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紫外光により誘導された皮膚

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紫外光により誘導された皮膚
JP 2008-539261 A 2008.11.13
(57)【要約】
イソチオシアネートの投与は、紫外光により誘導された皮膚発がんから保護する。特に
、紫外線への暴露後のイソチオシアネートスルフォラファンの局所投与または食事投与は
、皮膚腫瘍形成に対して有効な保護を提供する。スルフォラファン類似体およびグルコシ
ノレートも使用することができる。紫外光により誘導された皮膚発がんを抑制するために
有用なローションも提供される。
(2)
JP 2008-539261 A 2008.11.13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光に暴露された患者に治療有効量のスルフォラファンまたはスルフォラファン類似
体を投与することを含む、患者において紫外光により誘導された皮膚発がんを抑制する方
法。
【請求項2】
スルフォラファンを経皮的に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スルフォラファンがブロッコリー新芽に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
10
スルフォラファン類似体が、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノン、エキソ−2−ア
セチル−6−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−イソチオシアナト−6−メチ
ルスルホニルノルボルナン、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノール、1−イソチオシ
アナト−4−ジメチルホスホニルブタン、エキソ−2−(1’−ヒドロキシエチル)−5
−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−アセチル−5−イソチオシアナトノルボ
ルナン、1−イソチオシアナト−5−メチルスルホニルペンタン、シス−3−(メチルス
ルホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアネートおよびトランス−3−(メチルスル
ホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアネートからなる群より選択される、請求項1
に記載の方法。
【請求項5】
20
紫外光に暴露された患者に治療有効量のイソチオシアネートを投与することを含む、患
者において紫外光により誘導された皮膚発がんを抑制する方法。
【請求項6】
紫外光に暴露された患者に治療有効量のグルコシノレートを投与することを含む、患者
において紫外光により誘導された皮膚発がんを抑制する方法。
【請求項7】
治療有効量のイソチオシアネートを含む、患者において紫外光により誘導された皮膚発
がんを抑制する際の使用のためのローション。
【請求項8】
治療有効量のグルコシノレートを含む、患者において紫外光により誘導された皮膚発が
30
んを抑制する際の使用のためのローション。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
皮膚がんの発生率は着実に上昇しつつあり、蔓延している。新たな皮膚がん診断の平均
上昇率は1960年代以降年間3∼8%であり、非黒色腫皮膚がんは、現在米国で最も一
般的な種類のがんであって、新規症例は年間100万例を超える(1,2)。この発生率
の着実な上昇は継続すると予想されており、主として成層圏のオゾンの減少、ヒトの日光
照射への暴露の上昇、及びより長い平均寿命によるものである。国立癌研究所の評価によ
れば、65歳まで生存するアメリカ人の40∼50%が少なくとも1回皮膚癌を発症し、
40
更なる腫瘍を発現する危険度が高い(1,2)。したがって、潜在的危険因子についての
詳細な知識と予防のための新しい戦略の開発が緊急に求められる。
【0002】
紫外線照射が大部分の非黒色腫皮膚がんの原因である主要因子であることは、現在広く
受け入れられている。紫外線はおそらく最も遍在的な環境発がん物質であり、非黒色腫皮
膚がんに寄与する主要因子である。紫外線への暴露による少なくとも3つの異なる作用、
すなわち、(i)DNA光産物、たとえばシクロブタン−ピリミジン二量体およびピリミ
ジン−ピリミドン生成物の形成をもたらす直接的なDNA損傷(37);(ii)反応性
酸素中間体(ROI)の形成から生じる酸化的ストレス関連のDNA損傷(39);およ
び(iii)遺伝的不安定性に対する寛容を惹起する免疫抑制(40)、が皮膚における
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(3)
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発がん過程の一因となる。がん原遺伝子(ras)ならびに腫瘍抑制遺伝子(p53およ
びPTCH)内の突然変異が、ヒト皮膚がん試料において検出された(41,42)。p
53内の点突然変異は、皮膚腫瘍の発生を含む多くの形態の発がんにおける初期事象であ
ると信じられている(1,38,41)。そのような突然変異を有する細胞は、遺伝的不
安定性を示すクローンを生じることができ、クローン的な増殖後、最終的にがんへと進行
する。
【0003】
皮膚がんの予防は、任意の化学的初発因子または発がん補助物質の不在下で様々な化学
的発がん物質を含む多くの動物モデルにおいて明らかにされている。直接の抗酸化活性、
アポトーシスの変化および細胞シグナル伝達経路が予防薬の阻害作用の機序に関係付けら
10
れてきた。30年近く前に、主として抗酸化剤とみなされる一部の薬剤、たとえばブチル
化ヒドロキシトルエン(BHT)が、マウスにおいて紫外線誘導の紅斑および腫瘍発現を
有意に阻害することが示された(5,6)。予防薬のスペクトルは、セレン、亜鉛、なら
びに植物抗酸化剤、たとえばマリアアザミからのシリマリン、ダイズからのイソフラボン
、茶からのポリフェノールを含むように徐々に拡大されており、それらの局所適用は紫外
線照射から皮膚を保護する際の日焼け止めの使用を補うことができることが提案された(
51)。緑茶、紅茶およびそれらの成分、たとえばポリフェノール、カフェインおよび(
−)エピガロカテキンガレートは、局所的にまたは食餌中で投与したとき、紫外光で処理
した高危険度マウスにおける発がんを有効に予防する(24,25,52)。緑茶ポリフ
ェノール処置も、ヒト皮膚において紫外線が惹起する紅斑およびDNAピリミジン二量体
20
の形成を阻害する(53)。不思議なことに、(−)エピガロカテキンガレートは、スル
フォラファンと同様に、多くの生物学的作用、抗酸化剤応答エレメント(ARE)を介し
た第2相遺伝子発現の誘導、マイトジェン活性化プロテインキナーゼの活性化、カスパー
ゼ−3活性の刺激、およびアポトーシス(54)を示す。さらに、(−)エピガロカテキ
ンガレートによるヒト皮膚の前処置は、紫外線誘導の紅斑および関連する炎症、ならびに
過酸化水素および酸化窒素の生成を予防し、グルタチオン(GSH)およびGSHペルオ
キシダーゼの紫外線誘導性減少を回復させる(50)。
【0004】
マウスモデルにおける初期試験は、抗酸化剤添加食(たとえばブチル化ヒドロキシトル
エン[BHT]を含有するもの)が紫外線照射(4,5)または多環式芳香族炭化水素/
30
ホルボールエステル(6)によって誘導された皮膚発がんを有意に阻害することを示唆し
た。BHTおよび他のフェノール系抗酸化剤は、第2相解毒酵素を誘導し、ベンゾ[a]
ピレンの変異促進性代謝産物からげっ歯目動物を保護することが示された(7)。加えて
、BHAの局所または食餌投与は、マウス表皮におけるオルニチンデカルボキシラーゼ(
腫瘍促進の初期指標)のホルボールエステル依存性誘導を阻害する(8)。
【0005】
反応性中間体(たとえば求電子体、反応性酸素および窒素種)を生成する細胞内工程お
よびその反対の解毒およびラジカル捕捉反応の間のバランスが、発がん物質への暴露の最
