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持続可能な社会づくりに貢献する テイジンの先端ソリューション
1 特集 社会課題の解決へ̶̶ 社会との価値共有 持続可能な社会づくりに貢献する テイジンの先端ソリューション 経済・社会の発展や人口構造の変化に伴って、 環境・エネルギー、 医療・健康、 安心・安全など、 あらゆる分野で多様な社会課題が生じており、 「持続可能 (サステナブル) な社会」 の実現に向けた取り組みが求められています。 帝人グループはグローバルに事業を展開する企業の責任として、 技術革新を核に、 社会課題の解決に資するべく、 「モビリティ」 「情報・エレクトロニクス」 「ライフプロテクション」 「環境・エネルギー」 「ヘルスケア」 の5つを注力分野と 設定。長年にわたり培った技術に立脚する先端ソリューションの提供を通じて、 お客様や市場の要請に応えるのみならず、 これからの社会を支える新たな価値の創出を目指しています。 ライフ プロテクション モビリティ 分野で 分野で CO2排出量削減に貢献 ▶ 地球環境 との共生 P10 環境・エネルギー 分野で 循環型社会を実現 ▶ 9 TEIJIN CSR Report 2014 P13 人やインフラの安全を確保 より豊かな 暮らし 情報・ エレクトロニクス ▶ P12 いのちを 守り、支える 分野で ヘルスケア リチウムイオン電池の品質を向上 分野で ▶ P11 人々のQOLを向上 ▶ P14 Solution 1 モビリティ分野 新CFRPによる車体軽量化がもたらすCO2排出量削減 新しいCFRPでボディ部の重量を約5分の1に そこで現在、安全性を保ちながら車体を大幅に軽くでき モータリゼーションが世界的に拡大する中、自動車業界 る新しいCFRPが注目を集めています。CFRPは、鉄の約4 では燃費改善によるCO2排出量の削減や省エネ化が重要 分の1の軽さと10倍の強さを併せ持つ炭素繊維と、合成 なテーマとなっています。そのカギとなるのがボディの軽 樹脂との複合材料です。帝人グループでは、2011年に成 量化です。自動車の中で最大重量を占めるボディの軽量化 形性能を向上させた熱可塑性CFRPを使用して4人乗りコ を実現できれば、エンジンやトランスミッション、他の部品 ンセプトカーを製作しました。金属を極限まで削減して作 も小さく軽くすることができ、自動車全体が軽量化して燃 られたこの車体の骨格重量は47kgと、大人が2人で持ち 費向上につながるからです。 上げられる軽さ。従来の鉄製の骨格に比べ、重量は約5分 の1となっています。 今後、 この軽量かつ強いボディを世界中の量産車に拡大 していくことで、モビリティ分野のさらなる発展はもちろ ん、エネルギー消費量やCO 2 排出量の削減に貢献してい きます。 CFRPを使ったコンセプトカーの車体骨格 自動車のライフサイクルと CFRP利用によるCO2削減効果 (炭素繊維協会モデル) 20.2t CFRP17% 適用車CO 2排出量 0.8t 5.1t 立て み 組 原 料・ CFRP 造 製 材 素 3.9t CFRP17% 適用車 CFRP 従来車CO 2排出量 従来車 重さ 30% 減 0.3t 鉄 1.2t (10年間) 行 走行・運 廃棄 26.0t 0.3t CO2削減 効果は 10年間で、 -5 トン 算出条件は以下のとおり。 車体重量:1,380kg (ガソリン車、4ドア、FF/出典:自動車工業会) 、実走行燃費:9.8km/L (出典:自動車工業会) 、 生涯走行距離:9.4万km (平均使用年数10年/出典:国土交通省) TEIJIN CSR Report 2014 10 1 特集 社会課題の解決へ̶̶ 社会との価値共有 Solution 2 情報・エレクトロニクス分野 リチウムイオン電池の品質向上で、幅広い産業分野に貢献 世界初のコーティング技術で 250℃の熱を加えても形状を維持できるため、LIBの異常 高出力化と長寿命化を実現 発熱を防止し、安全性を高めることができます。