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アスファルト舗装のライフサイクル

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アスファルト舗装のライフサイクル
アスファルト舗装のライフサイクル
NIPPOコーポレーションの主力事業であるアスファルト舗装のライフサイクルをご紹介します。
アスファルト舗装とは
アスファルト舗装のリサイクル
道路舗装には大きく分けてアスファルト舗装とコンクリ
舗装は長年の交通荷重で損傷し、修繕が必要になり
ート舗装の2種類があります。当社の主力事業はアスファ
ます。その際に出るアスファルト廃材は、
ほぼ100%が骨材
ルト舗装で、
これは砕石と砂に原油から製造されるアスフ
や路盤材*に再生利用されています。再生骨材の製造に
ァルトを加熱混合したアスファルト合材(アスファルト混合物)
必要なエネルギーは新たに骨材を製造する場合とほとん
を路面に均一に敷きならし、
締め固める舗装方法です。
ど変わらないため、再生骨材を使用することによって、採
骨材採取場、
製油所
アスファルト合材工場
砕石・砂を採取
製造
合材工場
輸送
輸送
砕石工場
採石場跡地
骨材となる砕石と砂は、砕石工場や砂採取場で製造さ
れます
(なお、
採取した跡地は造成し、
植林などを行います)。
アスファルトを製造
製油所
アスファルト合材工場のプラントで、骨材(砕石・砂)
とア
スファルトを決まった割合で150∼180℃に加熱しながら
混合し、
アスファルト合材を製造します。
破砕
合材工場の破砕プラント
蓄積されたアスファルトがら
アスファルトは、原油を製油所で精製し、
ガソリン・灯油・
軽油・重油などの石油製品を製造した残りの部分を原料
としてつくります。
5
破砕プラントで細かく砕き、骨材や路盤材として再生利
用します。
ラ
イ
フ
サ
イ
ク
ル
アスファルト合材製造数量と再生合材比率の推移
(千トン)
15,000
再生合材
石場からの原料輸送に伴うCO2排出量が削減できます。
当社は1976年にアスファルト廃材の再生技術を確立し、
他社に先駆けて事業化しました。アスファルト合材に占め
(%)
100
12,000
3,850
9,000
68.0
3,852
69.1
新規合材
再生合材比率
3,481
3,066
2,911
72.3
74.8
75.2
2,633
77.4
80
60
る再生アスファルト合材の割合は年々増えており、
2004年
度は、
再生合材比率が77.4%になりました。
6,000
* 路盤材:アスファルト舗装の基礎に使用する材料で、主に砕石。
3,000
40
8,166
8,601
9,095
9,118
8,824
9,025
20
0
1999
2000
2001
2002
2003
0
2004(年度)
道路(舗装現場)
供用
施工
アスファルトフィニッシャでの敷きならし
アスファルト合材をアスファルトフィニッシャで均一に敷き、
ローラーで締め固めるとアスファルト舗装が完成します。
ア
ス
フ
ァ
ル
ト
舗
装
の
解体
完成した道路
工事が完成し、道路の供用が始まります。毎日たくさんの
トラックや乗用車などが通行します。
損傷
アスファルト舗装を切削
輸送
わだち掘れ
ひび割れ
損傷した路面はやがて補修する必要が生じます。補修の
際は破損したアスファルト舗装を取り壊し、アスファルト
合材工場の破砕プラントに運びます。
長年にわたって供用された路面は、交通荷重によって徐々
に疲労し、やがて「わだち掘れ」や「ひび割れ」などの損
傷が発生します。
NIPPO Environmental Report 2005
6
舗装工程での取り組み
アスファルト合材の製造、輸送、舗装、廃棄の各段階で環境負荷の低減に取り組んでいます。
アスファルト合材工場の環境配慮
ています。都市ガスは159工場中7工場(2004年度年間
エネルギー使用量の11.6%)で、灯油は159工場中21工
アスファルト合材工場では、
アスファルト合材製造プラン
場(同19.9%)
で採用しています。省エネルギー型設備や
トや破砕プラントなどの機械設備を備え、化石燃料や電
機器の導入、
アスファルト合材製造時の省エネルギー運
力をエネルギーとして使用しています。そのため、
十分な
転などによる燃費削減も進めています。
対策を行わなければ大気汚染(SOx、
NOx、
ばいじん、
粉
加熱混合温度を
また、
エコファイン*を積極的に採用し、
加熱したアスファルトによる悪臭、