終的な結果を決定する(9)。バランスを後者の経路へと、すなわち第2相解毒反応を触
媒する酵素の誘導によって、シフトさせる化学的および食餌的手段を考案することは、新
40
生物に対する保護のための主要戦略である(10)。特に魅力的であるのは、食用植物中
に存在する誘導物質の使用によるこのアプローチの実施であり、これらの誘導物質はすで
にヒト食事の成分であって、低毒性と推定されるからである。
【0006】
イソチオシアネートスルフォラファンは、そのような誘導物質の1つである。スルフォ
ラファンは、第2相酵素を誘導する能力によって導かれたブロッコリーからの主要誘導物
質として単離された(11)。無傷の植物はスルフォラファンの前駆体であるグルコシノ
レートグルコラファニンを含有する。植物細胞が損傷したときグルコラファニンは、その
加水分解を触媒し、主要反応産物としてスルフォラファンの形成を生じさせるチオグルコ
シダーゼ、さもなければ区分されていたミロシナーゼと接触する。その後の試験は、3日
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齢のブロッコリー新芽における誘導物質活性が成熟植物の活性よりも20∼50倍高いこ
と、およびこの活性の>90%がグルコラファニンに起因し得ることを明らかにした(1
2)。
【0007】
今日までに公知の最も強力な天然の第2相酵素誘導物質の1つであることに加えて、ス
ルフォラファンは付加的な抗がん活性を示す。たとえばスルフォラファンはアポトーシス
を刺激し、増殖を阻害し(13,14)、抗炎症性であり(15)、ヒストンデアセチラ
ーゼを阻害する(16)。加えて、スルフォラファンは、いくつかの種類の培養細胞を様
々な生物学的酸化剤、たとえば4−ヒドロキシノネナール、ペルオキシ亜硝酸、メナジオ
ン、tert−ブチルヒドロペルオキシドの毒性から(17)、ならびに全トランスレチ
10
ンアルデヒドおよびA波長紫外光によって生じる光酸化(18)から保護する。
【0008】
しかし、スルフォラファンが紫外光誘導の発癌に対して保護できるかどうかはまだ究明
されていないままである。したがって、さらなる試験および方法が必要である。
【発明の開示】
【0009】
1つの実施形態では、イソチオシアネートスルフォラファンの投与は、紫外光により誘
導された皮膚発がんに対して保護する。もう1つの態様では、紫外光に暴露された患者に
治療有効量のスルフォラファンまたはスルフォラファン類似体を投与することを含む、患
者において紫外光により誘導された皮膚発がんを抑制する方法が提供される。1つの実施
20
形態では、スルフォラファンは経皮的または経口的に投与される。もう1つの実施形態で
は、スルフォラファンはブロッコリー新芽に由来し、経皮的または経口的に投与される。
【0010】
スルフォラファン類似体も、紫外光により誘導された皮膚発がんから保護するために使
用できる。そのようなスルフォラファン類似体は、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノ
ン、エキソ−2−アセチル−6−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−イソチオ
シアナト−6−メチルスルホニルノルボルナン、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノー
ル、1−イソチオシアナト−4−ジメチルホスホニルブタン、エキソ−2−(1’−ヒド
ロキシエチル)−5−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−アセチル−5−イソ
チオシアナトノルボルナン、1−イソチオシアナト−5−メチルスルホニルペンタン、シ
30
ス−3−(メチルスルホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアネートおよびトランス
−3−(メチルスルホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアネートからなる群より選
択できる。他のイソチオシアネートも使用することができる。同様に、経口グルコシノレ
ートも、紫外光により誘導された皮膚発がんから保護するために使用できる。
【0011】
もう1つの実施形態では、治療有効量のスルフォラファンを含む、患者において紫外光
により誘導された皮膚発がんを抑制するときに使用するためのローションが提供される。
イソチオシアネートまたはグルコシノレートを含むローションも提供される。
【0012】
本発明の他の目的、特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかになる。さらに、実
40
施例は、本発明の原理を明らかにするものであり、明らかに当業者に有用なすべての実施
例への本発明の適用を具体的に説明することを期待するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
イソチオシアネートスルフォラファンの投与は、紫外光により誘導された皮膚発がんに
対して保護する。特に、紫外線への暴露後のスルフォラファンの局所適用または食事投与
は、皮膚腫瘍形成に対する有効な保護を提供する。
【0014】
発がん物質を解毒する酵素(第2相酵素)の活性を誘導することができる化学的保護作
用が、ある種の野菜において検出された。マウス肝臓がん細胞およびマウスの器官におい
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てキノンレダクターゼ活性およびグルタチオンS−トランスフェラーゼ活性を誘導する、
1つのそのような活性がブロッコリーで検出された。この活性はブロッコリーから精製さ
れ、スルフォラファンと同定された。加えて、構造機能関係を決定するためにスルフォラ
ファンの類似体が合成された。
【0015】
今や、スルフォラファンは紫外光誘導の皮膚発がんに対する保護を提供することが発見
された。特に、紫外線への暴露後のスルフォラファンの投与は、皮膚腫瘍形成に対する有
効な保護を提供する。
【0016】
他のイソチオシアネートも使用できる。イソチオシアネートは、イソチオシアネート(
10
NCS)部分を含有する化合物であり、当業者によって容易に同定可能である。イソチオ
シアネート類似体の説明と調製は米国再発行特許第36,784号に述べられており、そ
の全体が参照することより本明細書に組み込まれる。好ましい実施形態では、本発明にお
いて使用されるスルフォラファン類似体は、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノン、エ
キソ−2−アセチル−6−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−イソチオシアナ
ト−6−メチルスルホニルノルボルナン、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノール、1
−イソチオシアナト−4−ジメチルホスホニルブタン、エキソ−2−(1’−ヒドロキシ
エチル)−5−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−アセチル−5−イソチオシ
アナトノルボルナン、1−イソチオシアナト−5−メチルスルホニルペンタン、シス−3
−(メチルスルホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアネートおよびトランス−3−
20
(メチルスルホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアネートを含む。
【0017】
もう1つの実施形態では、イソチオシアネートの前駆体であるグルコシノレートが、紫
外光により誘導された皮膚発がんを抑制するために使用できる。グルコシノレートは、当
業者によって容易に認識可能であり、十分に理解されており、その内容全体が参照するこ
とより本明細書に組み込まれる、Fahey et al.Phytochemistr
y,56:5−51(2001)の中で総説されている。
【0018】
スルフォラファン、イソチオシアネート、グルコシノレートまたはそれらの類似体を含
む組成物は、様々な経路で投与することができ、様々な担体または賦形剤を含む。
30
