝えていくことの大切さに気づく。
6.展開
○授業仮説
小太郎の心情の変化に着目し,深める場面において,行動を起こしたときの気持ちに迫る
課題や深める問いを設定すれば,小太郎の行動力により迷信が減っていった(行動を起こす
ことで,現状は変えられる)ということに気づくことができるであろう。
過程
学習活動
支援及び留意点
時間
評価
≪前時≫
○わからない言葉に波線を引きながら範読を聞くよう促す。
範読後感想を書く。その際,大事だと思うところやみんな
と考えたいところなどに線を引くようにする。
○キーワードをはりながら,話の内容をとらえさせる。
○小太郎が結婚を反対され苦しむ理由を探り,小太郎の気持
ちに共感させていく。
(仕事まで休むようになるほど) 小太郎は何に苦しんだのか
≪予想される反応≫
【結婚に反対されたことに】
・かおると結婚したいのに反対された
・両親やなかよしの五平からも反対された
・村人がだまった,あいさつさえもしなくなった
・
「きつねつき」というわけのわからないことで反対された
【本当のことがわからないことに】
・「きつねつき」ってなんだかわからない
・きつねに「とりつかれる」ってどういうことかわからな
い
○かおると結婚したいのに,両親・五平・村人から「結婚を
反対されたこと」への苦しみや,自分が「本当のことを知ら
苦しむ小太
ないこと」に対しての苦しみなどに分けながら板書する。
郎の気持ち
○はたらき者の小太郎が仕事まで休むようになったショック
に共感でき
の大きさに共感させる。
たか
1.前時の学習を
5
ふり返る。
○前時の学習をキーワードでふり返る。特に小太郎の苦しみ
については,しっかりと黒板に位置づける。
で
○苦しむ小太郎の気持ちに共感できたところで,おしょうさ
あ
んの話を聞いた小太郎がおどり上がって喜んだ場面で,苦
う
しみからの変化を押さえておく。しかしなおも両親に「そ
う簡単にはいかない」と言われ,きつねつきが迷信である
ことをみんなに話して回ったところに目を向け課題を位置
づける。
2.小太郎が「き
20
つねつき」は
小太郎は,どんなことを考えて「きつねつき」が
めいしんであることを話して回ったのだろう。
み
迷信であるこ
≪予想される反応≫
つ
とを話して回
【結婚を認めてほしい】
め
った時の気持
・かおると結婚したい
る
ちを探る。
・両親に許してもらいたい
・このままではかおるを安心させられない
・反対する理由にならない
【迷信はおかしい】
・迷信はおかしい
・迷信(よくわからないこと)を信じるのはおかしい
・迷信にふり回されることはおろかなことだ
・迷信にふり回されている人たちに本当のことを伝えたい
○自分なりの考えをワークシートに書いていく際に,机
間観察し,子どもの考えをとらえておく。
*A児は,書き始めるまでに時間がかかったり,何度も書き
直したりすることが予想されるので,例えば「『きつねつき』
はめいしんだったんだよ。」という言葉の続きを考えたり,
村の人たちに何と言いたいと思うかを考えたりするよう声
をかけ,書いたことを発表するよう促す。
○考えの根拠となる文章事実や読み取った心情も合わせて発
表していき,考えの背景をつかむ。
○結婚を認めてほしい・迷信はおかしいということに分け,
違いがわかるように板書する。
自分なりの
言葉で,小太
郎の気持ち
○ここで,おかしいことは変えたいという考えが出た場合は, を表現する
思いを詳しく聞き,ただ自分たちの結婚がみとめられればよ ことができ
いという思いだけではないことに広げていく。
○かおるとの結婚についての意見が多いことが予想されるの
深
3.小太郎の思い
10
め
を深く考え
小太郎が話して回ったのは,かおるとの結婚を認めても
る
る。
らいたかったからだけか
で,考えを広げられるように深める問いを位置づける。
≪予想される反応≫
【そうだ】
・こんなことで反対されるのはおかしい
たか
・これで結婚できるだろう
・わかってくれるだろう
・許してくれるだろう
【それだけではない】
・迷信にふり回されるなんておかしい
・こんなことが続くことは許せない
・おかしいことは変えなければ
○真実を知った小太郎が話して回ったから,村人たちの心に
あった「きつねつき」のめいしんが尐なくなったということ
を押さえる。
○正しいことを知ろうとし,みんなに伝えるという行動を起
行動が人の
こした小太郎の行動力によって,村人たちの考えが変わり, 気持ちを変
だんだんとうわさが消えていったということを押さえて学
えることが
習のまとめに入る。
できること
小太郎の
めいしんはおかしい
おかしいことは変えたい
に気づくこ
という思いが伝わ
ったということをまとめとして板書する。
い
4.学習をふり返
10
か
り,感想を書
を書かせる。うわさや迷信についての考えも書くように促
す
く。
す。
とができた
か
○学習をふり返り,ワークシートに感じたことや考えたこと
※A児には,小太郎が本当のことを知ろうとしたところと本
当のことを知って伝えようとしたところに目を向けさせた
い。
〖めざす子どもの姿・反応〗
・小太郎が,本当のことがわかってもやもやが晴れたとい
うことがわかった。
・本当のことを知る,本当のことを伝えることは大切だと
思う。
・迷信は本当のことではないので,それを信じたり,それ
にふり回されたりすることはおかしいと思った。
・うわさや迷信を信じて人を傷つけてしまうことがあるこ
とがわかった。
・真実を知った小太郎が話して回ったことで村人たちの考
えを変わり,うわさが消えていったというところがすご
いと思った。
学習での新
たな気づき
を,感想とし
て書くこと
ができたか
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