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E型肝炎について(PDF形式)
E型肝炎について E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)の感染によって引き起こされる急性肝炎で、ウイルス性肝炎の 一種です。ウイルス性肝炎には、A 型、B 型、C 型、D 型、E 型等があり、この内、E 型肝炎は経口感染に より発症し、従来は、主に発展途上国でみられる疾患でしたが、近年、渡航歴の無い国内発症例が散見 されています。そこで、今回は E 型肝炎について説明します。 患者発生状況 感染症法上、E 型肝炎は四類感染症となっており、無症状病原体保有者を含め、すべての医師に届 出が義務付けられています。(届出基準) 感染症法のもとで集計された年別・感染地域別報告数をみると、2007 年は 2006 年より減少したもの の、2002 年以降増加傾向が認められ、特に 2006 年は大きく増加しています。 臨床症状 潜伏期間は、2~9週間 (平均 6 週間)とされており、一般には無症状のことが多いようですが、倦怠 感、食欲不振などが認められることもあります。症状がでた場合には黄疸、発熱、悪心・腹痛、肝腫大、 肝機能の悪化が出現します。 経過及び予後 通常は発症後、安静臥床により約1ヶ月で治癒し、慢性化することはありませんが、稀に劇症化する ケースもみられます。HEV 感染による致死率は、1~2%とされていますが、妊婦では劇症肝炎の割合が 高く、致死率が 20%にも達することがあります。妊婦以外に、B 型或いは C 型肝炎ウイルスの持続感染 者や高齢者でも劇症肝炎を発症しやすいという報告があります。 感染経路 E 型肝炎は、HEV に汚染された食材(生肉、生肝臓等)、水などの摂取で感染します。国内感染例の発 症月別報告数によると、イノシシ、シカ、ブタ(肉・内臓)の生食、加熱不十分による喫食が原因となった 事例が多いのが現状です。 予防方法 一般的な予防としては、イノシシ、シカ、ブタ(肉・内臓)を喫食する場合、十分に加熱調理したものを摂 取する。また、汚染地域と考えられる地域に旅行する場合には、飲料水、食物に注意し、基本的には加 熱したものを摂取するよう注意が必要です。 [微生物グループ 仲 浩臣] 〔E 型肝炎情報について〕 食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について(厚生労働省) E 型肝炎(国立感染症研究所感染症情報センター) 感染症の話(国立感染症研究所感染症情報センター)