【0019】
「医薬的に許容される担体」とは、非毒性固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、
被包材料またはリポソームなどのあらゆる種類の製剤助剤を意図するが、これらに限定さ
れない。
【0020】
非経口注射用の本発明の医薬組成物は、医薬的に許容される滅菌水性または非水性溶液
、分散、懸濁液または乳剤ならびに使用の直前に滅菌注射用溶液または分散に再溶解する
ための滅菌粉末を含むことができる。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒または
溶剤の例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール等など)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの適切な混合物
40
、植物油(オリーブ油など)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含む
。適切な流動性は、たとえばレシチンなどの被覆材料の使用によって、分散の場合は必要
な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0021】
本発明の組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの、しかしこれらに
限定されない補助剤を含有し得る。微生物の作用の予防は、様々な抗菌および抗真菌薬、
たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を含めることによって
確保できる。また、糖類、塩化ナトリウム等のような等張剤を含むことも望ましい。注射
用医薬形態の持続吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅
延させる物質の含有によってもたらされ得る。
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【0022】
ある場合には、薬剤の作用を延長させるため、皮下または筋肉内注射からの吸収を緩や
かにすることが望ましい。これは、水溶解度の低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁液
の使用によって達成できる。その場合、薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速
度は、次に結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与剤型の遅延
吸収は、薬剤を油性溶剤に溶解または懸濁することによって達成される。
【0023】
薬剤の経皮投与は、しばしば患者にとって好都合であり、快適である。この実施形態で
は、スルフォラファンは担体中に存在する。「担体」という用語は、経皮薬剤投与を促進
するのに適した担体材料を指し、非毒性であり、組成物の他の成分または皮膚と有害な方
10
法で有意に相互作用しない、当分野で公知のそのような材料、たとえばいかなる液体、ゲ
ル、溶媒、液体希釈剤、可溶化剤、ポリマー等も含む。
【0024】
注射用デポー形態は、ポリアクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で薬剤
のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。薬剤対ポリマーの
比率および使用する特定ポリマーの性質に依存して、薬剤放出の速度を制御することがで
きる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含
む。デポー注射用製剤はまた、体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジ
ョンに薬剤を封入することによっても調製される。
【0025】
20
注射用製剤は、たとえば細菌保持フィルターでのろ過によって、または使用の直前に滅
菌水または他の滅菌注射用媒質に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態
で滅菌剤を組み込むことによって滅菌できる。
【0026】
経口投与用の固体投与形態は、カプセル、錠剤、丸剤、粉末および顆粒を含むが、これ
らに限定されない。そのような固体投与形態では、活性化合物を、クエン酸ナトリウムま
たはリン酸二カルシウムなどの賦形剤または担体および/またはa)デンプン、ラクトー
ス、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b
)たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリド
ン、スクロースおよびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)
30
寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸
塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級ア
ンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)たとえばアセチルアルコールおよびモノステア
リン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、
およびi)滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレ
ングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤の少なくとも
1つと混合する。カプセル、錠剤および丸剤の場合は、投与形態は緩衝剤も含むことがで
きる。
【0027】
同様の種類の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤ならびに高分子量
40
ポリエチレングリコール等を使用する軟および硬充填ゼラチンカプセル中の充填剤として
も使用できる。
【0028】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒の固体投与形態は、腸溶剤皮などの被覆剤お
よび外皮および製薬技術分野において周知の他の被覆剤で調製することができる。それら
は、場合により不透明化剤を含有することができ、また、腸管の特定部分においてのみま
たは腸管の特定部分において選択的に、場合により遅延的に、有効成分を放出する組成物
であり得る。使用できる包埋組成物の例は、高分子物質およびろうを含む。
【0029】
活性化合物はまた、適切な場合には、上記賦形剤の1つ以上との、マイクロカプセル形
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態であり得る。
【0030】
経口投与用の液体投与形態は、医薬的に許容される乳剤、溶液、懸濁液、シロップおよ
びエリキシルを含むが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投与形態は、
たとえば水または他の溶媒などの当分野で一般的に使用される不活性希釈剤、エチルアル
コール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息
香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムア
ミド、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およ
びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコー
ルおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物などの可溶化剤および乳化
10
剤を含有することができる。
【0031】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味料、香
味料および香料などの佐剤を含むことができる。
【0032】
