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3章 電子の配置と周期律

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3章 電子の配置と周期律
3章 電子の配置と周期律
3-1)水素型原子
エネルギー
自由電子状態
電子励起
E2
イオン化エネルギー
O殻
O殻 n=5
N殻 n=4
N殻
M殻 n=3
M殻
E1
水素原子
L殻 n=2
E2
励起された電子
が下の軌道に
落ち込むとき光
を出す
K殻 n=1
L殻
E2 – E1 = hν
図
3.1
E1
K殻
1
エネルギー
自由電子状態
18個
8個
O殻
3d軌道
N殻 3s軌道 3p軌道
5重縮退
M殻
n=3
L殻
n=2
2p軌道
2s軌道
3重縮退
n=1
2個
図
3.2
K殻
1s軌道
電子は一つの軌道に2個(上向き+下向きスピン)入る
2
n=3
3s軌道
Na, Mg
3p軌道
Al, Si, P, S, Cl, Ar
3d軌道、
5重縮退
遷移金属
n=2
M殻18電子
L殻8電子
2s軌道 2p軌道
3重縮退
Li, Be
B, C, N, O, F, Ne
n=1
H, He
1s軌道
K殻 2電子
図3.3
3
3-2)軌道の形
図3.5
p軌道
図3.4
s軌道
図3.6
d軌道
4
最も重要な電子の
軌道
y
y
s軌道
x
px軌道
py軌道
pz軌道
図3.7
第1~第
~第2周期元素
~第 周期元素 電子充填
O
Li Be
B
F
Ne
C
N
H He
1s軌道
軌道
2s軌道
軌道
3重縮退
重縮退
p軌道
5
表3.1 殻と含まれる軌道
n
K殻 1
L殻 2
M殻 3
N殻 4
副殻
s軌道
s軌道+p軌道(3個)
s軌道+p軌道+d軌道(5個)
s軌道+p軌道+d軌道+f軌道(7個)
主量子数:殻のエネルギーは主に
主量子数:殻のエネルギーは主に
nで決まる
軌道の形を決定する量子数:
方位量子数
方位量子数
ℓ: n-1 ・・・ 1
ℓ=0
s軌道
軌道
1
p軌道
軌道
2
d軌道
軌道
6
3-3)水素型原子の電子軌道と量子数
●エネルギーは、先ず、nにより決定される・・主量子数
水素型原子(電子が一個の原子)
E = –me4/8ε02n2h2
Y=Y=-(1/X2)の関数
●水素型原子の電子軌道の形: 主量子数+別の2量子数
軌道の大きさ・・・主量子数+方位量子数(ℓ)
nに対して ℓ = 0, 1, 2, 3,・・・(n-1)のn個あり、それぞれ
s, p, d, f軌道という
角度部分・・・方位量子数+磁気量子数(mℓ)
mℓ = 0, ±1, ±2, ・・・ ± ℓ の (2ℓ+1)個 ・・・ℓ=1(p軌道)で3個
ℓ=2(d軌道)で5個
●電子の自転 2種類のスピン スピン量子数 +1/2↑と -1/2↓
以上、4種の量子数で軌道エネルギー、軌道の形が決まる。1年生に
とり必要なのは、 n=1,2 とs軌道、p軌道 (水素~ネオンまで。遷移元
7
素が入るとd軌道(n≧3)が必要)
E
Y=aX2の関数
nが大きいほど、エネル
ギー差は大きくなる
n
Y=Y=-(1/X2)の関数
図3.9
nが大きいほど、エネルギー
差は小さく緻密になる
8
E=0 自由電子
E=-a/n2の関数 M殻(電子18
E E=殻(電子18個)
18個)
3s 2個
2個, 3p 6個
6個,
1 2 3
3d 10個
10個
L殻(電子8
殻(電子8個)
2s 2個
2個
2p 6個
図3.10
K殻(電子2個)
表3.2
殻
K
L
M
N
主量子数 n
1
2
3
4
半径∝
半径∝n2
r1
4r1
9r1
16r1
電子数 2n2
2
8
18
32
エネルギー∝
エネルギー∝1/n2
E1
E1/4
E1/9
E1/16
9
電子を詰める・・パウリの排他律とフントの規則
電子の運動・・・軌道運動(n
電子の運動・・・軌道運動(n、ℓ、mℓ)+自転運動(スピン
運動)
