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優れた提案を生かすには 「自己紹介の基本形」を身に付ける 売れる

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優れた提案を生かすには 「自己紹介の基本形」を身に付ける 売れる
売れる!ビジネスコミュニケーション<第5回>
「プレゼンテーション・スキル」を磨く
株式会社
話し方研究所
代表取締役
福田
健
優れた提案を生かすには
「トムソーヤの冒険」の作者、マーク・トウェインは、
「 ど ん な に 優 れ た ア イ デ ア マ ン も 、ア イ デ ア が 認 め ら れ な い う ち は 、単 な る 変
人に過ぎない」
と 、言 っ て い る 。ど ん な に 発 想 や ア イ デ ア が す ば ら し く て も 、他 人 に 伝 え 、評
価 さ れ な け れ ば 、自 己 満 足 で し か な い 。誰 に も 評 価 さ れ な い よ う な ア イ デ ア を 事
業化しても、成功はままならないだろう。
「これはいける」
「成功間違いない」
そう思っても、その提案を評価するのは自分ではなく他人なのだ。
「プレゼンテーション・スキル」を磨く必要はここにある。
「自己紹介の基本形」を身に付ける
プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン( 以 下「 プ レ ゼ ン 」と 略 す 。)は 、
「人前での説得を目的に
し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」だ 。そ の ス キ ル の 基 本 は 、ス ピ ー チ の 心 得 の 一 つ で あ
る「自己紹介の基本型」に大半が盛り込まれている。
1
国民生活事業
自己紹介の基本形
①
挨拶
②
フルネーム
③
本題
④
再度の名乗り
⑤
挨拶
プ レ ゼ ン を 上 達 さ せ る に は 、こ の「 自 己 紹 介 の 基 本 型 」を マ ス タ ー す る こ と か
ら ス タ ー ト す る の が 早 道 で あ る 。プ レ ゼ ン 用 の ビ ジ ュ ア ル・ツ ー ル の 使 い 方 以 前
に 、大 切 な こ と で あ る 。な ぜ な ら 、こ の「 自 己 紹 介 の 基 本 型 」に は 、人 前 で 話 す
際に重要なポイントが含まれているからである。では、順番に説明していこう。
①
挨拶
慌 て て 、 い き な り 喋 り 出 す の で な く 、「 こ ん に ち は 」「 こ ん ば ん は 」「 よ ろ し く
お願いします」などの挨拶から始める。必ず、そうすることを心掛けて欲しい。
そして、さらに、挨拶の前後に「間」をとることを忘れてはならない。
挨拶する前に、2~3秒「間」をとり、聴衆(聞き手)全体を見渡す。
聴 衆 を 見 る の が 恐 い と い う 人 が い る が 、見 な い か ら 余 計 恐 く 感 じ て し ま う の で
あ る 。 全 体 に 目 を 配 り 、 深 呼 吸 を す る こ と で 、 か え っ て 気 持 ち が 落 ち 着 き 、「 あ
がり」が収まる。
挨 拶 し た 後 も 同 じ よ う に「 間 」を と る 。こ れ は 、聴 衆 の 反 応 を つ か む た め に す
るものである。
場 数 を 踏 む こ と で 、 聴 衆 が 、「 さ て 、 ど ん な 提 案 か 」 と い う 興 味 深 そ う な 表 情
を し て い る の か 、そ れ と も「 た い し て 期 待 で き な い 」と い う し ら け た 表 情 を し て
いるのかがわかり、状況に応じて話し方を工夫することができるようになる。
②
フルネームで名乗る
製薬会社に勤めていた人が、
あ ん た ええおっと
「 安 田 英 夫 と 言 い ま す 。安 田 英 夫 と 、私 は 言 っ て い る ん で す が 、妻 は『 あ ん
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国民生活事業
たひでえ夫』と、言っています」
こ ん な 話 を し た 。笑 い が 起 こ り 、瞬 時 に 聴 衆 を 惹 き つ け 、親 し み を 持 っ て も ら
えた。
姓 だ け で は な く 、フ ル ネ ー ム で 名 乗 り 、さ ら に 、彼 の よ う に ち ょ っ と し た 工 夫
をすることで、親近感がわき、以後の話を聞いてもらいやすくなる。
③
本題は絞り込む
せ っ か く の チ ャ ン ス と ば か り に 、プ レ ゼ ン の 場 で あ れ も こ れ も 盛 り 込 ん で 、喋
り ま く る 人 が い る 。そ う な る と 結 局 は 、時 間 内 に 話 し き れ ず 、ま た 、焦 点 も ぼ け
てしまい、失敗に終わる。
2 0 分 の プ レ ゼ ン に 、パ ワ ー ポ イ ン ト の ス ラ イ ド を 2 5 枚 も 用 意 し た 人 が い た 。
聴衆は次々にスライドを見せられたものの、何も印象に残らない結果になった。