懸濁液は、活性化合物に加えて、たとえばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポ
リオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸
化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカントゴム、およびそれらの混合物の
ような懸濁化剤を含有し得る。
【0033】
20
本発明に従った食事用組成物は、スルフォラファン、イソチオシアネート、グルコシノ
レートまたはそれらの類似体を含有する任意の摂取可能な製剤である。たとえばスルフォ
ラファン、イソチオシアネート、グルコシノレートまたはそれらの類似体は食品と混合し
得る。前記食品は、乾燥、調理、煮沸、凍結乾燥または焼くことができる。膨大な数の種
々の食品の中でも特に、パン、茶、スープ、シリアル、サラダ、サンドイッチ、新芽(ス
プラウト)、野菜、動物飼料、丸剤および錠剤が考慮される。
【0034】
当業者は、本発明の薬剤の有効量が経験的に決定でき、純粋な形態で、またはそのよう
な形態が存在する場合は、医薬的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ形態で使
用できることを認識する。本発明の組成物の「治療有効」量は、治療する疾患、損傷また
30
は障害の有害状態または症状の予防または改善によって決定することができる。薬剤は、
1つ以上の医薬的に許容される賦形剤と組み合わせた医薬組成物として紫外線に暴露され
た被験者に投与することができる。ヒト患者に投与するとき、本発明の薬剤または組成物
の総1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解さ
れる。任意の特定患者についての詳細な治療有効用量レベルは様々な因子に依存する。達
成すべき細胞または生理的応答の種類および程度;使用する特定薬剤または組成物の活性
;使用する特定薬剤または組成物;患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事
;投与の時間、投与経路、および薬剤の排泄速度;治療の期間;特定薬剤と併用されるま
たは同時に使用される薬剤;および医学技術分野において周知の同様の因子。たとえば薬
剤の用量を、所望治療効果を達成するために必要な用量よりも低いレベルで開始し、所望
40
効果が達成されるまで徐々に用量を上昇させることは十分に当分野の技術範囲内である。
【0035】
開示する製剤の潜在的な商業用途は、たとえば(i)保護薬/予防薬、(ii)化粧品
および(iii)医薬品を含む。1つの実施形態では、油(スルフォラファン)または水
ベースの(グルコラファニンプラス加水分解剤)の局所適用のための保護ローションおよ
びクリームが提供される。もう1つの実施形態では、スルフォラファン含有組成物を日焼
け止めと併用することができる。
【実施例】
【0036】
<実施例1:ブロッコリー新芽からのスルフォラファンの調製>
50
(8)
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いかなる農薬または他の種子処理化学物質でも処置されていないことが証明されたブロ
ッコリーの種子(Brassica oleracea italica,cv.DeC
icco)を発芽させ、Fahey et al.(12)によって述べられているよう
に処理した。簡単に述べると、種子を、微量のAlconox(登録商標)洗浄剤を含有
するClorox(登録商標)漂白剤の25%水溶液で表面消毒し、水で十分に洗い流し
た。次に種子を、傾斜させて穴を開けたプラスチックトレイに層状に広げて、ろ過水を3
0秒間ずつ1時間に約6回霧状にして吹き付け、頭上蛍光ランプから照明した。3日後に
、新芽を蒸気ジャケット付きやかん中の沸騰水に直接浸し、沸騰状態に戻して、約5分間
攪拌することによって成長を停止させた。この処理により、内在性新芽ミロシナーゼを不
活性化し、グルコシノレートを抽出した。HPLC(26)によって測定したとき、スル
10
フォラファンの前駆体であるグルコラファニンが、初期抽出物中の主要グルコシノレート
であった。次に、Fahey et al.,1997およびShapiro et a
l.,2001(12,27)によって述べられているようにグルコシノレートのイソチ
オシアネートへの定量的変換のためにダイコン新芽ミロシナーゼを添加した。その後この
試料を凍結乾燥し、酢酸エチルに溶解して、回転蒸発器によって蒸発乾固させ、少量の水
に溶解して、80%アセトン:20%水(v/v)中に50mMのスルフォラファンの最
終濃度までアセトンを添加した。総イソチオシアネート含量を縮合環化反応(28)によ
って測定し(12,27)、グルコシノレートが完全に存在しないことをHPLC(26
)によって確認して、ミロシナーゼ反応によって遊離されるイソチオシアネートの正確な
比率をアセトニトリル勾配でのHPLCによって定量し、抽出物のグルコシノレートプロ
20
フィールと一致させた。スルフォラファンはイソチオシアネート含量の90%以上を構成
した。この試料を、「高用量」(1.0μmol/100μl)および「低用量」(0.
3μmol/100μl)を生成するために80%アセトン(v/v)に希釈した。Pr
ochaska試験(29,30)における生物検定は、以前の実験(11)と一致する
CD値(NQO1の活性を二倍にするために必要な濃度)を生じた。
【0037】
<実施例2:スルフォラファンによるケラチノサイトの処置>
グルタチオンは、主要なおよび最も豊富な細胞非タンパク質チオールであり、細胞防御
の決定的に重要な部分を構成する。潜在的に損傷性の求電子体と容易に反応し、フリーラ
ジカルを捕捉して、過酸化物を還元することにより、反応性酸素中間体およびそれらの毒
30
性代謝産物の解毒に関与する。GSHの細胞レベルを上昇させる能力は、酸化的ストレス
に対抗する上で決定的に重要である。この目的のため、本発明者らは、ケラチノサイトの
培養物においてA波長紫外線(UVA)によって引き起こされる酸化的ストレスから保護
する、スルフォラファン誘導の第2相応答の能力を検討した。UVAの遺伝子毒性が主と
して反応性酸素中間体の生成によるものであると思われるので、本発明者らはこの試験の
ためにUVAを選択した。
【0038】
<細胞培養>
HaCaTヒトケラチノサイト(G.Tim Bowden,Arizona Can
cer Center,Tucsonから提供された)を、5%FBSを追加したダルベ
40
ッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養し、PEマウスケラチノサイト(Stuart
H.Yuspa,National Cancer Institute,Bethe
sda,MDから提供された)を、8%FBSを添加したイーグル最小必須培地(EME
M)で培養し、Ca2+を除去するためにChelex樹脂(Bio−Rad)で処理した
。
【0039】
<キノンレダクターゼ(NQO1)およびグルタチオンアッセイ>
細胞(ウェル当たり20,000個)を96穴プレートで24時間増殖させ、その後、
連続希釈のスルフォラファンに24時間(グルタチオン定量のため)または48時間(N
QO1定量のため)暴露して、最後に0.08%ジギトニンに溶解した。アリコート(2
50
(9)
JP 2008-539261 A 2008.11.13
5μl)をタンパク質分解のために使用した。NQO1の活性をProchaska試験
(29,30)によって測定した。細胞内グルタチオンレベルを測定するため、細胞溶解
産物25μlに2mMのEDTA中の氷冷メタリン酸(50g/l)50μlを添加して
、細胞タンパク質を沈殿させた。4℃で10分後、プレートを1,500gで15分間遠
心分離し、生じた上清分画50μlを平行するプレートに移した。これらのウェルの各々
に、10mMのEDTAを含有する50μlの200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.5)を添加し、総細胞グルタチオンをリサイクリングアッセイにおける速度測定によ
って定量した(31,32)。
【0040】
<細胞の紫外線(UV)照射および反応性酸素中間体の定量>
10