廃棄物など
じん)、
CO2、
通常より約30℃低くすることにより、CO 2排出量の削減に
さまざまな環境負荷を発生させることになります。
努めています。
* エコファイン(中温化混合物)は、従来よりも約30℃低い温度で製造・舗
■
装できるアスファルト混合物で、
フォームセットという特殊添加剤を使用し
大気汚染の防止
ています。品質や施工性は従来と変わりません。製造温度が低いためエ
大気汚染を防止するため、
全アスファルト合材工場(159
ネルギー使用量が減り、CO2排出量を約15%削減できます。
ヵ所)
で、
SOx、
NOx、
ばいじんの排出量を定期的に測定・
燃料使用によるCO2排出量の推移
監視しています。
種 類
また、
法令の基準値より高い能力を持つ集じん機を採
用してばいじんの発生を抑え、
密閉型骨材貯蔵サイロや
2003年度
2004年度
279,674トン
271,297トン
都市ガス
(年間エネルギー使用量比)
11.3%
11.6%
灯油(年間エネルギー使用量比)
16.2%
19.9%
CO2
防じんカバー付ベルトコンベアーを採用し、
粉じんの発生
を防いでいます。散水装置やダストバスターなどの粉じん
輸送工程での環境配慮
抑制機器の採用も推進しています。
アスファルト合材工場からの大気汚染物質排出量
種 類
(単位:
トン)
2003年度
2004年度
窒素酸化物(NOx)
165.5
154.4
硫黄酸化物(SOx)
488.2
286.8
ばいじん
385.8
356.7
主要24工場で測定した実績値データをもとに全159工場の排出量を推計しました。
輸送工程での主な環境負荷は、
トラックなどの燃料消
費によるCO2の排出です。アスファルト合材のライフサイク
ル全体のコストは半分以上を運送コストが占めており、
そ
れだけ環境負荷も大きいと考えています。
骨材の運搬にはダンプトラックを使用しますが、CO2排
■
悪臭対策
出量抑制のために、
モーダルシフト
(陸上輸送から海上
高温のアスファルトから発生する悪臭による公害を防ぐ
輸送への切り替え)
を推進しています。2004年度は、搬
ため、
都市部にある主な合材工場9ヵ所に脱臭炉を整備
入する骨材のうち約24万トンを船で運びました。
しています。
また、
部分的な悪臭対策として、
消臭剤を使
また、
ダンプトラックの使用に際しては、
アイドリングストッ
った抑制機器を導入しています。
プなど沿道環境に配慮した運転に努めています。
■
CO2排出量の削減
2004年度のアスファルト合材工場からの使用燃料(都
全159工場合
市ガス、
灯油、
A重油)
によるCO2排出量は、
計で271,297トン−CO2/年でした。
アスファルト合材の加熱
CO 2排出量を削減するため、
装置の燃料を、環境負荷の大きい従来のA重油から都
市ガスや灯油などの環境負荷の小さい燃料に切り替え
7
合材工場の海上ホッパーによる荷役
舗装現場での環境配慮
工事現場からの産業廃棄物排出量
種 類
2003年度
2004年度
アスファルトがら
676,723トン
506,634トン
施工・解体工程での主な環境負荷は、粉じんによる大
コンクリートがら
159,161トン
158,597トン
6,529m3
10,814m3
産業廃棄物の排出、
騒音です。
気汚染、
CO2の排出、
廃油
木材
52キロリットル
5,709m3
4,931m3
廃プラスチック
2,332トン
1,325トン
スラッジ
■
騒音・大気汚染対策
金属くず
舗装作業用機械を排出ガス対策型・低騒音型に順次
切り替えています。当社保有機械の中で、
対策型機械へ
の更新や古い機械を処分することにより、
アスファルトフィ
ニッシャーとローラーについては排出ガス規制の対象とな
る280台の72%
(201台)
を排出ガス対策型に、
騒音規制
240キロリットル
汚泥
ガラス・陶磁器
廃白土
保温くず
サンドブラスト
混合廃棄物
最終処分率
427トン
−
−
−
−
−
−
−
220トン
14,911トン
1,301トン
54m3
74m3
507トン
12,224m3
4.8%
* 舗装以外の土木・建築・設備工事などによる産業廃棄物の排出量も含まれています。
* 最終処分率=最終処分場処分量/産業廃棄物全排出量×100
建設廃棄物処理ガイドラインなどを参考に、重量(トン)換算して算出しました。
廃棄物焼却後の残さ率については、廃棄物ごとに一定の残さ率を使用しました。
の対象となる434台の65%
(282台)
を低騒音型に切り替
えました。今後も順次切り替えていきます。排出ガス対策型・