一方、 フッ リチウムイオン電池 (LIB) は、充電を繰り返すことで長期 素系化合物をコーティングした 「LIELSORT」 は、電極とセパ 間使用できる上、小さな容積で高い電力供給能力を発揮す レータを密着させる接着特性を有し、 ラミネート型LIBの長 ることから、 スマートフォンやタブレットPCから電気自動車、 寿命化に貢献します。この 「LIELSORT」 の提供を通じて、長 航空機に至るまで、幅広く利用されています。また、用途拡 寿命で安全、 高性能なものづくりに貢献していきます。 大に伴い、さらなる高出力化や長寿命化を求める声が高 まっています。 帝人 (株) では、LIBの正極と負極を隔絶するセパレータと 呼ばれる部品を提供しています。中でも 「LIELSORT (リエ ルソート) 」 は、LIBの性能を飛躍的に向上させる革新的なセ パレータです。世界で初めてポリエチレン基材にメタ系ア ラミドやフッ素系化合物をコーティングし、従来に比べて 20%程度の高出力化と数倍におよぶ長寿命化を実現。加 えて、 メタ系アラミドをコーティングした 「LIELSORT」 は 20 「LIELSORT」 従来のリチウムイオン電池よりも 出力 約 従来のリチウムイオン電池 セパレータ 「LIELSORT」 を使用した リチウムイオン電池 11 TEIJIN CSR Report 2014 % 向上 充電回数が少なく 電池が長持ち Solution 3 ライフプロテクション分野 アラミド繊維素材で、人や社会インフラの安全をサポート 高度な防炎性と難燃性で人々の安全を確保 コンクリート構造物の補強材として防災に貢献 仕事や暮らしにおける安心・安全への意識が高まる中、災 日本では、1960年代を中心とする高度経済成長期に道 害現場や危険性の高い作業現場で働く人々の身体を守るた 路や橋脚などの社会インフラが大量に整備されました。半 めに、 帝人 (株) のメタ系アラミド繊維 「コーネックス」 が活躍し 世紀を経た今、それらの老朽化対策が大きな社会課題とし ています。 「コーネックス」 は高い防炎性や難燃性を有する高 て浮上しています。また、地震をはじめとする防災の観点か 機能繊維で、炎が燃え移ったり溶融して肌に付着したりする らも適切な維持管理・更新が求められています。 ことがなく、 遮熱性や耐薬品性にも優れています。 「コーネックス」 により開発した衣料は、帝人 (株) の独自技 帝人 (株) が開発したパラ系アラミド繊維 「テクノーラ」 は、 強度と弾性、寸法安定性に優れることから、 コンクリート構 術によって快適な着心地も 造物の劣化補修・補強用素 確保。消防服やレスキュー隊 材や地盤の補強製品として の救助服をはじめ、 電気工事 広く使用されています。防 や化学工場、 ガソリンスタン 護衣料やタイヤの補強材に ドなどのユニフォームとし も使われており、身の回り て、 さまざまな現場における の至るところで事故や災害 安心・安全を支えています。 400 「コーネックス」 から人々を守っています。 「テクノーラ」 「コーネックス」 まで耐える耐熱性を利用して ℃ 消防服で活躍 8 3 「テクノーラ」 強度は スチールの ポリエステル、 ナイロンの 倍 倍 橋脚補強に活用 TEIJIN CSR Report 2014 12 1 特集 社会課題の解決へ̶̶ 社会との価値共有 Solution 4 環境・エネルギー分野 循環型社会を実現する技術・システムとバイオプラスチック ポリエステルを何度でも再生できる 「エコサークル」 バイオプラスチックの課題を克服した 「バイオフロント」 新興国においては、経済発展に伴う廃棄物の増加が大きな 資源枯渇への対応や温室効果ガスの排出抑制が世界的 社会課題となっています。