仮 に 2 0 分 の プ レ ゼ ン な ら 多 く て 5 枚 。後 は ポ イ ン ト を 絞 っ て 自 分 の 話 で 聴 衆 に
訴えていくことだ。
④
再度の名乗り
プ レ ゼ ン の 終 わ り に 、「 話 し 方 研 究 所 の 福 田 で す 」 と 、 確 認 の た め 再 度 名 乗 る
ことも大切だ。
人 は 聞 い た こ と を す ぐ 忘 れ る 。 ま た 、 聞 き 漏 ら す こ と も 多 々 あ る 。 後 で 、「 言
った」
「 言 わ な い 」な ど が 生 ず る の は そ の た め だ 。
「 再 度 の 名 乗 り 」の 他 に も 、聞
き 手 の 記 憶 に 残 し た い「 キ ー ワ ー ド 」は 、プ レ ゼ ン の 終 わ り に 繰 り 返 し 言 っ て お
くこと。
⑤
挨拶
プレゼンの終わりの挨拶は、
「 本 日 は 貴 重 な お 時 間 を い た だ き 、あ り が と う ご ざ い ま し た 。よ ろ し く ご 検 討
下さい」
と 、丁 寧 に 、キ チ ン と 挨 拶 を す べ き で あ る 。本 題 を 話 し 終 え る と 、ほ っ と し て
手を抜いてしまいがちなので注意しよう。
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国民生活事業
事前準備のポイント
わ か り や す い プ レ ゼ ン を す る た め に は 、内 容 を 十 分 に 整 理 し て 、順 序 よ く 話 せ
るように事前に準備しておくことが大切だ。
以 下 に 、事 前 準 備 の ポ イ ン ト を 整 理 し た の で 、話 し 始 め る 前 に 確 認 し て い た だ
きたい。
① 最 初 にアウトラインを提 示 する
「 お 話 し す る こ と が 3 つ あ り ま す 。 第 1 は こ れ 、 第 2 は ・・・・・・」
と、最初にアウトラインを提示すると、聞く側も全体の見通しが立ち、理解
しやすくなる。
② 長 々と前 置 きをしない
「『 組 織 活 性 化 の 処 方 箋 』 の 提 案 」 と い う タ イ ト ル で の プ レ ゼ ン で 、日 産 の 社
長、カルロス・ゴーンの日産再生についてのエピソードを長々と喋った人がい
た。30分のプレゼンのうち、前置きに10分も時間がかかった。30分なら
前置きは、1分~1分30秒程度、すなわち5%が限度である。
③
言 い訳 をしない
「 話 し ベ タ で し て … 」「 わ た し の よ う な 若 輩 者 が … 」 な ど の 言 い 訳 は 、 禁 句 に
しよう。
④ 例 話 や図 表 を使 い、視 覚 に訴 える
実例、エピソード、例話や図表などを使い、具体的にイメージが浮かぶよう
に話すと、わかりやすいだけでなく、共感がわき、聞き手の心を動かす結果に
もなる。
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国民生活事業
⑤ 山 場 を強 調 するため、表 現 を工 夫 する
淡々と話すだけでは、単調で飽きがくる。
ポイントをクローズアップして強調したり、良い例と悪い例を対比して、差
を浮き彫りにしたりするなど、表現を工夫しよう。
「プレゼン・スキル」は磨けば光る
ア ッ プ ル の 創 業 者 、ス テ ィ ー ブ・ジ ョ ブ ズ は プ レ ゼ ン の 天 才 だ っ た 。手 に 何 も
持たず、あたかも何の準備もしていないかのような印象を聴衆に与えながらも、
自在に話を展開した。製品を知りつくしていたからこそなせる技であろう。
ジ ョ ブ ズ の よ う な 天 才 の プ レ ゼ ン を 真 似 よ う と し て も 、同 じ こ と は で き な い か
もしれないが、プレゼンはスキルを磨くことで、誰でも上達するものである。
今回のテーマのまとめとして、次の「プレゼン・スキルチェックリスト」で、
あ な た の「 プ レ ゼ ン ・ス キ ル 」の 現 状 を チ ェ ッ ク し て み よ う 。そ し て 、点 数 が 低
か っ た 項 目 か ら 順 番 に 見 直 し 、「 プ レ ゼ ン ・ ス キ ル 」 を 高 め て い っ て い た だ き た
い。
5
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プレゼン・スキル チェックリスト
5点 4点 3点 2点 1点
1.
なんのためのプレゼンテーションか、目的を明確にしたか
2.
主題を十分検討し、一言で表現できるようにしたか
3.
内容を整理して、順序良く配列したか
4.
最初にアウトラインを提示したか
5.
余計な前置き、言い訳をしなかったか
6.
材料の盛り込みすぎ、あれもこれもと欲張っていないか
7.
例話や図表を使い、視覚に訴える努力をしたか
8.
山場を強調するため、対比・拡大・反復などの工夫をしたか
9.
聞き手の反応を確かめながら話したか
10.
声にメリハリがきいていたか
※ 1から10までの合計点
点
合計点 50点~40点 優秀 39点~30点 まずまず
29点~25点 もう一歩
24点以下 改善を要す 6
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