運動) スピン運動を規定する量子数・・・スピン量子数
スピン運動を規定する量子数・・・スピン量子数
(s=+1/2, -1/2) アップスピン、ダウンスピン。磁場により
エネルギーは
エネルギーは2本に分裂する。
パウリの排他律
二つの電子は4つの
二つの電子は つの量子数を同一
つの量子数を同一
にできない・・・一つの軌道上の電
子はアップとダウンの2個の電子
子はアップとダウンの 個の電子
フントの規則
同一エネルギ-の縮退軌道には、同じ
向きのスピンを極大まで入れる→縮退
向きのスピンを極大まで入れる 縮退
磁場ナシ
O
Be
B
磁場アリ
図
3.11
2s軌道
軌道
1s軌道
軌道
F
C
3重縮退
重縮退
p軌道
Ne
N
10
表3.3 水素からネオンまでの電子配置
およびスピン状態
3-4) 電子配置と周期表
パウリの排他原理とフント
の規則に従って、水素原子
からネオン原子まで電子を
詰めた結果を表3.3に示す。
軌道に1個しか電子の無い
場合を赤く
示す(不対電子
不対電子,
不対電子 ラジカル電
子)。その軌道に2個目の電
子が入ると電子対
電子対を形成し
電子対
たといい、スピン量子数の
総和は零となる(青)。
C、N、Oでアップスピン(ダウ
ンでもよい)のみがp軌道を
占めるのはフントの規則に
よる。
1s 2s 2px 2py 2pz
H
He
Li
Be
B
C
N
O
F
Ne
電子配置
1s1
1s2
1s2 2s1
1s2 2s2
1s2 2s2 2p1
1s2 2s2 2p2
1s2 2s2 2p3
1s2 2s2 2p4
1s2 2s2 2p5
1s2 2s2 2p6
電子充填の方法 ●注意点 3pの次は3d(遷移金属)でなく4s(K, Ca)
●4sの次は3d → 4p → 5s 表3.4
n 殻 l=
m=0,±1,••±l
総軌 殻に入る 総電
n−1,・・・
軌道数 道数 総電子数 子数
0
2l+1
n2
2n2
1 K 0: 1s
2 L 0: 2s
1: 2p
3 M 0: 3s
1: 3p
2: 3d
4 N 0: 4s
1: 4p
2: 4d
3: 4f
5 O 0: 5s
1: 5p
2: 5d
3: 5f
4: 5g
0
0
±1,0
0
±1, 0
±2, ±1, 0
0
±1, 0
±2, ±1, 0
±3, ±2, ±1, 0
0
±1, 0
±2, ±1, 0
±3, ±2, ±1, 0
±4, ±3, ±2, ±1, 0
1
1
3
1
3
5
1
3
5
7
1
3
5
7
9
1
4
2
8
2
9
18
28
16
32
60
25
50
110
12
閉殻構造、開殻構造:K,L,M,N,O殻に入る最大数の電子は各々、
2,8,18,32,50であり(下表、黄色部分)、それに満たない電子数の原
子は開殻(電子)構造を持つと言い、主に最外殻にある電子(価電子
価電子)
価電子
が反応に寄与して、不活性ガスのように満杯の閉殻(電子)構造にな
ろうとする性質をもつ。
表3.5
n Shell l =n−1,
1 K
2 L
3 M
4 N
5 O
0
0 1s
0 2s
1 2p
0 3s
1 3p
2 3d
0 4s
1 4p
2 4d
3 4f
0 5s
1 5p
2 5d
3 5f
4 5g
・・・ m=0,±1,••±l
軌道数 2l+1
0
1
0
1
±1,0
3
0
1
±1, 0
3
±2, ±1, 0
5
0
1
±1, 0
3
±2, ±1, 0
5
±3, ±2, ±1, 0
7
0
1
±1, 0
3
±2, ±1, 0
5
±3, ±2, ±1, 0
7
±4, ±3, ±2, ±1, 0 9
総軌道数 殻に入る総
n2
電子数2n2
1
2
4
8
総電子数
2
9
18
28
16
32
60
25
50
110
13
表3.6-1 周期表 periodic table
原子番号: 緑:気体、赤:液体、黒:固体
1
18
1
H
2
He
2
3
Li
4
Be
11
Na
12
Mg
19
K
金属元素
非金属元素
半金属元素
人工元素
13