循環型社会に向けたリサイクルへの取り組み
低騒音型機械は主に規制対象地域で使用していますが、
規制対象地域外でもできるだけ地域住民の方々に配慮し、
建設廃棄物を再資源化するため、
産業廃棄物の中間
排出ガス対策型・低騒音型機械を使用しています。
処理を行い、
社外からも建設廃棄物を受け入れています。
これは、
循環型社会構築に向けた社会的ニーズの高まり
施工機械保有台数と排出ガス対策型・低騒音型機械の実績
2003年度
保有台数 対策型台数
2004年度
実施率
保有台数 対策型台数
実施率
排出ガス対策型機械
336台
202台
60%
280台
201台
72%
低騒音型機械
500台
264台
53%
434台
282台
65%
に応える事業です。
1976年に建設省(現国土交通省)の助成を受けてア
スファルト
・コンクリート廃材のリサイクル実用化研究に着手。
その技術を確立し、
全国展開しました。
■
CO2排出量の削減
2005年現在、
全国118ヵ所の合材工場でアスファルト・
従来よりも低温でアスファルト合材を製造できるエコファ
コンクリートの廃材、
44ヵ所の合材工場でコンクリート廃材
インの使用、
アイドリングストップの推進といった取り組みを
の受け入れおよび処理ができます。また、155ヵ所の合材
また、
電気の使用量
行い、
CO2排出量を削減しています。
工場で再生骨材を原料としたアスファルト合材や路盤材
を減らすために、
事務所における昼休みの消灯やパソコ
を製造・販売しています。
ンの電源を切るなどの省エネルギー対策を実施しています。
産業廃棄物の受け入れ・使用実績
種 類
■
産業廃棄物の排出管理
工事で発生する産業廃棄物の排出量を種類別に把握・
(単位:万トン)
2003年度
2004年度
アスファルトがら受入量
451
444
コンクリートがら受入量
70
72
再生骨材として自社利用した量
299
312
再生路盤材として販売した量
225
226
管理し、
また再資源化を図ることで、産業廃棄物(アスフ
ァルト・コンクリートなどのがれき類)排出量に占める最終
また、
溶融炉メーカーや自治体などの要請に応え、
ごみ
処分量の割合を削減するよう努めています。
やごみ焼却灰を溶融処理し、安定化・無害化した後、道
2004年度より新たに6種類の産業廃棄物の排出物管
路舗装材などに利用する研究を1981年に開始しました。
理を開始しました。
安全性が確認され、品質基準が満たされたごみやごみ
焼却灰は合材工場で受け入れ、
アスファルト合材や路盤
材などの原料に使用しています。
NIPPO Environmental Report 2005
8
環境・安全に配慮した製品
新しい舗装工法や環境・安全に配慮した製品を開発し、地球環境や地域環境の保全、改善を図っています。
上野公園での施工例とサーモグラフ
路面温度の上昇を抑え
ヒートアイランド現象を緩和
■
通常写真
サーモグラフ
クールパービアス―熱を遮り温度上昇を抑える
クールパービアス
(遮熱排水性舗装)
は、排水性舗装
の表面にパーフェクトクールという、赤外線を反射する特
殊塗料を混ぜた樹脂を散布した舗装工法です。水はけ
がよく騒音が少ないという排水性舗装の特長に加え、路
面温度の上昇を抑える機能を持ち、
通常のアスファルト舗
「上:クールパービアス 下:一般舗装」
上野公園で一般舗装とクールパービアスの表面温度状況を観察しました。一
般舗装が約59℃に対してクールパービアスは約44℃となり、路面温度の上昇を
約15℃抑えました。
装に比べ路面温度の上昇を最大で約20℃
(灰色の樹脂
を散布した場合)下げます。
これは、表面の樹脂層が赤外線を効果的に反射して
雨水を地下に浸透させ、
都市型洪水を抑制
太陽光を適度に散乱させるためです。この工法は、
国土
交通省関東地方整備局が推進する「環境舗装東京プ
■
アクアパービアス―雨水を地下に通す舗装
ロジェクト」で、
ヒートアイ
アクアパービアス
(車道透水性舗装)
は、
雨水を地下に
ランド対策に有効な舗
浸透させる舗装です。従来、雨水を通す透水性舗装は
装技術の一つとして検
歩道や生活道路などにしか使えませんでしたが、
舗装材
討されています。
料の耐久性を向上させ、
車道への適用を実現しました。
2
(* 12,814m )
アクアパービアスは、1日当たり少なくとも36mmの雨水
を舗装の中にためる能力を持ちます。雨水の地下浸透
長岡京市での施工例
により、
下水処理施設への負荷低減、
地下水涵養、
街路
■
クールポリシール
樹保護、騒音低減などの環境保全効果が見込めます。