PE細胞(ウェル当たり50,000個)を24穴プレートに接種し、48時間増殖さ
せた。次に細胞を1μMまたは5μMスルフォラファンに24時間暴露した。実験の当日
に、培地を除去した後、細胞を新鮮培地500μl中の100μMの2’,7’−ジクロ
ロジニトロフルオレセイン二酢酸(Molecular Probes,Eugene,
OR)と共に30分間インキュベートした。その後蛍光プローブを含有する培地を除去し
、細胞をDPBSで洗って、UVA照射(10J/cm2)に暴露した。対照細胞を暗所
に保持した。細胞をトリプシンで分離し、DPBS2.0mlに懸濁して、Perkin
−Elmer LS50分光蛍光計において2mlキュベット中485nmで励起し、細
胞懸濁液中520nmで蛍光強度を測定した。
【0041】
20
HaCaTヒトケラチノサイトまたはPEマウスケラチノサイトをスルフォラファンに
暴露したとき、以前の所見と一致して(Ye and Zhang,2001)NQO1
およびグルタチオンの細胞内レベルは用量依存的に上昇した(図1A、B)。特に著明で
あったのは、細胞毒性の明らかな証拠を伴わない、HaCaT細胞におけるNQO1誘導
の大きさ(>10倍)であった。5μMのスルフォラファンによる24時間の処置は、蛍
光プローブ2’,7’−ジクロロジニトロフルオレセインによって定量したとき、UV照
射によって生成される反応性酸素中間体の実質的な(50%)低下を生じさせた(35)
(図2)。
【0042】
<実施例3:マウスにおけるNQO1およびGSHへのスルフォラファンの局所適用の作
30
用>
次に、第2相応答をSKH−1無毛マウスにおいてインビボで評価した。雌性SKH−
1無毛マウス(4週齢)をCharles River Breeding Labor
atories(Wilmington,MA)から入手し、実験開始前に2週間、本発
明者らの動物施設において馴化させた。動物を12時間明/12時間暗のサイクル、35
%湿度に保持し、水とAIN76A固形試料食(Harlan TekLad,誘導物質
不含)を自由に摂取させた。すべての動物実験は国立衛生研究所のガイドラインに従い、
ジョンズ・ホプキンス大学の動物管理・使用委員会によって承認された。
【0043】
7週齢のSKH−1無毛マウス(群当たり5匹)に対して、スルフォラファン1μmo
40
lを含有する標準ミロシナーゼ加水分解ブロッコリー新芽抽出物100μlまたは溶剤(
80%アセトン:20%水、v/v、100μl)を背に局所適用して処置した。動物を
24時間後に安楽死させ、背の皮膚を、長方形テンプレート(2.5×5cm)を用いて
切開し、液体窒素中で凍結した。皮膚試料を液体窒素中で粉砕し、生じた粉末100mg
を、NQO1酵素活性およびタンパク質含量の分析のための10mMトリス−HCl、p
H7.4で緩衝した0.25Mスクロース、またはグルタチオンの分析のための2mMの
EDTA中の氷冷メタリン酸(50g/l)のいずれか1ml中で均質化した。4℃、1
4,000gで20分間の遠心分離によって透明な上清分画を得、そのアリコートを、細
胞培養実験に関して以下で述べるようにタンパク質含量、酵素活性および総グルタチオン
レベルの測定のために使用した。
50
(10)
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【0044】
結果は、スルフォラファンの局所投与が対照と比較して処置動物のNQO1の約50%
の誘導(P<0.001)および総グルタチオンレベルの約15%の上昇を生じさせるこ
とを示した。
【0045】
<実施例4:ヒトにおけるNQO1およびGSHへのスルフォラファンの局所適用の作用
>
健常ヒト志願者を含むこの試験は、ジョンズ・ホプキンス大学の治験審査委員会によっ
て承認されたプロトコールに従って実施した。健常ヒト志願者の皮膚への単回用量のブロ
ッコリー新芽抽出物の局所投与の安全性を検討した。抽出物を80%アセトン:20%水
10
中で調製し、それらのスルフォラファン含量を、イソチオシアネートおよびそれらのジチ
オカルバメート代謝産物の定量のために本発明者らの研究室で常套的に使用される方法で
ある、縮合環化アッセイによって正確に測定した。各々の参加者の前腕内側の皮膚に円(
直径1cm)を描き、容積移送ピペットを使用することによって抽出物を円の内側に適用
した。投与された8つの漸増用量の各々について(スルフォラファン0.3;5.3;1
0.7;21.4;42.7;85.4;170;および340nmol)2名の被験者
が参加した。各々の被験者を自身の対照として使用し、プラセボ「溶剤スポット」を作製
した。これらの用量のいずれにおいても有害反応は認められなかった。
【0046】
効果試験も実施した。エンドポイントは、ブロッコリー新芽抽出物の単回用量の適用後
20
に2名の健常ヒト志願者の3mm皮膚パンチ生検におけるキノンレダクターゼ(基本型第
2相タンパク質)の酵素活性の測定であった。再び、各々の被験者を自身の対照として使
用し、「溶剤スポット」を作製した。キノンレダクターゼ活性およびタンパク質含量の両
方がこれらの試料において確実に検出された。キノンレダクターゼの比活性は、スルフォ
ラファン100nmolを含有する抽出物の適用後24時間で約2倍に上昇した(図3)
。特に、適用後72時間目に生検を実施したときでさえも活性はプラセボ処置部位よりも
高いままであったので、誘導は長時間持続性であった。
【0047】
次に、スルフォラファン50nmolを含有するブロッコリー新芽抽出物の3回反復局
所適用(24時間の間隔)の作用を検討した。これは、2名の健常ヒト志願者の適用部位
30
の下の皮膚においてキノンレダクターゼ(NQO1)比活性のさらに大きな上昇を導いた
(図4)。
【0048】
<実施例5:誘導的酸化窒素シンターゼへのスルフォラファンの作用>
本発明者らは最近、一連の合成トリテルペノイドにおいて炎症応答(γ−インターフェ
ロンによるiNOSおよびCOX−2活性化)の阻害と第2相酵素の誘導の間で6桁以上
におよぶ有効性の強度の線形相関を認めた(20)。
【0049】
RAW264.7マクロファージ(5×105細胞/ウェル)を96穴プレートに接種
し、スルフォラファンおよびIFN−γ 10ng/mlまたはLPS 3ng/mlの
40
いずれかと共に24時間インキュベートした。NOをGriess反応によって亜硝酸塩
として測定した(33)。RAW264.7細胞を様々な濃度のスルフォラファンと共に
γ−インターフェロンまたはリポ多糖と24時間インキュベートしたとき、NO形成の用
量依存的阻害が存在し、IC50は両方のサイトカインについて0.3μMであった(図5
A)。
【0050】
この結果と一致して、ノザンブロット分析およびウエスタンブロット分析は、iNOS
mRNAおよびタンパク質の合成も阻害することを明らかにした(図5B、C)。RA
W264.7マクロファージ(2×105細胞/ウェル)をスルフォラファンおよびIF
N−γ 10ng/mlまたはLPS 3ng/mlと共に一晩インキュベートした。ノ
50
(11)
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ザンブロットのために、全RNAをTrizol試薬(Invitrogen)で単離し
、先に述べられているように(33)ブロット法用に調製した。iNOSおよびGAPD
Hのためのプローブを、ランダムプライマーと共に[γ−32P]dCTPで放射性標識し
た。ウエスタンブロットのために、全細胞溶解産物をSDS/PAGEに供し、膜に移し
て、iNOSおよびβアクチン抗体(Santa Cruz Biotechnolog
y)でプローブした。
【0051】
これらの所見は、スルフォラファンへの暴露がγ−インターフェロンまたはリポ多糖に
よるiNOSの誘導を抑制し、発がんの過程で役割を果たす炎症応答を減弱させることを
示唆する。
10
【0052】
<実施例6:UV光誘導の発がんへのスルフォラファンの局所適用の作用>
週に2回、20週間にわたる比較的低線量のB波長紫外線(UVB)照射(30mJ/
cm2)へのSKH−1無毛マウスの暴露は、その後さらなるUV処置なしで皮膚腫瘍を
発現する「高危険度マウス」を生じさせた(24,25)。この動物モデルは、小児とし
て重度に日光に暴露されたが、成人としては暴露が制限されたヒトに高度に対応する。加