14
15
16
17
5
B
6
C
7
N
8
O
9
F
10
Ne
13
Al
14
Si
15
P
16
S
17
Cl
18
Ar
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
20
Ca
21
Sc
22
Ti
23
V
24
Cr
25
Mn
26
Fe
27
Co
28
Ni
29
Cu
30
Zn
31
Ga
32
Ge
33
As
34
Se
35
Br
36
Kr
37
Rb
38
Sr
39
Y
40
Zr
41
Nb
42
Mo
43
Tc
44
Ru
45
Rh
46
Pd
47
Ag
48
Cd
49
In
50
Sn
51
Sb
52
Te
53
I
54
Xe
55
Cs
56
Ba
*1
72
Hf
73
Ta
74
W
75
Re
76
Os
77
Ir
78
Pt
79
Au
80
Hg
81
Tl
82
Pb
83
Bi
84
Po
85
At
86
Rn
87
Fr
88
Ra
*2
104
Rf
105
Db
106
Sg
107
Bh
108
Hs
109
Mt
110
Ds
111
Rg
112
Cn
113
Uut
114
Uuq
115
Uup
116
Uuh
117
Uus
118
Uuo
57
La
58
Ce
59
Pr
60
Nd
61
Pm
62
Sm
63
Eu
64
Gd
65
Tb
66
Dy
67
Ho
68
Er
69
Tm
70
Yb
71
Lu
89
Ac
90
Th
91
Pa
92
U
93
Np
94
Pu
95
Am
96
Cm
97
Bk
98
Cf
99
Es
100
Fm
101
Md
102
No
103
Lr
ランタ
ノイド:
*2 アクチ
ノイド:
*1
希ガス
ハロゲン
遷移元素
アルカリ金属
アルカリ土類金属
カルコゲン:第16族元素の総称(酸素を除く場合もある)
表3.6-2 周期表
質量数
原子番号
A
Z
W
元素記号
典型元素
遷移元素
青枠元素を内部遷移元素(fブロック遷移元素)ということがある
赤枠元素のランタノイド、アクチノイドを除き主遷移元素(dブロック遷移元素)ということがある
3-5) イオンの電子配置
図3.12
アルカリ金属元素とハロゲン元素のイオン化
s軌道
軌道
イオン化
(ionization)
H, Li,
Na,v K,
Rb, Cs
–
水素、アルカリ金属元素
p軌道
軌道6e
軌道
で満席
F, Cl,
Br,
v
I, At
H, Li,
Na,v K,
Rb, Cs
s軌道
軌道
電子構造は
電子構造は不活性ガス型
構造は不活性ガス型
電荷は +1価 陽イオン(cation)
)
陽イオン(
イオン化
F, Cl,
Br,
v
I, At
p軌道
軌道
+
ハロゲン元素
電子構造は不活性ガス型
電荷は –1価
1価 陰イオン(anion)
陰イオン
16
電子式
例 L殻電子
殻電子(n=2)の元素
の元素 s軌道、
軌道、p
殻電子
軌道、p軌道を考えず、元素記号の周囲
に8電子までを記す。一個の丸は不対電子を示し、2個揃うと電子対を
に8電子までを記す。一個の丸は不対電子を示し、 個揃うと電子対を
形成したとする(共有電子対、非共有電子対)。
図3.13
Li
Be
O +2H
B
C
N
O
H
H
H+
OH
HO H
H2O
共有結合(covalent
bond)
共有結合
N +3H
H
+
H
NH
H NH3
H3O+
F
Ne
ヒドロキソニウム
ヒドロニウム
配位結合(coordinate
bond)
配位結合
H
HNH
H NH4+
アンモニウム
共有結合、配位結合は、結果として、等価である
17
図3.14
H
H+
OH
O +2H
H
+
H
NH
H
N +3H
H
HO H
H
HNH
H
+
+
最初のステップを以下のように記しても良い
N N
+
3H H
H
2 NH
H
18
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