帝人グループは早くから石油資源 な重要課題となる中、 石油を原料とするプラスチックの代替 や水資源の再生・循環を実現するリサイクル技術の開発に 素材として期待されているのが、 植物を原料とするバイオプ 取り組んできました。その代表例が、世界初のポリエステルの ラスチックです。 しかし、 従来のバイオプラスチックは石油由 ケミカルリサイクル技術。 来のプラスチックに比べて耐熱性、 耐加水分解性、 成形性が この技術を生かした 「エコサークル」 は、 ポリエステル製品の 劣るため、 用途が限られるという課題がありました。 回収から再生、 再製品化までを実現する循環型リサイクルシ 帝人 (株) は、 これらの弱点を克服した 「バイオフロント」 を ステムです。 これによりポリエステル製品を、 品質を落とすこと 開発。融点210℃という耐熱性を実現したほか、 十分な耐加 なく何度でも再生することができま 水分解性や成形性も確保し、 幅広い用途 す。2002年に展開を開始し、現在で への適用が可能になりました。自動車や は世界150以上のパートナー企業と 電気電子、 アパレルなど耐久性が要求さ の共同プロジェクトに発展。多くの国 れる分野や、医療や土木建築、オイル で石油資源の使用抑制、 廃棄物削減 フィールド (シェールガスなどの採掘) の に寄与しています。 分野での展開も期待されています。 CO2 H2O 廃棄 4. 集める 植物 バイオプラスチックの ライフサイクル エコサークル 3. 使用 「バイオフロント」 1. 資源 2. 製品化 最終製品 バイオプラスチック 「バイオフロント」 は 耐熱温度 150 パートナー企業は世界で 13 TEIJIN CSR Report 2014 社以上 210°c を実現 アイロンの温度 180~190°c Solution 5 ヘルスケア分野 社会・生活の変化を捉えながら、患者さんのQOL※向上に貢献 ※ QOL:Quality of Lifeの略。 40年ぶりの新薬で世界的な現代病に対応 患者さんの視点で酸素濃縮装置を開発・改良 食生活や社会環境の変化に伴って 「高尿酸血症」 を発症す 現在、 慢性呼吸不全の治療法として自宅で酸素吸入を行う る人が増えており、 国内の潜在患者数は1,600万人にのぼる 在宅酸素療法 (HOT) の利用者数は、 国内でおよそ15万人と と推定されています。 この病気は、 痛風や尿路結石の原因と いわれています。 なるだけでなく、腎臓機能の低下にもつながります。さらに HOT用の酸素濃縮装置を提供している帝人ファーマ (株) 最近では、高血圧や糖尿病などさまざまな疾患との関連性 では、 患者さんのQOL向上を目指し、 ニーズやライフスタイ も報告されています。 ルの変化に合わせたサービス、 製品などを開発・改良していま 2011年に帝人ファーマ (株) が製造販売承認を取得した す。例えば、 利用者のほとんどが高齢者であるため、 表示パネ 「フェブリク錠」 は、 世界で約40年ぶりに新薬として承認され ルの見やすさや操作性の向上、消費電力量の削減などを図 た尿酸下降薬であり 「高尿酸血症・痛風」 に適応。1日1回の服 り、携帯しやすい小型・軽量・静音タイプを新たに開発しまし 薬で済むほか、 ある程度腎機能が低下した人でも服用できる た。 また、 装置の運転状況を24時間モニタリングし、 機器異常 ことなどから大きな注目を集めています。 や性能低下を早急に検知する仕組みを構築しています。 「ハイサンソポータブルα」 「フェブリク錠」 「フェブリク錠」 は 1日1回 の服薬で、尿酸値を 目標値まで低下 12 9 3 6 「ハイサンソ」 3S 多様なニーズに応える 10 「ハイサンソ」 シリーズは 種類 以上 30 カ国以上で 販売 展開地域110カ国以上へ TEIJIN CSR Report 2014 14