えて、このモデルは、照射スケジュールの完了後の、したがってわずかに着色することが
ある新芽抽出物の保護製剤による「光フィルター効果」の可能性を排除した、潜在的な化
学的保護剤の評価を可能にする。そこで、UVB前処置高危険度マウスを1日1回、週に
5日間、11週間にわたって、スルフォラファン0.3μmol(低用量)または1μm
20
ol(高用量)を含有する標準ミロシナーゼ加水分解ブロッコリー新芽抽出物100μl
で局所的に処置した。対照群には溶剤処置を行った。体重および直径1mmより大きい腫
瘍の形成を週に1回測定した。
【0053】
UVB照射は、UVB(280∼320nm、総エネルギーの65%)およびUVA(
320∼375nm、総エネルギーの35%)を放射するひとならびの(a bank of)UVランプ(FS72T12−UVB−HO,National Biologi
cal Corporation,Twinsburg,OH)によって実施した。UV
Bの放射線量をUVB Daavlin Flex Control Integrat
ing Dosimeterで定量し、さらにIL−1400線量計(Internat
30
ional Light,Newburyport,MA)で検定した。
【0054】
動物を火曜日と金曜日に20週間にわたって30mJ/cm2/セッションの放射線量
で照射した。1週間後、マウスを3つの群:各々の処置群の29匹の動物および対照群の
33匹の動物に分けた。2つの処置群のマウスには、スルフォラファン1μmol(高用
量)またはスルフォラファン0.3μmol(低用量)を含有するブロッコリー新芽抽出
物100μlの局所適用を実施し、対照群のマウスには溶剤100μlを適用した。処置
を週に5日間、11週間にわたって反復し、その時点で対照群のすべての動物が少なくと
も1つの腫瘍を有しており、実験を終了した。腫瘍(直径>1mmの病変と定義した)お
よび体重を週に1回記録した。腫瘍容積を、直径1mmより大きい各々の塊の高さ、長さ
40
および幅を測定することによって決定した。3つの測定の平均を直径として使用し、容積
を算定した(v=4πr3/3)。同じ日にすべてのマウスを安楽死させ、腫瘍の大きさ
と多重度を測定した。背の皮膚を、マウスの処置部分全体を含むように長方形鋳型(2.
5×5cm)を用いて切開した。皮膚をボール紙にホチキスでとめ、写真撮影して、氷冷
10%リン酸緩衝ホルマリンに4℃で24時間固定した。
【0055】
群の間で平均体重および体重増加に差はなかった。実験の開始時の体重(平均±SD)
は、対照群については22.3±1.9g、低用量処置群については22.2±1.9g
、および高用量処置群については23.0±1.9gであった。実験終了時(31週間後
)には、それぞれの体重は、32.1±9.7g、31.9±8.8g、および32.1
50
(12)
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±6.9gであった。1mmより大きい最も早期の病変は、照射の終了後2週間目に認め
られ、これは保護剤による局所治療を開始してから1週間後であった。この時点で、対照
、低用量処置および高用量処置マウスのそれぞれ3、6および4匹が、それらの最初の腫
瘍を発現した。
【0056】
高用量処置動物は、その後UV照射の発がん作用から実質的に保護された。したがって
、実験が終了した処置の11週間後には、対照群の100%の動物が腫瘍を発現したのに
対し、スルフォラファン1μmolを含有する新芽抽出物で毎日処置されたマウスの48
%が腫瘍を有していなかった(図6A)。注目すべき点として、3匹の動物(対照群の2
匹と低用量処置群の1匹)は、直径2cmに近い腫瘍を有していたため、実験終了の1週
10
間前に安楽死させた。Kaplan−Meier生存分析とそれに続く層別対数順位検定
およびサバイバル関数の同等性(equality of survivor func
tions)についてのWilcoxon検定の両方が、処置の間で高度に有意の差(P
<0.0001)があることを示した。1μmol処置は、最後の3回の観察期間(9、
10および11週目)の各々について、95%信頼レベルで、0.3μmolおよび対照
処置の両方と異なっていた。0.3μmolと対照処置の間ではいずれの時点でも有意な
差がなかった。
【0057】
図6Bは、腫瘍数への処置の全体的作用が高度に有意であった(p<0.001)こと
を示す。対照と1.0μmol用量レベルのANOVA比較は高度に有意の全体的作用を
20
示したが(p<0.001)、差は9週間後に初めて有意となった。9、10および11
週目に行った観察に関してそれぞれp<0.0794、p<0.0464およびp<0.
0087。平均値±SEを示す。
【0058】
腫瘍発生率および多重度の低下に加えて、腫瘍出現の有意の遅延が存在した。高危険度
対照動物の50%が照射終了後6.5週間目に腫瘍を有していたのに対し、高危険度の高
用量処置動物の50%が腫瘍を発現するまでに10.5週間を要した。注目すべきは、保
護薬が発がん過程を遅延させる能力は、化学予防においてますます高く評価される概念に
なりつつある。同様に、腫瘍多重度も58%低下した。マウス当たりの腫瘍の平均数は、
処置群が2.4、対照群が5.7であった。
30
【0059】
低用量処置群と溶剤処置群の間で腫瘍発生率および多重度には差がなかったが(図6A
、B)、マウス当たりの全腫瘍量(mm3での容積として表わした)は、低用量処置群に
おいて処置の9、10および11週目にそれぞれ86、68および56%、実質的に少な
かった(図7)。実験の最後の2週間に大きな腫瘍(>1cm3)が急速に成長したこと
から、一見したところ時間と共に処置に対する効果の低下が起こると思われる。高用量処
置群での全腫瘍量は、さらに一層劇的に、処置の9、10および11週目にそれぞれ91
、85および46%低下した。興味深いことに、この処置群からのマウスの一部は、抽出
物を適用しなかった頭部に腫瘍を有していたが、保護抽出物を適用した背には腫瘍がなか
った。
40
【0060】
個々の腫瘍の組織学的特性決定は完了していないが、この動物は一貫して、約80%の
小さな非悪性腫瘍(主として角化棘細胞腫およびいくつかの乳頭腫)と約20%の大きな
悪性腫瘍(扁平上皮癌)の形成を生じる(24,25)。本発明者らはすべての腫瘍をそ
れらの容積に従って2つのカテゴリー:「小型」(<1cm3)(図8、白い棒)と「大
型」(>1cm3)(図8、黒い棒)に分類した。新芽抽出物による処置は、実験群全体
にわたって大型腫瘍の多重度を変化させず、対照群では全33匹の動物において17の大
腫瘍があり、低用量処置群の全29匹の動物では19、高用量処置群の全29匹の動物で
は16の大型腫瘍が存在した。これに対し、ブロッコリー新芽抽出物は小型腫瘍の数の用
量依存的抑制を生じさせた。対照、低用量処置および高用量処置群においてそれぞれ17
50
(13)
JP 2008-539261 A 2008.11.13
0、123および54。影響を受けなかった腫瘍は、直接UV照射誘導性のDNA光産物
によって引き起こされる突然変異を蓄積していた細胞に由来するが、抽出物は主として酸
化的ストレス誘導性のDNA損傷から生じる発がん過程を阻害することが考えられる。ダ
イズイソフラボン、ゲニステインは、マウス皮膚において脂質過酸化産物、H2O2および
8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシンの生成を阻害したが、UV照射に応答して形
成されるピリミジン二量体には作用を及ぼさなかったという同様の現象が報告されている
(36)。
【0061】
<統計分析>
腫瘍発生率をKaplan−Meier生存分析とそれに続く層別対数順位検定および
10
サバイバル関数の同等性についてのWilcoxon検定を用いて評価した。腫瘍多重度
はANOVAによって評価し、すべての処置に関しておよび個々の対応ある処置に関して
比較を行った(t検定)。腫瘍容積は、処置時間を入れ子式変数とするANOVAによっ
て評価した。これらの計算はStata7.0(College Station,TX
)を用いて実施した。他の統計はExcelを用いて算定した。
【0062】
<実施例7:凍結乾燥ブロッコリー新芽抽出物粉末の調製>
ブロッコリーの種子(Brassica oleracea italica,cv.