―打ち水効果で路面温度を下げる
雨天の水はねを防ぎ、
ハイドロプレーニング現象を抑制す
クールポリシール
(保水性舗装)
は、
空気のすき間がた
るなど、
車輌走行時の安全性向上にも役立ちます。
フィル
くさんあるアスファルト合材を使い、
そのすき間部分にクー
ター層の原料には、焼
ルグラウトという保水材料を詰めた舗装工法です。降雨
却灰の溶融スラグなど
や散水により舗装に浸透した水を蓄え、
水が蒸発する際
のリサイクル材も使えま
の気化熱による打ち水効果で路面温度を下げます。クー
す。
(* 6,684m2)
ルポリシールを採用すると、
通常のアスファルト舗装と比べ、
路面温度が最大約15℃下がることが分かっています。
また、
2
(舗装厚5cmの場合)
保水量が1m 当たり最大約6リットル
と保水力が高いうえ、
そ
の水を保持する力も優
れています。
(* 4,436m2)
横浜市藤棚商店街での施工例
9
愛知万博へのアクセス道路での施工例
針葉樹皮のやさしさを園路・グラウンドに
■
パーフェクトシーダー
■
パーフェクトクレイC&C
―クッション性のある園路舗装
―天然繊維が入ったグラウンド舗装
パーフェクトシーダー(樹皮
パーフェクトクレイC&C(樹
乳剤舗装)は、
スギやヒノキの
皮繊維クレイ舗装)は、
スギや
樹皮を繊維にした木質系材
ヒノキの樹皮を繊維にして抗菌・
料(シーダー材)
に砂とアスファ
防腐処理し、
土と混ぜたものを
ルト乳剤を混ぜた木質系混合
針葉樹皮を利用した「シーダー材」
原料にした舗装工法です。
樹皮繊維による「C&C素材」
物を使った舗装工法です。捨てられることの多い針葉樹
針葉樹皮を利用した原料は有機分が豊富で土壌改
の皮を有効に利用することで、
廃棄物の削減に貢献して
良効果があります。樹皮を嫌気自己加熱処理(低酸素
います。針葉樹皮の自然な色合いにより、周辺環境との
状態で発熱・炭化させ、繊維質を残して分解速度を遅く
調和も図りました。
する処理方法)するため、
もともと腐食しにくい樹皮がさら
素材の特性としてクッション性があり、
ころんでもけがを
に腐食しにくくなり、
土壌改良効果が長続きします。
しにくく、
天然芝のような心地よい歩行感があります。園路
樹皮繊維の保水効果によりほこりがたちにくく、
針葉樹
や遊歩道、
ジョギングコースなどの舗装に適しており、公
皮の抗菌作用で雑草が生えにくくなる特長があります。
園などで採用されています。この工法は、1998年に建設
雨水がすぐに地下浸透するので、
校庭に採用すれば、
降
省(現国土交通省)から「木質
雨後もすぐに使用できます。
系材料を活用した舗装工法の
現地の土をそのまま原料とし
開発」に関する評価書を受け
て利用できるので経済的なこ
ました。
(* 4,209m2)
宇都宮農林公園での施工例
とも特長です。
(* 61,968m2)
岐阜県川辺町児童園
ランブルストリップス―対面交通事故を防止
ミックスラガ―廃ガラスを再資源化
ランブルストリップス
(切削型注意喚起舗装)
ミックスラガ
(ガラス再資源化ブロック・タイル)
は路上の溝が車線逸脱を知らせる注意喚起
は空きびんや廃ガラスを原料の70%使用した
舗装の一つです。ほかの衝突防止対策に比
焼成ブロック・タイルです。低温で焼成できるた
べて設置費用が安く、維持費用もほとんどか
め従来のブロックより生産時のエネルギーを削
からないのが特長です。
(* 129,509m)
減 できます 。
( エコマ ーク 認 定 番 号:第
常磐自動車道での施工例
04109042号、04109043号)
歩道での施工例
(* 200m2)
ニューランソフトブロック―廃タイヤを再資源化
テフィックス―粉じんの発生を防ぐ
ニューランソフトブロック(廃タイヤ利用弾性ブロック)は、
リサイクルラバ
テフィックス(テフロン® 処理防塵固化材)はセメントや石灰などをテフロ
ーと廃タイヤ粉末を原料に使った弾性ブロッ
ン® 樹脂で加工した土質安定材です。施工時に粉じんが発生しにくく、作
クです。高機能で安全性が高く、快適な歩き
業現場周辺の環境
心地と歩行空間を実現します。
保全や作業環境の
改善に貢献します。
(エコマーク認定番号:第96022005号)
(* 971m2)
(* 106,887m2)
歩道橋での施工例
通常セメントの発塵状況
テフィックスの防塵状況
* 2004年度施工実績
NIPPO Environmental Report 2005
10
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