DeCicco)を使用して、実施例1で述べたように新芽を成長させた。3日後、新芽
を沸騰水に浸し、約30分間沸騰させることによって成長を停止させた。この処理は内在
20
性新芽ミロシナーゼを不活性化し、グルコシノレートを抽出した。HPLC(26)によ
って測定したとき、スルフォラファンの前駆体であるグルコラファニンが抽出物中の主要
グルコシノレートであった。次にこの試料を凍結乾燥して、約8.8重量%のグルコラフ
ァニンを含むグルコシノレート富化粉末を得た。粉末をマウス飼料(粉末AIN 76A
)と混合して、食餌3グラム当たりグルコラファニン10μmol(低用量)または50
μmol(高用量)の等価物を得た。
【0063】
<実施例8:UV光誘導の発がんへのスルフォラファンの食餌投与の作用>
この試験では、UVBで前処置した高危険度マウスに、実施例6に従って調製した凍結
乾燥ブロッコリー新芽抽出物粉末(無傷植物において認められるスルフォラファンのグル
30
コシノレート前駆体であり、その約10%がマウスによる摂取後スルフォラファンに変換
される、グルコラファニン10μmol/日[低用量]および50μmol/日[高用量
]に等しい)を組み込んだ食餌を13週間与えた。対照群の食餌は凍結乾燥ブロッコリー
新芽抽出物粉末を含まなかった。体重および直径1mmより大きい腫瘍の形成を週に1回
測定した。
【0064】
UVB照射は、UVB(280∼320nm、総エネルギーの65%)およびUVA(
320∼375nm、総エネルギーの35%)を放射するひとならびのUVランプ(FS
72T12−UVB−HO,National Biological Corpora
tion,Twinsburg,OH)によって実施した。UVBの放射線量をUVB 40
Daavlin Flex Control Integrating Dosimet
erで定量し、さらにIL−1400線量計(International Light
,Newburyport,MA)で検定した。
【0065】
動物を火曜日と金曜日に20週間にわたって30mJ/cm2/セッションの放射線量
で照射した。1週間後、マウスを3つの群:各々の処置群の30匹の動物と対照群の30
匹の動物に分けた。2つの処置群のマウスには凍結乾燥ブロッコリー新芽抽出物粉末を組
み込んだ食餌を与えた。低用量処置群の食餌は、グルコラファニン10μmol/日に等
しい凍結乾燥ブロッコリー新芽抽出物粉末を含み、高用量処置群の食餌は、グルコラファ
ニン50μmol/日に等しい凍結乾燥ブロッコリー新芽抽出物粉末を含んだ。対照群の
50
(14)
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食餌は凍結乾燥ブロッコリー新芽抽出物粉末を含まなかった。マウスにこの食餌を13週
間与えた。13週間後、対照マウスの93%が腫瘍を有しており、実験を終了した。
【0066】
腫瘍容積を、直径1mmより大きい各々の塊の高さ、長さおよび幅を測定することによ
って決定した。3つの測定の平均を直径として使用し、容積を算定した(v=4πr3/
3)。同じ日にすべてのマウスを安楽死させ、腫瘍の大きさと多重度を測定した。背の皮
膚を、マウスの処置部分全体を含むように長方形鋳型(2.5×5cm)を用いて切開し
た。皮膚をボール紙にホチキスでとめ、写真撮影して、氷冷10%リン酸緩衝ホルマリン
に4℃で24時間固定した。
【0067】
10
腫瘍発生率(腫瘍を有する動物のパーセント)は、対照群のマウスと比較して、低用量
および高用量のグルコラファニンを摂取した動物においてそれぞれ25%および35%低
下した(図9)。
【0068】
腫瘍多重度(マウス当たりの腫瘍数)への処置の効果はさらに一層大きく、対照群のマ
ウスと比較して、低用量および高用量のグルコラファニンを摂取した動物においてそれぞ
れ47%および72%低下した。したがって、対照群の動物はマウス当たり平均4.3個
の腫瘍を有していたのに対し、マウス当たりの腫瘍の数は、低用量のグルコラファニンに
ついては2.3個および高用量のグルコラファニンについては1.2個であった(図10
)。
20
【0069】
腫瘍量も劇的に影響を受けた。低用量および高用量の両方のグルコラファニン処置が、
マウス当たりの総腫瘍容積の70%抑制を生じさせた(図11)。
【0070】
スルフォラファンとその代謝産物の血漿レベルは非常に類似しており、低用量および高
用量のグルコラファニン処置に関してそれぞれ2.2μMおよび2.5μMであって、グ
ルコラファニンがスルフォラファンに変換されること、および慢性食餌治療が動物の血液
中のスルフォラファンおよびその代謝産物の定常状態レベルを生じさせたことを示した。
これらのレベルは生物学的作用を期待するのに十分である。
【0071】
30
検査したほぼすべての器官、すなわち前胃、胃、膀胱、肝臓および網膜において第2相
酵素のレベルが誘導された(キノンレダクターゼ1については2∼2.5倍およびグルタ
チオンS−トランスフェラーゼについては1.2∼2.2倍)。
【0072】
統計分析
腫瘍発生率をKaplan−Meier生存分析とそれに続く層別対数順位検定および
サバイバル関数の同等性についてのWilcoxon検定を用いて評価した。腫瘍多重度
はANOVAによって評価し、すべての処置に関しておよび個々の対応ある処置に関して
比較を行った(t検定)。腫瘍容積は、処置時間を入れ子式変数とするANOVAによっ
て評価した。これらの計算はStata7.0(College Station,TX
40
)を用いて実施した。他の統計はExcelを用いて算定した。
【0073】
結論として、食事中のスルフォラファンの供給源としてのブロッコリー新芽抽出物の局
所および食事投与は、UV光へのヒトの暴露に高度に対応するマウスモデルにおいて皮膚
腫瘍形成から保護する。
【0074】
本発明は、国立癌研究所によって与えられるCA06973およびCA93780の下
での政府援助を得て行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0075】
略語:COX−2、シクロオキシゲナーゼ2;GSH、グルタチオン;γ−IFN、イ
50
(15)
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ンターフェロンγ;iNOS、誘導的酸化窒素シンターゼ;LPS、リポ多糖;NQO1
、キノンレダクターゼとも称される、NAD(P)H−キノンアクセプター酸化還元酵素
。
【0076】
参考文献
【表1】
10
20
30
(16)
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【表2】
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【表3】
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【表4】
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【表5】
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【表6】
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【表7】
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【表8】
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【表9】
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【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】PEマウスケラチノサイト(A)およびヒトHaCaTケラチノサイト(B)に
おけるスルフォラファンの濃度の関数としてのNQO1(黒丸)の誘導およびGSH(白
丸)の上昇をグラフで明らかにする。細胞(ウェル当たり20,000個)を96穴プレ
ートに接種し、一連の濃度のスルフォラファンに暴露した。GSHおよびNQO1レベル
40
を24時間後と48時間後にそれぞれ細胞溶解産物中で測定した。各々のデータ点は8つ
の異なるウェルからの測定の平均値を示す。標準偏差はすべてのデータ点に関して<5%
であった。
【図2】A波長紫外線が生成する反応性酸素中間体に対して、PEマウスケラチノサイト
においてスルフォラファンによって与えられる保護を示すグラフである。細胞(ウェル当
たり50,000個)を24穴プレートに接種し、5μMスルフォラファンで24時間処
置し、DPBSで洗って、その後A波長紫外線(10J/cm2)に暴露した。紫外線照
射によって生成される反応性酸素中間体を蛍光プローブ2’,7’−ジクロロジニトロフ
ルオレセインによって定量し、蛍光強度を測定した(暴露対非暴露細胞の比としてあらわ
した)。
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【図3】スルフォラファン100nmolの単回局所適用による健常ヒト志願者のヒト皮
膚におけるキノンレダクターゼ(NQO1)の誘導の時間経過を示す。
【図4】24時間の間隔でのスルフォラファン50nmolの3回反復局所適用による健
常ヒト志願者のヒト皮膚におけるNQO1の誘導を示す。
【図5】γ−インターフェロンまたはリポ多糖で刺激したRAW264.7細胞における
(A)NO産生およびiNOS mRNA(B)およびタンパク質(C)誘導に対してス
ルフォラファンによって引き起こされる阻害を示す。細胞を様々な濃度のスルフォラファ
ンおよびIFNγ(10ng/ml)またはリポ多糖(LPS;3ng/ml)のいずれ
かで24時間処置した。培地中のNOをGriess反応によって亜硝酸塩として測定し
(A)、iNOS誘導をノーザン(B)およびウエスタン(C)ブロット法によって検出
10
した。
【図6A.6B】高危険度マウスにおいてB波長紫外線誘導の皮膚発がんのスルフォラフ
ァンによる阻害を明らかにする。
【図7】スルフォラファンの経皮投与による高危険度マウスでの全腫瘍量の抑制をグラフ
で示す。腫瘍量は、すべての腫瘍の総容積(mm3)を高危険度の動物数で除したもので
表している。平均値±SEが示されている。腫瘍容積の対数変換後に濃度(処置)の劇的
で高度に有意の作用(p<0.0027)が存在した(処置時間を入れ子式変数として使
用する濃度のANOVA)。
【図8】小型(<1cm3、白い棒)および大型腫瘍(>1cm3、黒い棒)の多重度への
スルフォラファンの影響を示すグラフである。保護物質または溶剤による処置の11週間
20
後、対照群における腫瘍発生率は100%であり、実験を終了させた。すべてのマウスを
同じ日に安楽死させ、腫瘍の大きさを測定した。1日当たり低用量、0.3μmolスル
フォラファン、高用量、1.0μmolスルフォラファンを週に5回、動物の背に適用し
た。
【図9】スルフォラファンの食餌投与を受けている高危険度マウスでの腫瘍発生率(腫瘍
を有するマウスのパーセント)を示すグラフである。対照群を黒丸で表わし、低用量群を
黒四角で表わし、高用量群を黒三角で表わしている。腫瘍発生率は、対照群と比較して、
低用量および高用量のグルコラファニンを摂取した動物ではそれぞれ25%および35%
低下した。
【図10】スルフォラファンの食餌投与を受けている高危険度マウスでの腫瘍多重度(マ
ウス当たりの腫瘍の数)を示すグラフである。対照群を黒丸で表わし、低用量群を黒四角
で表わし、高用量群を黒三角で表わしている。腫瘍多重度は、対照群と比較してそれぞれ
47%および72%低下した。
【図11】スルフォラファンの食餌投与を受けている高危険度マウスでのマウス当たりの
腫瘍量(総腫瘍容積)を示すグラフである。対照群を黒丸で表わし、低用量群を黒四角で
表わし、高用量群を黒三角で表わしている。低用量および高用量の両方のグルコラファニ
ン処置は、対照群と比較してマウス当たりの総腫瘍容積の70%抑制を生じさせた。
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【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図5A】
【図5B−5C】
【図6A】
【図6B】
(27)
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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(28)
【図11】
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【国際調査報告】
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(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
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,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(74)代理人 100125380
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弁理士 中村 綾子
(74)代理人 100130960
弁理士 岡本 正之
(74)代理人 100125036
弁理士 深川 英里
(74)代理人 100142996
弁理士 森本 聡二
(72)発明者 タラレイ,ポール
アメリカ合衆国メリーランド州21210,ボルティモア,ボックスヒル・レイン 5512
(72)発明者 ディンコワ‐コストワ,アルベナ・ティー
アメリカ合衆国メリーランド州21212,ボルティモア,ダンバートン・ロード 127−エイ
Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 EA01 MA01 MA04 MA17 MA63 NA14 ZB26
4C088 AB15 AC05 BA23 NA14 ZB26
4C206 AA01 AA02 JA70 MA01 MA04 MA37 MA83 NA14 ZB26
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